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作戦会議は今日も平常運転
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場所はいつもの屋上である。
ここで綿密な作戦を練ろうとしているのは3人の若者だ。
「恋人になる前には何回かデートという行為をするのが恋人になる為の道だと聞きました!」
「そうだな」
「そうかもね」
「だからこそっ、デートに誘おうと思いますっ!」
「誘ってこい」
「行ってらっしゃい」
「ちょっとちょっとぉ~! みんな投げやり過ぎない!? それに今回はデートに誘うのがメインじゃないからね!」
「あ? どういう事だ?」
「良くぞ聞いてくれました!」
そう言いながら制服のポケットを弄る四月。
だが、一向に何も出てこない。
「・・・ロッカーに忘れてきちゃったからちょっと待っててね!」
そう言いながら全力疾走して屋上を出て行く四月。
先が思いやられるな・・・。
「絶対待っててよ!? 帰ったらぷんだかね! 怒るからね!」
「いいから早く行けよバカ」
「むぅ~!四月くんのロリコン!」
そう捨て台詞を吐いて四月はようやく視界から消えてくれた。
本当、これから大丈夫なのだろうか・・・。
「・・・いっつもこんな感じなの?」
「まあ、大体こんな感じだな」
2人でため息を零しながら四月を待つ事にして約10分程が経った。
走ってきたであろう四月がドヤ顔気味に俺たちの前に出してきたのはスマホだった。
「スマホじゃん」
「スマホだね」
「そう、これはスマホだよ。これから『五月先輩の連絡先を教えて貰おう大作戦』を決行したいと思います!」
1人だけテンション高く目を輝かせている四月。
ってかまだ連絡先聞いてなかったのかよ。
「んで、具体的に策は何かあるのか?」
「ない!」
堂々とそう答える四月。
そうですか、安定のノープランですか・・・。
「少しくらいは自分で考えろよな」
「だってわからないもん、学校じゃ教えてくれないし! 恋愛って教科が増えればいいのね」
「そんなんじゃいくら経っても成長しないぞ」
俺は呆れ気味に言うが、四月はそんな事は気にしまいといった具合に話を進める。
「っという事だから、各自、最適な連絡先の交換方法を考えるのであります!」
警察官の敬礼ポーズをしながら俺と水無月に案を考えるように促す四月。
他力本願もいいとこじゃねーか。
すると四月は鞄から小さいホワイトボードを2個出してきた。
「それじゃあ、六日と如月くんはこれに書いてね!」
そう言って俺と水無月にホワイトボードを渡してきた。
いや、わざわざこんなもの使う必要があるのか?
まあ、このバカの考えてる事はよく分からないからな。
とりあえずはいう通りにしておこうと思ったが、ある問題に気がついた。
するとその問題を先に水無月が発言した。
「七、ペンは?」
そう、ホワイトボードは渡されたがそこに書く用のマーカーペンがないのだ。
ペンがなけりゃあ、そりゃ書けないわな。
「え? ペン付いてないの?」
いや、どこをどう見てもペンなんか入ってないだろうが・・・。
こういった所では相変わらずポンコツさ加減は変わらないのな。
本当すごいよお前って・・・。
「あ、ちょっと待って!」
すると四月はまた鞄を漁りだす。
そして筆箱らしき物を取り出し、その中から俺には黒いペンを、水無月には赤いペンを渡してきた。
「はい! これ代わりのペン!」
渡されたものを見ると、それは某有名なネームペンだ。
そう、もちろん油性だ。
「これじゃ消せねーだろーが・・・」
「あ、そっか! 黒板消しみたいなやつも必要だったか~。しょうがないから手で消して!」
「いや、そうじゃなくてだな、そもそも油性だから消えないって話なんだよな」
四月は口をポカンと開けながら俺をただ見つめていた。
あ、これ通じてないやつだ・・・。
「なあ、水無月。こいつってこんなにバカなのか? 仕様なのか?」
「・・・私も正直驚いてる」
「おい、幼馴染のお墨付きだぞ。本格的にヤベーやつだぞ」
「う、うるさい! ホワイトボードはもう使わない!
はい、意見言って六日!」
「ええっ? いきなりあたし・・・?」
そして水無月は難しい顔をする。
そもそも恋愛経験無い連中が集まってるからこうにも話が進まないんだろうな。
「・・・普通に聞けばいいんじゃない?」
「普通にって!?」
水無月に顔をギリギリまで近づけて問いかける四月。
いや、もはやこれ恐怖モンだろ?
ってか水無月、若干引いてねーか・・・?
「メッセージのやりとりしたいからって聞けばいいんじゃない?」
「なるほどね~。でもな~、なんかしっくりこないかな」
そう言って再び考え込む四月。
「先にデートの約束取りつければいいんじゃねーか?」
「え? 連絡先も聞いてなのに?」
「いや、面と向かって誘って、その流れで連絡先聞けば流れは自然だし、デートの約束もとりつけられて、連絡先も交換できる」
この案に二人は目をぱちくりさせて俺を見つめている。
「如月くん、天才なの?」
「あんた、結構ちゃんと考えてるんだね」
いや、だいぶ初歩的な初歩なんじゃねーか?
もしかして水無月、こいつも四月と同じポンコツ属性なのか?
「よし! それでは、『五月先輩をデートに誘って、正面切ってさりげなく連絡先も聞いちゃおう大作戦』を開催したいと思いますっ!」
相変わらずの四月クオリティーの作戦名だった。
正面切るのかさりげないのかどっちなんだよ・・・。
つうか、作戦名変わってねえか?
