真珠の涙は艶麗に煌めく

枳 雨那

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秘めた劣情

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「真珠、眠れないの?」
「えっ……きゃっ! ご、ごめんなさいっ!」

 真珠は自分の格好に気付き、もたもたと浴衣を直そうとした。しかし、もとから着崩れていたせいで、なかなか思うように隠れない。ようやく肌を隠し終えたが、見られたことよりも気掛かりで仕方なかったのは、自慰の声を聞かれていたのではないかということだった。

 瑪瑙が部屋に入ってくる。真珠が目を瞑って恥ずかしさに震えていると、瑪瑙は真珠の頭をそっと撫でた。

「やっぱり、媚薬を盛られたね?」
「き、気付いて……」
「うん、黙っていてごめんね。話題にされたくないかと思って」

 真珠の予測通り、瑪瑙は気付いていたが敢えて触れていなかった。真珠が自慰で感じていた声も、聞いてしまったのだろう。

 彼は目を伏せ、迷い、困惑している。眉間に深く刻まれた皺が、その証拠だった。

「私は……玻璃と瑠璃に、顔向けできないことを……考えてしまった」
「え?」
「真珠を襲うことはないと宣言したけれど、今はとてつもなく抱きたい。こんなに乱れて可愛い姿を見せられたら……」
「瑪瑙さん……」
「真珠が嫌なら、私は自戒する。一切触れない。でも、もし嫌じゃないのなら、熱を逃すのを私に手伝わせてくれないか?」

 思ってもみなかった申し出に、真珠は硬直した。実直で決断力もある瑪瑙が、いつもの穏やかさを捨てて、貪欲な獣になろうとしている。

 驚きこそしたものの、瑪瑙に触れられて嫌な思いはない。真珠は、徐に瑪瑙へ手を伸ばして頷いた。

「た、助けてください……すごく、疼いて……苦しいんです」
「ああ。そういうおねだりも、君は本当に上手だな」

 洋灯の火が消え、部屋が暗闇に包まれた。頼りになるのは月の光だけだ。瑪瑙は眼鏡を外し、それを机の上に置くと、真珠の隣に寝転がった。

「真珠はそっちを向いて。身体動かせる?」
「は、はい」

 その言葉に従い、真珠は背中を瑪瑙に向ける形で横になった。すると、瑪瑙は真珠の背中にぴったりと寄り添って、抱きしめてくる。真珠の背中に、激しく脈打つ瑪瑙の鼓動が伝わった。

「この体勢は?」
「覆い被さられるのは、今日のを思い出すかなって」
「そんな……瑪瑙さん、優しすぎます」

 真珠は感謝を伝えるように瑪瑙の着物の袖を握った。彼は力強く抱きしめてくれる。真珠は自分からその身を任せた。

「浴衣、脱がしていいかな?」
「ど、どうぞ……」
「頑張って着たんだろうけど、ごめんね」

 着ているとは言い難いほどに真珠の浴衣は崩れてしまっているが、瑪瑙はゆっくりと帯を解き、肩から襟を落として、裸にさせた。肌が空気に触れるだけでも、じわりと蜜が溢れてくる。それほど重症になっていた。

「触るよ」
「……は、はいっ」

 予告されると構えてしまうが、真珠は期待して待った。瑪瑙は再び真珠を抱きしめると、腰にあった手を滑らせ、双丘を包み込んだ。優しく、感触を確かめながら揉む動きは、真珠が自分で触った時と比べ物にならないほど、気持ちいい。

「あっ、あっ……」
「肌が手に吸い付いてくる。真珠の肌はきめ細やかで、白くて、綺麗だね」
「んっ、褒めすぎですっ」
「真珠はもっと自信を持って。巫女としても、女性としても。充分に魅力的なんだよ」

 自分は、地味で弱気で、人生の目標もないだめな人間だと、常々思っていた。けれど、この世界に来て、どうにか目標を持てて、頑張ったことが少しでも報われたらと考えられるようになっている。それは全て、真珠を温かく迎えてくれた人たちのお陰だった。

「ありがとう、ございます……。でもっ、こういう時に言われても……」
「はは。そうだね。また今度、言うことにしよう」

 照れる真珠に対し、瑪瑙は笑って愛撫を続けた。胸の先端に少しずつ触れ、真珠の反応を見ながら力を強くしていく。二カ所同時に摘ままれた時、真珠は背中を仰け反らせて喘いだ。

