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ありがとう、さようなら
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「もうそろそろで、お別れだね」
「そうですね。楽しい一時はいつもあっという間ですね!」
「あははっ。そう思ってくれるなら、嬉しいかな」
先輩はそう言って、照れくさそうに笑った。
今日も先輩と一緒に帰っていて、いつもの分かれ道でお別れをする。
この前のWデート以降、先輩はいつも浮かない表情をしていた。
でも、今日の先輩は、前の様に明るく爽やかで、私の好きになった先輩そのものになっていた。
そのことが、たまらなく嬉しかった。
何を悩んで落ち込んでいるかは分からなかったけど、それでも立ち直れたのなら良かったと思った。
「それじゃあ先輩! また明日!」
「あ、待って。七に聞きたい事があるんだ」
そう言って先輩は、私の事を呼び止めた。
今までそんなことは一度もなかったので、私は先輩の行動を不思議に感じた。
でも、先輩の表情は、依然として優しく穏やかなものだった。
「僕は七のこと大好きだよ。今までもそう思ってきたし、これからもずっとそうだと思ってる。大切にしたいって」
「先輩・・・!」
先輩から発せられたその言葉が嬉しくて、つい気分が高揚してしまう。
「七は、僕のことは好きかい?」
先輩がそんな当たり前の質問をしてきた。
そんなのはもちろん好きに決まっている。
私の答えは明白だった。
「もちろん、好きに決まってるじゃないですか!」
当然の答えを私は口にした。
満面の笑みでそう答えた。
別れ際のこのイチャイチャ感が、私たちは付き合っているって事実を再確認させてくれた。
「如月くんと僕、どっちが好き?」
「・・・え?」
先輩は表情を変えずに、そんな事を私に聞いてきた。
あまりにも咄嗟のことだったので、反応が遅れてしまう。
如月くんと先輩を天秤にかけようが、私の答えは変わらない。
「・・・えっと、その・・・」
・・・はずだった。
でも、実際はその気持ちを上手く言葉にできない自分がいた。
如月くんより先輩の方が好きと、ただ一言言うだけなのに、頭ではちゃんと分かってて理解しているのに行動に移せない。
「・・・ごめんね、イジワルな質問して」
そう言って先輩は、またしても優しい微笑みを私にくれた。
そして、私の頭の上に温かい手を置いてゆっくりと数回撫でてくれた。
そして、先輩は私にこう告げた――――。
「・・・別れよう・・・七」
先輩のその言葉を聞いて、自分の心が一気に苦しくなり嫌な感覚に襲われる。
なんでそんな事を言うの・・・?
私の何がいけなかったの・・・?
もう私はやり直せないの・・・?
咄嗟に浮かんできたのは、こんな自己中な考えだった。
何を被害者ヅラしているのだろうか。
こんなに先輩を悩ませて苦しめて結果、追い込んだのは他でもないこの私じゃないか。
なんでそんな事を言うの・・・?
それは、如月くんとへの気持ちを、私が捨てきれていないから。
私の何がいけなかったの・・・?
気持ちが整理できていないまま、先輩と付き合っていたから
もう私はやり直せないの・・・?
きっと、やり直すチャンスは今までに何回もあったはずだった。
でも、それらを全て他でもない自分自身で摘み取ってしまっていたのだろう。
「・・・ごめんなさい」
私から出てきたのは、そんな謝罪の言葉だった。
私を好きでいてくれた先輩への裏切り行為が、こんな言葉で許されるはずがないのだが、それ以上の言葉を選ぶ余裕が私には無かった。
「謝らないでくれよ。七の気持ちを、完全に僕に向けさせられなかった、自分の力不足なんだから」
こんな時でも、先輩は先輩だった。
こんなのどっからどう見たって私が悪い事なのに、それでも先輩は自分のせいだと言った。
先輩のその優しさが私には苦しかった。
先輩にだって如月くんにだって、いっそのことつき離して欲しいのに、それでも彼らのかけてくれる言葉は私を惑わせてくる。
それにバカな私も甘えてしまう。
こんな時に泣くのは違うと思う。
泣きたいのは先輩の方だろうとも。
でも、今は瞳から溢れるソレを自力で止めることはできなかった。
「弱ったなぁ・・・。そんなに泣かないでよ」
そう言って先輩は、私の頬を伝うソレを右手でゆっくりとぬぐってきた。
その優しさにまたさらに流れ始めてしまう。
「僕からフっといて、こうお願いするのは変な話だけどさ・・・幸せにはなって欲しいんだ。七に」
どうして・・・こんな酷い事をした私の・・・ズルイ女である私の幸せを願ってくれるのだろうか。
先輩の懐の広さを計り知れないほどに知った。
いや、思い知らされた。
