魔物と話せる少年に出会った魔剣士少女は苦悩する。

天野 奏

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第1章 変わった少年

即死ダメージ

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少年は私よりも頭一個分くらい身長が高く、運ぶのは一苦労だった。
鍛えているとはいえ、ここまで脱力した大柄の相手を運んだことはない。
それに、森に武器も持たずに1人でいる平民を見たことがない。
動物を狩る狩人は多いが、森には動物だけではなく魔物が生息している。
狩る側が狩られることはよくあり、それを防ぐ為にも、森に入る時は複数人で安全を確保しながら移動するのが鉄則だ。
私達のようなハンターではないこの平民が、来ていい場所ではない。

こいつは、何をしていたのだ?

「はぁ、はぁ……」

足をズルズル引きずりながら、呼吸が乱れるのを感じる。
背中に伝わる心音が、弱まっているのが分かる。

早く解毒しないと、もうもたない……。
それは自分も同じだった。
いくら鍛えて魔剣の魔力で防御を張っていても、あのメブカ草の胞子は呼吸によって体内に侵入し、内側から臓器を壊していく。
この少年がいつからあの場にいたのかは分からないが、倒れて気を失っているのを見ればだいぶ毒を受けていると分かる。

森を抜けると小さな川があり、その橋を越えた先に村が見えた。
村の周りを囲む長い木を敷き詰めたような柵の入り口に、2人の門番が見えた。
私に気付いた1人が、門を離れてこちらにやってくる。
銀の鎧を着て、ガチャガチャと音を立てながら。

「どうなされましたか!?っ!リヴ!?」

どうやら門番とは顔見知りのようで、紳士的に声をかけてきたと思えば背中の少年を見て大声を上げた。

「森の中で倒れていた。
メブカ草の毒にやられている。
早急に手当てをせねば死ぬぞ!」

額から汗が垂れた。
思わず口調がキツくなる。

「わ、分かりました!!」

門番は目を丸くして、慌てて私から少年を受け取って肩に担ぎ、もう1人の門番に何かを叫んだ。

何かは、聞き取れない。

気付けば、視界が回転し、身体が地面に倒れていた。
メブカ草の毒が回ったんだ。
始めに神経を麻痺させ、そこまで進行すると後は一瞬だ。
気を失うのはその過程であり、その後は10分ともたない。
心臓が止まれば、終わりだ。

「はっ、はっ……」

門の中に入っていく門番が見える。
1人がこちらに気付き、内側に声をかけているのが分かった。

あの少年は、間に合うだろうか……?

瞬きしているうちに、瞼が上がらなくなって、そのまま気を失った。

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