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第1章 変わった少年
救ったのはどっち
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「……はっ!」
目を覚ますと、木の匂いがした。
木造の建物だ。
視線を移すと、近くの椅子に私の兵服が掛けられている。
誰かが私の介抱を、解毒処置を行ってくれたようだ。
助かった……?
窓の外が薄暗い。
もう日が落ちてしまったのか……。
いや、そもそも一日ではないのか?
どれくらい眠っていたんだ?
手のひらに違和感を感じて、またハッとする。
何か、温かいものが触れている。
「っ……!?」
身体を起こすと、ベッドに突っ伏すように眠る、さっきの少年がいた。
彼の片手が私の指を握っているのだ。
何故、彼がここに……彼は毒が回って死にかけてる病人だったハズだ。
いや、それすらも完全復帰するほど眠ってしまったのか?
この少年が私を看病していたのだろうか?
雲が移動したようで、月の光が窓から差し込み、少年の顔を照らす。
あの時青いと思った少年の髪は、漆黒に見えた。
そして、横顔に光が入ると、白い肌が浮き上がるように輝く。
なんと綺麗なのか。
朝はバタバタしてそれどころじゃなかったが、肌だけじゃなく、顔のパーツも整っていた。
そして……こんなに警戒心の無い人の寝顔を見るのは、いつぶりだろうか?
ここ最近、ずっと1人で旅をしていた。
気を失うほどの毒に侵されたことは今回が初めてだし、森や道中で野宿する時も常に神経を研ぎ澄ませていた。
一緒にパーティを組んでの討伐でも、大抵相手は男だし、身を守る準備は整えていた方だ。
それが、今は気を許せてしまっている。
相手が平民だからか。
少し、安心していた。
「ん……」
月明かりが眩しかったのか、指を曲げるように、ピクッと反応して、少年は目を覚ました。
「起きたか。
無事で良かった。
あんなところで何を……っ!?」
スッとこちらに視線が流れて来たと思えば、触れていた指にグッと力が入って、手を取られて枕元に押さえつけられた。
しまっ……!?
「目が覚めたんだ。
じゃ、身体検査」
「は?……っ!!」
急に服に手を掛けられて、襟なしシャツのボタンを器用に外される。
こいつ、手慣れてる!
強姦の常習犯だったか!
「やめろ!…!?」
シュッ……!
空いてる手で少年の手首を握ると、握った後にも関わらずクルッと返されて、逆に風を切るように手首を掴まれ、またも枕元に押さえつけられた。
なんて巧みで…隙があるようで動じていない。
「動かないで。
確認したいことがあるから」
「確認だと……っ!?」
両手を頭の上に片手で押さえつけられる。
大柄な彼の体重が乗せられているのか、ビクともしない。
その間に、彼の手はスルスルと流れるようにボタンを外していく。
「離せ!貴様!
強姦犯だったとは…無礼な!!」
「強姦?
俺はあんたを助けたんだ。
むしろ、ここは俺の場所。
ルールには従って貰いたいね」
「なっ……!?」
助けた……?
それは私が気を失ってる間のことを言ってるのか!?
ここがどこかなど、ここのルールなど、強姦を正当化する言葉に当てはまるわけがない!
それはどの街や村であっても取り締まられている重罪だ!
何故、こんなことをこの少年は堂々とやろうとしている!?
「やめろっ!離せ……っ!」
ボタンを全部外したところで、突然両手が離されたと思えば、バッとシャツが開かれる。
自由になった両手は一瞬のうちに彼の両手で押さえつけられ、真正面に少年の顔が目の前に現れた。
身体をジッと見つめる瞳に、思わず息を飲んだ。
ドクン……!
上半身を覆う布が胸当てだけにされて、無防備で、屈辱的で……己の油断に、腹が立つ。
一瞬でも、彼に見惚れてしまった。
異様な雰囲気に、少し安心してしまった。
常にこうしたことに関しては警戒を怠らなかったハズだ。
今まで一度も、こんなに男に触れられたことはない。
魔剣士として、騎士として、自分の身は自分で守ってきた。
それが……こんなことで。
なんと未熟で、無様な失態だ。
クソ……!
少年の顔が、ゆっくり近づいて来る。
歯を食いしばって、首筋に埋まる彼を堪えた。
……が。
全く動きが無い。
むしろ、何か、嗅がれている……?
