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本編【表】
第7話-保留
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『5階?ここは1階だぞ セリア』
『殿下…』
セリアは苦虫を噛み潰した様な顔をした。
彼に見つかる前に帰る作戦が失敗した事も この表情に至った理由の1つだが
少し前 彼はセリアに
"俺は冗談は言わん"と言っていた。
恐らく…それは真実で、これが生まれて初めて吐く冗談なのだろう。
-つまらない事を仰いますね……
セリアの怪訝な表情にはそんな思いが募っていた。
王太子はセリアの表情等お構い無しに口を開く。
『我が婚約者に勝手に消えられては困るじゃないか』
『殿下……先程から申し上げておりますが、私は殿下の婚約者ではありません。私には生まれた時から定められた許嫁がいます。」』
セリアは不満げに反論した。
もう遠回しな言い方はしない
この人にはそれでは伝わらない様だから
侍女や侍従達の前でハッキリと否定する。
『ふふっ……セリアよ。そんなに怒るでない。愛らしい顔が台無しではないか』
王太子の発言に思わず鳥肌を立てる。
なんだ?この発言は…
さっきまで尊大な物言いだった殿下がこんな台詞を吐くなんて考えられない…
『殿下!私は本気で怒っています!!』
セリアの内心は怒りと言うよりは呆れの方が近かったが、ここは敢えて怒った様に見せた。
『そう言う所が可愛いのだ。ほら行くぞ。皆の者が待っている。我が未来の王妃となる君を一目見ようと集まっているのだ。皆を待たせる訳にはいかぬからな。さぁエスコートさせてくれ。』
そう言って殿下は私に手を差し伸べて来た。
-この人は誰だ?
先程の無機質で冷徹な殿下本人とは思えない様な歯が浮くような発言。
-正直…不気味だ
セリアは差し出されたその手をじっと見つめる。
侍女達も羨ましいと言わんばかりに輝いた眼差しを向けている。
-はぁ……またこれか……私の話は完全にない物とされている。
溜息をつく。
セリアは呆れ果てていた。
『殿下……私は一人で歩けます。どうか御遠慮下さいませ』
『何を言っている。私がセリアの手を取りたいと申しているのだ。婚約したてとは言え手を繋ぐぐらい良いであろう』
『……婚約はしていません』
『まあまあ……そう照れるな。』
そう言いながら殿下は強引に私の腕を掴み、自身の腕に絡ませた。
『ちょ、ちょっと……殿下…』
セリアは抗議の声を上げるが、無視されてそのまま歩き出す。
「セリア様、ご機嫌麗しゅうございます」
「本日は一段とお美しいですわ」
「殿下とのお幸せをお祈りしております」
すれ違う度に侍女達は私に挨拶をする。
皆が皆、笑顔で私を見送る。
『見ろセリア。皆 お前が王妃となる事を心から喜んでいる。』
殿下はセリアに言葉を投げた。
セリアには理解出来ない。
自分は王宮の者達に歓迎される様な事は何もしていない。
学生時代はひたすらに勉学に励んでいただけで称えられる様な活動をしていた訳でもない。
それ所か…学園内の下らない派閥争いに巻き込まれまいと他の令嬢・令息とも距離を置いていた為に学園内で友人らしい友人もいなかった。
ハイネを筆頭にした学園内の高位貴族達のみが所属する派閥 所謂ラグライア派と
それに太刀打ちすべく下位貴族家達が大魚から身を守るべく集合し身を固めた魚群の様な派閥
そのどちらからの勧誘も丁重にお断りして来た。
今思えばあの対応は派閥争いに躍起になっていた他の生徒達から反感を買って居たかも知れない…
