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悪者に成りきれなかった男
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僕は1人、ベッドの上でスマホの通知画面を見つめていた。
それは、僕の好きだった相手。
そして僕がフってしまった相手。
『四月 七』
「会って話をしたい・・・か」
今更会って何を話すと言うのだろうか。
別れ話を切り出してから、日だって経っていないというのに。
フったのは僕だけどら実質はフられたようなものだった。
それなりに僕だって、ダメージは受けている。
七が何を思って、何を考えているかは分からない。
彼女なりに考えがあったとしても、この行動には理解に苦しむばかりだった。
「今更何を話すんだよ・・・」
話すことなんて何もなかった。
むしろ今のこの状況で、七に会ったらまた僕は離れられなくなるだろう。
それ程までにまだ、七への気持ちが残っているのは自覚している。
この気持ちは、時間が解決してくれるだろう。
時が経てば自然と昔話になって、思い出話になって、過去の笑い話にできるだろう。
でも、今はまだ無理だ。
そんなすっぱり割り切れるほど、中途半端に想っていなかったし、精神的にそこまで大人になりきれてもいない。
僕は七からの連絡に、やっとの思いで返信をした。
『今はまだ、会いたくないかな』
そう一言だけ返信した。
スマホをテーブルの上に置き、再度ベッドで仰向けになる。
切り替えが早いのは別に悪いことではないが、だからといって良い気もしなかった。
彼への想いが強いのは重々承知していたけど、彼女の中からこんなにあっさりと自分の存在が消えて無くなってしまっているようで、恐かった。
とても悲しくて苦しくなる。
ただ、何も彼女が前を向いたとは限らない。
よりを戻したいとか、もう一度やり直したいって可能性もあるはずだった。
でも、僕の頭は大いに考えられるその思考を無き者にする。
そんな考えは、儚い幻想に過ぎないと思ったからだ。
意気地なくて情けないと思うが、僕が望んでいることは1つだけだった。
ただ、もう少しだけ時間が欲しい、それだけなんだよ。
・
あの日以来、七から連絡はきていない。
学校ですれ違っても何となく挨拶はするが、ぎこちない感じになっている。
七は毎度毎度なにかを言いたそうにしているが、僕がそれを言わせないように、足早にその場から立ち去ってしまっている。
僕が七と別れたと知ってから、言い寄ってくる女の子は沢山いた。
仲の良い友人達も、早く新しい彼女を作れと言ってくるが、そう簡単に忘れられないし、切り替えることはできなかった。
下校時に襲いかかってくる虚無感が切なかった。
いつも校門の前で待ってくれていた彼女は、もういない。
一緒に帰りながら通った道、その思い出に触れたくなくてルートを変えるが、どの道にも思い出が詰まっていた。
「五月先輩」
「・・・水無月さんか」
後ろから自分の名前を呼ばれて振り向くと、そこには綺麗な顔が台無しじゃないかって思うくらいに、表情を歪めた水無月さんの頭があった。
彼女と会うのは、Wデート後に僕に謝罪をしてきた日以来だ。
彼女は自分を責めた。
自分のした事の所為で、このような事態になってしまったと悔いている。
それは、あの時にも水無月さんのせいじゃないとフォローはしたつもりだ。
遅かれ早かれ、こうなる運命だったのだから。
それでも彼女は、未だに納得していないのだろう。
今の彼女の表情を見れば、その事は一目瞭然だった。
「そんなに暗いと、せっかくの綺麗な顔が台無しだよ?」
「・・・茶化さないでください」
「茶化してるつもりはないんだけね。僕に用でも?」
「いえ、見かけたので」
「そうなんだ。この後は暇かい? 少し話をしないか?」
僕が彼女にそう言うと、その言葉が予想外だったのか水無月さんは驚いていた。
「大丈夫です」
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
そう言って、僕と水無月さんは2人で並んで歩き始めた。
お互いに会話はない。
話をしようかっと言ったのは僕の方だけど、特に話したい事はなかった。
「最近、例の彼とは絡んでるのかい?」
