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本編【表】
第53話-第2ラウンド
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誰も予想すらしなかった第2ラウンド。
武器を放棄した素手による殴り合い。
見物人達はシェーヌとセリアを除き、ライアンのこの第2ラウンドへの持ち越しを"勝利を確信したが故の慢心"と捉えた。
剣で圧倒したのだから拳でも負けやしないだろうと言う驕りと捉えた。
しかし…この素手による殴り合いでライアンは自分の首を絞める事になる。
先程まで圧倒的優位であったライアンが押され始めている。ライアンの攻撃はいなされ、王太子の見事な体術に翻弄される。
この技術は稽古用ではない…。
紛れも無い戦闘用の技術だ。
『ふ…ふふ…驕り昂ったな…!』
王太子は異国の体術の構えを取りライアンを圧倒する。
彼は留学の折に異国の武術を体得していた。
これは…先程の剣術と違い付け焼き刃の技術では無い。
達人による指南を受け師範から免許皆伝を授かる程熟練した彼の能力だ。
『俺はな…この技術を体得するのに屈辱を飲み込み汚泥を舐めた…』
先程までの焦り顔だった王太子はもういない。
今この場を支配しているのは自分であると自信が蘇り饒舌が戻る。
『アルテア人は…アルテアの外では酷い偏見を持たれている。どれだけ頼み込んでもどの流派の師範も俺に技術を与えようとはしなかった。野蛮人であるアルテア人に技術を与えても無用の長物だと鼻であしらわれたよ』
『そこで俺は提案した。この流派の一番の使い手である兄弟子と試合し、俺が勝ったなら正式な弟子として技術を供与して欲しいと。』
『結果は散々だった。アルテア人としてのフィジカルを武器に力任せに勝負を仕掛けた俺を…兄弟子はこれでもかと言う程に叩きのめした。先程のお前の様にな。』
『俺は足腰が立たなくなる程ぶちのめされた。胃が収縮し王族たる俺が…自分の吐き散らかした吐瀉物で溺れ死に掛けた。下民である他の門下生共は俺を嘲笑い。兄弟子は蹲る俺に唾を吐いた。アルテアの外では王太子なんて身分は通用しない。俺は未だかつて味わった事のない恥辱に塗れた。』
『それからはひたすらに奴等の稽古を座して監察した。構え…身のこなし…力の使い方を死ぬ気で頭に叩き込んだ…』
『何故なら…次また同じ敗北を味わおうモノなら…俺はその恥辱に耐え切れず発狂死するだろうと思っていたからだ。』
『俺は3日後…再びその流派で一番の実力を持つ兄弟子に再戦した。負ければそれは俺にとっては死も同然だった。』
『当然…俺は兄弟子に勝利した。敵の動き…息遣い…足さばきは全ての俺の頭の中に叩き込まれていた。俺は易々と兄弟子の膝を砕き、腕をへし折ってやった。』
『正式に門弟に下ってからも、僅か半年で俺は師範を越えた。何故貴様にこの話をするか分かるか?』
『……』
ライアンは王太子からの問いに無言で返す。
誰も彼の思考は分からない。
『俺に二度目を与えた貴様の愚かさを分からせる為だ。』
『驕りか…優越感か…さぞ気分が良かっただろう。愛するセリアの前で良い格好がしたかったのかは分からんが…』
『俺に二度目を与えた貴様の負けだ。』
『俺は誰にも負けない…仮に負けたとしても必ずリベンジする、俺が生きている限り何度でもな。最後に勝つのは俺なのだ』
王太子は勝利を確信し先程の失態を埋め合わせる為に今にも腕を広げんばかりに演説をする。
しかし、武術の構えだけは緩めない。
3度目はもうない。
この自身が最も得意とする武術で負ければもう後がないからだ。
『感謝するよ…貴様の甘さに…武器を持たぬ者は切れないと言う生温く浅いに思考に…もしもシェーヌが相手ならば俺に二度目など与えず刹那に俺は殺されていただろう。奴なら出来よう…人を殺す事などなんの躊躇いもなく出来る男だ。』
『貴様はその誇りとやらが故に死ぬ。誇りに生き、誇りに死ねて満足だろう?』
『貴様は…あの少女の死から何も学んでいない。人は成長し進歩して初めて生きるに値する。』
『進歩のない者は生きるに値しない。死ね…!』
