寵愛の檻

枳 雨那

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調教開始

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「千里、僕たちのことをどう思ったかな」

 私の手を引くおーちゃんは、楽しそうに頬を緩めている。私はそんな気分にはなれなくて、あらぬ方向に勘違いされたかもしれないと気が気ではなかった。でもとにかく、おーちゃんの機嫌が悪くならなかったことは救いだ。
この時までは。

 アパートの部屋に着く。ここまでがあまりにも長く感じた。鍵を開けて中に入ると、もちろんおーちゃんもついてくる。

「えっと、まず着替えてきていい?」
「胡蝶、ちょっと待って」

 肩を掴まれ、後ろを振り向かされる。すぐにおーちゃんの顔が近づいてきて、唇が重なった。

「んっ……」

 目を瞑ると、優しく壁に押し付けられる。おーちゃんの手が、私の脚へと下りていった。

「一応、確認しておかないとね」
「な、何を?」

 私の問いには答えず、おーちゃんはスカートの中に手を入れていく。何を確認しようとしているのか分かって、その手を防ごうとするけれど、間に合わなかった。

「ん、やっ……」

 おーちゃんの手は、太腿ふとももの付け根を撫でた後、秘所に触れてきた。くちゅっと音がして、おーちゃんの動きが止まる。

「どうして、濡れてるの?」
「……」

 目を閉じて、顔を背けた。理由なんて、聞かれても答えられない。

「千里に会ったから?」
「ち、違う!」
「じゃあ、なんで? 僕は何もしてなかったのに」

 どんどん低くなっていく声に、恐怖心が戻ってくる。おーちゃんの言う通りだ。もし私を触るのが千ちゃんだったらって想像して、身体が熱くなった。下着をつけていなかったから、余計にそうなってしまったんだ。

「大学は休む」
「えっ。でもさっき、行くって」
「気が変わった。胡蝶に、僕を刻みつける方が優先だ」
「そんなっ……やっ! あっ、急にっ」

 今朝と同じように、おーちゃんは指で秘芽と中を愛撫し始めた。服を掴んで首を横に振るけれど、許してはくれない。

 さっきの想像をもう一度した。もし、これが千ちゃんだったなら。私は、喜んで受け入れるのだろうか。思い浮かべたら、快感が増した。

「あんっ……はっ……」
「胡蝶は、今誰の指で感じてるの? 言って?」

 おーちゃんには、私の考えが分かるのだろうか。手の動きに合わせて、私の腰もびくびくと動いてしまう。涙目になりながら彼を見ると、辛そうな顔をしていた。

「おーちゃんの……あっ」
「そうだよね。今は僕のことだけ考えてよ」
「ひゃぁ、んっ!」

 ぐちゅっと奥まで突いた後、おーちゃんは指を引き抜いた。もう少しで達してしまいそうだったのに。息も絶え絶えに、おーちゃんの腕に掴まる。

「こっち」

 腕を引かれ、連れて行かれたのは洗面所だ。鏡と洗面台の前に立たされた。

「おーちゃん……?」
「自分でスカートめくって」
「……」

 後ろから耳元でそう囁かれ、おずおずとそれに従った。ショーツのない、裸の状態のお尻がおーちゃんの前にさらされる。それだけで、背中が震えた。自分から恥ずかしい部分を見せることで、感じてしまっている。

「胡蝶は、鏡を見てて」
「ど、どうして?」
「自分がどういう顔で感じて、あえいでいるのか、知りたくない?」

 鏡越しのおーちゃんは、少し意地悪な顔をした。また優位に立てたことで、余裕が出てきたのかもしれない。私は顔から火が出そうなほど真っ赤になった。

「そんなのっ……! あぁっ」
「あんまり大きい声出すと、外に聞こえるよ?」
「っ……」

 洗面所の小窓を開けたままだった。いつも換気のために開けているのだ。口を閉じて、下唇をぎゅっと噛んだ。おーちゃんがくすくすと笑いながら、愛撫を再開する。
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