転生したら悪役令嬢の〇〇〇だった⁈

遊夢

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必殺‼︎

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がちゃん!とお皿か何かが割れる音がする。

それに背後霊なのに慌てる私。

もしかして…との思いが強くなる。


「奥様、お逃げ下さい‼︎」


慌てた様子の…恐らく侍女さんが部屋の中へと駆け込んで来て。

それに確信してしまう。

本当に今日なんだ、っと。


乳母さん、かな?
ずっと同じ部屋に居たし、多分そうだと思う。
時折ルアーナちゃんママがルアーナちゃんについて何か質問してたし。
優しい顔して2人を見つめていたし。
…が、庇うようにルアーナちゃんママに寄り添って2人を逃がそうとしていて。

私は何が出来るのだろう。と考えてしまった。

だって、目の前で生きてる人達がいるんだもの。
その人達に生きていて欲しい!
そう思う事は至極当然の、当たり前の事だと思う。

何よりルアーナちゃんの為にも生きていて欲しい‼︎

だから、何か。

何か…



「きゃあぁぁぁ…!」



誰かの悲鳴が意識の隅に届く。

焦り。

混乱。

戸惑い。

焦燥。


考えが、纏まらない…。



「ソアラ・タナイトスだな⁈」



侍女さんを傷付け、部屋の中に押し入って来た男達の1人がルアーナちゃんママを見て鋭利な刃物を片手にママさんの名を荒々しく呼ぶ。

タナイトス…って事はやっぱりルアーナちゃんはルアーナ・タナイトスで、此処は異世界で、乙女ゲーム『ただ一つだけの花束を君に  ~真実は心の中に~』の世界なんだな。と、纏まらない思考の片隅で浮かんでは消える。



「お前には恨みは無いが、死んでもらう!
恨むのならお前の夫であるダグス・タナイトスを恨むんだな‼︎」


安心しろ、娘も一緒に…なんて、誰が安心出来るかぁー‼︎


…っと、とっ散らかった思考回路の末にブチ切れ案件の戯言を聞かされた私は全ての感情が怒りに振り切れての怒髪天!

そのお陰なのか、火事場のなんとやらなのか。


どんッ‼︎


と、それまで聞いた事の無いような音が聞こえたと思うと周囲の至る所から似たような音が鳴り響くでは無いか。

最初こそ、その音を出してる音源は押し入って来た男達だと思われたのだが、彼らも周囲を見渡し、警戒心を顕にしているので違うと気付く事が出来た。


棒切れを折るような、ドアをノックするような、足音のような…そんな音が部屋中を支配する。


というか、これってもしかしてラップ音…?


数多くの漫画や小説をジャンル問わず読み耽っていた私の記憶の中からホラー系ジャンルの知識が引っ張り出されてそう思い当たる。

現在進行形でホラー状態の私ではあるが、ホラー系は元々あまり好きじゃ無かった。
リアルホラーやグロ系ホラー、肝試しや遊園地のホラーハウスは大の苦手で好きでは無いけど、ゴーストをバスターしちゃうやつとか、可愛いお化けちゃんな女の子が生きてる男の子と仲良くなる話とかは好きだったからどうにかこうにか思い出せたくらいではあるのだがーーーもしかして、コレって私の所為?

だとしたらコレって使えない?

などと考えて部屋の中を改めて観察すると、不気味な音鳴りで部屋の内部にいる人達がかなり怯えているように見える。


…あっ!侍女さん、怪我してる‼︎


押し入って来た男達の持つ鋭利な刃物で斬りつけられたのか、侍女さんから血らしき赤い雫が流れてて。
倒れているのを認識するや否や怒りの沸点が限界突破。


許せない‼︎


そう思って。


「うわぁあぁぁー‼︎」


引っ張り出された知識の中で今の自分が使えそうなモノは無いかと探すよりも早く、無意識に行動を起こしてた。

怒りで一瞬我を忘れかけ。
男達の叫び声で現実に戻って来ると、部屋にあった調度品がルアーナちゃんを腕に抱くママさんを中心に、乳母さんや倒れてる侍女さんをまるで守るかのように宙を舞い。
気付けば威嚇するかの如く時折男達の顔面や身体スレスレを横切っていく光景が認識出来るでは無いか。


こ、これはポルターガイスト現象‼︎


あまりホラー系の知識は無いけれど、ラップ音もポルターガイスト現象も幽霊の仕業だとされているのは知っていた。
とすると、先程のラップ音はやはり私の仕業だと思われる。
だとしたらこのポルターガイスト現象も恐らく私の仕業だ。

だって私、幽霊だもん。

ラップ音やポルターガイスト現象なんて正しく幽霊が使用する技じゃない!

実は無自覚だったけど、転生チート無双な幽霊だったのね、私!

それを使ってルアーナちゃんを守る為に彼女の背後霊になっていたのね!

だとすれば!
この二つを駆使すれば男達を追い出せるハズ‼︎

よぉーし!いっけー‼︎
必殺、ポルターガイストぉー‼︎
























……………なんて、調子に乗ってた時期がありました。
ごめんなさい。




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