卒業後は辺境伯夫人の公務を学ぶべく半ば引き籠もりの様に屋敷に籠り公務の理解を深める事に邁進していた
それなのにセリアに対するこの過剰な評価の理由が理解出来なかった。
すれ違う王宮勤めの者はセリアの名を呼び礼をし。
近衛兵達は敬礼をした。
それはまるで皆がもう"セリア嬢こそ次期アルテアの王妃になるもの"と信じ疑う素振りもない様子である事が伺えた。
「セリア様…!」
「セリア様だ!」
「セリア様…あぁ、なんと美しい!」
「まさに殿下の妃となるに相応しいお方だ!」
皆が口々にセリアを見て賞賛の声を挙げた。
その異様な迄の賞賛の声はまるで小石につまづいても"主教様がお転びになられた!素晴らしい!"と賞賛する盲信者の様で不気味さを感じる程だ。
何故ならセリア自身はこれほど迄に賞賛される理由が分からないからだ。
『皆、気持ちは分かるがそう詰め寄るな、セリアが困ってしまうではないか!』
王太子は大切なパートナーの心境を案ずるかの様にセリアを抱き寄せる。
すると侍女達は黄色い歓声をあげるが、セリアは周りの反応より王太子の態度の急変に顔を強ばらせる。
セリアが一声すら発せられなくなる位 動揺してしまう程に。
『分かっている。皆未来の我が妃となるセリアと懇親を深めたいのであろう!時期を見て機会を設けよう!』
王太子が笑顔でそう言うと周りの者達は更に歓声を挙げる。
すると…その集団を掻き分けて一人の近衛兵が割って入って耳打ちをする。
「殿下。国王陛下が謁見の間にてお呼びです。」
『お待ち頂く事は出来ないのか?見ての通り今は大事な客人がいらしているのだ。』
王太子は笑顔を崩さずそう返すが、近衛兵は首を横に振り
「"至急の用"との事です。今すぐに向かわれた方がよろしいかと…」
近衛兵は恐る恐るそう伝えると、王太子は小さく舌打ちを零した。
セリアは王太子の笑顔が消えて先程迄の尊大だった王太子の表情に戻った事に気付く。
『皆の衆 申し訳ない。セリアと2人きりにしてはくれないか?暫しの別れを2人で惜しみたいのだ。』
王太子の言葉を聞いて周りの者はセリアに別れの挨拶を告げて徐々に自分の持ち場に戻って行く。
騒がしかった王宮の廊下はセリアと王太子と王太子を呼び出した国王専属の近衛兵のみとなった。
『凄まじい人気ぶりだなセリア。』
王太子の口ぶりや表情は先程の尊大な態度の時の者に戻っていた。
セリアは唖然としていた。
この王太子は2つの人格があるのか…?
器用なもので自分に近しい者に見せる本当の顔とそうでない者に見せる"良き王太子"としての顔を使い分けている。
『俺が無用と止めたのにも関わらず、ハイネの看護に躍起になり、お前ともあろう者が血にまみれ感情を表したのも良い考えだった。その結果もあってお前の王宮勤めの者達からの評価は益々磐石となった。』
『あれは素晴らしいパフォーマンスだったぞ。流石だ セリア。』
セリアは王太子の発言にムッとした表情になる。
セリアは王宮の者達から評価されたくてあの様な行動に出た訳ではない。
目の前で人が血を流し倒れる。
そんな状況を見て ただただ いたたまれなくなり、咄嗟に体が動いただけなのだ。
その行為をパフォーマンス呼ばわりされ、あまつさえ"俺の嫁になる為のポイント稼ぎなんだろう?"と言う態度の王太子に怒りが募る。
『褒められる様な事ではありません。王宮の方々にも貴方様にも。』
敢えて"貴方様"と言う他人行儀な呼び方で"貴方とは距離を置きたい"と言う意を強調するが、この王太子にはそんなもの全く響かないだろう。
