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花粉症とラブホテル ※
しおりを挟むあれから順調とは言えないお付き合い(仮)を重ね、何度チャレンジしても、結局挿入には至らないまま季節が過ぎていく。
何故上手くいかないのか。
俺の自慢の筋肉のせいだよ。
長年取り組んでいるトレーニングは主に下半身強化タイプ。
頭では受け入れようとしているのに、体が拒む。何やっても指2本が限界。
「焦らないで、僕たちのペースでやっていこう」と真壁さんは言ってくれるが、本当はしたくて堪らないという顔で俺を見てくる。
それがちょっと怖くて体が強ばるのも要因だと思っている。
「今度上司の誕生日に日本酒を贈ろうと思って。ちょうど地酒フェアやってるから行こうよ」
真壁さんは繁忙期に突入したとは言え、今年は内見案内は全て予約制にしたらしく、予定が組みやすくなった分去年までに比べて格段に楽になったらしい。
俺達は特急に乗って、早春地酒フェアに向かう事にした。
お酒を試飲するからね。
駅からはシャトルバスが出ているみたいだ。
「⋯⋯大丈夫?」
「はい⋯、すっかり油断していました」
当日、朝。涙と鼻水とくしゃみが止まらない。花粉症の症状である。
ぐずぐずになりながらカバンを漁る。
「⋯やっぱり薬持ってきてないぽいです。ちょっとドラスト行ってきます」
「急がなくていいからね。次の電車でもいいんだから」
そうは言っても指定席を無駄にする訳にもいかないから、素早く買い物を済ませ何とか電車に乗り込んだ。
「お茶で平気?」
「はい、ありがとうございます。あー⋯まだ早いと思って油断したー⋯」
車内の空気はクリーンで少し症状が治まる。
「今日一日外になっちゃうから無理しないで」
「薬飲みましたし大丈夫っすよ。マスクもありますし」
愛用の鼻炎の薬は色々試して自分に合った、長年お世話になっているやつだった。
だから忘れていたんだ。
薬によってはとてつもなく眠くなる副作用がある事を。
「歩けそう?無理?」
目的地に着いた時には目を開けていられなかった。
強制的に眠らされるような感覚。
「⋯ごめんなさい、ちょっとどこかで休ませてください。店でもベンチでもいいんで」
おろおろする真壁さん。予定変更させちゃって申し訳ない。
関節も痛くなってきた。意識飛ぶ⋯。
ちゃんと見なかった俺が悪いとは言え、あの薬、副作用強烈すぎるだろ。
♢♢♢
深く落ちた感覚から一気に浮上した。
「⋯⋯ッ!!?」
「あ、良かった目が覚めた」
ベンチでも床でもない、柔らかいベッドの上で俺は横向きに丸まって寝かされていた。ここどこ。
背後にいた真壁さんが顔を出す。
「薬合わなくて大変だったねぇ」
「⋯⋯いや、お手数お掛けしました」
さっきから後ろでは、ぬっちゅぬっちゅと粘着音が聞こえる。主に、俺の尻から。
何してくれてんだ。
「⋯あの」
「あんな時間に休める所ってラブホテルしか思い浮かばなくて。勝手に入っちゃってごめんね」
人の体に勝手に指を入れちゃってる事の方が問題なんだけど。
「でも男同士でも入れるラブホがあって良かったー」
男同士でも合意なくやっちゃ駄目だと思うよ。
「あの、指 抜いて」
「薬ってすごいね。抵抗なく3本入っちゃった」
ぬぽっと引き抜いた指にはゴムが被せられていた。
ノー!!ただの鼻炎のお薬でこんな目に遭うなんて!
「今日最後まで出来るよ。もう僕の入りそう」
思わず真顔で真壁さんを見つめた。下手したら犯罪。
さすがにドン引き。
「しないですよね?」
「するけど」
真壁さんはベッドボードに置かれたカゴを漁りながら答える。
本当さー、真壁さんて強引。何でも自分の望む通りにいくと思ってるだろ。
背後から、ペリッとゴムを開封する音。装着する気配に身を強ばらせていると、こめかみにキスを落とされた。
起きないで、楽にしててと言いながら尻肉を開いて自分のモノを押し当ててくる。
「ちょっ、まか、ひゃぅっ、⋯っ、ひ、あッ、あ、あ!」
めり込んでくる衝撃を上手く逃せず、横向きのまま思い切り丸まった。
何これ⋯⋯!