「あぁぁっ!」
「すごい……胸だけでこんなに感じるのか」

 瑪瑙の手が太腿に伸びて、脚の間に滑り込んでいった。だが、真珠が反射的に脚を閉じてしまうせいで、うまく秘所に触れないようだ。

 彼は、自身の膝を立て、そこに真珠の片脚を引っかけて大きく開かせた。

「あっ、やっ!」
「嫌かい? やめておこうか?」
「あ、だ、大丈夫です……」

 これが玻璃だったら抵抗するんだろうな、と真珠は頭の片隅で思った。顔を手で覆って恥ずかしさに耐え、瑪瑙が秘裂をなぞるのを、喉を鳴らして受け止めた。

「あっ、ああっ」
「すごい蜜の量だ……いつも、こんなに濡れる?」
「わ、分かんないですっ」
「そうか。媚薬のせいなのかもね」

 指を動かされる度に、くちゅくちゅと大きな水音が響いていた。瑪瑙は指に蜜を塗り付け、入口をいじる。解しているのだろうが、真珠は早く奥を擦ってほしくてたまらなかった。腰を動かして、瑪瑙を催促する。

「真珠?」
「やっ、あのっ……もっと奥にっ……くださいっ」
「ああ……焦らすつもりじゃなかった。ごめんね」

 瑪瑙は真珠のこめかみにキスを落とし、指を奥へと進めていく。先程真珠の指では届かなかったところにも指が当たり、真珠は歓喜に身体を震わせた。

「ああっ……そこっ!」
「ここ? ここがいいの?」
「はいっ」

 瑪瑙が指を二本に増やし、もう一度ゆっくりと奥を探る。真珠が反応したところを、抜き挿ししながら重点的に指で擦った。じゅぷじゅぷと蜜が溢れ、真珠の臀部を伝って、布団を濡らしていく。

「あっ、あっ……瑪瑙、さんっ」
「ん? 気持ちいい?」
「はいっ……気持ちいっ」

 瑪瑙は、真珠の限界が近いことを知って、膨らんだ芽を親指で探り、ぐりぐりと押し潰した。少し痛いくらいだが、真珠にはちょうどいい。毛穴や髪の毛一本の細部に至るまで、真珠は全身で快感を受け止めていた。

「あっ、きちゃうっ……きちゃうっ!」
「いいよ。達してごらん?」
「や、ああぁぁっ!」

 いつもより大きな声を上げて、真珠は達した。つま先までぴくぴくと痙攣させ、瑪瑙の指をきゅうっと締めつける。瑪瑙がそれを引き抜くと、蜜が糸を引いていくのが見えた。

「ここまでにしておこうか」
「……えっ」
「今のでだいぶ楽になったんじゃない?」

 意外な言葉に、真珠は首を動かして、後ろの瑪瑙を見つめた。彼の母親が『翡翠』と名付けるほどに、綺麗な緑色をした瞳が、欲情で揺れている。

 真珠は、思い切って瑪瑙の下腹部に手を伸ばし、着物の上から、硬く盛り上がっているそこを撫でた。自分からしたのは初めてだ。

「な、真珠っ?」
「お願いします。これ、ください……」

 はしたないと分かっているが、今のだけでは正直物足りず、熱もおさまらない。自然と、ねだってしまった。

「全く、君って子は……玻璃たちが懲りないのも、分かる気がするよ」
「……だめ、ですか?」
「分かった。取ってくるものがあるから、待ってて」

 瑪瑙は立ち上がり、廊下の方へと消えていった。時間を置かれて、真珠は自分の言ったことの重大さにようやく気付き、顔を真っ赤にする。

 ごとん、と何か物が倒れるような音が聞こえた後、瑪瑙は足早に戻ってきた。

「今、音が……」
「眼鏡をここに忘れてね。よく見えなくて鉢植えを蹴飛ばしてしまった。私もいい歳して、焦っているみたいだ」

 真珠が気になって質問すると、瑪瑙は自嘲するように笑い声を漏らした。いつも余裕のある彼がそんな風に乱れることに、少しの愛しさを感じながら、真珠は瑪瑙に手を伸ばす。

「今度は、前からが、いいです……」
「でも……」
「怖くないです。むしろ、安心したいから」
「……分かった。君が言うなら」

 瑪瑙も着物を緩め、持ってきた包みを破って避妊具を着けると、真珠の両脚を抱え込んだ。ぐずぐずに濡れそぼった蜜口に、その先端が埋められた。

「あっ、あぁぁっ……!」
「はぁっ……挿れただけで、そんなに感じるのかい?」

 待ち望んでいた刺激に、真珠の中は喜ぶように瑪瑙のものへと絡んでいく。奥までゆっくりと挿れられ、それだけで真珠は軽く痙攣した。

「あっ、瑪瑙さんのっ……熱いっ」
「うん。私も君の熱にあてられたみたいだ。他に、触ってほしいところはない?」

 自身を埋めながら、瑪瑙は上半身を屈めて真珠に口づけを落とした。何度か互いの唇をすり合わせ、舌を舐め合ってから、真珠は瑪瑙の手を掴んで、胸に誘導した。
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