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THE GROUND ZERO Chapter3
第9章 火種【3】
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「第一ルーナ! 兵団のバックにはマグナブラ全軍の他に、暁の火と、無尽蔵に兵力は存在するんだぞ!? 対するレジスタンスは数ヶ国の非同盟国のみ、それだけでもかなりの戦力差が開いている! これはもはや、消耗戦にすらならんかもしれんのだぞ!?」
「くっ……だったらわたし達は、いつ戦えばいいのよっ!」
「今は戦う時ではないと言っておるのだ! たった三人で倒せるほど、わし達の敵対するものは小さくは無いっ!!」
「うう……いいわよっ! だったらわたしだけでもっ!!」
僕の手を振り離し、ルーナは食堂を一人去ろうとしたが……。
「やめろルーナっ!」
今度は僕が、ルーナの手を握って彼女が行ってしまうのを阻止した。
「なによ! アンタはここで呑気に飯でも食って、のたれ死ねばいいのよっ!」
「酷い言いようだな……だけどルーナ、君が早く暁の火を……レイヴン王の敵を討ちたいのは分かる」
「だったらっ!」
「だけどっ! ……今はマジスターの言う通り、僕達が表に出る時じゃない。今ならできるかもとか、もしかしたらとか、そんな奇跡に頼った戦いをしようとした時点で、もう負けてるんだ」
「くっ……!」
「目には目を、歯には歯を……力には、力で対抗するしかない。今はまだ、我慢の時だ。それに今回に至っては、僕もただ逃げるだけでは勿体無いと思っている」
「逃げるのが勿体無い? どういうことだコヨミ?」
マジスターは机の上に、上半身のほとんどを乗せるようにして前のめりをし、僕に問う。
「逃げるだけじゃ、状況は掴めない。だから戦況を遠くから偵察するんだ」
「戦況を偵察するだとぉ?」
「ああ。マグナブラが優勢になれば、この周辺全てが完全にマグナブラに統治されることになる。そうなると、僕達がここにいるのは最早デメリットでしかなくなるため、その時は逃げる」
「ほう……」
「希望は薄いが……もしレジスタンス側が優勢になれば、レジスタンスはこの機に乗じて一気にマグナブラを殲滅し、暁の火に宣戦布告するだろうさ。その時はもう、僕達の存在自体が必要無くなる。それだったらここでもう解散しちゃって、戦いたい人はレジスタンスに戻って戦えばいいし、興味が無くなった人はどこかに消えてしまえばいいってことだよ」
「ふむ……」
「僕達には、僕達の三人の他に諜報員やスパイもいなければ、戦闘員だって僕達しかいない。役割分担ができない分、全てを三人でやるしかないんだ。だったらケースバイケースに、より最小限の方法で事を見極めた方が、安全かつ無駄な労力も割かずに済むだろ?」
「確かに……現在のわしらの立場を考えると、それが最善の策かもしれないな……」
「だろ? フッフッフッ……僕も時々は、役立つアドバイスができるってことさ!」
「……ちょっと待ちなさいよアンタ」
するとルーナは、僕の腕を、僕が掴んでいる方とは反対の手で掴み返し、力を込める。
「興味が無くなった人はどこかに消えてしまえばいいって……その興味が無くなった人っていうのは、誰のことなのかしら?」
「えっ? はっはっはっ! さあ、誰のことかしら……」
「アンタはぜえええええったいに、逃がさないからね?」
「あのルーナ……僕達仲間だよね? そういう獲物を狩る、狩人みたいな目は敵に向けてするもんじゃないのかな?」
「アンタは今、成り行き上ではわたしの味方だけど、心の内では敵と認識しているわ」
「ああ! じゃあどちらも足して、中立ってことで手をうてば……って! イテテテテテテテテテテッッ!!!」
ルーナは掴んでいた僕の腕を、まるで万力で押しつぶすような馬鹿力で握り潰してきた。
もはや女の力じゃない、ゴリラやチンパンジーレベルの、そんな異常な力だ。
「わたしのメーターに五十は存在しない。ゼロか百だけよっ!!」
「なんだよそれっ! だったら今すぐその脳筋の頭にバランスっていう言葉をインプットしやが……イダダダダダダダダダッッ!! 腕がもげるっ!! 助けてマジスターっ!!」
「カッカッカッ! 若いのは元気があって羨ましいなっ!!」
「羨ましいわけあるかっ! これは戯れでもなんでもねぇっ! ただの拷問だ!! イタタタタタタタタタタタタッッ!! ここに常人はいないのかっ!! 助けてくれえええええええええええ!!!」
傍から見たら、ほのぼのとした慣れ合いのように見えるのかもしれないが、そうじゃない。
腕からはメキメキと、通常では出てはならないような音まで聞こえてくる。このままでは洒落ではなく、本当に腕を一本持っていかれてしまう!
