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THE GROUND ZERO Chapter4
第12章 破皇の再臨【2】
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「とりあえず今日のところは色々あったし……バイクの指導はまた今度ってことで、ね?」
「…………」
また僕を睨みながら、ルーナの人差し指の周りを回るキーホルダーの回転の速さが増す。
グルグル、グルグルと。
「……まあそうね。そんな気分にもなれないし、また今度ね」
そう言って彼女は回していたバイクの鍵を握り締め、前を向いて歩き始めた。
僕はそんな彼女の姿を見て、安堵の溜息を小さく吐いた。
さて……一難回避したところで、また一難とならないように、ここを去ってしまおうと、僕が一歩踏みだそうとした時だった。
『おい、人間』
どこからか、誰かの声が突如として聞こえてきたのだ。
「ん?」
立ち止まり、振り返る。しかし、僕とマジスターとルーナの他には、ここには誰もいない。
気のせいだろうか?
「どうしたコヨミ?」
そんな挙動不審な僕を見て、マジスターとルーナが僕の方を振り返る。
「いや……誰かの声が聞こえたような気がしたんだ……」
「誰かの声? しかしここにはわしら以外、誰もいないだろ?」
「そのはずなんだけど……」
「アンタもしかして……魔力で頭やられちゃったとか!?」
「おいおい、さすがにそれは無いだろ……それだったらここに居る全員がおかしくなっちゃってるだろ?」
「それもそうね……あっでもアンタって、元からちょっとおかしいもんね色々と」
「酷いなそれ……」
ルーナの返しが雑というか、冗談が冗談のように聞こえないのだが……あれ? もしかして本気でそう思われてる……なんてことないよね?
まあそれはそれとして、どうやら僕は、幻聴が聞こえてしまうほど疲れてしまっているのは確かだ。
肉体的疲労といい、精神的疲労といい、もう既にキャパシティを超えて、いっぱいいっぱいだからな。
こういう時はさっさと寝て、全快するまで休むべきそうすべきだ。
『周りには我の声は聞こえん。聞こえるのはうぬだけだ』
「どわっ!!?」
まただ……また何処からか声が聞こえた!
一体どこから? もしかして魔法を使ってるとか……。
『キッキッキッ……! 魔法などではない。近いものではあるがな』
僕の考えていることに返答してきただと!?
もしかしてこの声の主……僕の思ってることが分かるのか?
『ああ、分かるとも。我とうぬは、どうやら同類のようだからな。同じニオイを嗅ぎつけたから、我もこうやってお前に念波を発しているのだ』
(同類だと……? もしかしてお前は、人間なのか?)
『そうではない。物体として同じなのではなく、性質が同じなのだ』
(性質が?)
『そうだ。もう何百年もあれから経ってしまったようだが、突如振って来た強力な魔力と、うぬの魂があの厄介な剣から我を目覚めさせたのだ』
(何百年もって……お前は一体……一体何者なんだ!?)
『キッキッキッ……我に名前など無い。ただ、数百年前に人間どもが勝手に呼んでいたものならあるがな……』
(人間が? 人間はお前のことを、なんと呼んでいたんだ?)
『確か……ライフ・ゼロだったか』
(ライフ……ゼロ!!)
その名前を聞いた瞬間、僕の背筋が凍りつき、全身に寒気が走った。
かつて唯一、世界の完全支配にまであと一歩というところまで辿り着き、その出来事から数百年経った今でも人々から畏怖され続け、その名が語り継がれている、最強にして最恐の魔物の名……ライフ・ゼロ。
その名の意味は、まさに名の通り、全ての生命を息絶えさせ、無に還すということからきている。
一部ではその凶悪性と破壊への徹底ぶりから、破皇なんて呼ぶ者もいたとか……。
「コヨミ、さっきからお前様子がおかしいぞ!?」
僕がはっと我に返ると、マジスターとルーナが心配そうな表情を浮かべながら、僕のことを窺っていた。
そうだ……この二人にはヤツの声が聞こえないんだっけか……。
「ああ、ごめんマジスター……でもやっぱり聞こえるんだ、僕には声が」
「うーむ……そいつが誰だか分かるのか?」
「ああ……たった今、名乗ってきたからね。だけどいくらマジスターでも、言ったところでこれは信じてくれないと思う……」
「むう……信じるか信じないかはともかく、とりあえず言ってみろ」
「……そいつは自分のことを、ライフ・ゼロだと言ってる」
「ライフ・ゼロ!? そんなバカな……あれは数百年前、勇者ワーハイト・ルージが倒したはず……」
「うん、僕もそう思っているんだけど……」
伝説では確か、ライフ・ゼロは当時の勇者ワーハイト・ルージに太陽の剣で斬られ、消滅したとなっていたはず。
もし今、僕に話しかけているライフ・ゼロが本物なのならば、その伝説自体が偽物だったということになりかねないのだが……。
『キッキッ……聞こえておるぞ人間。言ったであろう、うぬの考えていることは、我には筒抜けだとな』
(なら教えてくれ。あの伝説は嘘だったのか?)