ふと、気になったことを水無月さんに聞いてみた。
「いえ、絡めてません」
「そうか。律儀だね」
きっと、彼女は未だに自分の所為だと思っている。
だからこそ、彼女のプライドが許さないんだと思う。
もしくは、それに恐れているかの二択だろう。
「でも、水無月さんは良い意味でも悪い意味でも考え過ぎだと思うよ」
「考え過ぎ・・・ですか?」
「うん。何度も言うけど、この件で水無月さんが責任を感じることは無いよ」
「・・・・・・」
僕のその言葉に対する彼女の沈黙が、それを肯定と教えてくれた。
まずそこを変えないと、彼女は前に進むことができない。
彼女が前に進む1番てっとり早いやり方は、彼に任せる事だろう。
でも、彼に会うことを彼女自身が拒否をしている以上、それは望めない。
なら、彼女が前を向ける様に、ほんの少しだけでも促そう。
「七はずっと彼を想ってた。それでも僕はこちらに振り向かせようとした。でも出来なかった。ただこれだけの話だよ。僕の力量と魅力の問題なんだよ」
「・・・でも、あのWデートで先輩は全てを決めたんじゃないんですか?」
「そんな事はないよ」
いや、本音を言うと、多少なりの影響は受けていた。
でも、彼女の想いを肯定してしまえば、この作戦は上手くいかなから僕は嘘をついた。
「遅かれ早かれこうなっていたんだよ。それがたまたまWデート後のタイミングと重なっただけだよ。変に気にさせる様にしてすまなかった」
「先輩があたしに謝らないでください」
未だに彼女は納得していない様だった。
それでも、無理矢理にでも納得してもらわないと。
それこそ、僕の所為で彼女が求める恋路を邪魔するわけにはいかない。
七の幸せを願うなら、ここで真実を伝えて彼女を暗闇に放り込めば、彼と七がくっつくだろう。
でも、僕は水無月さんが彼に抱いてる気持ちや想いを、近くで見てきた。
彼女なりに振り向かせようと努力してる姿や、苦悩や葛藤。
それを知っているから、彼女を放っておくこともできなかった。
「水無月さんは、今でも彼の事が好きかい?」
「それは・・・そうですけど」
「なら、どんどんアプローチしないと。彼、結構単純だと思うから流されやすいと思うし」
「・・・でも、やっぱり先輩をこんな状況にしておいて、あたしだけ好きな人と仲良く過ごすって・・・できません」
さすが、七の幼馴染といったところかな。
思考も七に似ていて、少し驚いた。
七もそうだけど、水無月さんももっと自分を中心に物事を考えてもいいんじゃないかと思った。
責任を感じる事が悪いとは言わないけど、それに対する自分の評価をするポイントが間違えているとは思う。
それは、あくまで個人の性で個性なのだろう。
でも、そこを破ってもらわないと先には進めないし、前にも向けない。
「それだと、僕が困るんだよ」
「困る?」
「水無月さんには幸せになってもらいたいんだ」
「あたしが幸せになる権利なんて・・・」
「水無月さんが幸せになってくれないと、僕が苦しくなるんだよ」
「先輩が?」
「水無月さんがあたしのせいで僕と七が別れたって思うなら、僕だって自分のせいで水無月さんが自分の恋愛をできなくなるのは苦しいよ」
これはある意味賭けだった。
僕のこの言葉に水無月さんが納得するかどうかは分からないけど、彼女の性格を考えた時にこれは有効打になると思った。
それに、僕のこの気持ちに嘘はない。
水無月さんの幸せを願っているのも事実だ。
この気持ちには嘘はなかった。
「それは・・・」
「だからさ、これでもう終わりにしないかい? このままじゃ共倒れだ。なら、もうここで終わりにして、お互い前を向かないかい?」
これでもう、この話や関係は終わらせよう。
そして僕は新しい恋を、水無月さんは彼への恋心を懸命に追って欲しかった。
新しい恋を見つけるのはしばらく無理そうだけど、少なくとも彼女には笑っていて欲しかった。
しかし彼女は納得がいかないのか、黙ったままだ。
「水無月さんがそう割り切れない気持ちも理解してる。でも、僕はもう後ろは振り向かないよ」
「・・・・・・」
「水無月さんはどうする?」
僕は最後にそう言って、彼女と別れた。
これで彼女がどう思うかは分からない。
後はもう彼女次第だから。
でも、最後の彼女の表情を見て、先はまだ明るいと感じた。
これからは3人で物語を作り上げて欲しい。
