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あたしは七と一緒に背中合わせのまましゃがみ込んでいた。
お互いに泣き出して、どれくらいが経っただろうか?
お互いが泣き止んでから、どれくらい経っただろうか?
お互いの沈黙の時間は、どれほど長かっただろうか?
「・・・ごめん、七・・・」
「だから、六日は悪くないよ」
「仮にそうだったとしても、ソレは手を出していい理由にはならないから」
長い沈黙の末にあたしが絞りだした言葉は、ごく普通のありきたりな謝罪の言葉だった。
謝った所で、今の現状が大幅に変わる事はない。
失ったモノだって戻るわけがない。
それでも、謝らずにはいられなかった。
「六日はさ、如月くんのどんな所が好きになったの?」
七から振られた話は、今の流れからは明らかに不自然な話題だった。
きっと、七が気を使って話題を変えてくれたんだろうな、と思った。
だが、変えた話題も話題で、今のあたしと七の関係には、なかなかにヘビーな質問だった。
その質問が、本当に咄嗟に考えついたモノなのか、もしくは七があえてソレを狙って質問してきたのかは分からない。
咄嗟に考えついたのなら七らしいと思うが、あえてだとしたら驚いてしまう。
いつから、こんなに強くて性格悪くなってしまったのだろうと思ってしまう。
でもそれは、七に限った話じゃなくて、あたしにも当てはまる事だった。
めんどくささと性格の悪さなら、きっと七よりあたしの方が上だ。
「私は、如月くんの優しい所が好きかな」
「・・・バカな所」
「頼りになる所とかも好きかな」
「・・・空気読めない所」
「何だかんだ私の為にいろいろ動いてくれる所とかも」
「・・・アホでクズな所」
自分から辛い荊の道を選んだバカ。
でも、そんな一途に想う気持ちが、羨ましくて好きだよ。
恋愛の経験っていうか、女の子に慣れてなさ過ぎてデリカシーない発言とかして空気読めない。
でも、たまにそんな距離感ぶち壊してくる所。
あんたのソレに何度も救われた。
本当、どうしようもないアホでバカでクズ。
でも、いつのまにか好きになっちゃったから、今はもうそれすら愛おしく感じてしまうんだよ。
今でも、あんたの事を考えたら、悪口しか思い浮かばない。
でも、たくさんある悪い所も、ほんの少しだけある良い所も、全部含めてあたしはあんたの事が好きなんだ。
「・・・六日は、如月くんの事をよく見てるんだね」
「・・・うん・・・」
見てるよそりゃ。
好きになった相手の事なら、どんな事だって知りたいから、気がつくと目で追ってる自分がいる。
どんな女性が好みで、どんな服装が好きなのかな。
好きな食べ物は何だろう、趣味は何なのだろう。
普段はどんな音楽を聞いて、どんなテレビを見るのだろう。
すごく重要な事から、どうでもいい些細な事まで振り幅は大きいが、そのどれもがあたしの知りたいコト。
あんたの情報だから。
「私の好きは、相手の良い所しか見えていない、そんな感じの好き。だだの子供の恋愛に過ぎないよね。ただただ恋してるだけなんだよ」
「・・・・・・」
「六日は違う。ちゃんと相手の良い所も悪い所も分かって、それでも好きなんだから。子供がする一時の感情での恋愛じゃなくて、愛なんだよね」
七の言っている言葉の意味が、イマイチ理解できなかった。
あたしも七も同じ人を好きになったはずだから、七も同じ気持ちだと思っていたからだ。
「でもね、敵わないと思っても私は足掻くよ。いろんな人を巻き込んで、迷惑かけてダメダメだったけど、それでもこの気持ちはちゃんと伝えたい」
前向きにそう言った七の声音は、震えていた。
七自身も、自分の発言している言葉の重みくらいは、分かっていると言うコトだった。
よく言えば前向き、悪く言えば図々しい。
「自分でも都合良いってのは分かってるけど、それでも欲しいものは欲しいから。例え確率が0%でも、ほんの少しでも希望があるなら、私は頑張るの」
確率が0%だと希望もナニもないんじゃないかと思ったが、七の言いたいコトはなんとなく分かったから、ここでそんな下らないツッコミをしようなんて思わなかった。
でも、これも普通の恋愛感情だ。
七が歪んでいるわけじゃない。
ドラマやマンガの様に、綺麗で華やかで美しい恋愛だけじゃない。
こうやって誰かが笑って、誰かが傷つくような後味が悪く、それでも笑って前を見なきゃいけない恋愛もある。