『流石セリアだ。王専属とは言え第三者の近衛兵が居る前では本性を明かさないその抜け目無さは益々王太子妃の器だろう。』
案の定、この王太子にはセリアの敵意は全く通用せず逆に評価に繋がってしまった。
『見ての通り、皆お前が我が妃になる事を望んでいる。皆の期待裏切るのは忍びないだろう?』
『先程も申し上げましたが…私には婚約者がおりますので御期待には添いかねます。』
『ふっ…駆け引きが上手いな…よろしい!返答は急かすまい。結論を急いたのは些か俺の配慮不足だった、お前の家にも都合があるだろう。』
『今日の所はひとまず保留としよう。精々 家の者と話し合うがいい。』
『それでは失礼致します。本日はお招き頂きありがとうございました。』
セリアは皮肉も込めてこれでもかと言わんばかりに丁寧なカーテシーを返す。
近衛兵がセリアを出口まで案内する際に王太子は口を開いた。
『そのドレス着心地はどうだ?お前の為に異国の職人に作らせた。サイズも調べたから最高の着心地だろう?伯爵家の者でも着ることは出来ない様な最上級の代物で正に王族の為の装いだ。』
後味の悪い台詞を吐いた。
セリアは内心"しまった…"と言う気持ちになる。
高価なドレスを着させて断れない雰囲気を作り出そうと言う王太子の罠にハマってしまったからだ。
まさか今更裸になって返す訳にも行かない…
この王太子…やはり食えない人物だ。
流石にハイネ嬢の乱入や流血沙汰は不測の事態だったにしろ
その不測の事態すらも利用して交渉の材料として来るとは…
セリアが困った顔をしていると王太子はその心中を察したのか微笑を浮かべ
『案ずるな、俺はそんなケチな男ではない。そのドレスは単なる善意…プレゼントだ。お前の答えがどうであれ返す必要はない。』
こう語るが…どこまで信用していいのか分かったものではない。
『まぁ…何れ分かるさ…王太子妃…いや後のアルテア王妃としての権力の座か……地方貴族の妻の座…どちらの方が居心地がいいか。』
『・・・』
セリアはもう驚きの余り言葉が出ない。
『それでは良い一日を。』
そう言うと王太子は王宮を後にするセリアを乗せた馬車が見えなくなる迄見送った。
『殿下…』
セリアは苦虫を噛み潰した様な顔をした。
彼に見つかる前に帰る作戦が失敗した事も この表情に至った理由の1つだが
少し前 彼はセリアに
"俺は冗談は言わん"と言っていた。
恐らく…それは真実で、これが生まれて初めて吐く冗談なのだろう。
-つまらない事を仰いますね……
セリアの怪訝な表情にはそんな思いが募っていた。
王太子はセリアの表情等お構い無しに口を開く。
『我が婚約者に勝手に消えられては困るじゃないか』
『殿下……先程から申し上げておりますが、私は殿下の婚約者ではありません。私には生まれた時から定められた許嫁がいます。」』
セリアは不満げに反論した。
もう遠回しな言い方はしない
この人にはそれでは伝わらない様だから
侍女や侍従達の前でハッキリと否定する。
『ふふっ……セリアよ。そんなに怒るでない。愛らしい顔が台無しではないか』
王太子の発言に思わず鳥肌を立てる。
なんだ?この発言は…
さっきまで尊大な物言いだった殿下がこんな台詞を吐くなんて考えられない…
『殿下!私は本気で怒っています!!』
セリアの内心は怒りと言うよりは呆れの方が近かったが、ここは敢えて怒った様に見せた。
『そう言う所が可愛いのだ。ほら行くぞ。皆の者が待っている。我が未来の王妃となる君を一目見ようと集まっているのだ。皆を待たせる訳にはいかぬからな。さぁエスコートさせてくれ。』
そう言って殿下は私に手を差し伸べて来た。
-この人は誰だ?