顔を上げた少年は、悪びれもなく目を細めた。
「あんた、臭う」
「は!?」
目を覚ますと、木の匂いがした。
木造の建物だ。
視線を移すと、近くの椅子に私の兵服が掛けられている。
誰かが私の介抱を、解毒処置を行ってくれたようだ。
助かった……?
窓の外が薄暗い。
もう日が落ちてしまったのか……。
いや、そもそも一日ではないのか?
どれくらい眠っていたんだ?
手のひらに違和感を感じて、またハッとする。
何か、温かいものが触れている。
「っ……!?」
身体を起こすと、ベッドに突っ伏すように眠る、さっきの少年がいた。
彼の片手が私の指を握っているのだ。
何故、彼がここに……彼は毒が回って死にかけてる病人だったハズだ。
いや、それすらも完全復帰するほど眠ってしまったのか?
この少年が私を看病していたのだろうか?
雲が移動したようで、月の光が窓から差し込み、少年の顔を照らす。
あの時青いと思った少年の髪は、漆黒に見えた。
そして、横顔に光が入ると、白い肌が浮き上がるように輝く。
なんと綺麗なのか。
朝はバタバタしてそれどころじゃなかったが、肌だけじゃなく、顔のパーツも整っていた。
そして……こんなに警戒心の無い人の寝顔を見るのは、いつぶりだろうか?
ここ最近、ずっと1人で旅をしていた。
気を失うほどの毒に侵されたことは今回が初めてだし、森や道中で野宿する時も常に神経を研ぎ澄ませていた。
一緒にパーティを組んでの討伐でも、大抵相手は男だし、身を守る準備は整えていた方だ。
それが、今は気を許せてしまっている。
相手が平民だからか。
少し、安心していた。
「ん……」
月明かりが眩しかったのか、指を曲げるように、ピクッと反応して、少年は目を覚ました。
「起きたか。
無事で良かった。
あんなところで何を……っ!?」
スッとこちらに視線が流れて来たと思えば、触れていた指にグッと力が入って、手を取られて枕元に押さえつけられた。
しまっ……!?
「目が覚めたんだ。
じゃ、身体検査」
「は?……っ!!」
急に服に手を掛けられて、襟なしシャツのボタンを器用に外される。
こいつ、手慣れてる!
強姦の常習犯だったか!
「やめろ!…!?」
シュッ……!
空いてる手で少年の手首を握ると、握った後にも関わらずクルッと返されて、逆に風を切るように手首を掴まれ、またも枕元に押さえつけられた。
なんて巧みで…隙があるようで動じていない。
「動かないで。
確認したいことがあるから」
「確認だと……っ!?」
両手を頭の上に片手で押さえつけられる。
大柄な彼の体重が乗せられているのか、ビクともしない。
その間に、彼の手はスルスルと流れるようにボタンを外していく。
「離せ!貴様!
強姦犯だったとは…無礼な!!」
「強姦?
俺はあんたを助けたんだ。
むしろ、ここは俺の場所。
ルールには従って貰いたいね」
「なっ……!?」
助けた……?
それは私が気を失ってる間のことを言ってるのか!?
ここがどこかなど、ここのルールなど、強姦を正当化する言葉に当てはまるわけがない!
それはどの街や村であっても取り締まられている重罪だ!
何故、こんなことをこの少年は堂々とやろうとしている!?
「やめろっ!離せ……っ!」
ボタンを全部外したところで、突然両手が離されたと思えば、バッとシャツが開かれる。
自由になった両手は一瞬のうちに彼の両手で押さえつけられ、真正面に少年の顔が目の前に現れた。
身体をジッと見つめる瞳に、思わず息を飲んだ。
ドクン……!
上半身を覆う布が胸当てだけにされて、無防備で、屈辱的で……己の油断に、腹が立つ。
一瞬でも、彼に見惚れてしまった。
異様な雰囲気に、少し安心してしまった。
常にこうしたことに関しては警戒を怠らなかったハズだ。
今まで一度も、こんなに男に触れられたことはない。
魔剣士として、騎士として、自分の身は自分で守ってきた。
それが……こんなことで。
なんと未熟で、無様な失態だ。
クソ……!
少年の顔が、ゆっくり近づいて来る。
歯を食いしばって、首筋に埋まる彼を堪えた。
……が。
全く動きが無い。
むしろ、何か、嗅がれている……?
顔を上げた少年は、悪びれもなく目を細めた。
「あんた、臭う」
「は!?」
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