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第二章〜記憶の石板〜
22話✡︎王立図書館✡︎
しおりを挟むその日の夕方からユリナは動き出す、まず王立図書館の一日の警備状況を調べさせて、三日間弓兵師団で警備を請け負うに、何人必要かを調べると、驚く事に……
一日百五十名も必要だと言う事が解った。ユリナは疑問に思う、確かに王立図書館は広い……だが図書館にしては厳重すぎる、そして警備配置も外部では無く内部に集中している。
(なぜ……昼間は一般開放している分、人員は五十名、夜間は百名で一個小隊動員している……
大きいとは言え図書館の警備なら一晩多くて三十名居れば暇を弄ぶ者もいるはず……)
ユリナは今晩にでも動こうと思っていたが、慎重に成らざるおえなかった。
更に過去最大動員は何名かも調べさせる事にして、その情報を待つ。
翌日にその情報が届いて更に驚いた、過去最大動員数は一日五百名、五個小隊、昼間二百名、夜間三百名それを百五十年前に一週間動員していたらしい……
そしてそれから三ヶ月は一般公開も無く閉鎖、三ヶ月後に一部開放、警備動員数は二百名。
しかも二百年前のエルド宮からの要請は入室制限で無く閉鎖要求だったらしい。
あまりの事に何が起きていたのか、想像が出来なくなって来た。
ユリナは銀色の鈴を鳴らし召使いにカナを呼んでくる様に伝える、しばらくしてカナがアヤとの練習を中断してやってくる。
ユリナはこの情報をカナに見せる。
「な……これは本当?ちょっと待ってユリナ、百五十年前と言えば、シンシル様が体調を崩された頃と一致するけど何か関係が……」
カナもあまりの事に召使いに成り切る事を忘れて話す。
ユリナは考えて決める、銀色の鈴を鳴らし、召使いに伝令を二人呼んで来させて、弓兵師団の精鋭第一師団の一個中隊千名を出動準備させる様に伝令を走らせる。
「お姉ちゃん、多分お母さんにはすぐバレちゃうけど、王宮に一緒に来てくれる?」
カナは静かに頷き、なるべくエレナに悟られない様に弓と矢筒だけを持ち、そのままの姿で二人は馬を飛ばして王宮に向かう、ユリナは直感で感じていた。
国王シンシルの命が短命になった秘密が王立図書館にあると、そしてもしこのまま、国王シンシルが倒れたら、何か大きな悲劇が起こる様な気がしていた。
それはエレナもまだ気づいていない……
何故かと言えば、リヴァイアサンですら何となく、そうした方が良いとしか感じなかった、つまり神ですら欺く何かを感じていた。
王宮に着いたのは、もう日が沈みはじめる頃であった。ユリナとカナはシンシルに面会を求め、シンシルは快く応じた。
「シンシル様お久しぶりです。
早速ですが、人払いをお願いしたいのですが宜しいでしょうか?」
ユリナは臆せずに話す。
「流石エレナとアルベルトの子、急に来るなり何を話すのかな?」
シンシルは穏やかに言う。
「人払いを」
ユリナは静かに強い瞳でシンシルを見つめ言いなおす。
シンシルは静かに頷き、衛兵や付き人に目だけで離れる様に伝える。
王座の間に、国王シンシルとユリナとカナだけの三人になり扉が閉められる。
「シンシル様……
王立図書館に何があるのですか?百五十年前に何があったのですか?」
ユリナらしく遠回しに言わず率直に聞く。
「何があったかは言えん、だが何とかしなければならない」
それを聞いてユリナは言う。
「ならば今宵から三日間、王立図書館の警備を我が弓兵師団にお任せ下さい。」
「そなたでは、どうにも成らん……
そなたの母エレナでもおそらく……あの場はそう言う場なのだ、下がるが良い」
シンシルは穏やかに言うがその瞳は明らかに絶望を隠していた。
「お祖父様、私は……ユリナ様に救われました、今のお祖父様の様に私も苦しんで居たんです。
お祖父様は私をエレナ様の一族として暖かく迎えてくれました、王族としてなんの関係も無い私を……笑顔で……
迎えてくれました。
そんなお祖父様がその瞳のまま、生涯を過ごされるのは私も苦しいのです。
どうか機会をお与え下さい、お祖父様……」
シンシルはしばらく考えて静かに言う。
「死を覚悟したら、その神の涙に祈るが良いそれが条件だ良いな」
「では、これから王立図書館に向かいます。」
それを聞きユリナは気高くシンシルに言い、ユリナとカナはその場から去ろうとした時、シンシルが立ち上がった。
「水の女神エヴァの加護があらんことを!」そう強く二人を祝福する。
ユリナ達が王宮を出たあと、シンシルは近衛兵を呼ぶ。
「エレナを呼べ!
エヴァスの力が必要になるやも知れん!
エレナを呼べ‼︎」
王宮から早馬がエルフの英雄エレナの元に向かった。
それから王宮は騒がしくなる。
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