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第1章 変わった少年
見透かす瞳
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「あのさ……」
「……なんだ?」
魔剣を首に添えられているというのに、特に恐れることもなく、少年は小さくため息を吐いた。
むしろ私の方が息を潜め、手に肩に力を入れているぐらいだ。
「あんた、魔物を倒して人を守るとか、そういうつもりでいるみたいだけど、いいの?
人間に剣向けて」
「っ……!」
それも、そうだ。
つい、カッとなって……いや、待て。
こいつが、魔物の可能性は十分あり得る。
ただでさえギルドからも忠告があったんだ。
これまで確認されていなかった魔物が人間に成り代わって…あるいは人型であることだって考えられる。
先ほどからのこいつの動きは、人間らしくない。
ただの村人が、このような動きをするか?
そして、あの時…ゴブリンを追って初めてこいつに会った時もそうだ。
何故ゴブリンは、こいつを頼るように動いた?
こいつが、ゴブリンの仲間だからではないか?
「貴様は…魔物と精通している可能性がある!
何を隠しているか、白状してもらおうか!」
「……だったらどうすんの?」
「は……っ!?」
刀身に顔を近付ける少年に、思わずたじろぐ。
刀身に触れれば魔剣の魔力で傷付く可能性があるからだ。
「人間の俺を殺せるの?
その剣で。
魔物を殺すみたいに」
「な……っ!」
「あんたの中で俺は犯罪者と同等なんだろうから、斬れないこともないのか」
「っ……!
私は、人は斬らない」
今まで犯罪者と呼べる人間には何度も遭遇したが、皆兄から習った武術で押さえることが出来ていた。
ここまでの侵入を許したのは、初めてなのだ。
確かに、とっさに剣に頼ろうとして、人に剣を向けたのは、己の未熟さ……。
少年はまた目を細めた。
「へぇー。
じゃあこれは、防衛本能か」
「っ……!」
視線を合わせたまま、睨み合っているうちに、いつの間にか鍔のすぐ下に彼の手が降りていて、言葉を掛けられるとほぼ同時に手と鍔の隙間に隙を突いて引き抜かれ、手が弾き出された。
一瞬の油断。
筋肉の緩み。
それを見破るように、狙うかのように、一瞬で持っていかれる。
こいつ……!?
ブワッと、溢れ出す真っ赤な光。
目の前にあるそれは、魔剣ギリアンの刀身から溢れる光だった。
少年が持った瞬間に、光が変わった……!
赤は、悪の色……!
本当に、こいつは何者なのだ……!?
少年は顔を真っ赤に染めてその光をまじまじと観察し、スッと私に視線を戻した。
少年の青い瞳ですら、血のような赤に染まっている。
その禍々しく冷たい表情に、ゴクリと、息を飲んだ。
殺されるかもしれない……。
そう、本能が頭の中で警告音を発していた。
「……なんだ?」
魔剣を首に添えられているというのに、特に恐れることもなく、少年は小さくため息を吐いた。
むしろ私の方が息を潜め、手に肩に力を入れているぐらいだ。
「あんた、魔物を倒して人を守るとか、そういうつもりでいるみたいだけど、いいの?
人間に剣向けて」
「っ……!」
それも、そうだ。
つい、カッとなって……いや、待て。
こいつが、魔物の可能性は十分あり得る。
ただでさえギルドからも忠告があったんだ。
これまで確認されていなかった魔物が人間に成り代わって…あるいは人型であることだって考えられる。
先ほどからのこいつの動きは、人間らしくない。
ただの村人が、このような動きをするか?
そして、あの時…ゴブリンを追って初めてこいつに会った時もそうだ。
何故ゴブリンは、こいつを頼るように動いた?
こいつが、ゴブリンの仲間だからではないか?
「貴様は…魔物と精通している可能性がある!
何を隠しているか、白状してもらおうか!」
「……だったらどうすんの?」
「は……っ!?」
刀身に顔を近付ける少年に、思わずたじろぐ。
刀身に触れれば魔剣の魔力で傷付く可能性があるからだ。
「人間の俺を殺せるの?
その剣で。
魔物を殺すみたいに」
「な……っ!」
「あんたの中で俺は犯罪者と同等なんだろうから、斬れないこともないのか」
「っ……!
私は、人は斬らない」
今まで犯罪者と呼べる人間には何度も遭遇したが、皆兄から習った武術で押さえることが出来ていた。
ここまでの侵入を許したのは、初めてなのだ。
確かに、とっさに剣に頼ろうとして、人に剣を向けたのは、己の未熟さ……。
少年はまた目を細めた。
「へぇー。
じゃあこれは、防衛本能か」
「っ……!」
視線を合わせたまま、睨み合っているうちに、いつの間にか鍔のすぐ下に彼の手が降りていて、言葉を掛けられるとほぼ同時に手と鍔の隙間に隙を突いて引き抜かれ、手が弾き出された。
一瞬の油断。
筋肉の緩み。
それを見破るように、狙うかのように、一瞬で持っていかれる。
こいつ……!?
ブワッと、溢れ出す真っ赤な光。
目の前にあるそれは、魔剣ギリアンの刀身から溢れる光だった。
少年が持った瞬間に、光が変わった……!
赤は、悪の色……!
本当に、こいつは何者なのだ……!?
少年は顔を真っ赤に染めてその光をまじまじと観察し、スッと私に視線を戻した。
少年の青い瞳ですら、血のような赤に染まっている。
その禍々しく冷たい表情に、ゴクリと、息を飲んだ。
殺されるかもしれない……。
そう、本能が頭の中で警告音を発していた。
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