『そうだな……答えは半分真実で、半分が虚偽といったところか』
(半分真実で、半分が虚偽?)
『そうだ。ワーハイト・ルージが太陽の剣を使って、我にとどめを刺した……それは真実だ。だが、消滅させたという点がまったくのデタラメだというべきだな』
(消滅させたのがデタラメ? じゃあワーハイト・ルージはお前をどうしたんだ?)
『ヤツは我を、太陽の剣の中に封印したのだ』
(封印だと!?)
『そうだ。ヤツは我を消滅させることが不可能であることを、前もって知っておったようだ。だからヤツは、我を殺しにくるような真っ向勝負は一切せず、坦々と弱らせていくような、そんな姑息な戦いを仕掛けてきたのだ。ああ……今思い出しただけでも虫唾が走るわっ!』
(……もう昔の話だろ? 過ぎた話じゃないか)
『それでも腹が立つものは、いつまで経っても腹が立つものなのだ! 数百年経ったとしてもな!!』
(アンタが本物のライフ・ゼロなら、それはかなり説得力のある言葉になりそうだな。まあそれはいいとして……じゃあ何故伝説では、消滅しただなんてことになってるんだよ?)
『それは簡単な理屈だ。太陽の剣とはすなわち、我を倒したという唯一の勇者の証だ。その証を守るための嘘だったのだろう』
(証を守るための……)
『そうだ。我の魂が太陽の剣の中に封印され、宿っていると人間の民衆に知られたら、それこそ我の封印がいつ解け、復活するか分からないという、人間共の不安を掻き立てることとなってしまい、太陽の剣を処分しようという話が持ち上がるであろう?』
(まあ……そうなるだろうね)
『しかしそれでは、勇者が勇者である証を後世まで残すことができなくなってしまう。それを恐れたが故に吐かれた嘘が、伝説となって残ってしまったのであろう。キッキッ……お前ら人間の英雄伝は、伝説どころかただの偽り言だったというわけだな』
(そんな……バカな……勇者の伝説が、嘘だったなんて……)
「…………」
また僕を睨みながら、ルーナの人差し指の周りを回るキーホルダーの回転の速さが増す。
グルグル、グルグルと。
「……まあそうね。そんな気分にもなれないし、また今度ね」
そう言って彼女は回していたバイクの鍵を握り締め、前を向いて歩き始めた。
僕はそんな彼女の姿を見て、安堵の溜息を小さく吐いた。
さて……一難回避したところで、また一難とならないように、ここを去ってしまおうと、僕が一歩踏みだそうとした時だった。
『おい、人間』
どこからか、誰かの声が突如として聞こえてきたのだ。
「ん?」
立ち止まり、振り返る。しかし、僕とマジスターとルーナの他には、ここには誰もいない。
気のせいだろうか?
「どうしたコヨミ?」
そんな挙動不審な僕を見て、マジスターとルーナが僕の方を振り返る。
「いや……誰かの声が聞こえたような気がしたんだ……」
「誰かの声? しかしここにはわしら以外、誰もいないだろ?」
「そのはずなんだけど……」
「アンタもしかして……魔力で頭やられちゃったとか!?」
「おいおい、さすがにそれは無いだろ……それだったらここに居る全員がおかしくなっちゃってるだろ?」
「それもそうね……あっでもアンタって、元からちょっとおかしいもんね色々と」
「酷いなそれ……」
ルーナの返しが雑というか、冗談が冗談のように聞こえないのだが……あれ? もしかして本気でそう思われてる……なんてことないよね?
まあそれはそれとして、どうやら僕は、幻聴が聞こえてしまうほど疲れてしまっているのは確かだ。
肉体的疲労といい、精神的疲労といい、もう既にキャパシティを超えて、いっぱいいっぱいだからな。
こういう時はさっさと寝て、全快するまで休むべきそうすべきだ。
『周りには我の声は聞こえん。聞こえるのはうぬだけだ』
「どわっ!!?」
まただ……また何処からか声が聞こえた!
一体どこから? もしかして魔法を使ってるとか……。
『キッキッキッ……! 魔法などではない。近いものではあるがな』
僕の考えていることに返答してきただと!?
もしかしてこの声の主……僕の思ってることが分かるのか?
