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9話
消失
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寒い。寒い寒い。
急に冬将軍が勢いよく駆け込んで来たようだ。朝からさむくてベッドからでられない。
ガチャ。
母が起こしに来たようだ。かけられている布団を揺すられるが、今日、ベッドから出たくないのは寒さだけが理由ではないようだ。
胸の真ん中あたり。何かが足りないような気持ち悪さが残っている。
遅刻だけはしたくないので、仕方なく起きたおれは足元を駆け抜けていく冬将軍にいら立ちをおぼえながら階段を降りていく。
コーンスープの優しい香りが鼻をぬけていく。
スープだけを飲み込んだおれは、さっさと支度すると学校へ向かった。
先週までは紅く染まった葉っぱが綺麗だったような気がしていたのだが、もう、服が売り切れた衣類店のようにさみしかった。
あー寒い。
少しぎりぎりに校門をすぎたおれは、駆け足で下駄箱へむかう。もうこの時間になると、ほとんどの人が教室へ駆け込んでいく。
チャイムがなり終わる寸前に教室にたどり着いたおれは、自分のせきに着こうとした。
あれ、席替えした?かな。
それにしてはほぼ全員が変わっていないようだ。
いや、ちがう。席替えではない。足りないのだ。
おれの席の前はチョークのラインが粉に変わる真っ黒な黒板に変わっていた。
席が他に空いていなかったので、その席はおれの席で間違いないだろう。ちょうど出席の点呼も始まったので、とりあえず席についた。
「木村。小室。佐伯。、、」
あれ?
木村。小室。佐伯。
やはり、思った通りそいつがいなかった。
席もない。名前もない。
ホームルームが終わり、授業が始まるまでの少しの間、いつのまにかずれて変わっていたとなりの子に話しかけた。聞きたいことは一つ。
「今日、桜木は休みか?」
ハテナを顔に浮かべて首をかしげて、こちらをぽかんと見つめている。
「だから、桜木。桜木ヒロだよ。いつも筋トレしてる天才ばか。」
「天才ばか?何言ってんの。どっちだよ。」
笑いながらそのクラスメイトは言っている。
「いやいや、そこじゃなくて、桜木ヒロは?休みなのか?」
「誰それ。」
穴が埋まる。
長年付き合っていた恋人にふられた時のような穴ではなく、ただ単に忘れていた。
え、待て。いやいやいや、待て。
今はそんなことを気にしている場合じゃない。
「おい、何言ってんだ。ほ、ほら、模試とかいつも一番の超真面目やろうじゃんか。」
「何、嫌味?一番はいつも佐伯くんじゃん。」
瞼なら1年分ほどつむった。
頬は腫れるほどまでつねった。
それでも、そいつはいなかった。
というより、消えた。
だが、おれは知っている。
桜木ヒロ。成績優秀、運動音痴、筋トレ大好き。
どう考えたって忘れることなんかできない。
でも、どうやらおれいがいは気づいていないというより、そもそも知らないようだ。
1限目は体育だった。
一人少ないので、より多く動かなければならなかったおれは、2限目から昼休みまで眠っていた。
オリオン座。。
「何??待って!どこ行くんだ!待ってくれ!」
「オリオン座の真ん中の星は3つだよ。」
昼休みのベルが鳴った音で目を覚ましたおれは、学校で見た不思議な夢のことを考えながらお弁当を食べていた。
食べ終わってから、電子辞書をひろげる。
~オリオン座~
なんちゃらこーちゃら、、、
画像が出てきた。
どう見ても真ん中の星は2つである。
今日はどうにも集中できそうになかったので、学校を終えるとそのまま家に帰ることにした。
久しぶりに路地裏を抜けて帰ろう。
星が良く見える。
1,2,、、
やっぱりね。
家について、ベッドにはいった。
別にあいつがいない所で困ることはないな。
どこがでそう思っていたのかもしれない。
