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ありがとう
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メッセージアプリでの連絡が返ってこない以上、連絡の取りようががないので、俺は六日の行きそうな場所を手当たり次第に回っていた。
自分の中では冷静に対応していたつもりだったが、単純に考えれば六日の家へ行けばそんな問題はすぐに解決できただろう。
でも、それをしなかったってコトは、やはり冷静に対応できていなかったってコトになる。
今日もその成果は何もなく、走り回って疲れた足にムチを打って帰宅する。
だが、そんな時に俺の家の前でただ1人、立ち尽くしている人影があった。
一体こんな時間に誰だろう? ってなったが、近づく度に段々と見えてくるその姿に、俺は息を飲んだ。
ずっと心配で心配でしょうがなかった相手が、ずっとずっと探していた相手が目の前にいたのだ。
ずっと俺を避けていた彼女が、どうして俺の家の前に現れたのか、どんな心境の変化があったのかは分からない。
でも、今はそんなコトはどうでも良かった。
もう一度目の前に現れてくれて、ただただ安心した。
もう既に誰だかは分かっているが、あえて名前を呼んでみる。
驚いたように震えていて、俺の方には見向きもしない。
少しずつ近づいていくと、震えてはいるが逃げる気はないらしい。
ただ、足が動かない可能性もあったが、どちらにせよ今の俺にとっては好都合だった。
今までどこで何をしていたのか?
なんで連絡を返さなかったのか?
どんだけ心配したと思ってるんだ?
言いたいコトはたくさんあるが、今はそうじゃないだろと思った。
俺は六日の後ろに立って、頭の上に右手を置いて優しく撫でた。
「探したぞ、六日」
震えながら鼻をすする音が聞こえてくる。
六日が今どんな感情でどんな気持ちでいるのかは分からない。
悲しんでるのか喜んでいるのかは分からないけど、今はソッとしておいてあげようと思った。
六日から歩み寄ってくれるまでは、ただ黙って側にいてあげようと。
俺の問いかけにうんともすんとも言わない六日に、俺はもう一度だけ話しかける。
「とりあえず、中入るか?」
すると、彼女はゆっくりと1度だけ首を縦に動かした。
俺はその動作を確認すると、六日の手を引いて家の中へと連れて行く。
握った六日の手は、驚くほどに冷たくなっていた。
・
六日を家の中へ入れてソファーに座らせて、俺は1人台所へ向かいお湯を沸かす。
冷え切った六日の心と身体を温める為、ホットミルクティーを作ろうとしていた。
相変わらず六日は何も話さない。
ただ、電気ケトルのお湯を沸かしてる音と、掛け時計の時間を刻む音だけがテンポよく響いているだけだった。
テーブルの上にやさしくソッとマグカップを置く。
出来立てでまだ熱いソレを、俺は自らの息を吹きかけながら、微妙に冷まして少しずつ飲んでいく。
ひたすら走り回っていたせいか、疲労が溜まっていたのだろう。
今飲んでいるミルクティーが、とても甘く感じた。
しばらくすると、六日もマグカップに手を伸ばして、両手で支えながら俺と同じ様に息を吹きかけて冷ましてちびちびと飲み始めた。
「・・・熱い」
「そりゃ、出来立てだからな」
やっと口を開いたと思ったら、そんな愚痴だった。
でも、逆にそのことで少し安心できた自分もいた。
きっかけは作ったし、六日も踏み出そうとしている。
なら後はただ待つだけだった。
またしても訪れたのは、掛け時計の時を刻む音と俺がミルクティーをすする音だけだった。
すると、六日はおもむろにスマホを取り出して何かを確認し始めた。
しばらくしてからスマホをいじるのをやめて、テーブルの上に置いた。
「・・・ごめんね。連絡無視してて」
そう言って六日は、俺に謝ってきた。
スマホを確認したのは、俺からの連絡が溜まっていたのを確認して見たのだろう。
「そのことは別にいいよ。やっと会えたし」
「怒らないの?」
「は? なんで怒るんだよ」
「・・・・・・」
俺の問い掛けに六日は答えることはなかった。
きっと六日はまだ自分のことを責めているんだ。
先輩と七が別れる原因が、あのWデートでそのきっかけを作ったのは六日だった。
でも、先輩と電話で話したあの日のやり取りを振り返ると、何もあの日のことで別れを決意した訳ではないと思った。
