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第1章 変わった少年
ギルドからの依頼
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「シュライカさん!!」
「え?」
突然名前を呼ばれて、ふと振り返る。
私の名前を知っている人がこの街にいるなんて、珍しい。
ここは初めて来た場所なのに。
賑わいを見せる花の街【ヴェーブル】。
馬車が多く、着飾る貴族達が当たり前のように街を日傘を差して出歩いている。
この辺はだいぶ警備が整っているということだろう。
また、ギルドの本部があることもその要因の1つだと思う。
だいたいこの辺で魔物が出れば、すぐにギルドから依頼が出て討伐が入る。
その魔物を見かけた人間が貴族の場合、1分1秒でも早く討伐して欲しいが為に大金を出す。
金が欲しい奴等はすぐに討伐に出る。
それがこの街を綺麗に保つ秘訣なのだろう。
私が受けた依頼も、その1つだ。
追って来た少女は先ほどギルド本部にいた子だった。
切りそろえた茶色のショートヘアーで貴族のメイドと同じ服装をしている。
少し息を切らして、手に何かを持っているのが見えた。
何か、忘れたのだろうか?
「先ほどお願いした討伐の件ですが、気になることがありまして……」
「気になること?」
「討伐対象はゴブリン。
これはパワー系の大型であることが分かっていますが、この依頼、何度もギルドの人間は失敗して帰って来てます」
「え?」
ゴブリンは主にどこにでも生息している魔物だ。
大きさも種類も様々で、パワー系や魔法系、スピード系などに分けられることが多い。
大型と言っても、何度も倒した相手だし、問題は無い下級の魔物だが……。
「それは、どのような理由で?」
「それが、ほとんど覚えていないそうなんですよ。
皆、ここでギルドの申請をした記憶はあるのですが、帰って来て報酬を貰うときに、思い出したように『討伐するの忘れた』と……」
「忘れた……」
そんな話、この2年聞いたこともない。
記憶を抜き取る魔物など、いるのだろうか?
いや、そもそもゴブリンはゴブリン同士で群れを成すことはあっても、その他の魔物と共存することは無いはず。
ましてや大型で討伐を依頼されるようなゴブリンは群れのボスか、単体で行動するタイプのどちらか。
まだ誰も見ていない……いや、見ても忘れてしまうような魔物が、そこに潜んでいる可能性がある、のか?
いずれにせよ、対策は練らないと、か……。
「……ありがとう。
でも、どうして私にその情報を?」
「いえ、ギルドの主人様が、彼女に伝えてくれと」
「主人様……?」
それはここで言う貴族のことか。
依頼主のことを主人と呼ぶこともあるからな。
さすがに何度も討伐に失敗されていては、依頼の意味が無い。
「あと、これを持って行って欲しいとのことでした」
「これは……?」
渡されたのは、小さな袋。
中を開けると銀の指輪が出て来た。
「魔除けの効果があるとか。
貰い物だが、武具として役に立つはずだから試して欲しいと言われました」
「そうか。
分かった。
戻って来たら主人様にお礼を言おう。
必ず討伐して戻ってきてみせよう」
少女はニッコリ笑った。
「頼もしい限りです!行ってらっしゃいませ!」
そう手を振られ、私は街の外を出て、先の村を目指し、旅立った。
この時の私は特に疑問を抱くことなく、ただ自分の使命を果たすことだけを考えていた。
「え?」
突然名前を呼ばれて、ふと振り返る。
私の名前を知っている人がこの街にいるなんて、珍しい。
ここは初めて来た場所なのに。
賑わいを見せる花の街【ヴェーブル】。
馬車が多く、着飾る貴族達が当たり前のように街を日傘を差して出歩いている。
この辺はだいぶ警備が整っているということだろう。
また、ギルドの本部があることもその要因の1つだと思う。
だいたいこの辺で魔物が出れば、すぐにギルドから依頼が出て討伐が入る。
その魔物を見かけた人間が貴族の場合、1分1秒でも早く討伐して欲しいが為に大金を出す。
金が欲しい奴等はすぐに討伐に出る。
それがこの街を綺麗に保つ秘訣なのだろう。
私が受けた依頼も、その1つだ。
追って来た少女は先ほどギルド本部にいた子だった。
切りそろえた茶色のショートヘアーで貴族のメイドと同じ服装をしている。
少し息を切らして、手に何かを持っているのが見えた。
何か、忘れたのだろうか?
「先ほどお願いした討伐の件ですが、気になることがありまして……」
「気になること?」
「討伐対象はゴブリン。
これはパワー系の大型であることが分かっていますが、この依頼、何度もギルドの人間は失敗して帰って来てます」
「え?」
ゴブリンは主にどこにでも生息している魔物だ。
大きさも種類も様々で、パワー系や魔法系、スピード系などに分けられることが多い。
大型と言っても、何度も倒した相手だし、問題は無い下級の魔物だが……。
「それは、どのような理由で?」
「それが、ほとんど覚えていないそうなんですよ。
皆、ここでギルドの申請をした記憶はあるのですが、帰って来て報酬を貰うときに、思い出したように『討伐するの忘れた』と……」
「忘れた……」
そんな話、この2年聞いたこともない。
記憶を抜き取る魔物など、いるのだろうか?
いや、そもそもゴブリンはゴブリン同士で群れを成すことはあっても、その他の魔物と共存することは無いはず。
ましてや大型で討伐を依頼されるようなゴブリンは群れのボスか、単体で行動するタイプのどちらか。
まだ誰も見ていない……いや、見ても忘れてしまうような魔物が、そこに潜んでいる可能性がある、のか?
いずれにせよ、対策は練らないと、か……。
「……ありがとう。
でも、どうして私にその情報を?」
「いえ、ギルドの主人様が、彼女に伝えてくれと」
「主人様……?」
それはここで言う貴族のことか。
依頼主のことを主人と呼ぶこともあるからな。
さすがに何度も討伐に失敗されていては、依頼の意味が無い。
「あと、これを持って行って欲しいとのことでした」
「これは……?」
渡されたのは、小さな袋。
中を開けると銀の指輪が出て来た。
「魔除けの効果があるとか。
貰い物だが、武具として役に立つはずだから試して欲しいと言われました」
「そうか。
分かった。
戻って来たら主人様にお礼を言おう。
必ず討伐して戻ってきてみせよう」
少女はニッコリ笑った。
「頼もしい限りです!行ってらっしゃいませ!」
そう手を振られ、私は街の外を出て、先の村を目指し、旅立った。
この時の私は特に疑問を抱くことなく、ただ自分の使命を果たすことだけを考えていた。
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