18 / 22
第2章 少年の決め事
バケモノ
しおりを挟む
ゴォオンッ……!
横からの攻撃。
魔剣独特の反響するような鈍い音。
ハッと振り向くと、リヴが自らの拳で私の魔剣の腹を殴り飛ばしていた。
この後に及んで、まだ……っ!?
リヴは歯を食いしばって身体を空中で回転し、魔物を腕に抱える。
今の魔剣への反動を利用したのか!
だが、剣に触れれば多少なりともダメージを受けるはずなのに……!
それが素手なら、なおさら……!
「リヴ…っ!」
「ギ、ギャァーー!!」
着地と同時に、リヴの元に駆ける。
リヴの腕の中では羽をバタつかせてリヴの腕に噛み付く魔物がいる。
すでにリヴの腕から、血が滲み出していた。
「こいつ……!」
「待て」
リヴは剣を構える私に静かに告げた。
ビクッと、身体が震える。
「……大丈夫だから」
リヴが口を開くも、誰に向けてなのか分からなかった。
私でも子供達でもなく、魔物に……?
「ごめん……」
「っ……」
魔物を、まるで人にするように優しく抱き締める。
「ギ、ギギ……!」
「……いいよ。
だから、もう行きな」
何への返事なのか、リヴはそう短く言葉を発すると、身体を起こした。
「ギャァーー!!」
「り、リヴ……っ!」
「………」
強く風が巻き起こったと思えば、リヴの腕から魔物が飛び立った。
勢いに圧倒され剣を構えるも、魔物はすでに森の方へ飛び去っていた。
逃げた……?
また仲間を呼びに行ったのか!?
「リヴ!今のは!?
それより、腕は……!」
剣をしまい、リヴの元に歩き出すと、立ち上がったリヴは子供達の方を向いた。
「……大丈夫か?」
「う、うん」
「怖くなかったよ!」
「ごめんね、僕たちがビックリさせちゃったね」
子供達は真剣な表情でリヴを見上げる。
何故、子供が謝るんだ……!
リヴの表情が、見えない。
「大丈夫。
怒ってたのは、別の理由だったから」
「怒って…って、そんな簡単な話じゃなかっただろ!」
私はまだ納得がいかなかった。
もう終わったことのようにしているが、あいつは仲間を連れてくるだろう。
きっと、今夜中にでも……。
「村に魔物が侵入していた!
これはあってはならないことだ!
魔物は人を脅かす存在だ。
貴様は、何故それが分からない!?」
「じゃあ、シュラには魔物の何が分かるんだよ」
リヴはゆっくり視線を上げた。
冷たい瞳に、ゾクっとした。
「敵意向けられて、魔物という理由で殺されて、目の前で仲間が死んで……
もしシュラなら、どうする?」
「っ…何のことを言ってるんだ」
言葉で否定しても、頭では分かっていた。
リヴが言いたいのは、魔物のことだ。
今しがた戦った、あの魔物達の……。
それでも私は、何も悪くない。
それが魔物と人間の宿命だ。
「魔物は全て、殺さなければならない!
それがこの世界を救う唯一の方法であり人を守る方法だ!
その理は絶対だ」
魔物と人間は交わることはできない。
それは、今、リヴも感じたではないのか?
その腕は、誰に噛まれた?
人に魔物が傷付けられるのは、これだけでは済まない。
「……バケモノはどっちだよ」
「っ!?」
投げ捨てられた言葉が、胸に刺さる。
バケモノ……だと?
それは、私に、言っているのか?
魔物と戦う私が……バケモノだと言いたいのか?
横からの攻撃。
魔剣独特の反響するような鈍い音。
ハッと振り向くと、リヴが自らの拳で私の魔剣の腹を殴り飛ばしていた。
この後に及んで、まだ……っ!?
リヴは歯を食いしばって身体を空中で回転し、魔物を腕に抱える。
今の魔剣への反動を利用したのか!
だが、剣に触れれば多少なりともダメージを受けるはずなのに……!
それが素手なら、なおさら……!
「リヴ…っ!」
「ギ、ギャァーー!!」
着地と同時に、リヴの元に駆ける。
リヴの腕の中では羽をバタつかせてリヴの腕に噛み付く魔物がいる。
すでにリヴの腕から、血が滲み出していた。
「こいつ……!」
「待て」
リヴは剣を構える私に静かに告げた。
ビクッと、身体が震える。
「……大丈夫だから」
リヴが口を開くも、誰に向けてなのか分からなかった。
私でも子供達でもなく、魔物に……?
「ごめん……」
「っ……」
魔物を、まるで人にするように優しく抱き締める。
「ギ、ギギ……!」
「……いいよ。
だから、もう行きな」
何への返事なのか、リヴはそう短く言葉を発すると、身体を起こした。
「ギャァーー!!」
「り、リヴ……っ!」
「………」
強く風が巻き起こったと思えば、リヴの腕から魔物が飛び立った。
勢いに圧倒され剣を構えるも、魔物はすでに森の方へ飛び去っていた。
逃げた……?
また仲間を呼びに行ったのか!?
「リヴ!今のは!?
それより、腕は……!」
剣をしまい、リヴの元に歩き出すと、立ち上がったリヴは子供達の方を向いた。
「……大丈夫か?」
「う、うん」
「怖くなかったよ!」
「ごめんね、僕たちがビックリさせちゃったね」
子供達は真剣な表情でリヴを見上げる。
何故、子供が謝るんだ……!
リヴの表情が、見えない。
「大丈夫。
怒ってたのは、別の理由だったから」
「怒って…って、そんな簡単な話じゃなかっただろ!」
私はまだ納得がいかなかった。
もう終わったことのようにしているが、あいつは仲間を連れてくるだろう。
きっと、今夜中にでも……。
「村に魔物が侵入していた!
これはあってはならないことだ!
魔物は人を脅かす存在だ。
貴様は、何故それが分からない!?」
「じゃあ、シュラには魔物の何が分かるんだよ」
リヴはゆっくり視線を上げた。
冷たい瞳に、ゾクっとした。
「敵意向けられて、魔物という理由で殺されて、目の前で仲間が死んで……
もしシュラなら、どうする?」
「っ…何のことを言ってるんだ」
言葉で否定しても、頭では分かっていた。
リヴが言いたいのは、魔物のことだ。
今しがた戦った、あの魔物達の……。
それでも私は、何も悪くない。
それが魔物と人間の宿命だ。
「魔物は全て、殺さなければならない!
それがこの世界を救う唯一の方法であり人を守る方法だ!
その理は絶対だ」
魔物と人間は交わることはできない。
それは、今、リヴも感じたではないのか?
その腕は、誰に噛まれた?
人に魔物が傷付けられるのは、これだけでは済まない。
「……バケモノはどっちだよ」
「っ!?」
投げ捨てられた言葉が、胸に刺さる。
バケモノ……だと?
それは、私に、言っているのか?
魔物と戦う私が……バケモノだと言いたいのか?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる