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8話
前兆
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そいつと話さなくなってから一週間ほどたった。
今日もおれはいつもの通り学校へむかう。途中、風に運ばれた枯葉が制服のズボンにひっついたが、そんなことを気にすることなく歩みを進めた。
山の色も茶色一色で、なんだか味の無いスープを飲んでいるかのような気持ちになった。
校門をすぎたあたりで、校庭に植えられている木から一枚の紅く染まった葉っぱが風に乗ってコンクリートの道へと落ちるのを見た。
いつもなら少しその紅をじっくりと眺めたいところだが、そんなことよりも遅刻しないほうを優先したおれは、下駄箱でスリッパに履き替え教室へ向かった。
今日もつまらない授業を受けるためだと思う気持ちは、おれの足が教室へ向かうのを止めようとしていた。
珍しくいつも朝から太陽の光に照らされて汗を流しているそいつの姿は見られなかった。
見たくもないのだが。
ホームルームになってもそいつは現れなかったことには昨日のことが関係しているとは思いたくなかった。
結局、5限目の体育は4人チームで行われた。もちろん今日もコートの外にボールが出るのを阻止するという役目を全うした。
1人少ないという中でも、そこまで困らなかった。あいつならゴールの下で運良くボールを貰っても、リングに当たる前にボードとかに当たりそうだ。
いつもより多目に体育で汗を流したおれは帰りのホームルームを終え、いつもの通り塾へむかう。
おれの中には、
「なぜそいが休んだのか。」
それだけが突っかかったままだった。
どうしてだろうか。こんなにも気になるなんて。
別に心配していたわけではない。単純に理由が知りたかったんだと思う。
メールをしてみようか。
最近全く話していなかったのに、いきなり送るというのもなんだか気持ちが悪い気がした。
いや、そもそもそんなことをしてなんになるんだ。
結局、今日の塾の授業は突っかかりのせいで、ただホワイトボードを眺めて先生が言うことを右から左へ受け流すだけになってしまった。
塾の帰り、たまに路地裏を抜けて帰ることがある。
そこには街灯がなく、星が良く見える。
今日そこを通りかかったおれは、そろそろ見える季節だろうとオリオン座を探しにきたのだ。
「ここは本当に星が良く見える、、。」
「真ん中の星は3つだよ。」
オリオン座をご存知だろうか。四隅に1つずつと、真ん中に3つ。人の胴体っぽいやつである。
上を眺めていたおれに声をかけたのは、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした少女だった。絵のように美しく整った顔をしている。
「な、なに、、?」
「あれはもうオリオン座じゃないよ。」
何を言っているんだ。
「どう見たってオリオン座じゃないか。君いくつ?オリオン座を知っているのか?」
「四隅に1つずつ、真ん中に3つ。」
「何言っているんだ。真ん中の星は2つだろ。中学校の授業で習わなかったか?」
「、、、」
呆れたおれは、その少女に背を向けて早足で家へ向かった。
何なんだあいつは。
家についたおれはいつもの通り日付が変わる前には布団へついていた。
「はぁ。今日はなんだったんだ。授業はつまらないし、塾ではいつのまにか寝てしまっていたし、帰りには訳の分からない少女におかしなことを言われるし。」
だが、なんだろうか。心の奥底に空いた穴は。
とてもではないけど、塞がりそうな大きさではない。
「そう言えば、今日のバスケットボールしんどかったなぁ。1人足りない分余計に動かなくちゃなかったから。だいたい、なんでおれらのチームだけもとから4人なんだよ。」
目をつむると、まぶたのうらは暗かった。
次の朝、起きるまで。
今日もおれはいつもの通り学校へむかう。途中、風に運ばれた枯葉が制服のズボンにひっついたが、そんなことを気にすることなく歩みを進めた。
山の色も茶色一色で、なんだか味の無いスープを飲んでいるかのような気持ちになった。
校門をすぎたあたりで、校庭に植えられている木から一枚の紅く染まった葉っぱが風に乗ってコンクリートの道へと落ちるのを見た。
いつもなら少しその紅をじっくりと眺めたいところだが、そんなことよりも遅刻しないほうを優先したおれは、下駄箱でスリッパに履き替え教室へ向かった。
今日もつまらない授業を受けるためだと思う気持ちは、おれの足が教室へ向かうのを止めようとしていた。
珍しくいつも朝から太陽の光に照らされて汗を流しているそいつの姿は見られなかった。
見たくもないのだが。
ホームルームになってもそいつは現れなかったことには昨日のことが関係しているとは思いたくなかった。
結局、5限目の体育は4人チームで行われた。もちろん今日もコートの外にボールが出るのを阻止するという役目を全うした。
1人少ないという中でも、そこまで困らなかった。あいつならゴールの下で運良くボールを貰っても、リングに当たる前にボードとかに当たりそうだ。
いつもより多目に体育で汗を流したおれは帰りのホームルームを終え、いつもの通り塾へむかう。
おれの中には、
「なぜそいが休んだのか。」
それだけが突っかかったままだった。
どうしてだろうか。こんなにも気になるなんて。
別に心配していたわけではない。単純に理由が知りたかったんだと思う。
メールをしてみようか。
最近全く話していなかったのに、いきなり送るというのもなんだか気持ちが悪い気がした。
いや、そもそもそんなことをしてなんになるんだ。
結局、今日の塾の授業は突っかかりのせいで、ただホワイトボードを眺めて先生が言うことを右から左へ受け流すだけになってしまった。
塾の帰り、たまに路地裏を抜けて帰ることがある。
そこには街灯がなく、星が良く見える。
今日そこを通りかかったおれは、そろそろ見える季節だろうとオリオン座を探しにきたのだ。
「ここは本当に星が良く見える、、。」
「真ん中の星は3つだよ。」
オリオン座をご存知だろうか。四隅に1つずつと、真ん中に3つ。人の胴体っぽいやつである。
上を眺めていたおれに声をかけたのは、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした少女だった。絵のように美しく整った顔をしている。
「な、なに、、?」
「あれはもうオリオン座じゃないよ。」
何を言っているんだ。
「どう見たってオリオン座じゃないか。君いくつ?オリオン座を知っているのか?」
「四隅に1つずつ、真ん中に3つ。」
「何言っているんだ。真ん中の星は2つだろ。中学校の授業で習わなかったか?」
「、、、」
呆れたおれは、その少女に背を向けて早足で家へ向かった。
何なんだあいつは。
家についたおれはいつもの通り日付が変わる前には布団へついていた。
「はぁ。今日はなんだったんだ。授業はつまらないし、塾ではいつのまにか寝てしまっていたし、帰りには訳の分からない少女におかしなことを言われるし。」
だが、なんだろうか。心の奥底に空いた穴は。
とてもではないけど、塞がりそうな大きさではない。
「そう言えば、今日のバスケットボールしんどかったなぁ。1人足りない分余計に動かなくちゃなかったから。だいたい、なんでおれらのチームだけもとから4人なんだよ。」
目をつむると、まぶたのうらは暗かった。
次の朝、起きるまで。
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