きっと七はもう覚悟をしているんだ。
自分のしてきたコトへの後悔もして、全てを受け止めて、最終的にアイツを求めることを決めたんだと思う。
こうやって、あたしの幼馴染は、いつもあたしなんかよりよっぽど前向きで先に進んでいる。
何だかんだ言ったって、いつもその背中を追っていたに過ぎないあたし。
現に今、あたしだけが前を向けていない。
独りぼっちだった。
「私、もう行くね。最後のケジメも、いつか果たさないとだから」
そう言って七は立ち上がった。
やっぱり、あたしより先に立ち上がるんだよね。
そんな七がカッコよく見えて羨ましく思えた。
遠くなっていく幼馴染の背中を、段々と小さくなっても、大きなその背中を見ながらあたしは、1人取り残されていた。
「・・・苦しいよ・・・」
1人ボソッと弱音を吐くが、その言葉は乾いた音と共に何事もなかったかの様に消えていく。
先輩に背中を押され、七にも諭されて尚、あたしは立ち直れていなかった。
でも、自分でも薄々は分かっている。
先輩の言ったことも、七の言ったことも、頭ではちゃんと理解している。
それでも本当に、あたしは自分の好きに生きていいのだろうか。
許されるのだろうかの疑問に対して、ネガティブな発想しか出てこなくて、不安が込み上げてきて心を縛りつけていた。
だからあたしは、最後にあんたに背中を押して欲しいんだなと思った。
あたしの恋を応援してくれて、手伝ってくれた心優しい先輩じゃなくて、
幼い頃からずっと一緒にいた、幼馴染の七でもなくて、
バカでアホでドジでマヌケで空気読めない男に、一言だけでいいから、言葉をかけて欲しかった。
引っ込み思案のくせに性格悪いっていう、こんなどうしようもないあたしが安心できるように、救われる様な言葉をかけて欲しいと思った。
「・・・会いたいな・・・」
・
こういった時は、白馬の王子さまが迎えにきてくれる方がロマンチックだと思うが、そもそもアイツがあたしを探してるかどうかも分からない。
だから・・・自ら来てしまった。
あたしを救ってくれるであろう、白馬の王子さまを求めて。
震える手でインターホンを押す。
しばらく経ったが、反応はなかった。
恐る恐るもう一度インターホンを押すが、案の定反応はないものだった。
知っていたことだ、分かっていたことだった。
現実がこんなに甘くないことなんて。
気持ちが落ちていたせいなのか、ついついあるはずのない理想や妄想を膨らませていただけに過ぎなかった。
「・・・嫌われちゃったかな」
少しずつ芽生えていたその思考を口に出した途端、あたしの奥の方から熱く迸るモノが溢れ出てくる。
もう・・・声すら出てこない。
足元の白いアスファルトに、黒いシミがいくつもいくつもできていた。
小さなソレらのシミは、やがて大きなシミへと変わっていく。
夜の暗い住宅街で、憎たらしい程に綺麗な月明かりと、悲劇のヒロインを照らすかの様な街灯の光が、あたしを照らしていた。
「・・・六日・・・?」
何度も聞いたその声は、間違えるはずがなかった。
今のあたしがとても会いたくて、仕方がなかった相手の声が後ろから聞こえてきた。
嬉しいはずなのに、やっぱり恐くて仕方がない。
あんたはあたしになんて言うのかな・・・。
ちゃんと怒ってくれるのかな・・・。
それとも慰めてくれるのかな・・・。
それとも・・・もう、どうでもよかったりするのかな・・・。
少しずつ近づいてくる彼の足音が恐くて、その場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになるけど、それでもこの足は動かなかった。
近づく足音は、あたしのすぐ後ろまで来て鳴り止む。
そして、あたしの頭の上に何かが乗せられて、ソレにあたたかな温もりを感じた。
あたしを痛めつける為ではなく、ソッと優しく、慰めてくれる様なそんな温もりだった。
「探したぞ、六日・・・」
その声がとても心地良くて、荒れていたあたしの心にすんなりと響いてきた。
ずっと逃げ続けてきて、自分勝手で都合良く現れたあたしに怒ることなくあんたはそう言った。
その心遣いが温かくて、その事が申し訳ない程に嬉しくて涙が次から次へと溢れ出てくる。
そして、あたしは改めて実感する。
あたしは・・・やっぱり、あんたのことが好きなんだってことを。
お互いに泣き出して、どれくらいが経っただろうか?