人に諭したからには、僕も行動に移さないとな。
僕自身のケジメもつけなきゃいけない。
僕は夕焼け色に染まる空を眺めながら、そう決意するのだった。
それは、僕の好きだった相手。
そして僕がフってしまった相手。
『四月 七』
「会って話をしたい・・・か」
今更会って何を話すと言うのだろうか。
別れ話を切り出してから、日だって経っていないというのに。
フったのは僕だけどら実質はフられたようなものだった。
それなりに僕だって、ダメージは受けている。
七が何を思って、何を考えているかは分からない。
彼女なりに考えがあったとしても、この行動には理解に苦しむばかりだった。
「今更何を話すんだよ・・・」
話すことなんて何もなかった。
むしろ今のこの状況で、七に会ったらまた僕は離れられなくなるだろう。
それ程までにまだ、七への気持ちが残っているのは自覚している。
この気持ちは、時間が解決してくれるだろう。
時が経てば自然と昔話になって、思い出話になって、過去の笑い話にできるだろう。
でも、今はまだ無理だ。
そんなすっぱり割り切れるほど、中途半端に想っていなかったし、精神的にそこまで大人になりきれてもいない。
僕は七からの連絡に、やっとの思いで返信をした。
『今はまだ、会いたくないかな』
そう一言だけ返信した。
スマホをテーブルの上に置き、再度ベッドで仰向けになる。
切り替えが早いのは別に悪いことではないが、だからといって良い気もしなかった。
彼への想いが強いのは重々承知していたけど、彼女の中からこんなにあっさりと自分の存在が消えて無くなってしまっているようで、恐かった。
とても悲しくて苦しくなる。
ただ、何も彼女が前を向いたとは限らない。
よりを戻したいとか、もう一度やり直したいって可能性もあるはずだった。
でも、僕の頭は大いに考えられるその思考を無き者にする。
そんな考えは、儚い幻想に過ぎないと思ったからだ。
意気地なくて情けないと思うが、僕が望んでいることは1つだけだった。
ただ、もう少しだけ時間が欲しい、それだけなんだよ。
・
あの日以来、七から連絡はきていない。
学校ですれ違っても何となく挨拶はするが、ぎこちない感じになっている。
七は毎度毎度なにかを言いたそうにしているが、僕がそれを言わせないように、足早にその場から立ち去ってしまっている。
僕が七と別れたと知ってから、言い寄ってくる女の子は沢山いた。
仲の良い友人達も、早く新しい彼女を作れと言ってくるが、そう簡単に忘れられないし、切り替えることはできなかった。
下校時に襲いかかってくる虚無感が切なかった。
いつも校門の前で待ってくれていた彼女は、もういない。
一緒に帰りながら通った道、その思い出に触れたくなくてルートを変えるが、どの道にも思い出が詰まっていた。
「五月先輩」
「・・・水無月さんか」
後ろから自分の名前を呼ばれて振り向くと、そこには綺麗な顔が台無しじゃないかって思うくらいに、表情を歪めた水無月さんの頭があった。
彼女と会うのは、Wデート後に僕に謝罪をしてきた日以来だ。
彼女は自分を責めた。
自分のした事の所為で、このような事態になってしまったと悔いている。
それは、あの時にも水無月さんのせいじゃないとフォローはしたつもりだ。
遅かれ早かれ、こうなる運命だったのだから。
それでも彼女は、未だに納得していないのだろう。
今の彼女の表情を見れば、その事は一目瞭然だった。
「そんなに暗いと、せっかくの綺麗な顔が台無しだよ?」
「・・・茶化さないでください」
「茶化してるつもりはないんだけね。僕に用でも?」
「いえ、見かけたので」
「そうなんだ。この後は暇かい? 少し話をしないか?」
僕が彼女にそう言うと、その言葉が予想外だったのか水無月さんは驚いていた。
「大丈夫です」
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
そう言って、僕と水無月さんは2人で並んで歩き始めた。
お互いに会話はない。
話をしようかっと言ったのは僕の方だけど、特に話したい事はなかった。
「最近、例の彼とは絡んでるのかい?」
ふと、気になったことを水無月さんに聞いてみた。
「いえ、絡めてません」
「そうか。律儀だね」
きっと、彼女は未だに自分の所為だと思っている。
