脱出ゲーム

いおりん

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プロローグ

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「え…お、お店…潰れちゃうの…?」
両親からの告白に、思わず聞き返した。
「ええ、琴には心配させたくないから、ずっと黙ってたの…」
「3000万円の借金も抱えてて…ごめんな…」
既に泣きそうになっている両親はぼそぼそと喋る。
「そ、そんな…あぁ…」
私は床に座り込んだ。ぼたぼたと無色透明な液体が落ちてくる。どうやらそれは、私が流しているものらしい。
「お店…終わっちゃうのいやだああああ!!!!」
「そうだよな、そうだよな…!ごめんよ!」
家族3人、子供のように情けなく泣いている。 
もうあの時の幸せは戻ってこない。その事に泣いているのか、今ある多額の借金に泣いているのか、私でも分からない。
こんな事になるなら、初めからお店なんてなければよかった…それが私の思いである事は確かだった。


あれから2ヶ月が経った。
3000万円…それは私にはどのくらい働けば稼げるのかよく分からない。
少なくとも、高校生で稼げる額ではないということは理解していた。だから、無駄な出費を出さないよう心がけた。
お小遣いはいらないと両親に話、バイトも1つから3つに増やした。バイト代のほとんどは両親に渡した。もともと成績はよかったので、返さなくていい奨学金を狙って必死に勉強した。
それでも借金は減らない。増えはしないが減りもしない。
風が吹くたびに私の長い髪はふわりとゆれる。この髪をかの有名な『賢者の贈り物』に出てきた女の人のように売れたらな。そう思えてきた。

もう私の体も限界だった。両親も疲れきっていた。3人とも、家庭内で笑顔を絶やすまいと必死になっていた。その笑顔も作り笑い。いったい何の意味があるのだろう。
そんな日が続いていたある日、私はバイト先に向かっていた。その時、どこからか声がした。
「お困りですか、お嬢さん。」
それは優しくも甘い男の声だった。
「…どこにいるんですか。出てきてください。」
「ここにいますよ。」
私は両手で視界を閉ざされ、よろめく。
「おっと、危ないですよ。」
私は男にもたれかかった状態になった。
体制を直し振り返る。
仮面を被った背の高い男の姿が確認できた。
「貴方は誰です?」
「名乗るほどの者ではないですよ。それに、すぐわかります。」
聞けば聞くほど、どこかで聞き覚えがあるかのように思えた。既視感デジャブというやつか。
「おや、随分話がそれてしまっている。では、本題といこうか。」
男はニヤリと笑った。
「鈴鐘琴さん…!貴方はお金の事で困っていますね…?」
「な、なぜそれを…!?」
「そんな貴方に最高のプレゼントをあげましょう…」
男は人差し指で私の頭をそっと抑えた。
力は弱いのに、動けない。怖い。仮面の奥でひっそりと笑う男を見つめるしかなかった。
「あ、あの…プレゼントとは?」
力のない声で問いかける。
「ふふ、これですよ。」
パァァンッ
え、今、指から何かが出て…
「安心して。まだ貴方は死にません…これからが楽しみです。」
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