「分かった分かったルーナ! 僕も最後まで着いて行くからっ!! だから手の力をおおおおおおおおおおおおっっ!!」
「ふん……ならよろしい」
骨と肉が二分し、僕の腕が千切れそうになる寸前で、ルーナは僕の服従を交換条件にその馬鹿力を解いてくれた。
まったく……敵にならともかく、仲間に、しかも戦闘も起きてないところで片腕を失ったんじゃ、笑い話にもならない。
「それにアンタ、わたし達の元を離れたとして、他に行くあてはあるわけ?」
「う……む……いや、無い」
「そうでしょ? わたしにだって無い。かと言って、戻る場所も無い。アンタだけじゃない、みんなそうなのよ」
ルーナはそう言って、マジスターの方へ振り向く。
「わしも……長年世話になった兵団に見限りをつけてレジスタンスに入団したが、今やそこからも厄介者扱いを受けてしまった。わしにももう、戻る場所は無い。かと言って、他に行き先も無い。あるとすれば……地獄ぐらいか? カッカッカッ……」
マジスターは苦い笑みを浮かべながら、ポツリと呟く。
そうだよな……僕だけじゃない。みんな戻る場所も無く路頭に迷い、そして次なる一歩を踏み出すことができずにいる。
そんな時に、僕だけ全てに目を背けて、逃げようなんて考えるのはあまりに虫がよすぎる。
そして何よりも、僕はこの二人と新たな勢力『第三の勢力』になるという約束と引き換えに、共に協力し、死地を切り抜けたのだった。
これではセブルスの二の舞。自分の命を守るために、仮初の約束を取り付け、二人を道具として使ったことになってしまう。
僕は絶対に、アイツのようにはなりたくない。絶対に。
「ごめんルーナ、マジスター……そうだったな、僕達はチームだった。暁の火のような独占的な支配者に刃を向け、かと言って、レジスタンスのように非同盟国の意向にも従わない。世界に阻害された僕達だからこそ、僕達だけの意思で、僕達の進むべき道を切り開かなければならない、そんなチームだったな」
「くっ……だったらわたし達は、いつ戦えばいいのよっ!」
「今は戦う時ではないと言っておるのだ! たった三人で倒せるほど、わし達の敵対するものは小さくは無いっ!!」
「うう……いいわよっ! だったらわたしだけでもっ!!」
僕の手を振り離し、ルーナは食堂を一人去ろうとしたが……。
「やめろルーナっ!」
今度は僕が、ルーナの手を握って彼女が行ってしまうのを阻止した。
「なによ! アンタはここで呑気に飯でも食って、のたれ死ねばいいのよっ!」
「酷い言いようだな……だけどルーナ、君が早く暁の火を……レイヴン王の敵を討ちたいのは分かる」
「だったらっ!」
「だけどっ! ……今はマジスターの言う通り、僕達が表に出る時じゃない。今ならできるかもとか、もしかしたらとか、そんな奇跡に頼った戦いをしようとした時点で、もう負けてるんだ」
「くっ……!」
「目には目を、歯には歯を……力には、力で対抗するしかない。今はまだ、我慢の時だ。それに今回に至っては、僕もただ逃げるだけでは勿体無いと思っている」
「逃げるのが勿体無い? どういうことだコヨミ?」
マジスターは机の上に、上半身のほとんどを乗せるようにして前のめりをし、僕に問う。
「逃げるだけじゃ、状況は掴めない。だから戦況を遠くから偵察するんだ」
「戦況を偵察するだとぉ?」
「ああ。マグナブラが優勢になれば、この周辺全てが完全にマグナブラに統治されることになる。そうなると、僕達がここにいるのは最早デメリットでしかなくなるため、その時は逃げる」
「ほう……」
「希望は薄いが……もしレジスタンス側が優勢になれば、レジスタンスはこの機に乗じて一気にマグナブラを殲滅し、暁の火に宣戦布告するだろうさ。その時はもう、僕達の存在自体が必要無くなる。それだったらここでもう解散しちゃって、戦いたい人はレジスタンスに戻って戦えばいいし、興味が無くなった人はどこかに消えてしまえばいいってことだよ」
「ふむ……」
「僕達には、僕達の三人の他に諜報員やスパイもいなければ、戦闘員だって僕達しかいない。役割分担ができない分、全てを三人でやるしかないんだ。だったらケースバイケースに、より最小限の方法で事を見極めた方が、安全かつ無駄な労力も割かずに済むだろ?」