王太子は手刀を振りかざした。
脊椎を狙った手刀により神経を断裂させられれば、よくて半身不随…。
しかし医術が無いアルテアでは死んだも同然だ。
鈍い音が中庭に響く
入った…
王太子の手刀はライアンの首を捉えた。
ライアンが中庭の雪に沈む。
『ラ…ライアン…?』
セリアが声を震わせる。
ライアンはピクりとも動かない。
『セリアよ弱き男に惚れても悲しい未来しか待ってはおらんぞ。』
『そ…そんな…ライア…ラ…』
目に溜まった涙が今にも零れ落ちそうな表情だったセリアが…急に表情を変えた。
『何を笑って…まさか!?』
セリアの表情の変化からライアンの方に向き直る王太子だが時既に遅し、振り返ったと同時に最初に目に入ったのはライアンの拳だった。
『ぐあっ…ライアン貴様ッ!!』
『殿下…俺が何故…殿下に素手の勝負を持ち掛けたか…お分かりですか…?』
『知るかぁっ!!!』
倒した筈のライアンからの攻撃を受けた王太子は飛び掛り延髄蹴りを放つ。
しかしライアンの腕に阻まれ急所へは届かない。
ミシミシとライアンの腕の骨が軋む音をあげるが…ライアンは痛みをおくびにも出さない。
『殿下が剣術よりも武術を得意とされているのが戦っていて分かったからです。』
ライアンは延髄蹴りの反動で倒れた王太子の鼻に肘鉄を撃ち込む。
『ぐあっ!!』
『未経験である真剣勝負よりも…殿下が得意とする分野で貴方を負かしたかった…その方が…貴方のプライドが傷付くと分かっていたから』
『うがぁっ!!!!』
王太子は自身に肘鉄を食らわせたライアンの腕を掴むと足を絡めてライアンに体重を掛け、腕ひしぎ固めの絞め技を繰り出した。
『死ねぇ!!!!』
『……!』
絞められた右腕の自由が効かない…
気道が締め上げられていく。
『くっ…ぅ…あああ!!!』
しかしライアンは上体を回転する様に捻り王太子の眼前に足が来る様に回り込むと、王太子の頭に蹴りを放った
堪らず力を緩めざるを得ない王太子。
このままでは自身の頭が足ふきマットにされてしまう。
ライアンは、王太子程高度な武術は会得していない。
執念ゆえのもがきで王太子の絞め技から抜け出した。
『調子にのるなッ!!!この俗物がッ!!!』
王太子の正拳突きがライアンのみぞおちにめり込む。
内臓を刺激するみぞおちへの攻撃はどんな達人にも通用する有効打だ。
どれだけ体を鍛えようが内臓だけは鍛えようがないからだ。
ライアンは一瞬苦悶の表情を浮かべたが、すぐに王太子の拳を掴み引き寄せる様にして王太子のみぞおちに膝蹴りを入れる。
『うっ…うぇ……な、何故…そんな涼しい顔をして…』
込み上げる吐き気に気圧されながらも疑問の声を上げる王太子。
『涼しく等ないです。これが実戦でなければ私は膝を付きうずくまっていたでしょう。』
あっけらかんとして言うライアンの態度に王太子は血管を浮き上がらせる。
『殿下が勝てない理由は覚悟の違いです。貴方は先程敗北は死を意味すると仰いましたが』
『私からすればこの戦いに負ける事は死んだ方がマシな位恐ろしい事なのです。』
『この戦いだけじゃない。賊から領民を守る戦いも同じです。』
『セリアや守るべき領民に想い馳せたならどれだけ苦しくとも膝等付ける筈が無い。』
『大層な精神論だ!!!才覚や技術を持たぬ弱者の常套句だなッ!!!』
王太子は立ち上がり様に強烈な右ストレートを放った。
しかしライアンは倒れない。
『大嫌いだ…くだらぬ精神論…!懐古主義…!崇高な志一つで世界が変えられるものか!!!国が守れるものか!!!』
『世界を変えるには…!!国を守るには常に新しい技術を取り入れ進歩するしかない!!!』
『だから…古臭い慣習に縛られ続ける貴様は俺に敗れる!!!敗れるべきなんだ!!!』
王太子は全体重を掛け全力で拳を振り翳す。
しかしライアンに間合いを詰められ、派手にカウンターを食らった。
王太子の視界がグラつく
焦点が左右非対称になり目を回る。
世界が回る。
『こ…の…俺が…いちば…んの…俺…が…』
うわ言を吐きながら王太子はそのまま地に倒れた。
『殿下。貴方の一番の敗因は、覚悟の理由が自身の死から逃れる事しか無かった事。』
『背負うモノが無かった事です。』