先程の無機質で冷徹な殿下本人とは思えない様な歯が浮くような発言。
-正直…不気味だ
セリアは差し出されたその手をじっと見つめる。
侍女達も羨ましいと言わんばかりに輝いた眼差しを向けている。
-はぁ……またこれか……私の話は完全にない物とされている。
溜息をつく。
セリアは呆れ果てていた。
『殿下……私は一人で歩けます。どうか御遠慮下さいませ』
『何を言っている。私がセリアの手を取りたいと申しているのだ。婚約したてとは言え手を繋ぐぐらい良いであろう』
『……婚約はしていません』
『まあまあ……そう照れるな。』
そう言いながら殿下は強引に私の腕を掴み、自身の腕に絡ませた。
『ちょ、ちょっと……殿下…』
セリアは抗議の声を上げるが、無視されてそのまま歩き出す。
「セリア様、ご機嫌麗しゅうございます」
「本日は一段とお美しいですわ」
「殿下とのお幸せをお祈りしております」
すれ違う度に侍女達は私に挨拶をする。
皆が皆、笑顔で私を見送る。
『見ろセリア。皆 お前が王妃となる事を心から喜んでいる。』
殿下はセリアに言葉を投げた。
セリアには理解出来ない。
自分は王宮の者達に歓迎される様な事は何もしていない。
学生時代はひたすらに勉学に励んでいただけで称えられる様な活動をしていた訳でもない。
それ所か…学園内の下らない派閥争いに巻き込まれまいと他の令嬢・令息とも距離を置いていた為に学園内で友人らしい友人もいなかった。
ハイネを筆頭にした学園内の高位貴族達のみが所属する派閥 所謂ラグライア派と
それに太刀打ちすべく下位貴族家達が大魚から身を守るべく集合し身を固めた魚群の様な派閥
そのどちらからの勧誘も丁重にお断りして来た。
今思えばあの対応は派閥争いに躍起になっていた他の生徒達から反感を買って居たかも知れない…
卒業後は辺境伯夫人の公務を学ぶべく半ば引き籠もりの様に屋敷に籠り公務の理解を深める事に邁進していた
それなのにセリアに対するこの過剰な評価の理由が理解出来なかった。
すれ違う王宮勤めの者はセリアの名を呼び礼をし。
近衛兵達は敬礼をした。
それはまるで皆がもう"セリア嬢こそ次期アルテアの王妃になるもの"と信じ疑う素振りもない様子である事が伺えた。
「セリア様…!」
「セリア様だ!」
「セリア様…あぁ、なんと美しい!」
「まさに殿下の妃となるに相応しいお方だ!」
皆が口々にセリアを見て賞賛の声を挙げた。
その異様な迄の賞賛の声はまるで小石につまづいても"主教様がお転びになられた!素晴らしい!"と賞賛する盲信者の様で不気味さを感じる程だ。
何故ならセリア自身はこれほど迄に賞賛される理由が分からないからだ。
『皆、気持ちは分かるがそう詰め寄るな、セリアが困ってしまうではないか!』
王太子は大切なパートナーの心境を案ずるかの様にセリアを抱き寄せる。
すると侍女達は黄色い歓声をあげるが、セリアは周りの反応より王太子の態度の急変に顔を強ばらせる。
セリアが一声すら発せられなくなる位 動揺してしまう程に。
『分かっている。皆未来の我が妃となるセリアと懇親を深めたいのであろう!時期を見て機会を設けよう!』
王太子が笑顔でそう言うと周りの者達は更に歓声を挙げる。
すると…その集団を掻き分けて一人の近衛兵が割って入って耳打ちをする。
「殿下。国王陛下が謁見の間にてお呼びです。」
『お待ち頂く事は出来ないのか?見ての通り今は大事な客人がいらしているのだ。』
王太子は笑顔を崩さずそう返すが、近衛兵は首を横に振り
「"至急の用"との事です。今すぐに向かわれた方がよろしいかと…」
近衛兵は恐る恐るそう伝えると、王太子は小さく舌打ちを零した。
セリアは王太子の笑顔が消えて先程迄の尊大だった王太子の表情に戻った事に気付く。
『皆の衆 申し訳ない。セリアと2人きりにしてはくれないか?暫しの別れを2人で惜しみたいのだ。』
王太子の言葉を聞いて周りの者はセリアに別れの挨拶を告げて徐々に自分の持ち場に戻って行く。
騒がしかった王宮の廊下はセリアと王太子と王太子を呼び出した国王専属の近衛兵のみとなった。
『凄まじい人気ぶりだなセリア。』
王太子の口ぶりや表情は先程の尊大な態度の時の者に戻っていた。
セリアは唖然としていた。
この王太子は2つの人格があるのか…?
