私は世界に何も望まない…そんなもの、とうの昔に断頭台で死んだわ。

アリス

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第一章:魔導人形(オートマタ)を口説く嘗ての恋した方(愚者)

踊る、踊る、愚者(王子)も踊る。

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 「──一曲お付き合い頂きませんか。」
丁寧な口調で10歳の第1王子が手を差し出す…
 「お断り致しますわ、殿下。」
目上の者からの誘いを目下の者が秒で断る。
事である。身分社会の、縦割り行政の王政を敷いている“王国”に於いて──
 「失礼致しますわ、殿下。」
サッと一礼して慇懃無礼に第1王子の誘いを断ってずっとエスコートしていたロイの手を取りダンスホールへと、雑踏へと消えていく…。

固まる第1王子に群がる人集り…彼の「婚約者」に納まろうと、ホールは彼に群がるご令嬢で賑わっていた…。

が即座に展開され、第1王子はこれ以降迂闊にアルティナへと接近は出来なくなる。──と言うか、は果たした。王妃叔母様からの「お願い」は聞いたので良いだろう。
別に断っていい、と言われたもの。
…因みに叔母様は私と魔導人形イブ見極めていらっしゃる。
敵には容赦なく苛烈で熾烈な方、だけれど…反対に懐に入れた、“味方”にはぐずんぐずんに甘くなる。好き嫌いがハッキリしているので、分かり易く又「命令」も的確で迷わない。王妃様が「男」だったらになっていた…、とは王妃様の筆頭護衛近衛騎士の言葉である。

若干のザワザワをスルーして、アルティナは侍従ロイと踊る…一度も振り返らず、鑑みず。

 「我が主マスターと踊ろうなどと…100年早いのだ…ねぇ、ご主人様。」
 「ロイ…貴方そんな事言うキャラだった…?」
アルティナの追及にロイはシレッと答える。
 「我が主にはもっと相応しい殿方がいる、それは断じてあの甘ったれ小僧ではない。これは我等一同常々思っている事だ。」
 「そ、そう…」
曲が終わる、手を離せば──母と踊っていた筈の何れ義父となる男ジャック・スタンリーは真っ直ぐにアルティナの元へと向かいその手を取った。

 「次は私と踊っていただけますか?…素敵なお嬢様?」

 「!ジャック…っ、──スタンリー、様…。え、ええ…お義父様」

私は思わず頬を赤らめてしまう。

…だって、


とても蠱惑的な…、それこそ“ただ一人の女性ひと”を見るようなーー、そんな瞳で、、











視ないでほしい──、、



切実に。




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