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第1章 変わった少年
魔剣士の実力
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街を出て針葉樹で覆われた一本道を進むと、人気が無くなったところで何かの視線を感じた。
木々の隙間から時折赤い光が見える。
もちろん、これはただの動物のものではない。
光は私を追うかのように、木陰で消えてはまた同じ距離に現れる。
出たな、魔物……。
私の心は至って平穏で、むしろ闘志が燃え始めていた。
これまで何度も魔物を倒してきた。
この魔剣・ギリアンを使って。
ギリアンは我がディート家に代々伝わる魔剣だと言う。
刀身は幅が広く、両刃であり、青い光りを帯びている。
青は正義の印だと、聞いたことがある。
それは持ち主の心のブレによって変化し、悪しき者が持つと赤に変わるという。
己の心を見るという意味では、うってつけの剣だ。
私の前は父が愛用していた。
その父が魔物に殺されたのは、8年前……。
私はその後剣の腕を磨き、ギリアンを使いこなす術を自力で習得して、ようやく2年前にギルドへ加入したのだ。
そうして今や1人でギルドの依頼を受けるまでになり、旅を続けている。
目的はもちろん、魔王を倒し、悪しき魔物達を殲滅すること。
二度と私のように悲しむ人を生み出さない為に、より数多くの魔物を倒して回っているのだ。
「3体か……」
ふぅ、とため息をつく。
小型のゴブリンだ。
大型の群れの一部か?
こちらの様子を伺っているだけのようだが、街を出てからさほど時間が経っていない。
人気が無くなっただけだというのに、もうすでに魔物が現れている。
それほど、侵攻しているということか……。
私は足を止め、腰の鞘に手を置き、剣を握った。
魔剣の一番の特徴は、魔物の牙や骨などから打たれたものが多く、魔力が備わっていること。
それは相性にもよるが、持ち主本人の魔力に応じて力を発揮できる。
自己流で編み出したこの剣技は、他のギルド仲間に聞いても見たことがないという。
つまりこれは私の持ち味で、奥義でもある。
基本は、集中すること。
ガサガサ……!
すぐ近くの茂みが音を立てた。
「はぁっ!」
キィン!!
刀が鳴いた。
頭の上で結んだ金髪の長い髪が、サラサラと揺れた。
「ギャギィッ!!」
飛び出してきた球体状のゴブリンの身体の胴体が真っ二つに裂けた。
魔物独特の緑の血が滲む。
ガンナーと同じ速さ。
剣圧が乗った私の抜刀は青い光りを放ちながら、三日月型に線を描いて一瞬にして切り裂いたのだ。
「はっ!」
キィン!!
「ギィッ!!」
今度はその隣の木に向かって横に薙ぐと、その裏に隠れていたゴブリンが落ちてそのまま動かなくなった。
斬られたはずの木は倒れることなく、なおもそこに位置している。
私が編み出した剣技は、何も壊さず、人を傷つけることは無い。
魔物だけに効果を発揮する剣圧なのだ。
名前は……恥ずかしいので付けない。
「あと1体……」
ふと、目を凝らすと、こちらを見ながら村の方に向かって逃げていくのが分かった。
何故あっちへ……
村に魔物が巣食っているのか?
「待て!」
「ギィッ!!」
声がして、剣圧が命中したのが分かった。
だが、どうやら掠っただけだ。
ゴブリンは木を伝うのをやめ、茂みの中を駆けていく。
森へ逃げるのか…!
ゴブリンは仲間を呼ぶことが多い。
このまま放っておけばあのゴブリンが仲間を連れてくる可能性もある。
こちらとしては一気に殲滅出来るのでありがたいが、街や村の方を襲おうとしたら厄介だ。
だから、出会った魔物は全て一掃しなければならない。
最悪の事態を想定するのは、当たり前のことだ。
それを防ぐのも、もちろんのこと。
傷を負った今なら、すぐに見つけ出せる。
逃すものか……!