こうして、またしても奇妙な作戦が開始されたのであった。
ここで綿密な作戦を練ろうとしているのは3人の若者だ。
「恋人になる前には何回かデートという行為をするのが恋人になる為の道だと聞きました!」
「そうだな」
「そうかもね」
「だからこそっ、デートに誘おうと思いますっ!」
「誘ってこい」
「行ってらっしゃい」
「ちょっとちょっとぉ~! みんな投げやり過ぎない!? それに今回はデートに誘うのがメインじゃないからね!」
「あ? どういう事だ?」
「良くぞ聞いてくれました!」
そう言いながら制服のポケットを弄る四月。
だが、一向に何も出てこない。
「・・・ロッカーに忘れてきちゃったからちょっと待っててね!」
そう言いながら全力疾走して屋上を出て行く四月。
先が思いやられるな・・・。
「絶対待っててよ!? 帰ったらぷんだかね! 怒るからね!」
「いいから早く行けよバカ」
「むぅ~!四月くんのロリコン!」
そう捨て台詞を吐いて四月はようやく視界から消えてくれた。
本当、これから大丈夫なのだろうか・・・。
「・・・いっつもこんな感じなの?」
「まあ、大体こんな感じだな」
2人でため息を零しながら四月を待つ事にして約10分程が経った。
走ってきたであろう四月がドヤ顔気味に俺たちの前に出してきたのはスマホだった。
「スマホじゃん」
「スマホだね」
「そう、これはスマホだよ。これから『五月先輩の連絡先を教えて貰おう大作戦』を決行したいと思います!」
1人だけテンション高く目を輝かせている四月。
ってかまだ連絡先聞いてなかったのかよ。
「んで、具体的に策は何かあるのか?」
「ない!」
堂々とそう答える四月。
そうですか、安定のノープランですか・・・。
「少しくらいは自分で考えろよな」
「だってわからないもん、学校じゃ教えてくれないし! 恋愛って教科が増えればいいのね」
「そんなんじゃいくら経っても成長しないぞ」
俺は呆れ気味に言うが、四月はそんな事は気にしまいといった具合に話を進める。
「っという事だから、各自、最適な連絡先の交換方法を考えるのであります!」
警察官の敬礼ポーズをしながら俺と水無月に案を考えるように促す四月。
他力本願もいいとこじゃねーか。
すると四月は鞄から小さいホワイトボードを2個出してきた。
「それじゃあ、六日と如月くんはこれに書いてね!」
そう言って俺と水無月にホワイトボードを渡してきた。
いや、わざわざこんなもの使う必要があるのか?
まあ、このバカの考えてる事はよく分からないからな。
とりあえずはいう通りにしておこうと思ったが、ある問題に気がついた。
するとその問題を先に水無月が発言した。
「七、ペンは?」
そう、ホワイトボードは渡されたがそこに書く用のマーカーペンがないのだ。
ペンがなけりゃあ、そりゃ書けないわな。
「え? ペン付いてないの?」
いや、どこをどう見てもペンなんか入ってないだろうが・・・。
こういった所では相変わらずポンコツさ加減は変わらないのな。
本当すごいよお前って・・・。
「あ、ちょっと待って!」
すると四月はまた鞄を漁りだす。
そして筆箱らしき物を取り出し、その中から俺には黒いペンを、水無月には赤いペンを渡してきた。
「はい! これ代わりのペン!」
渡されたものを見ると、それは某有名なネームペンだ。
そう、もちろん油性だ。
「これじゃ消せねーだろーが・・・」
「あ、そっか! 黒板消しみたいなやつも必要だったか~。しょうがないから手で消して!」
「いや、そうじゃなくてだな、そもそも油性だから消えないって話なんだよな」
四月は口をポカンと開けながら俺をただ見つめていた。
あ、これ通じてないやつだ・・・。
「なあ、水無月。こいつってこんなにバカなのか? 仕様なのか?」
「・・・私も正直驚いてる」
「おい、幼馴染のお墨付きだぞ。本格的にヤベーやつだぞ」
「う、うるさい! ホワイトボードはもう使わない!
はい、意見言って六日!」
「ええっ? いきなりあたし・・・?」
そして水無月は難しい顔をする。
そもそも恋愛経験無い連中が集まってるからこうにも話が進まないんだろうな。
「・・・普通に聞けばいいんじゃない?」
「普通にって!?」
水無月に顔をギリギリまで近づけて問いかける四月。
いや、もはやこれ恐怖モンだろ?
ってか水無月、若干引いてねーか・・・?
「メッセージのやりとりしたいからって聞けばいいんじゃない?」
「なるほどね~。でもな~、なんかしっくりこないかな」
そう言って再び考え込む四月。
「先にデートの約束取りつければいいんじゃねーか?」
「え? 連絡先も聞いてなのに?」
「いや、面と向かって誘って、その流れで連絡先聞けば流れは自然だし、デートの約束もとりつけられて、連絡先も交換できる」
この案に二人は目をぱちくりさせて俺を見つめている。
「如月くん、天才なの?」
「あんた、結構ちゃんと考えてるんだね」
いや、だいぶ初歩的な初歩なんじゃねーか?
もしかして水無月、こいつも四月と同じポンコツ属性なのか?
「よし! それでは、『五月先輩をデートに誘って、正面切ってさりげなく連絡先も聞いちゃおう大作戦』を開催したいと思いますっ!」
相変わらずの四月クオリティーの作戦名だった。
正面切るのかさりげないのかどっちなんだよ・・・。
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