その日は久しぶりにぐっすり眠れた。
そう、夢は見なかった。
急に冬将軍が勢いよく駆け込んで来たようだ。朝からさむくてベッドからでられない。
ガチャ。
母が起こしに来たようだ。かけられている布団を揺すられるが、今日、ベッドから出たくないのは寒さだけが理由ではないようだ。
胸の真ん中あたり。何かが足りないような気持ち悪さが残っている。
遅刻だけはしたくないので、仕方なく起きたおれは足元を駆け抜けていく冬将軍にいら立ちをおぼえながら階段を降りていく。
コーンスープの優しい香りが鼻をぬけていく。
スープだけを飲み込んだおれは、さっさと支度すると学校へ向かった。
先週までは紅く染まった葉っぱが綺麗だったような気がしていたのだが、もう、服が売り切れた衣類店のようにさみしかった。
あー寒い。
少しぎりぎりに校門をすぎたおれは、駆け足で下駄箱へむかう。もうこの時間になると、ほとんどの人が教室へ駆け込んでいく。
チャイムがなり終わる寸前に教室にたどり着いたおれは、自分のせきに着こうとした。
あれ、席替えした?かな。
それにしてはほぼ全員が変わっていないようだ。
いや、ちがう。席替えではない。足りないのだ。
おれの席の前はチョークのラインが粉に変わる真っ黒な黒板に変わっていた。
席が他に空いていなかったので、その席はおれの席で間違いないだろう。ちょうど出席の点呼も始まったので、とりあえず席についた。
「木村。小室。佐伯。、、」
あれ?
木村。小室。佐伯。
やはり、思った通りそいつがいなかった。
席もない。名前もない。
ホームルームが終わり、授業が始まるまでの少しの間、いつのまにかずれて変わっていたとなりの子に話しかけた。聞きたいことは一つ。
「今日、桜木は休みか?」
ハテナを顔に浮かべて首をかしげて、こちらをぽかんと見つめている。
「だから、桜木。桜木ヒロだよ。いつも筋トレしてる天才ばか。」
「天才ばか?何言ってんの。どっちだよ。」
笑いながらそのクラスメイトは言っている。
「いやいや、そこじゃなくて、桜木ヒロは?休みなのか?」
「誰それ。」
穴が埋まる。
長年付き合っていた恋人にふられた時のような穴ではなく、ただ単に忘れていた。
え、待て。いやいやいや、待て。
今はそんなことを気にしている場合じゃない。
「おい、何言ってんだ。ほ、ほら、模試とかいつも一番の超真面目やろうじゃんか。」
「何、嫌味?一番はいつも佐伯くんじゃん。」
瞼なら1年分ほどつむった。
頬は腫れるほどまでつねった。
それでも、そいつはいなかった。
というより、消えた。
だが、おれは知っている。
桜木ヒロ。成績優秀、運動音痴、筋トレ大好き。
どう考えたって忘れることなんかできない。
でも、どうやらおれいがいは気づいていないというより、そもそも知らないようだ。
1限目は体育だった。
一人少ないので、より多く動かなければならなかったおれは、2限目から昼休みまで眠っていた。
オリオン座。。
「何??待って!どこ行くんだ!待ってくれ!」
「オリオン座の真ん中の星は3つだよ。」
昼休みのベルが鳴った音で目を覚ましたおれは、学校で見た不思議な夢のことを考えながらお弁当を食べていた。
食べ終わってから、電子辞書をひろげる。
~オリオン座~
なんちゃらこーちゃら、、、
画像が出てきた。
どう見ても真ん中の星は2つである。
今日はどうにも集中できそうになかったので、学校を終えるとそのまま家に帰ることにした。
久しぶりに路地裏を抜けて帰ろう。
星が良く見える。
1,2,、、
やっぱりね。
家について、ベッドにはいった。
別にあいつがいない所で困ることはないな。
どこがでそう思っていたのかもしれない。
その日は久しぶりにぐっすり眠れた。
そう、夢は見なかった。
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