私は森へ走り出した。
木々の隙間から時折赤い光が見える。
もちろん、これはただの動物のものではない。
光は私を追うかのように、木陰で消えてはまた同じ距離に現れる。
出たな、魔物……。
私の心は至って平穏で、むしろ闘志が燃え始めていた。
これまで何度も魔物を倒してきた。
この魔剣・ギリアンを使って。
ギリアンは我がディート家に代々伝わる魔剣だと言う。
刀身は幅が広く、両刃であり、青い光りを帯びている。
青は正義の印だと、聞いたことがある。
それは持ち主の心のブレによって変化し、悪しき者が持つと赤に変わるという。
己の心を見るという意味では、うってつけの剣だ。
私の前は父が愛用していた。
その父が魔物に殺されたのは、8年前……。
私はその後剣の腕を磨き、ギリアンを使いこなす術を自力で習得して、ようやく2年前にギルドへ加入したのだ。
そうして今や1人でギルドの依頼を受けるまでになり、旅を続けている。
目的はもちろん、魔王を倒し、悪しき魔物達を殲滅すること。
二度と私のように悲しむ人を生み出さない為に、より数多くの魔物を倒して回っているのだ。
「3体か……」
ふぅ、とため息をつく。
小型のゴブリンだ。
大型の群れの一部か?
こちらの様子を伺っているだけのようだが、街を出てからさほど時間が経っていない。
人気が無くなっただけだというのに、もうすでに魔物が現れている。
それほど、侵攻しているということか……。
私は足を止め、腰の鞘に手を置き、剣を握った。
魔剣の一番の特徴は、魔物の牙や骨などから打たれたものが多く、魔力が備わっていること。
それは相性にもよるが、持ち主本人の魔力に応じて力を発揮できる。
自己流で編み出したこの剣技は、他のギルド仲間に聞いても見たことがないという。
つまりこれは私の持ち味で、奥義でもある。
基本は、集中すること。
ガサガサ……!
すぐ近くの茂みが音を立てた。
「はぁっ!」
キィン!!
刀が鳴いた。
頭の上で結んだ金髪の長い髪が、サラサラと揺れた。
「ギャギィッ!!」
飛び出してきた球体状のゴブリンの身体の胴体が真っ二つに裂けた。
魔物独特の緑の血が滲む。
ガンナーと同じ速さ。
剣圧が乗った私の抜刀は青い光りを放ちながら、三日月型に線を描いて一瞬にして切り裂いたのだ。
「はっ!」
キィン!!
「ギィッ!!」
今度はその隣の木に向かって横に薙ぐと、その裏に隠れていたゴブリンが落ちてそのまま動かなくなった。
斬られたはずの木は倒れることなく、なおもそこに位置している。
私が編み出した剣技は、何も壊さず、人を傷つけることは無い。
魔物だけに効果を発揮する剣圧なのだ。
名前は……恥ずかしいので付けない。
「あと1体……」
ふと、目を凝らすと、こちらを見ながら村の方に向かって逃げていくのが分かった。
何故あっちへ……
村に魔物が巣食っているのか?
「待て!」
「ギィッ!!」
声がして、剣圧が命中したのが分かった。
だが、どうやら掠っただけだ。
ゴブリンは木を伝うのをやめ、茂みの中を駆けていく。
森へ逃げるのか…!
ゴブリンは仲間を呼ぶことが多い。
このまま放っておけばあのゴブリンが仲間を連れてくる可能性もある。
こちらとしては一気に殲滅出来るのでありがたいが、街や村の方を襲おうとしたら厄介だ。
だから、出会った魔物は全て一掃しなければならない。
最悪の事態を想定するのは、当たり前のことだ。
それを防ぐのも、もちろんのこと。
傷を負った今なら、すぐに見つけ出せる。
逃すものか……!
私は森へ走り出した。
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