お互いが泣き止んでから、どれくらい経っただろうか?
お互いの沈黙の時間は、どれほど長かっただろうか?
「・・・ごめん、七・・・」
「だから、六日は悪くないよ」
「仮にそうだったとしても、ソレは手を出していい理由にはならないから」
長い沈黙の末にあたしが絞りだした言葉は、ごく普通のありきたりな謝罪の言葉だった。
謝った所で、今の現状が大幅に変わる事はない。
失ったモノだって戻るわけがない。
それでも、謝らずにはいられなかった。
「六日はさ、如月くんのどんな所が好きになったの?」
七から振られた話は、今の流れからは明らかに不自然な話題だった。
きっと、七が気を使って話題を変えてくれたんだろうな、と思った。
だが、変えた話題も話題で、今のあたしと七の関係には、なかなかにヘビーな質問だった。
その質問が、本当に咄嗟に考えついたモノなのか、もしくは七があえてソレを狙って質問してきたのかは分からない。
咄嗟に考えついたのなら七らしいと思うが、あえてだとしたら驚いてしまう。
いつから、こんなに強くて性格悪くなってしまったのだろうと思ってしまう。
でもそれは、七に限った話じゃなくて、あたしにも当てはまる事だった。
めんどくささと性格の悪さなら、きっと七よりあたしの方が上だ。
「私は、如月くんの優しい所が好きかな」
「・・・バカな所」
「頼りになる所とかも好きかな」
「・・・空気読めない所」
「何だかんだ私の為にいろいろ動いてくれる所とかも」
「・・・アホでクズな所」
自分から辛い荊の道を選んだバカ。
でも、そんな一途に想う気持ちが、羨ましくて好きだよ。
恋愛の経験っていうか、女の子に慣れてなさ過ぎてデリカシーない発言とかして空気読めない。
でも、たまにそんな距離感ぶち壊してくる所。
あんたのソレに何度も救われた。
本当、どうしようもないアホでバカでクズ。
でも、いつのまにか好きになっちゃったから、今はもうそれすら愛おしく感じてしまうんだよ。
今でも、あんたの事を考えたら、悪口しか思い浮かばない。
でも、たくさんある悪い所も、ほんの少しだけある良い所も、全部含めてあたしはあんたの事が好きなんだ。
「・・・六日は、如月くんの事をよく見てるんだね」
「・・・うん・・・」
見てるよそりゃ。
好きになった相手の事なら、どんな事だって知りたいから、気がつくと目で追ってる自分がいる。
どんな女性が好みで、どんな服装が好きなのかな。
好きな食べ物は何だろう、趣味は何なのだろう。
普段はどんな音楽を聞いて、どんなテレビを見るのだろう。
すごく重要な事から、どうでもいい些細な事まで振り幅は大きいが、そのどれもがあたしの知りたいコト。
あんたの情報だから。
「私の好きは、相手の良い所しか見えていない、そんな感じの好き。だだの子供の恋愛に過ぎないよね。ただただ恋してるだけなんだよ」
「・・・・・・」
「六日は違う。ちゃんと相手の良い所も悪い所も分かって、それでも好きなんだから。子供がする一時の感情での恋愛じゃなくて、愛なんだよね」
七の言っている言葉の意味が、イマイチ理解できなかった。
あたしも七も同じ人を好きになったはずだから、七も同じ気持ちだと思っていたからだ。
「でもね、敵わないと思っても私は足掻くよ。いろんな人を巻き込んで、迷惑かけてダメダメだったけど、それでもこの気持ちはちゃんと伝えたい」
前向きにそう言った七の声音は、震えていた。
七自身も、自分の発言している言葉の重みくらいは、分かっていると言うコトだった。
よく言えば前向き、悪く言えば図々しい。
「自分でも都合良いってのは分かってるけど、それでも欲しいものは欲しいから。例え確率が0%でも、ほんの少しでも希望があるなら、私は頑張るの」
確率が0%だと希望もナニもないんじゃないかと思ったが、七の言いたいコトはなんとなく分かったから、ここでそんな下らないツッコミをしようなんて思わなかった。
でも、これも普通の恋愛感情だ。
七が歪んでいるわけじゃない。
ドラマやマンガの様に、綺麗で華やかで美しい恋愛だけじゃない。
こうやって誰かが笑って、誰かが傷つくような後味が悪く、それでも笑って前を見なきゃいけない恋愛もある。
きっと七はもう覚悟をしているんだ。
自分のしてきたコトへの後悔もして、全てを受け止めて、最終的にアイツを求めることを決めたんだと思う。
