恋愛マイスターとMs.Aの誘惑

月駆 ニヤリ

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作戦その1「Ms.Aの張り込み」

恋愛マイスターと必殺技

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“くっ、使うしかないのか...。”

これまで恋愛マイスターとして生きてきた中で身につけた技を東野は「マイスター108の秘技」と名ずけて使ってきた。
という設定になっているが、本当は108もない。
しかし、その数少ない技は本当に困った時にだけ使おうと決めていたのだが、まさに今その時が来てしまったのだ。

しかたがない。

“秘技、ゴットフィンガー”

ほんの少しひらいたロッカーのすき間からメモ用に持っていた消しゴムを指で弾き出す。
その高速回転をした消しゴムは普通に弾く消しゴムよりもはるかに威力を上げて教室の中を弾丸の如く飛んでいく。

カチッ。

大きな音を立てながら消しゴムが当たったのはこの部屋の蛍光灯のスイッチだ。
部屋の電気が突然消えると、人は必ず蛍光灯かその操作元のスイッチを見る。
その時間約1秒。

消しゴムが当たったその瞬間勢いよく飛び出しコートをひるがえしながら脱ぐ。
遠心力をうまく使って右手左手とコートから手を抜く。
あとは音をたてないようにロッカーを閉めるだけだ。

東野は脱ぎ終えたコートを腕にクルクルと巻いて素早くロッカーに身をねじ込む。

カチッ。

再び電気が付けられ、教室にはコートを脱ぐ前の雰囲気が戻っている。
教室の所々でどうして電気が消えたのかの話題があがったが、それも数分後にはなくなっていた。
あとは帰りに消しゴムを回収するだけ。
暑さを回避し冷静さを取り戻した東野は消しゴムの行方をロッカーのほんのすき間から探していた。

しかし、コートの次に東野の冷静さを奪ったのは東野の消しゴムだった。

先程うち放った消しゴムは見事にスイッチを押したあと勢いを失いながらも教室の真ん中当たりまで跳ね返り、誰かの机の上に不時着している。

それだけならまだいいが、東野は常に消しゴムのカバーの中に名前を書く派なのだ。
誰のものかと気になった誰かが中身を取り出してしまってはもうおしまいである。

再び別の意味での汗を流すこととなった東野が慌てている中、休み時間終了のチャイムがなった。廊下にいた生徒達ががやがやとした休み時間の空気をそのまま教室に持ち帰ってくる。
そんな生徒の中で、消しゴム不時着場に帰ってきたのは...

Ms.Aだった。


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