『ああ、分かるとも。我とうぬは、どうやら同類のようだからな。同じニオイを嗅ぎつけたから、我もこうやってお前に念波を発しているのだ』
(同類だと……? もしかしてお前は、人間なのか?)
『そうではない。物体として同じなのではなく、性質が同じなのだ』
(性質が?)
『そうだ。もう何百年もあれから経ってしまったようだが、突如振って来た強力な魔力と、うぬの魂があの厄介な剣から我を目覚めさせたのだ』
(何百年もって……お前は一体……一体何者なんだ!?)
『キッキッキッ……我に名前など無い。ただ、数百年前に人間どもが勝手に呼んでいたものならあるがな……』
(人間が? 人間はお前のことを、なんと呼んでいたんだ?)
『確か……ライフ・ゼロだったか』
(ライフ……ゼロ!!)
その名前を聞いた瞬間、僕の背筋が凍りつき、全身に寒気が走った。
かつて唯一、世界の完全支配にまであと一歩というところまで辿り着き、その出来事から数百年経った今でも人々から畏怖され続け、その名が語り継がれている、最強にして最恐の魔物の名……ライフ・ゼロ。
その名の意味は、まさに名の通り、全ての生命を息絶えさせ、無に還すということからきている。
一部ではその凶悪性と破壊への徹底ぶりから、破皇なんて呼ぶ者もいたとか……。
「コヨミ、さっきからお前様子がおかしいぞ!?」
僕がはっと我に返ると、マジスターとルーナが心配そうな表情を浮かべながら、僕のことを窺っていた。
そうだ……この二人にはヤツの声が聞こえないんだっけか……。
「ああ、ごめんマジスター……でもやっぱり聞こえるんだ、僕には声が」
「うーむ……そいつが誰だか分かるのか?」
「ああ……たった今、名乗ってきたからね。だけどいくらマジスターでも、言ったところでこれは信じてくれないと思う……」
「むう……信じるか信じないかはともかく、とりあえず言ってみろ」
「……そいつは自分のことを、ライフ・ゼロだと言ってる」
「ライフ・ゼロ!? そんなバカな……あれは数百年前、勇者ワーハイト・ルージが倒したはず……」
「うん、僕もそう思っているんだけど……」
伝説では確か、ライフ・ゼロは当時の勇者ワーハイト・ルージに太陽の剣で斬られ、消滅したとなっていたはず。
もし今、僕に話しかけているライフ・ゼロが本物なのならば、その伝説自体が偽物だったということになりかねないのだが……。
『キッキッ……聞こえておるぞ人間。言ったであろう、うぬの考えていることは、我には筒抜けだとな』
(なら教えてくれ。あの伝説は嘘だったのか?)
『そうだな……答えは半分真実で、半分が虚偽といったところか』
(半分真実で、半分が虚偽?)
『そうだ。ワーハイト・ルージが太陽の剣を使って、我にとどめを刺した……それは真実だ。だが、消滅させたという点がまったくのデタラメだというべきだな』
(消滅させたのがデタラメ? じゃあワーハイト・ルージはお前をどうしたんだ?)
『ヤツは我を、太陽の剣の中に封印したのだ』
(封印だと!?)
『そうだ。ヤツは我を消滅させることが不可能であることを、前もって知っておったようだ。だからヤツは、我を殺しにくるような真っ向勝負は一切せず、坦々と弱らせていくような、そんな姑息な戦いを仕掛けてきたのだ。ああ……今思い出しただけでも虫唾が走るわっ!』
(……もう昔の話だろ? 過ぎた話じゃないか)
『それでも腹が立つものは、いつまで経っても腹が立つものなのだ! 数百年経ったとしてもな!!』
(アンタが本物のライフ・ゼロなら、それはかなり説得力のある言葉になりそうだな。まあそれはいいとして……じゃあ何故伝説では、消滅しただなんてことになってるんだよ?)
『それは簡単な理屈だ。太陽の剣とはすなわち、我を倒したという唯一の勇者の証だ。その証を守るための嘘だったのだろう』
(証を守るための……)
『そうだ。我の魂が太陽の剣の中に封印され、宿っていると人間の民衆に知られたら、それこそ我の封印がいつ解け、復活するか分からないという、人間共の不安を掻き立てることとなってしまい、太陽の剣を処分しようという話が持ち上がるであろう?』
(まあ……そうなるだろうね)
『しかしそれでは、勇者が勇者である証を後世まで残すことができなくなってしまう。それを恐れたが故に吐かれた嘘が、伝説となって残ってしまったのであろう。キッキッ……お前ら人間の英雄伝は、伝説どころかただの偽り言だったというわけだな』
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