「高校生の恋愛だよ。きっとすぐに新しい出会いは見つかるよ。それに、七の事を一番理解してくれてる人はすぐ側にいるよ」
そんな事ないよと、私を幸せにしてくれるとは先輩だよと思っても、言える資格なんて持ってなかった。
「七、とても幸せな時間だったよ。ありがとう、さよなら」
最後に、先輩は満面の笑みで私にそう言ってくれた。
『幸せな時間だったよ』
先輩の言ったその過去形の言葉が、いつまでも私の頭を離れることはなかった。
先輩がいなくなった今でも、この場所を離れる事が出来ずにいた。
・
それから、どれくらいの時間が経っただろうか。
私はやっとの思いで歩き始めた。
自分でも、どこに向かっているのかは分からない。
ただ、本能の赴くままに歩いていた。
通り過ぎて行く公園、カフェ、コンビニ。
そのどれもが、先輩との思い出が詰まった場所だった。
自ら手放してしまった幸せを、もう一度掴みたいと思うのは滑稽な話ではあるが、そう願わずにはいられなかった。
そして、私はとある場所へとやってきていた。
何回も来たことがある場所。
何回も訪れたことがある場所。
インターホンを1回鳴らす。
だが、反応はなかった。
そしてもう一度鳴らす。
だが、またしても反応はなかった。
私はそのままその場に座り込んだ。
ここの家の人からしたら迷惑な事だと思うが、それでも今は、彼の顔が見たい一心でその場に留まっていた。
「・・・四月?」
しばらくすると、私に声をかけてくれる男の人の声が聞こえてきた。
ずっと待っていたその声を。
聞いた途端に私の内から熱く迸るモノがあった。
私はその声の主を確認するように見上げた。
そして、はっきりと認識した。
私が望んでいた相手、如月くんの姿であると。
そして私は彼に抱きついた。
「ちょ、四月!?」
とっさのことで、彼はバランスを崩しながらも、私を優しく受け止めてくれた。
そして、私は彼の胸を借りて泣いた。
たくさん・・・たくさん・・・。
「い、いきなりどうしたんだよ?何かあったのか?」
「・・・れ・・・ちゃった・・・」
「は?」
「フラれ・・・ちゃった・・・」
その言葉を口にした瞬間、いろんな思いがまたさらに込み上げてくる。
私のその様子に、彼は何も言わなかった。
だが、支えるだけだった彼の腕に力が入り、私に圧力となって伝わった。
『大丈夫だよ』
そんなはずはないのだが、彼にそう言われた気がした。
「そうですね。楽しい一時はいつもあっという間ですね!」
「あははっ。そう思ってくれるなら、嬉しいかな」
先輩はそう言って、照れくさそうに笑った。
今日も先輩と一緒に帰っていて、いつもの分かれ道でお別れをする。
この前のWデート以降、先輩はいつも浮かない表情をしていた。
でも、今日の先輩は、前の様に明るく爽やかで、私の好きになった先輩そのものになっていた。
そのことが、たまらなく嬉しかった。
何を悩んで落ち込んでいるかは分からなかったけど、それでも立ち直れたのなら良かったと思った。
「それじゃあ先輩! また明日!」
「あ、待って。七に聞きたい事があるんだ」
そう言って先輩は、私の事を呼び止めた。
今までそんなことは一度もなかったので、私は先輩の行動を不思議に感じた。
でも、先輩の表情は、依然として優しく穏やかなものだった。
「僕は七のこと大好きだよ。今までもそう思ってきたし、これからもずっとそうだと思ってる。大切にしたいって」
「先輩・・・!」
先輩から発せられたその言葉が嬉しくて、つい気分が高揚してしまう。
「七は、僕のことは好きかい?」
先輩がそんな当たり前の質問をしてきた。
そんなのはもちろん好きに決まっている。
私の答えは明白だった。
「もちろん、好きに決まってるじゃないですか!」
当然の答えを私は口にした。
満面の笑みでそう答えた。
別れ際のこのイチャイチャ感が、私たちは付き合っているって事実を再確認させてくれた。
「如月くんと僕、どっちが好き?」
「・・・え?」
先輩は表情を変えずに、そんな事を私に聞いてきた。
あまりにも咄嗟のことだったので、反応が遅れてしまう。
如月くんと先輩を天秤にかけようが、私の答えは変わらない。
「・・・えっと、その・・・」
・・・はずだった。
でも、実際はその気持ちを上手く言葉にできない自分がいた。
如月くんより先輩の方が好きと、ただ一言言うだけなのに、頭ではちゃんと分かってて理解しているのに行動に移せない。
「・・・ごめんね、イジワルな質問して」
そう言って先輩は、またしても優しい微笑みを私にくれた。
そして、私の頭の上に温かい手を置いてゆっくりと数回撫でてくれた。
そして、先輩は私にこう告げた――――。
「・・・別れよう・・・七」
先輩のその言葉を聞いて、自分の心が一気に苦しくなり嫌な感覚に襲われる。
なんでそんな事を言うの・・・?