『何かを背負った男の拳は技術等なくとも重いぞ。』
ライアンは、王太子との決闘に勝利した。
武器を放棄した素手による殴り合い。
見物人達はシェーヌとセリアを除き、ライアンのこの第2ラウンドへの持ち越しを"勝利を確信したが故の慢心"と捉えた。
剣で圧倒したのだから拳でも負けやしないだろうと言う驕りと捉えた。
しかし…この素手による殴り合いでライアンは自分の首を絞める事になる。
先程まで圧倒的優位であったライアンが押され始めている。ライアンの攻撃はいなされ、王太子の見事な体術に翻弄される。
この技術は稽古用ではない…。
紛れも無い戦闘用の技術だ。
『ふ…ふふ…驕り昂ったな…!』
王太子は異国の体術の構えを取りライアンを圧倒する。
彼は留学の折に異国の武術を体得していた。
これは…先程の剣術と違い付け焼き刃の技術では無い。
達人による指南を受け師範から免許皆伝を授かる程熟練した彼の能力だ。
『俺はな…この技術を体得するのに屈辱を飲み込み汚泥を舐めた…』
先程までの焦り顔だった王太子はもういない。
今この場を支配しているのは自分であると自信が蘇り饒舌が戻る。
『アルテア人は…アルテアの外では酷い偏見を持たれている。どれだけ頼み込んでもどの流派の師範も俺に技術を与えようとはしなかった。野蛮人であるアルテア人に技術を与えても無用の長物だと鼻であしらわれたよ』
『そこで俺は提案した。この流派の一番の使い手である兄弟子と試合し、俺が勝ったなら正式な弟子として技術を供与して欲しいと。』
『結果は散々だった。アルテア人としてのフィジカルを武器に力任せに勝負を仕掛けた俺を…兄弟子はこれでもかと言う程に叩きのめした。先程のお前の様にな。』
『俺は足腰が立たなくなる程ぶちのめされた。胃が収縮し王族たる俺が…自分の吐き散らかした吐瀉物で溺れ死に掛けた。下民である他の門下生共は俺を嘲笑い。兄弟子は蹲る俺に唾を吐いた。アルテアの外では王太子なんて身分は通用しない。俺は未だかつて味わった事のない恥辱に塗れた。』
『それからはひたすらに奴等の稽古を座して監察した。構え…身のこなし…力の使い方を死ぬ気で頭に叩き込んだ…』
『何故なら…次また同じ敗北を味わおうモノなら…俺はその恥辱に耐え切れず発狂死するだろうと思っていたからだ。』
『俺は3日後…再びその流派で一番の実力を持つ兄弟子に再戦した。負ければそれは俺にとっては死も同然だった。』
『当然…俺は兄弟子に勝利した。敵の動き…息遣い…足さばきは全ての俺の頭の中に叩き込まれていた。俺は易々と兄弟子の膝を砕き、腕をへし折ってやった。』
『正式に門弟に下ってからも、僅か半年で俺は師範を越えた。何故貴様にこの話をするか分かるか?』
『……』
ライアンは王太子からの問いに無言で返す。
誰も彼の思考は分からない。
『俺に二度目を与えた貴様の愚かさを分からせる為だ。』
『驕りか…優越感か…さぞ気分が良かっただろう。愛するセリアの前で良い格好がしたかったのかは分からんが…』
『俺に二度目を与えた貴様の負けだ。』
『俺は誰にも負けない…仮に負けたとしても必ずリベンジする、俺が生きている限り何度でもな。最後に勝つのは俺なのだ』
王太子は勝利を確信し先程の失態を埋め合わせる為に今にも腕を広げんばかりに演説をする。
しかし、武術の構えだけは緩めない。
3度目はもうない。
この自身が最も得意とする武術で負ければもう後がないからだ。
『感謝するよ…貴様の甘さに…武器を持たぬ者は切れないと言う生温く浅いに思考に…もしもシェーヌが相手ならば俺に二度目など与えず刹那に俺は殺されていただろう。奴なら出来よう…人を殺す事などなんの躊躇いもなく出来る男だ。』
『貴様はその誇りとやらが故に死ぬ。誇りに生き、誇りに死ねて満足だろう?』
『貴様は…あの少女の死から何も学んでいない。人は成長し進歩して初めて生きるに値する。』
『進歩のない者は生きるに値しない。死ね…!』
王太子は手刀を振りかざした。
脊椎を狙った手刀により神経を断裂させられれば、よくて半身不随…。
しかし医術が無いアルテアでは死んだも同然だ。
鈍い音が中庭に響く
入った…
王太子の手刀はライアンの首を捉えた。