多少の要素はあったとしても、そこが決定打なわけではなく、小さなきっかけがいくつもいくつも重なって、もうどうしようもない所まできてしまっていたのだろう。
だからそれを考えると六日に落ち度はない。
むしろ悪いのは俺と四月の方だろう。
俺への想いを忘れられなかった四月。
四月の気持ちをスッパリと断れなかった俺。
悪いのは明らかに俺達だった。
それでも六日は、自分のせいだと思ってずっと苦しんでいた。
自分が哀れで泣きたくなってくるよ。
俺のことをずっと思って支えてくれた人を、自分の都合で悲しませて苦しませてるんだから。
だから、せめてもの償いとして、俺には彼女を救わなきゃいけない義務がある。
「六日、お前は何も悪くない」
俺のその言葉にびっくりしたのか一瞬身体が跳ねたが、また先程の様に震え始める。
やっぱり、六日はそのコトに負い目を感じていたんだ。
さて、ここからどうしていこうかなと考えていた矢先だった。
「・・・あたし、サイテーな女だよ」
「どうした?」
「先輩と七の間めちゃくちゃにしてさ」
「だからそれは——――」
「今は聞いて」
俺の言葉を遮るように、六日がそう言ってきた。
俺はそれを聞いて黙り込む。
まずは、溜めていたありったけの想いを吐かせろってコトか。
俺は大人しく次の言葉を待った。
「1人で責任感じて悩んでさ。こうやってあんたにも迷惑かけてさ」
そう言って、ちょっとはにかんだ六日の笑顔は、美しくも儚いものだった。
六日のこんな表情は見ていたくなかった。
「先輩が背中を押してくれてもダメで、七も背中を押してくれてもダメだった。前に向けないんだ」
六日の話す声音が、どんどん震えていくのが分かる。
それでも俺は、六日の言葉を遮るコトなく聞いている。
だって、それが六日のお願いだから。
「七なんかさ、自分がサイテーって思われてもいいってくらいにイヤな女演じてさ。思わず叩いちゃったもん」
「叩いちゃまずいだろ」
「あはは・・・そうだよね。でもね、自分の悪い所全部受け止めて、それでいて覚悟しててね。七はもうとっくに前を向いてたんだ」
そんなコトがあった事実は知らなかったが、七が前を向いたのはもう既に知っていた。
アイツはやることなすことはめちゃくちゃだけど、ちゃんと四月 七って自分の色カラーをちゃんと持ってるようなヤツだ。
「あたし・・・バカだよね」
「そうだな、バカだな」
「そう・・・だよね」
「ああ。本当、1人で塞ぎ込んでバカだよ」
俺が辛くて悲しんでいた時は、側にいてくれたのはお前らんだったろうが。
人のことはお節介みたいに助けるクセに、自分のことになると誰にも頼らず1人で悩んで塞ぎ込む。
六日のことをすごいと思ったことはたくさんあるが、それでもか弱い女の子なんだってことも分かっている。
「少しは周りを頼れよ」
「・・・うん。ごめん」
「やけに素直だな」
「そんな気分じゃないから」
すると、六日は俺の肩に頭を乗せてくる。
俺はそのまま黙って肩を貸した。
「やっぱりあんたと居ると落ち着くね」
「そりゃどーも」
「ねぇ、1つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「あたしさ、本当に悪くないのかな・・・?」
俺はそんな六日の弱気な言葉に、こう返した。
「誰がなんと言おうと、六日は悪くない。絶対にな」
「・・・そっか・・・」
そう言うと、六日の身体はまた震え出していて、次第に鼻をすする音が聞こえてきた。
すると、六日は俺の胸元に顔を埋めてくる。
普段は見せない、甘えたい時の六日モードだった。
「・・・何してんだよ?」
「泣き顔・・・見られたくない」
「あっそ」
そう言って、声を殺しながら静かに泣く六日の頭を優しく撫でていた。
いつまでこうしていたかは分からないが、不意に六日が俺に話しかけてきた。
「先輩にも七にも同じこと言われたけど・・・それでも前に進めなくってさ。やっぱり・・・あんたなんだなって」
「・・・そうか・・・」
「うん。だからね、ありがとう」
素直にお礼を言われると慣れていないせいか、どう反応したらいいのか分からなくなる。
こうして改めて見てみると、六日はやっぱり美形だしドキドキもしてしまう。
「それと、ちょっと汗臭い」
「うっせ、お前のこと探してたんだからしょうがないだろ」
「そっか・・・!」
すると、1度離れたかと思えば六日は、また俺の胸元に顔を埋めてきた。
いや、たった今汗臭いとか言ったばっかだろお前?