私の何がいけなかったの・・・?
もう私はやり直せないの・・・?
咄嗟に浮かんできたのは、こんな自己中な考えだった。
何を被害者ヅラしているのだろうか。
こんなに先輩を悩ませて苦しめて結果、追い込んだのは他でもないこの私じゃないか。
なんでそんな事を言うの・・・?
それは、如月くんとへの気持ちを、私が捨てきれていないから。
私の何がいけなかったの・・・?
気持ちが整理できていないまま、先輩と付き合っていたから
もう私はやり直せないの・・・?
きっと、やり直すチャンスは今までに何回もあったはずだった。
でも、それらを全て他でもない自分自身で摘み取ってしまっていたのだろう。
「・・・ごめんなさい」
私から出てきたのは、そんな謝罪の言葉だった。
私を好きでいてくれた先輩への裏切り行為が、こんな言葉で許されるはずがないのだが、それ以上の言葉を選ぶ余裕が私には無かった。
「謝らないでくれよ。七の気持ちを、完全に僕に向けさせられなかった、自分の力不足なんだから」
こんな時でも、先輩は先輩だった。
こんなのどっからどう見たって私が悪い事なのに、それでも先輩は自分のせいだと言った。
先輩のその優しさが私には苦しかった。
先輩にだって如月くんにだって、いっそのことつき離して欲しいのに、それでも彼らのかけてくれる言葉は私を惑わせてくる。
それにバカな私も甘えてしまう。
こんな時に泣くのは違うと思う。
泣きたいのは先輩の方だろうとも。
でも、今は瞳から溢れるソレを自力で止めることはできなかった。
「弱ったなぁ・・・。そんなに泣かないでよ」
そう言って先輩は、私の頬を伝うソレを右手でゆっくりとぬぐってきた。
その優しさにまたさらに流れ始めてしまう。
「僕からフっといて、こうお願いするのは変な話だけどさ・・・幸せにはなって欲しいんだ。七に」
どうして・・・こんな酷い事をした私の・・・ズルイ女である私の幸せを願ってくれるのだろうか。
先輩の懐の広さを計り知れないほどに知った。
いや、思い知らされた。
「高校生の恋愛だよ。きっとすぐに新しい出会いは見つかるよ。それに、七の事を一番理解してくれてる人はすぐ側にいるよ」
そんな事ないよと、私を幸せにしてくれるとは先輩だよと思っても、言える資格なんて持ってなかった。
「七、とても幸せな時間だったよ。ありがとう、さよなら」
最後に、先輩は満面の笑みで私にそう言ってくれた。
『幸せな時間だったよ』
先輩の言ったその過去形の言葉が、いつまでも私の頭を離れることはなかった。
先輩がいなくなった今でも、この場所を離れる事が出来ずにいた。
・
それから、どれくらいの時間が経っただろうか。
私はやっとの思いで歩き始めた。
自分でも、どこに向かっているのかは分からない。
ただ、本能の赴くままに歩いていた。
通り過ぎて行く公園、カフェ、コンビニ。
そのどれもが、先輩との思い出が詰まった場所だった。
自ら手放してしまった幸せを、もう一度掴みたいと思うのは滑稽な話ではあるが、そう願わずにはいられなかった。
そして、私はとある場所へとやってきていた。
何回も来たことがある場所。
何回も訪れたことがある場所。
インターホンを1回鳴らす。
だが、反応はなかった。
そしてもう一度鳴らす。
だが、またしても反応はなかった。
私はそのままその場に座り込んだ。
ここの家の人からしたら迷惑な事だと思うが、それでも今は、彼の顔が見たい一心でその場に留まっていた。
「・・・四月?」
しばらくすると、私に声をかけてくれる男の人の声が聞こえてきた。
ずっと待っていたその声を。
聞いた途端に私の内から熱く迸るモノがあった。
私はその声の主を確認するように見上げた。
そして、はっきりと認識した。
私が望んでいた相手、如月くんの姿であると。
そして私は彼に抱きついた。
「ちょ、四月!?」
とっさのことで、彼はバランスを崩しながらも、私を優しく受け止めてくれた。
そして、私は彼の胸を借りて泣いた。
たくさん・・・たくさん・・・。
「い、いきなりどうしたんだよ?何かあったのか?」
「・・・れ・・・ちゃった・・・」
「は?」
「フラれ・・・ちゃった・・・」
その言葉を口にした瞬間、いろんな思いがまたさらに込み上げてくる。
私のその様子に、彼は何も言わなかった。
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