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2.ふたりの呼び名
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その後、里親の手続きやら引っ越しの荷造りやらをしているうちに気づけば、1週間も経っていた。
そして、全ての準備を終えた2人は、現在、お引っ越し中であった。
「おじさん、もうすぐ着く?」
1週間、あおいちゃんと関わることで貴仁は気づいたことがある。
それは、あおいちゃんは少しというかかなり無愛想だということだ。
あの日、出会ってからずっと貴仁は、あおいちゃんにおじさんと呼ばれ続けている。
それに、貴仁へのあたりもなかなか強い。
「なんか、こう、ほかにないかい?」
「ほかにってなに?はっきり言ってよ」
なんて反抗期の子供なんだ、もうちょっと年寄りを労わってくれてもいいのにと少し貴仁の心が痛む。
だからと言ってはっきりと呼び方を変えてほしいなんて言うには恥ずかしく、ぼそりと少し呟いた。
「呼び方……」
「え、呼び方?」
「うん。さすがにこれからひとつ屋根の下、生活していく手前、ずっとおじさん呼びなのは私としても悲しい」
そんなこと考えてもいなかったと鳩が豆鉄砲を食ったような顔のあおいちゃん。
「だから、その……。呼び方を変えてほしいなーと」
「確かに、言われてみればおじさんは他人行儀な気もするわね」
「そうそう!他人行儀!」
なんで、小学生が他人行儀なんて言葉知ってるんだとも思った貴仁であったが、それよりも呼び方を変えてほしいという思いの方が勝った。
「そうね、なら、親しみを込めて、じじいで!」
「そうか、そうか、じじい。いいね、じじい……。え、ちょ、待て待て!!なんでそうなる!!」
貴仁は、あおいちゃんのまさかのネーミングセンスに動揺しすぎて、ハンドル操作を誤ってしまいそうになった。
「ちょっとじじい危ない!」
「じじいって……、君もっとほかにないのかい……」
しょぼしょぼと落ち込む貴仁の傍ら、あおいちゃんは全くもって気に止めていない。
「あと、君じゃなくて、あおいね?呼ぶときは、あおいでいいから」
あおいちゃんは自分のスマホを見ながら、軽い返事をメッセージのように返す。
小学生というのはこういうものなのだろうかと、もう少し幼さがあるものじゃないのかと貴仁は思う。
このまま、あおいちゃんだけ普通に名前で呼ぶというのは貴仁としては負けた気がして悔しい。
だから、必死に反論を考えた。
「君だけ、普通にあおい呼びで、私だけじじいなのは不公平だと思う!」
自分で反論しておきながら、何と大人気ないと思いながらも言ってしまったからには後に引けない。
「はあ?じゃあ好きに呼んでいいよ」
「え、いいんだ」
「いや、じじいが言い出したんでしょ?」
「確かに……。そうだな、じゃあ……」
いざとなったら、何も思いつかない。
このままぐずぐずしていたら、我が家に着いてしまう。
少しでも考える時間が欲しい貴仁は、あおいちゃんにバレないくらいにスピードを落として、ゆっくり車を走らせる。
もうその角を曲がれば、家に着くというところでやっと一つ思い浮かんだ。
「よし!決めた!君は今日から娘ちゃんだ!」
明らかに眉をひそませ、嫌がるあおいちゃん。
その表情を見て貴仁は少しだけ勝ち誇った気分になった。
「はあ?ダサい、反対」
「反対は受付けておりませんー」
何とも大人気ない。何とも自分らしくない。でも、どこか楽しい。それは、今までの生活に娘ちゃんがいる、ただそれだけ。
でも、それが貴仁にとってはずっと探し求めていた温かく楽しい生活に近いものだった。
そして、全ての準備を終えた2人は、現在、お引っ越し中であった。
「おじさん、もうすぐ着く?」
1週間、あおいちゃんと関わることで貴仁は気づいたことがある。
それは、あおいちゃんは少しというかかなり無愛想だということだ。
あの日、出会ってからずっと貴仁は、あおいちゃんにおじさんと呼ばれ続けている。
それに、貴仁へのあたりもなかなか強い。
「なんか、こう、ほかにないかい?」
「ほかにってなに?はっきり言ってよ」
なんて反抗期の子供なんだ、もうちょっと年寄りを労わってくれてもいいのにと少し貴仁の心が痛む。
だからと言ってはっきりと呼び方を変えてほしいなんて言うには恥ずかしく、ぼそりと少し呟いた。
「呼び方……」
「え、呼び方?」
「うん。さすがにこれからひとつ屋根の下、生活していく手前、ずっとおじさん呼びなのは私としても悲しい」
そんなこと考えてもいなかったと鳩が豆鉄砲を食ったような顔のあおいちゃん。
「だから、その……。呼び方を変えてほしいなーと」
「確かに、言われてみればおじさんは他人行儀な気もするわね」
「そうそう!他人行儀!」
なんで、小学生が他人行儀なんて言葉知ってるんだとも思った貴仁であったが、それよりも呼び方を変えてほしいという思いの方が勝った。
「そうね、なら、親しみを込めて、じじいで!」
「そうか、そうか、じじい。いいね、じじい……。え、ちょ、待て待て!!なんでそうなる!!」
貴仁は、あおいちゃんのまさかのネーミングセンスに動揺しすぎて、ハンドル操作を誤ってしまいそうになった。
「ちょっとじじい危ない!」
「じじいって……、君もっとほかにないのかい……」
しょぼしょぼと落ち込む貴仁の傍ら、あおいちゃんは全くもって気に止めていない。
「あと、君じゃなくて、あおいね?呼ぶときは、あおいでいいから」
あおいちゃんは自分のスマホを見ながら、軽い返事をメッセージのように返す。
小学生というのはこういうものなのだろうかと、もう少し幼さがあるものじゃないのかと貴仁は思う。
このまま、あおいちゃんだけ普通に名前で呼ぶというのは貴仁としては負けた気がして悔しい。
だから、必死に反論を考えた。
「君だけ、普通にあおい呼びで、私だけじじいなのは不公平だと思う!」
自分で反論しておきながら、何と大人気ないと思いながらも言ってしまったからには後に引けない。
「はあ?じゃあ好きに呼んでいいよ」
「え、いいんだ」
「いや、じじいが言い出したんでしょ?」
「確かに……。そうだな、じゃあ……」
いざとなったら、何も思いつかない。
このままぐずぐずしていたら、我が家に着いてしまう。
少しでも考える時間が欲しい貴仁は、あおいちゃんにバレないくらいにスピードを落として、ゆっくり車を走らせる。
もうその角を曲がれば、家に着くというところでやっと一つ思い浮かんだ。
「よし!決めた!君は今日から娘ちゃんだ!」
明らかに眉をひそませ、嫌がるあおいちゃん。
その表情を見て貴仁は少しだけ勝ち誇った気分になった。
「はあ?ダサい、反対」
「反対は受付けておりませんー」
何とも大人気ない。何とも自分らしくない。でも、どこか楽しい。それは、今までの生活に娘ちゃんがいる、ただそれだけ。
でも、それが貴仁にとってはずっと探し求めていた温かく楽しい生活に近いものだった。
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