だからこそ、彼女のプライドが許さないんだと思う。
もしくは、それに恐れているかの二択だろう。
「でも、水無月さんは良い意味でも悪い意味でも考え過ぎだと思うよ」
「考え過ぎ・・・ですか?」
「うん。何度も言うけど、この件で水無月さんが責任を感じることは無いよ」
「・・・・・・」
僕のその言葉に対する彼女の沈黙が、それを肯定と教えてくれた。
まずそこを変えないと、彼女は前に進むことができない。
彼女が前に進む1番てっとり早いやり方は、彼に任せる事だろう。
でも、彼に会うことを彼女自身が拒否をしている以上、それは望めない。
なら、彼女が前を向ける様に、ほんの少しだけでも促そう。
「七はずっと彼を想ってた。それでも僕はこちらに振り向かせようとした。でも出来なかった。ただこれだけの話だよ。僕の力量と魅力の問題なんだよ」
「・・・でも、あのWデートで先輩は全てを決めたんじゃないんですか?」
「そんな事はないよ」
いや、本音を言うと、多少なりの影響は受けていた。
でも、彼女の想いを肯定してしまえば、この作戦は上手くいかなから僕は嘘をついた。
「遅かれ早かれこうなっていたんだよ。それがたまたまWデート後のタイミングと重なっただけだよ。変に気にさせる様にしてすまなかった」
「先輩があたしに謝らないでください」
未だに彼女は納得していない様だった。
それでも、無理矢理にでも納得してもらわないと。
それこそ、僕の所為で彼女が求める恋路を邪魔するわけにはいかない。
七の幸せを願うなら、ここで真実を伝えて彼女を暗闇に放り込めば、彼と七がくっつくだろう。
でも、僕は水無月さんが彼に抱いてる気持ちや想いを、近くで見てきた。
彼女なりに振り向かせようと努力してる姿や、苦悩や葛藤。
それを知っているから、彼女を放っておくこともできなかった。
「水無月さんは、今でも彼の事が好きかい?」
「それは・・・そうですけど」
「なら、どんどんアプローチしないと。彼、結構単純だと思うから流されやすいと思うし」
「・・・でも、やっぱり先輩をこんな状況にしておいて、あたしだけ好きな人と仲良く過ごすって・・・できません」
さすが、七の幼馴染といったところかな。
思考も七に似ていて、少し驚いた。
七もそうだけど、水無月さんももっと自分を中心に物事を考えてもいいんじゃないかと思った。
責任を感じる事が悪いとは言わないけど、それに対する自分の評価をするポイントが間違えているとは思う。
それは、あくまで個人の性で個性なのだろう。
でも、そこを破ってもらわないと先には進めないし、前にも向けない。
「それだと、僕が困るんだよ」
「困る?」
「水無月さんには幸せになってもらいたいんだ」
「あたしが幸せになる権利なんて・・・」
「水無月さんが幸せになってくれないと、僕が苦しくなるんだよ」
「先輩が?」
「水無月さんがあたしのせいで僕と七が別れたって思うなら、僕だって自分のせいで水無月さんが自分の恋愛をできなくなるのは苦しいよ」
これはある意味賭けだった。
僕のこの言葉に水無月さんが納得するかどうかは分からないけど、彼女の性格を考えた時にこれは有効打になると思った。
それに、僕のこの気持ちに嘘はない。
水無月さんの幸せを願っているのも事実だ。
この気持ちには嘘はなかった。
「それは・・・」
「だからさ、これでもう終わりにしないかい? このままじゃ共倒れだ。なら、もうここで終わりにして、お互い前を向かないかい?」
これでもう、この話や関係は終わらせよう。
そして僕は新しい恋を、水無月さんは彼への恋心を懸命に追って欲しかった。
新しい恋を見つけるのはしばらく無理そうだけど、少なくとも彼女には笑っていて欲しかった。
しかし彼女は納得がいかないのか、黙ったままだ。
「水無月さんがそう割り切れない気持ちも理解してる。でも、僕はもう後ろは振り向かないよ」
「・・・・・・」
「水無月さんはどうする?」
僕は最後にそう言って、彼女と別れた。
これで彼女がどう思うかは分からない。
後はもう彼女次第だから。
でも、最後の彼女の表情を見て、先はまだ明るいと感じた。
これからは3人で物語を作り上げて欲しい。
人に諭したからには、僕も行動に移さないとな。
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