「汗臭いんだろ、俺」
「いいよ。気にしない」
「いや、俺が気にするからな・・・」
「今日だけは・・・ごめんね」
こんなコトされて、そんな弱々しい言葉を吐かれた拒否なんてできるはずないじゃねーか。
俺はそのまま黙って六日にされるがままにしていた。
しばらくすると、泣き疲れなのか普通に疲れたのかは分からないが、静かな寝息が聞こえてきた。
汗臭いだのと愚痴った俺の胸の中でよく寝られるなと思いながらも、俺はそのまま六日が自然に起きるまでそのままにしておくのだった。
自分の中では冷静に対応していたつもりだったが、単純に考えれば六日の家へ行けばそんな問題はすぐに解決できただろう。
でも、それをしなかったってコトは、やはり冷静に対応できていなかったってコトになる。
今日もその成果は何もなく、走り回って疲れた足にムチを打って帰宅する。
だが、そんな時に俺の家の前でただ1人、立ち尽くしている人影があった。
一体こんな時間に誰だろう? ってなったが、近づく度に段々と見えてくるその姿に、俺は息を飲んだ。
ずっと心配で心配でしょうがなかった相手が、ずっとずっと探していた相手が目の前にいたのだ。
ずっと俺を避けていた彼女が、どうして俺の家の前に現れたのか、どんな心境の変化があったのかは分からない。
でも、今はそんなコトはどうでも良かった。
もう一度目の前に現れてくれて、ただただ安心した。
もう既に誰だかは分かっているが、あえて名前を呼んでみる。
驚いたように震えていて、俺の方には見向きもしない。
少しずつ近づいていくと、震えてはいるが逃げる気はないらしい。
ただ、足が動かない可能性もあったが、どちらにせよ今の俺にとっては好都合だった。
今までどこで何をしていたのか?
なんで連絡を返さなかったのか?
どんだけ心配したと思ってるんだ?
言いたいコトはたくさんあるが、今はそうじゃないだろと思った。
俺は六日の後ろに立って、頭の上に右手を置いて優しく撫でた。
「探したぞ、六日」
震えながら鼻をすする音が聞こえてくる。
六日が今どんな感情でどんな気持ちでいるのかは分からない。
悲しんでるのか喜んでいるのかは分からないけど、今はソッとしておいてあげようと思った。
六日から歩み寄ってくれるまでは、ただ黙って側にいてあげようと。
俺の問いかけにうんともすんとも言わない六日に、俺はもう一度だけ話しかける。
「とりあえず、中入るか?」
すると、彼女はゆっくりと1度だけ首を縦に動かした。
俺はその動作を確認すると、六日の手を引いて家の中へと連れて行く。
握った六日の手は、驚くほどに冷たくなっていた。
・
六日を家の中へ入れてソファーに座らせて、俺は1人台所へ向かいお湯を沸かす。
冷え切った六日の心と身体を温める為、ホットミルクティーを作ろうとしていた。
相変わらず六日は何も話さない。
ただ、電気ケトルのお湯を沸かしてる音と、掛け時計の時間を刻む音だけがテンポよく響いているだけだった。
テーブルの上にやさしくソッとマグカップを置く。
出来立てでまだ熱いソレを、俺は自らの息を吹きかけながら、微妙に冷まして少しずつ飲んでいく。
ひたすら走り回っていたせいか、疲労が溜まっていたのだろう。
今飲んでいるミルクティーが、とても甘く感じた。
しばらくすると、六日もマグカップに手を伸ばして、両手で支えながら俺と同じ様に息を吹きかけて冷ましてちびちびと飲み始めた。
「・・・熱い」
「そりゃ、出来立てだからな」
やっと口を開いたと思ったら、そんな愚痴だった。
でも、逆にそのことで少し安心できた自分もいた。
きっかけは作ったし、六日も踏み出そうとしている。
なら後はただ待つだけだった。
またしても訪れたのは、掛け時計の時を刻む音と俺がミルクティーをすする音だけだった。
すると、六日はおもむろにスマホを取り出して何かを確認し始めた。
しばらくしてからスマホをいじるのをやめて、テーブルの上に置いた。
「・・・ごめんね。連絡無視してて」
そう言って六日は、俺に謝ってきた。
スマホを確認したのは、俺からの連絡が溜まっていたのを確認して見たのだろう。
「そのことは別にいいよ。やっと会えたし」
「怒らないの?」
「は? なんで怒るんだよ」
「・・・・・・」
俺の問い掛けに六日は答えることはなかった。
きっと六日はまだ自分のことを責めているんだ。
先輩と七が別れる原因が、あのWデートでそのきっかけを作ったのは六日だった。
でも、先輩と電話で話したあの日のやり取りを振り返ると、何もあの日のことで別れを決意した訳ではないと思った。
多少の要素はあったとしても、そこが決定打なわけではなく、小さなきっかけがいくつもいくつも重なって、もうどうしようもない所まできてしまっていたのだろう。
だからそれを考えると六日に落ち度はない。
むしろ悪いのは俺と四月の方だろう。
俺への想いを忘れられなかった四月。
