恋愛相談から始まる恋物語

菜の花

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不器用な2人

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次の日の事だった。

俺は昼食を早く食べ終わって、眠っていた。

窓が少し空いているからだろうか、そよ風が気持ちよく吹いてくる。

あ~、このまま学校が終わらないかな~、とそんな非現実的な事を考えていると、俺の元に、天使あくまがやってきた。

「如月くん! 大変だよ! 朗報だよ!」

あれ? 昨日、学校では絡むなって言わなかったか?

いや、言ったはずだ。ちゃんと言ったはずだ。

それを聞いて、四月も気分は落ちていたはずだ。

じゃあ、なんでこいつはここに来たんだ?

「聞いてよ、如月くん! 今週の土曜日にね! 五月先輩とデートにいけ――――」

「黙れ」

俺はガチトーンで、四月の言葉をさえぎった。

恐らく、全く予想していなかった事だろう。

四月は、目をまん丸にして驚いていた。

「ちょっと来い」

「え・・・? ちょっ・・・」

俺は四月の手首を掴んで、教室を出て行く。

今日に限っては次の時間が体育って事もあり、男子は外に、女子は着替えるために更衣室へほとんどが行っていた為、あまり目撃されずにすんだ。

俺はそのまま四月を屋上まで連れて行く。

そしてドアを閉め、思いをぶつけた。

「昨日の俺の話聞いてただろ? 理解してただろ? なのになんで・・・よりによって次の日に来るんだよ」

「・・・だ、だって・・・先輩とデートできるって決まったから・・・如月くんに1番に伝えたくて・・・」

「んなこと、メッセージアプリでも学校が終わった後の電話でもいいじゃねーか。もっと考えて行動しろよ」

今思い返せば、多少の八つ当たりも入っていたんじゃないかと思う。

四月が、あいつが大好きな先輩とのデートの約束を取り付けてきて、それを報告されて。

嬉しい事のはずなのに、やっぱりどこかモヤモヤしていた。

でも、四月の恋が上手くいって欲しいとも思っている。

この気持ちに、嘘はない。

だから・・・それだから、何も分かってくれない四月に腹が立った。

人の気持ちも、苦労も何も知らないで・・・。

「でも、私は・・・」

「でも・・・なんだよ?」

だんだんと、四月の声が震えていってるのが分かった。

俯き、言葉を詰まらせている。

「・・・バカぁ・・・」

そう言って、四月は俺の横を通り過ぎて、屋上から出て行った。

一瞬見えた四月の瞳には、大粒の涙が溜められていた。

あ~あ、やってしまった・・・。

泣かせちゃったよ。

俺の言っている事は間違っていないはずだ。

正しい事を言っているはずだ。それは断言できる。

だが、そんな思いと同時に、もっとやりようは別にあったんじゃないだろうかっとも思った。

頭に血が上っていて、半ば強引に事を成した状態だった。

このまま、嫌われてしまうのだろうか。

でも、それはそれでありなんじゃないかなって思う自分もいた。

このままフェードアウトするのも、1つの解だろう。

そして、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

次は体育の授業だ。

こんな時に元気に身体なんて動かしてられっかよ・・・。

「・・・サボるか」

俺は午後の授業を丸々サボる事にした。

授業をまともに受けていられるほど、今の俺の心は穏やかじゃなかった。

不器用な自分に腹が立つ。

でも、今更もう取り返す事はできない。

俺は、そんな苛立ちと後悔をしながら、屋上から見えるうざったい程に、綺麗な景色を眺めていた。
 








放課後になっても、俺は1人屋上のベンチで座っていた。

何をするわけでもなく、ただひたすらにボーッとしていた。

帰ろうにも、身体が全然動かなかった。

すると、屋上のドアが開けられ音がした。

だが、俺は全く気にせずに、ただひたすらに空を眺めていた。

「ここに居たんだ・・・」

「水無月か」

俺の前に現れたのは、先ほど泣かしてしまった四月の親友、水無月 六日だった。

水無月はそのままゆっくりと俺の隣へ座ってきた。

「七、泣いてたよ」

「・・・知ってる」

「女の子泣かせるなんて、とんだクズだね」

「・・・自覚してる」

水無月は容赦なくそう言ってくる。

大切な親友を泣かせたんだ。

そりゃ、当然の事だろう。

俺は反抗することなく、水無月の言葉を受け入れる事にした。

「でも、あんたの気持ち、ちゃんと分かってるよ」

「・・・は?」

「一応七から話は聞いたから。すっごい怒ってたよ。あんな変態の事なんて、もう知らないって言ってた」

「そうですか・・・」

まぁ、そりゃ嫌われますよね。

こんなをすれば。

だが、水無月は言葉を続ける。

「最近、周りであんた達の事、噂になっててね。あたしも、この状況はどうなんだろう? って思ってた」

「そうか・・・」

「だから、あんたの言ってる事は正しいよ。あたしもそう思うから。でも、七相手なら、もっと別のやり方を選んでも良かったんじゃない?」

「・・・そうだな。今はもう冷静になれてるけど、あの時はどうかしてたよ」

そうだったんだよ。

四月はどうしようもないバカだから、1回言ったくらいじゃ理解しない事も分かってたんだよ。

俺自身がもっと冷静になれていればな。

「あたしからも、七に言っておくから」

そう言う水無月の優しさに触れて、心が温かくなる。

でも、それはダメだ。

「いや、水無月は四月を庇ってあげてくれ。悪者になるのは、俺だけで十分だ」

「は? それじゃああんた、本当に七に嫌われちゃうよ?」

「それはそれで仕方ないだろう。それ程の事を俺はしちゃったって事で。それに、あいつはもう、俺が居なくて――――」

最後まで言う前に、俺の言葉は、乾いた音と鈍い痛みによってかき消されていた。

「あんた、全然冷静になれてないじゃん」

「・・・・・・」

「カッコつかないんだから、変にカッコつけない方がいいよ」

「2人とも悪いでいいじゃん。あんたが全部悪いって、背負い込む必要はないよ」

自己嫌悪まっしぐらだった俺にとって、水無月の言葉は自分の思いとは全く違う答えだった。

だが、逆にその言葉にすごく助けられたし嬉しかった。

「・・・ありがとな、水無月」

「本当、お互い不器用なんだからさ。もっと考えなよ」

「そうだな」

「じゃあ、帰ろっか」

「ん? 四月とかと帰らないのか?」

「七はとっくに帰ったよ」

まあ、そりゃそうか。

何だかんだ、結構話し込んじゃったしな。

俺は未だに思い腰をゆっくりとあげた。

そして両の手で頬を叩く。

「うっし、俺も帰るわ。ありがとな、水無月」

そう言って俺は、水無月の横を通り過ぎて屋上の入り口へ向かった。

「ちょっと!」

すると、後ろから水無月に呼ばれる。

ん? まだ何かあるのか?

そう思い俺は振り向く。

「あんたと話してたから、七と帰れなくなったんだけど?」

「す、すまん・・・」

「そうじゃなくてさ、送ってってよ」

まさかの水無月からのお願いは、自分を家まで送れと言うものだった。

まあ、俺のせいでそうなったのなら仕方がない。

俺に非があるなら、聞く以外ないな。

「分かった、送るよ」

「帰り、寄りたい所あるから」

「はいはい、仰せのままに、お嬢様」

「その言い方、なんかムカつく」

「さーせん」

「校門で待ち合わせね」

「了解」

そして、俺と水無月は2人で屋上を後にした。
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