腰から背中まで裂けたような痛みに堪えているうちに、互いの体が密着した。
な、内臓が動かされる。
息ができない。
「入ったよ。⋯大丈夫?角度的にちょっと苦しいかな。向き変えるから一回抜くね」
「ッはぁあぁん!!」
一気に抜かれて大声で喘いでしまった。なっ、何だ今の声。
「ごめんね、びっくりしたね」
真壁さんも横向きに寝そべり、後ろからよしよしと頭を撫でながら、再び尻の間に屹立したモノを押し当ててきた。
「もう一回頑張って挿入してみよう」
「ぅ、あ、あ!待っ、まっ、⋯あっ!?あああ!」
耳を吐息に犯されている内に再び侵入を許してしまった。真壁さんの陰毛が尻の割れ目をくすぐる。
「全部入ったよ」
「んぅんん⋯ッ」
背中から速い鼓動が伝わってくる。
深く息を吐き、ゆるゆると律動が始まった。
「⋯ひっ、アッあっ、あ!」
突かれる度に勝手に喘ぎ声が漏れる。
上擦った声。俺、こんなに高い声が出るのか。
「⋯っん、涼くん、きもちい、好き、涼くん、」
感極まったみたいに名前を呼ばれて無性にキスがしたくなった。
振り向いたらすぐに唇が降ってくる。食むようなキスが心地良い。
「真壁さん、⋯顔見てしたい」
「そうだね。向かい合ってしようか」
ずるりと抜かれて今度は正常位。
「涼くん、股関節やわらかい、かわいい⋯」
股関節やわらかくて可愛いって何だ。
揺すられる度に髪の毛がパサパサと音を立てる。
手の置き所が分からなくて、枕を掴んだり真壁さんの腕に縋ったりしていたら、シーツに縫い付けられるみたいに絡め取られた。
いわゆる恋人繋ぎ。
「おデコ出てるの可愛いね」
全部丸見え。
AVだとあんま分かんなかったけど、実際のセックスは距離が近い。
匂いも体温もリアルでクラクラする。
中を慣らすような優しいセックス。
真壁さんのに合わせて腰を揺らしてみた。
「⋯んう、」
耐えるように眉間に皺を寄せる真壁さん。気持ちいいんだ。
俺も背中、汗すごい。
「あっ、まかべさん、待って、ちょっとまっ⋯⋯クシュン!」
「⋯⋯ッ!!」
「⋯え?」
くしゃみをした途端、中のモノが暴発した。
何度か痙攣するように震え、その度にびゅく、びゅく、と奥に射精される。
射精したまま動かなかった真壁さんが、ぶるると震えながら倒れ込んできた。
「は」と「あ」の間位の荒い呼吸を吐きながら力いっぱい抱きついてくる。
「ちょ⋯、苦し」
中の圧迫感がゆるゆると無くなっても抜いてくれない。
ゴムが外れそうになってようやく抜いてくれた。
「んっ、⋯ッ」
生暖かい精液入りのゴムが引きずり出されるのにすら快感を覚えてしまう。
「⋯⋯くしゃみ」
「え」
「くしゃみした瞬間、涼くんの中、一気に奥まで開いて、持ってかれたぁ⋯」
さよか。
「ふ⋯、ふ、くく⋯、」
「⋯笑わないで」
「だって、⋯ふっ、くしゃみでイッちゃったんすか」
「いきなり奥まで持ってかれて、ぎゅって締め上げられたんだよ。すごい衝撃だった」
気まずそうな真壁さん。可愛い。
上半身を起こして口付けた。
勢いが良すぎて歯が当たった。慣れてないのバレる。
俺も気まずい。
「りょ⋯」
「ね、真壁さん、もうおしまいにする?それとも⋯」
俺の問いかけは口内に飲み込まれて消えてしまった。
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