恋愛相談から始まる恋物語

菜の花

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遊園地でぇと 前編

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待ち合わせ場所は、駅前で朝の9時に集合の予定だった。

俺は寝坊することもなく、集合時間の5分前に駅前に着いたところだった。

だが、既に四月は待ち合わせ場所に到着していて、俺を見つけると、微笑みながら小走りで近づいてきた。

「おっそいよ~! 時間は有限なんだから、早く早く!」

そう言いながら、俺の手を引きながら駅へと駆けていく四月。

その様子は、まさに小学生のように無邪気な子供を、連想されるものだった。

「集合時間の5分前には着いただろーが」

「男子は女子より先に来てなきゃダメなの! 分かった?」

子供をあやすかのように、そう四月に注意されてしまった。

そんなもん知るかよ。前の俺なら、すぐに反論していただろう。

だが、俺は四月のその言葉に反論する事はなく、

「悪りぃ」

そう、一言だけ呟いた。

俺のその言葉に、四月は何故か首を傾げていたが、そのまま2人で駅へ向かい出した。

電車で揺られる事30分程で、目的地の最寄駅に到着した。

スマホをいじっていたから気がつかなかったが、隣で四月が俺の肩に頭を預けて眠っていた。

まだ着いてすらないのに、眠るとかこいつどんだけだよ・・・。

そのまま夢の中へいかれては困るので、俺は四月の身体を揺さぶって起こすことにした

「おい、起きろ。まだ遊園地に着いてすらいないんだぞ?」

「んん~、あと5分・・・」

「それだと次の駅に行っちゃうからな。ほら、起きろ」

俺は、そのまま四月の脳天に軽くチョップした。

四月は大げさにリアクションしながら、脳天を両手で抑えながら俺をジト目でみてくる。

「変態・・・」

「だからその罵倒はおかしいだろって」

言い合いをしていると、目的地に着いたので、四月の手を取り電車を降りた。

休日ともあって、家族連れやカップルが多く降りていた。

側からみれば、俺たちもカップルに見られているだろうな。

「人多いね~。アトラクション何時間待ちなんだろうね?」

「夢の国基準で考えるな。そこまでは混まないだろ」

「ほうほう。夢の国程は混まないっと」

俺の横で、何やら小さいメモ帳を取り出し、そこに先程の俺の発言を記入している四月。

きっといろんなアイデアや情報を書くために持ってきたんだろうが・・・。

「そんな情報はわざわざメモする必要ないだろ?」

「そう? 重要じゃない?」

「どう考えても重要じゃないだろ・・・」

のっけから前途多難だな、おい。

だが、今ではそんなぎこちない感じも心地よく、可愛らしいと思えるようになったのは、かなりの変化と言ってもいいだろう。

あーだこーだ言い合いながら、俺と四月は目的の遊園地へとたどり着いた。

大人2枚分のチケットを買い、2人揃って入場する。

「おお~! どこから行く!? 何乗る!? 何乗りたい!?」

テンションMAXに上がっている四月。

そんなにも興奮するだろうか?

「おい、本来の目的忘れてねーか? 遊ぶのが目的じゃなくて例の先輩と・・・」

言っている途中で言葉が止まってしまった。

自分で言い出したはずなのに、どうしてこんなに苦しく感じているのだろうか。

それ以上、言葉を発したくなかった。

「あ、そうだったね!ちゃんと作戦考えないとねっ!」

そう言って、太陽の様に笑う四月の笑顔が眩しくて、眩しすぎて嫌になった。

ここまで来ておいて、帰る方がナンセンスだろう。

「・・・とにかく行くぞ」

俺は四月の横を通り過ぎて、園内を歩きだした。 

「あ、ちょっと待ってよ~!」

その後を追う様にして、四月はやってくる。

直ぐに俺の側に追いつくと、2人して並んで歩いた。

しばらく歩いた所で一旦立ち止まり、入場の際にもらった園内マップを広げる事にした。

「四月って絶叫系とか乗れるのか?」

「・・・もち・・・!」

「全然もちって顔色してないけど?」

「絶叫しない絶叫系なら、乗れるかもしれない」

「すまん、全く意味分からない」

四月は絶叫系が無理そうだったので、難にコーヒーカップにでも乗ろうと提案してみた。

その提案に、四月もノリノリで答えてくれた。

コーヒーカップなんぞに乗るなんて、本当に何年振りだろうか?