四月の気持ちをスッパリと断れなかった俺。
悪いのは明らかに俺達だった。
それでも六日は、自分のせいだと思ってずっと苦しんでいた。
自分が哀れで泣きたくなってくるよ。
俺のことをずっと思って支えてくれた人を、自分の都合で悲しませて苦しませてるんだから。
だから、せめてもの償いとして、俺には彼女を救わなきゃいけない義務がある。
「六日、お前は何も悪くない」
俺のその言葉にびっくりしたのか一瞬身体が跳ねたが、また先程の様に震え始める。
やっぱり、六日はそのコトに負い目を感じていたんだ。
さて、ここからどうしていこうかなと考えていた矢先だった。
「・・・あたし、サイテーな女だよ」
「どうした?」
「先輩と七の間めちゃくちゃにしてさ」
「だからそれは——――」
「今は聞いて」
俺の言葉を遮るように、六日がそう言ってきた。
俺はそれを聞いて黙り込む。
まずは、溜めていたありったけの想いを吐かせろってコトか。
俺は大人しく次の言葉を待った。
「1人で責任感じて悩んでさ。こうやってあんたにも迷惑かけてさ」
そう言って、ちょっとはにかんだ六日の笑顔は、美しくも儚いものだった。
六日のこんな表情は見ていたくなかった。
「先輩が背中を押してくれてもダメで、七も背中を押してくれてもダメだった。前に向けないんだ」
六日の話す声音が、どんどん震えていくのが分かる。
それでも俺は、六日の言葉を遮るコトなく聞いている。
だって、それが六日のお願いだから。
「七なんかさ、自分がサイテーって思われてもいいってくらいにイヤな女演じてさ。思わず叩いちゃったもん」
「叩いちゃまずいだろ」
「あはは・・・そうだよね。でもね、自分の悪い所全部受け止めて、それでいて覚悟しててね。七はもうとっくに前を向いてたんだ」
そんなコトがあった事実は知らなかったが、七が前を向いたのはもう既に知っていた。
アイツはやることなすことはめちゃくちゃだけど、ちゃんと四月 七って自分の色カラーをちゃんと持ってるようなヤツだ。
「あたし・・・バカだよね」
「そうだな、バカだな」
「そう・・・だよね」
「ああ。本当、1人で塞ぎ込んでバカだよ」
俺が辛くて悲しんでいた時は、側にいてくれたのはお前らんだったろうが。
人のことはお節介みたいに助けるクセに、自分のことになると誰にも頼らず1人で悩んで塞ぎ込む。
六日のことをすごいと思ったことはたくさんあるが、それでもか弱い女の子なんだってことも分かっている。
「少しは周りを頼れよ」
「・・・うん。ごめん」
「やけに素直だな」
「そんな気分じゃないから」
すると、六日は俺の肩に頭を乗せてくる。
俺はそのまま黙って肩を貸した。
「やっぱりあんたと居ると落ち着くね」
「そりゃどーも」
「ねぇ、1つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「あたしさ、本当に悪くないのかな・・・?」
俺はそんな六日の弱気な言葉に、こう返した。
「誰がなんと言おうと、六日は悪くない。絶対にな」
「・・・そっか・・・」
そう言うと、六日の身体はまた震え出していて、次第に鼻をすする音が聞こえてきた。
すると、六日は俺の胸元に顔を埋めてくる。
普段は見せない、甘えたい時の六日モードだった。
「・・・何してんだよ?」
「泣き顔・・・見られたくない」
「あっそ」
そう言って、声を殺しながら静かに泣く六日の頭を優しく撫でていた。
いつまでこうしていたかは分からないが、不意に六日が俺に話しかけてきた。
「先輩にも七にも同じこと言われたけど・・・それでも前に進めなくってさ。やっぱり・・・あんたなんだなって」
「・・・そうか・・・」
「うん。だからね、ありがとう」
素直にお礼を言われると慣れていないせいか、どう反応したらいいのか分からなくなる。
こうして改めて見てみると、六日はやっぱり美形だしドキドキもしてしまう。
「それと、ちょっと汗臭い」
「うっせ、お前のこと探してたんだからしょうがないだろ」
「そっか・・・!」
すると、1度離れたかと思えば六日は、また俺の胸元に顔を埋めてきた。
いや、たった今汗臭いとか言ったばっかだろお前?
「汗臭いんだろ、俺」
「いいよ。気にしない」
「いや、俺が気にするからな・・・」
「今日だけは・・・ごめんね」
こんなコトされて、そんな弱々しい言葉を吐かれた拒否なんてできるはずないじゃねーか。
俺はそのまま黙って六日にされるがままにしていた。
しばらくすると、泣き疲れなのか普通に疲れたのかは分からないが、静かな寝息が聞こえてきた。
汗臭いだのと愚痴った俺の胸の中でよく寝られるなと思いながらも、俺はそのまま六日が自然に起きるまでそのままにしておくのだった。
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