「確かに……現在のわしらの立場を考えると、それが最善の策かもしれないな……」
「だろ? フッフッフッ……僕も時々は、役立つアドバイスができるってことさ!」
「……ちょっと待ちなさいよアンタ」
するとルーナは、僕の腕を、僕が掴んでいる方とは反対の手で掴み返し、力を込める。
「興味が無くなった人はどこかに消えてしまえばいいって……その興味が無くなった人っていうのは、誰のことなのかしら?」
「えっ? はっはっはっ! さあ、誰のことかしら……」
「アンタはぜえええええったいに、逃がさないからね?」
「あのルーナ……僕達仲間だよね? そういう獲物を狩る、狩人みたいな目は敵に向けてするもんじゃないのかな?」
「アンタは今、成り行き上ではわたしの味方だけど、心の内では敵と認識しているわ」
「ああ! じゃあどちらも足して、中立ってことで手をうてば……って! イテテテテテテテテテテッッ!!!」
ルーナは掴んでいた僕の腕を、まるで万力で押しつぶすような馬鹿力で握り潰してきた。
もはや女の力じゃない、ゴリラやチンパンジーレベルの、そんな異常な力だ。
「わたしのメーターに五十は存在しない。ゼロか百だけよっ!!」
「なんだよそれっ! だったら今すぐその脳筋の頭にバランスっていう言葉をインプットしやが……イダダダダダダダダダッッ!! 腕がもげるっ!! 助けてマジスターっ!!」
「カッカッカッ! 若いのは元気があって羨ましいなっ!!」
「羨ましいわけあるかっ! これは戯れでもなんでもねぇっ! ただの拷問だ!! イタタタタタタタタタタタタッッ!! ここに常人はいないのかっ!! 助けてくれえええええええええええ!!!」
傍から見たら、ほのぼのとした慣れ合いのように見えるのかもしれないが、そうじゃない。
腕からはメキメキと、通常では出てはならないような音まで聞こえてくる。このままでは洒落ではなく、本当に腕を一本持っていかれてしまう!
「分かった分かったルーナ! 僕も最後まで着いて行くからっ!! だから手の力をおおおおおおおおおおおおっっ!!」
「ふん……ならよろしい」
骨と肉が二分し、僕の腕が千切れそうになる寸前で、ルーナは僕の服従を交換条件にその馬鹿力を解いてくれた。
まったく……敵にならともかく、仲間に、しかも戦闘も起きてないところで片腕を失ったんじゃ、笑い話にもならない。
「それにアンタ、わたし達の元を離れたとして、他に行くあてはあるわけ?」
「う……む……いや、無い」
「そうでしょ? わたしにだって無い。かと言って、戻る場所も無い。アンタだけじゃない、みんなそうなのよ」
ルーナはそう言って、マジスターの方へ振り向く。
「わしも……長年世話になった兵団に見限りをつけてレジスタンスに入団したが、今やそこからも厄介者扱いを受けてしまった。わしにももう、戻る場所は無い。かと言って、他に行き先も無い。あるとすれば……地獄ぐらいか? カッカッカッ……」
マジスターは苦い笑みを浮かべながら、ポツリと呟く。
そうだよな……僕だけじゃない。みんな戻る場所も無く路頭に迷い、そして次なる一歩を踏み出すことができずにいる。
そんな時に、僕だけ全てに目を背けて、逃げようなんて考えるのはあまりに虫がよすぎる。
そして何よりも、僕はこの二人と新たな勢力『第三の勢力』になるという約束と引き換えに、共に協力し、死地を切り抜けたのだった。
これではセブルスの二の舞。自分の命を守るために、仮初の約束を取り付け、二人を道具として使ったことになってしまう。
僕は絶対に、アイツのようにはなりたくない。絶対に。
「ごめんルーナ、マジスター……そうだったな、僕達はチームだった。暁の火のような独占的な支配者に刃を向け、かと言って、レジスタンスのように非同盟国の意向にも従わない。世界に阻害された僕達だからこそ、僕達だけの意思で、僕達の進むべき道を切り開かなければならない、そんなチームだったな」
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