ってかそもそも覚えてないし、乗ったかどうかも定かではないな。

「あんまり大人の人いないね」

四月にそう言われて辺りを見回したが、確かに大人は少なかった。

子供連れは沢山いたが、俺たちの様に大人同士で乗る人は少なかった。

そして、俺たちの順番になり、2人で1つのコーヒーカップに乗り込む。

四月が先に座り、俺がその正面に来るように座る。

すると、四月がわざわざ俺の横まて座って来た。

それも、かなり密着する形で。

不覚にも、俺はドキドキしてしまった。

「いきなり密着って攻め過ぎじゃねーか?」

「えへへ! でもね、こう密着して回した方がすごい回転するんだよ! 楽しめるし密着できるし、"いたせりつくせり"なんだよ!」

「至れり尽くせりな、それと、誤用してるからな」

冗談かと思ったが、周りを見渡すと、確かにみんな密着しながら乗っていた。

ここは大人しく、四月の言う通りにしておこう。

それに、今は動揺を抑える事に集中しないと。

「わっ! 動きだしたよ! 如月くん、回して回して!」

「え? もう回すのか?」

「当たり前だよ! 面舵いっぱ~い!」

四月の言われた通りに、目の前のハンドルを回していく。

すると、段々と回転速度が上がっていくのが分かった。

そのまま引き続き、勢いよく回していく。

特に大した事ではないが、ただ単純に回す事が楽しくなってきた。

調子に乗って回していると、隣にいた少女が俺に抱きついてきた。

「き、如月く~ん。回しすぎだからっ! 目が回っちゃうからっ!」

「あ? こーゆーもんだろコーヒーカップって?」

そのまま回し続けて俺は楽しみ、四月は恐がっていた。

そのまま時間がきて、俺と四月はコーヒーカップを降りた。

「・・・如月くんって、ドSだよね」

「あれが本来の楽しみ方なんだろ? 四月だって言ってたじゃねーか」

「加減が大事なの! そんな事してるから女子にモテないんだよ!」

「別に俺がモテないのは関係ないだろうが・・・」

「ふんだ! よし、次はメリーゴーランド行こうよ、あっちあっち!」

そう言いながら、俺の服の袖を掴んで小走りにかける四月。

本当無邪気なんだからな~、こいつは。

「んな焦らなくても、メリーゴーランドは逃げないぞ」

「お馬さんだってパッカパッカ走るんだよ!?」

「あれは生き物じゃねーから」

興奮気味の四月を抑えながら、俺はメリーゴーランドへと歩みを進めるのだった。

俺と四月はメリーゴーランドの前まで行くと、チケットを見せて中に入る。

子供連れの家族がたくさんいた。

「私、このお馬さ~ん!」

「はいはい」

「も~。そんなに私とのデート、楽しくないの?」

不機嫌な表情をしながら、四月が俺に不満をぶつけてくる。

いや、別に楽しくないとかそんなんじゃないけど、この年でメリーゴーランドでそんなハイテンションにもなれねーだろうが。

そんな事を言っても、このバカはテンション爆上げなので理解しないだろうがな。

「楽しくないわけじゃないが、メリーゴーランドそんなテンションも上がらん」

「楽しんでくれてるんだ~! よかった!」

「ま、一応はな」

「あ、動いた。始まるよ! 走るよ!」

「分かったから落ち着け、それに動くだけな、走らないからな」

動かない馬に跨り、回転しながら上下に動くだけの乗り物なのに、隣で四月は最高にテンションが上がっている。

おい、尻叩いても速くなるわけじゃねーからな。

そんなバカみたいな事をしている四月の隣で、なんだかんだ言って楽しんでいる自分もいた。

「次はあそこ! お土産やさん!」

「いや、早すぎだろ。そんなもんは最後の方に買うだろ」

「早く買わないと売り切れちゃうよ!?」

「スーパーの特売じゃねーから大丈夫だよ」

「値段安くなってるかも!」

「だからスーパーの特売じゃねーから」

「じゃあどこ行くの!?」


ぐぅぅぅぅぅ


頬を膨らませながら俺にそう言ってきた四月だが、その答えは自分で出した様で、昼食を食べる事にした。

「これは違うの、私じゃないの」

「今この場には俺と四月しかいなかったぞ?」

「じゃ、じゃあ如月くんだよっ!」

「俺は鳴らしてない。それに鳴った時、お腹抑えて顔真っ赤にしてたじゃねーか」

「う、うっさい! アホ! バカ! デリカシー無し男! 変態!」

「お前はどうしても俺を変態に仕立て上げたいみたいだな・・・」

「如月くんがどうしてもって言うなら、ご飯食べに行ってもいいけど~?」

両手を腕の前で組み、上から目線で俺にそう言ってくるこの四月。

今すぐ引っ叩きたくなったが、ここは冷静に大人の対応をとることにした。

「とりあえず、フードコート的な所行くか」

「うんっ!」

俺と四月は早めの昼食を取るため、フードコートを目指す。

四月から園内マップを借りて、場所を確認する。

しばらくマップを眺めていたが、何やら視線を感じ、その方をみると四月が俺の事を見ていた。

「なんだ?俺の顔になんか付いてるか?」

「鼻~」

「俺限定じゃなくてみんな付いてるからな?」

「知ってる~」

「・・・わけのわからん奴だ、お前って」

「考え中の如月くんの顔がちょっとかっこよかったな~って思ってねっ!」

「・・・・・・」

正直、かなりの不意打ちだった。

四月のその返しに、俺は何も反応できずにいた。

「あれれ~!? もしかして照れちゃった~!?」

そう言いながら、俺の頬を人差し指でつついてくる四月。

ああ、ウザかわいいな全く・・・。

今回に関しては、完全に俺の負けである。

「いいから早く行くぞ。妖怪腹減り女」

「だから、お腹鳴ったのは如月くんって事にしたじゃん!」

「うっせ、バーカ」

「バカって言った方が変態なんだもんねーっ!」

どう転んでも、俺は変態にされるらしい。
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