器用なもので自分に近しい者に見せる本当の顔とそうでない者に見せる"良き王太子"としての顔を使い分けている。
『俺が無用と止めたのにも関わらず、ハイネの看護に躍起になり、お前ともあろう者が血にまみれ感情を表したのも良い考えだった。その結果もあってお前の王宮勤めの者達からの評価は益々磐石となった。』
『あれは素晴らしいパフォーマンスだったぞ。流石だ セリア。』
セリアは王太子の発言にムッとした表情になる。
セリアは王宮の者達から評価されたくてあの様な行動に出た訳ではない。
目の前で人が血を流し倒れる。
そんな状況を見て ただただ いたたまれなくなり、咄嗟に体が動いただけなのだ。
その行為をパフォーマンス呼ばわりされ、あまつさえ"俺の嫁になる為のポイント稼ぎなんだろう?"と言う態度の王太子に怒りが募る。
『褒められる様な事ではありません。王宮の方々にも貴方様にも。』
敢えて"貴方様"と言う他人行儀な呼び方で"貴方とは距離を置きたい"と言う意を強調するが、この王太子にはそんなもの全く響かないだろう。
『流石セリアだ。王専属とは言え第三者の近衛兵が居る前では本性を明かさないその抜け目無さは益々王太子妃の器だろう。』
案の定、この王太子にはセリアの敵意は全く通用せず逆に評価に繋がってしまった。
『見ての通り、皆お前が我が妃になる事を望んでいる。皆の期待裏切るのは忍びないだろう?』
『先程も申し上げましたが…私には婚約者がおりますので御期待には添いかねます。』
『ふっ…駆け引きが上手いな…よろしい!返答は急かすまい。結論を急いたのは些か俺の配慮不足だった、お前の家にも都合があるだろう。』
『今日の所はひとまず保留としよう。精々 家の者と話し合うがいい。』
『それでは失礼致します。本日はお招き頂きありがとうございました。』
セリアは皮肉も込めてこれでもかと言わんばかりに丁寧なカーテシーを返す。
近衛兵がセリアを出口まで案内する際に王太子は口を開いた。
『そのドレス着心地はどうだ?お前の為に異国の職人に作らせた。サイズも調べたから最高の着心地だろう?伯爵家の者でも着ることは出来ない様な最上級の代物で正に王族の為の装いだ。』
後味の悪い台詞を吐いた。
セリアは内心"しまった…"と言う気持ちになる。
高価なドレスを着させて断れない雰囲気を作り出そうと言う王太子の罠にハマってしまったからだ。
まさか今更裸になって返す訳にも行かない…
この王太子…やはり食えない人物だ。
流石にハイネ嬢の乱入や流血沙汰は不測の事態だったにしろ
その不測の事態すらも利用して交渉の材料として来るとは…
セリアが困った顔をしていると王太子はその心中を察したのか微笑を浮かべ
『案ずるな、俺はそんなケチな男ではない。そのドレスは単なる善意…プレゼントだ。お前の答えがどうであれ返す必要はない。』
こう語るが…どこまで信用していいのか分かったものではない。
『まぁ…何れ分かるさ…王太子妃…いや後のアルテア王妃としての権力の座か……地方貴族の妻の座…どちらの方が居心地がいいか。』
『・・・』
セリアはもう驚きの余り言葉が出ない。
『それでは良い一日を。』
そう言うと王太子は王宮を後にするセリアを乗せた馬車が見えなくなる迄見送った。
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