こうやって、あたしの幼馴染は、いつもあたしなんかよりよっぽど前向きで先に進んでいる。
何だかんだ言ったって、いつもその背中を追っていたに過ぎないあたし。
現に今、あたしだけが前を向けていない。
独りぼっちだった。
「私、もう行くね。最後のケジメも、いつか果たさないとだから」
そう言って七は立ち上がった。
やっぱり、あたしより先に立ち上がるんだよね。
そんな七がカッコよく見えて羨ましく思えた。
遠くなっていく幼馴染の背中を、段々と小さくなっても、大きなその背中を見ながらあたしは、1人取り残されていた。
「・・・苦しいよ・・・」
1人ボソッと弱音を吐くが、その言葉は乾いた音と共に何事もなかったかの様に消えていく。
先輩に背中を押され、七にも諭されて尚、あたしは立ち直れていなかった。
でも、自分でも薄々は分かっている。
先輩の言ったことも、七の言ったことも、頭ではちゃんと理解している。
それでも本当に、あたしは自分の好きに生きていいのだろうか。
許されるのだろうかの疑問に対して、ネガティブな発想しか出てこなくて、不安が込み上げてきて心を縛りつけていた。
だからあたしは、最後にあんたに背中を押して欲しいんだなと思った。
あたしの恋を応援してくれて、手伝ってくれた心優しい先輩じゃなくて、
幼い頃からずっと一緒にいた、幼馴染の七でもなくて、
バカでアホでドジでマヌケで空気読めない男に、一言だけでいいから、言葉をかけて欲しかった。
引っ込み思案のくせに性格悪いっていう、こんなどうしようもないあたしが安心できるように、救われる様な言葉をかけて欲しいと思った。
「・・・会いたいな・・・」
・
こういった時は、白馬の王子さまが迎えにきてくれる方がロマンチックだと思うが、そもそもアイツがあたしを探してるかどうかも分からない。
だから・・・自ら来てしまった。
あたしを救ってくれるであろう、白馬の王子さまを求めて。
震える手でインターホンを押す。
しばらく経ったが、反応はなかった。
恐る恐るもう一度インターホンを押すが、案の定反応はないものだった。
知っていたことだ、分かっていたことだった。
現実がこんなに甘くないことなんて。
気持ちが落ちていたせいなのか、ついついあるはずのない理想や妄想を膨らませていただけに過ぎなかった。
「・・・嫌われちゃったかな」
少しずつ芽生えていたその思考を口に出した途端、あたしの奥の方から熱く迸るモノが溢れ出てくる。
もう・・・声すら出てこない。
足元の白いアスファルトに、黒いシミがいくつもいくつもできていた。
小さなソレらのシミは、やがて大きなシミへと変わっていく。
夜の暗い住宅街で、憎たらしい程に綺麗な月明かりと、悲劇のヒロインを照らすかの様な街灯の光が、あたしを照らしていた。
「・・・六日・・・?」
何度も聞いたその声は、間違えるはずがなかった。
今のあたしがとても会いたくて、仕方がなかった相手の声が後ろから聞こえてきた。
嬉しいはずなのに、やっぱり恐くて仕方がない。
あんたはあたしになんて言うのかな・・・。
ちゃんと怒ってくれるのかな・・・。
それとも慰めてくれるのかな・・・。
それとも・・・もう、どうでもよかったりするのかな・・・。
少しずつ近づいてくる彼の足音が恐くて、その場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになるけど、それでもこの足は動かなかった。
近づく足音は、あたしのすぐ後ろまで来て鳴り止む。
そして、あたしの頭の上に何かが乗せられて、ソレにあたたかな温もりを感じた。
あたしを痛めつける為ではなく、ソッと優しく、慰めてくれる様なそんな温もりだった。
「探したぞ、六日・・・」
その声がとても心地良くて、荒れていたあたしの心にすんなりと響いてきた。
ずっと逃げ続けてきて、自分勝手で都合良く現れたあたしに怒ることなくあんたはそう言った。
その心遣いが温かくて、その事が申し訳ない程に嬉しくて涙が次から次へと溢れ出てくる。
そして、あたしは改めて実感する。
あたしは・・・やっぱり、あんたのことが好きなんだってことを。
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