ライアンが中庭の雪に沈む。
『ラ…ライアン…?』
セリアが声を震わせる。
ライアンはピクりとも動かない。
『セリアよ弱き男に惚れても悲しい未来しか待ってはおらんぞ。』
『そ…そんな…ライア…ラ…』
目に溜まった涙が今にも零れ落ちそうな表情だったセリアが…急に表情を変えた。
『何を笑って…まさか!?』
セリアの表情の変化からライアンの方に向き直る王太子だが時既に遅し、振り返ったと同時に最初に目に入ったのはライアンの拳だった。
『ぐあっ…ライアン貴様ッ!!』
『殿下…俺が何故…殿下に素手の勝負を持ち掛けたか…お分かりですか…?』
『知るかぁっ!!!』
倒した筈のライアンからの攻撃を受けた王太子は飛び掛り延髄蹴りを放つ。
しかしライアンの腕に阻まれ急所へは届かない。
ミシミシとライアンの腕の骨が軋む音をあげるが…ライアンは痛みをおくびにも出さない。
『殿下が剣術よりも武術を得意とされているのが戦っていて分かったからです。』
ライアンは延髄蹴りの反動で倒れた王太子の鼻に肘鉄を撃ち込む。
『ぐあっ!!』
『未経験である真剣勝負よりも…殿下が得意とする分野で貴方を負かしたかった…その方が…貴方のプライドが傷付くと分かっていたから』
『うがぁっ!!!!』
王太子は自身に肘鉄を食らわせたライアンの腕を掴むと足を絡めてライアンに体重を掛け、腕ひしぎ固めの絞め技を繰り出した。
『死ねぇ!!!!』
『……!』
絞められた右腕の自由が効かない…
気道が締め上げられていく。
『くっ…ぅ…あああ!!!』
しかしライアンは上体を回転する様に捻り王太子の眼前に足が来る様に回り込むと、王太子の頭に蹴りを放った
堪らず力を緩めざるを得ない王太子。
このままでは自身の頭が足ふきマットにされてしまう。
ライアンは、王太子程高度な武術は会得していない。
執念ゆえのもがきで王太子の絞め技から抜け出した。
『調子にのるなッ!!!この俗物がッ!!!』
王太子の正拳突きがライアンのみぞおちにめり込む。
内臓を刺激するみぞおちへの攻撃はどんな達人にも通用する有効打だ。
どれだけ体を鍛えようが内臓だけは鍛えようがないからだ。
ライアンは一瞬苦悶の表情を浮かべたが、すぐに王太子の拳を掴み引き寄せる様にして王太子のみぞおちに膝蹴りを入れる。
『うっ…うぇ……な、何故…そんな涼しい顔をして…』
込み上げる吐き気に気圧されながらも疑問の声を上げる王太子。
『涼しく等ないです。これが実戦でなければ私は膝を付きうずくまっていたでしょう。』
あっけらかんとして言うライアンの態度に王太子は血管を浮き上がらせる。
『殿下が勝てない理由は覚悟の違いです。貴方は先程敗北は死を意味すると仰いましたが』
『私からすればこの戦いに負ける事は死んだ方がマシな位恐ろしい事なのです。』
『この戦いだけじゃない。賊から領民を守る戦いも同じです。』
『セリアや守るべき領民に想い馳せたならどれだけ苦しくとも膝等付ける筈が無い。』
『大層な精神論だ!!!才覚や技術を持たぬ弱者の常套句だなッ!!!』
王太子は立ち上がり様に強烈な右ストレートを放った。
しかしライアンは倒れない。
『大嫌いだ…くだらぬ精神論…!懐古主義…!崇高な志一つで世界が変えられるものか!!!国が守れるものか!!!』
『世界を変えるには…!!国を守るには常に新しい技術を取り入れ進歩するしかない!!!』
『だから…古臭い慣習に縛られ続ける貴様は俺に敗れる!!!敗れるべきなんだ!!!』
王太子は全体重を掛け全力で拳を振り翳す。
しかしライアンに間合いを詰められ、派手にカウンターを食らった。
王太子の視界がグラつく
焦点が左右非対称になり目を回る。
世界が回る。
『こ…の…俺が…いちば…んの…俺…が…』
うわ言を吐きながら王太子はそのまま地に倒れた。
『殿下。貴方の一番の敗因は、覚悟の理由が自身の死から逃れる事しか無かった事。』
『背負うモノが無かった事です。』
『何かを背負った男の拳は技術等なくとも重いぞ。』
ライアンは、王太子との決闘に勝利した。
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