真壁優志は結婚に向いていない

ちょろぎ

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それは駄目だって ※

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 金曜日の夜。お泊まりセットを詰めたリュックを背負い、真壁さん家のインターホンを鳴らした。

「いらっしゃい、どうぞ入って」
「お邪魔しまーす」

 ファミリー向け戸建ての玄関は広いな。
 真新しいスリッパを用意してもらってリビングに案内してもらった。

 広々してる。モデルルームみたいに物が少ない。
 真壁さんは言う。

「うちの家族が日本への未練を断ち切れるように片付けてあげただけだよ」

 実家に強制送還された時、家の中はもう少し物があったらしい。
 けど数年経ち、もう日本に戻る気ないな?と気付いて断捨離しまくった結果、今の状態になったそうだ。

「観たい映画、リストアップしてきた?」

 本日、ネット限定のB級映画鑑賞会。
 俺も真壁さんも幅広く色んなジャンルを観るタイプ。

 掘り出し物の隠れた名作を発掘するの大好き。
 一人で観るのも楽しかったけど、見終わった後にあーだこーだ感想言い合うのも楽しい。

 俺は友達が少ない訳じゃなかったけど、マイナーな映画を一緒に観てくれる奴はいなかった。

 大人になってからは口に出した事もなかったんだけど、真壁さんと街を歩いている時にたまたま映画祭のポスターを見かけて、
「あー、これやるんだぁ。行こうかな」
って呟きを拾われた。

「え、涼くんこの映画知ってるの?この監督の作品の中でも特にマニアックだよね」

 うっかり(?)ときめいてしまった俺はもちろん真壁さんとその映画祭に行った。
 知見を広められてとても良い祭典だった。

 動画配信サービスにはまだまだお宝が眠っている。
「うちで鑑賞会しようよ」とお誘いを受け、真壁邸にやって来たのだ。

「お風呂先どうぞ」
「ありがとうございます。あ、これ簡単な物なんですが、つまみにと思って作って来ました」
「わー、嬉しいな。前に自炊してるって聞いてから涼くんのご飯食べてみたかったんだ」

 使い捨てのタッパーに詰めたおかずを嬉しそうに胸に抱えている。かわいい。
 ⋯⋯かわいい???

 いやいや、真壁さん相手に何考えてんだ。

 広いお風呂をお借りして、持って来たTシャツとハーフパンツに着替える。

「お風呂、お先です」
「おかえり。って、寒くない?涼くんて薄着だよね」
「風呂上がりなんで」

 パーカーはあるけどまだ着ない。
 真壁さんはおかずを皿に移してくれていた。

「凄い品数だね。作るの大変だったんじゃない?」
「作り置きばっかです。野菜好きだし、体が資本だからいつもこんな感じっす」



 短編作品をいくつか鑑賞して、その合間に食器を片付けていく。

 真壁さんは高価そうな食器も気にせず食洗機に突っ込んだ。
 今まで平気だったんだから大丈夫だと言い張っている。


 見始めたばかりの映画は序盤から登場人物が多い。
 登場人物の名前を覚えるのに必死で、アイスを食べるのが疎かになっていた。

「垂れた」

 俺に配慮してか、囁くような声量。いつもより少し低い。

 この映画はお気に召さなかったのか、真壁さんは早々にリタイアして俺の方ばかり見てくる。
 人差し指を顎に添え、親指を唇に這わせて溶けたアイスを拭ってきた。

 ね、映画観ましょ。

「アイス、溶けちゃったね。こっち置こう」

 手からカップが離れて行く。
 行き場を失った手は真壁さんに捕まる。

「まか」

 唇が重なった。
「あ」の状態に開いた口腔に舌が侵入してくる。

「あ、ふ⋯、っ、まかべさ⋯」

 口の中に真壁さんが食べていたチョコアイスの味。
 冷たかった舌がだんだん熱く口内をまさぐる。

「涼くん、⋯⋯涼くん、」

 好き、と言いながら浅く深く、何度もキスをされた。
 真壁さんの舌気持ちいい。

 背中に腕を回すと少し乱暴な手つきで後頭部を掴まれた。
 うわ、何これすっげードキドキする。真壁さんの手、でかい。

 もっとしてほしい。

「ひぃっ⋯⋯ッ、ん!」

 服の上から胸を揉まれた。下からすくい上げるように。揉みながら親指で乳首も捏ねられる。

「⋯ッ、んぅ、ふ、」

 後頭部に回っていた手は背中をつうっと降り、骨盤を撫でながら太ももに辿り着いた。
 ハーフパンツの隙間から下着に触れ、やわやわと尻を揉んでくる。

「涼くん、⋯いい?  いいよね」
「ちょっと待って!真壁さん、今まだお試し期間中じゃ」
「体の相性もお試し期間中に確かめといた方がいいでしょ」

 そう言われてみればそうなのか?
 て言うか、

「俺、女側っすか?!」
「今日は最後までしないけど、いずれはそうなるから覚悟しといてね」

 ずるい。そんな大事な事勝手に決めんなよ。

「嫌ですけど⋯もし仮にそういう事するとしても、多分すっげー時間かかりますよ。今日は絶対ムリ! 絶対絶対!俺の尻にいたずらしないで!」
「大丈夫、しない。男の子は色々準備しないといけないもんね。気持ちよくなれる事だけしよう?」

 いつもは穏やかな真壁さんが男臭い表情を浮かべている。
 あぁ~⋯。唾液で濡れた唇が性的すぎて拒めない。ちょろすぎる俺。



「ちょっと腰浮かせよう。ん、上手」

 言われるがまま腰を浮かせたらあっという間に下は全部脱がされた。Tシャツ一枚というまぬけな格好なのに真壁さんは血走った目で凝視してくる。



「まっ、待って! 待って真壁さん!ここじゃ、やだ」

 ご実家のリビングのソファで致すのも申し訳ない。

 出来ればベッドに連れて行ってほしいと言うと、真壁さんは普段絶対しない乱暴な手つきで俺を引っ張りあげた。

 アイスもスマホも置き去り。
 せめて脱がされたパンツだけは回収したかったのに無理だった。


 もつれ込むように真壁さんの自室であろう部屋に押し込められた。

 ベッドが視界に入って期待と興奮で足に力が入らない。
 正面から抱き合って唇を貪り合う。

「⋯⋯ふ、んん、⋯っは、」

 既に勃起している下半身が擦れ合って気持ちいい。真壁さんはまだ服を着ている。
 興奮した真壁さんが俺のTシャツに手をかけた。脱がせやすいようにバンザイをすると、俺を隠す物はなくなった。素っ裸になった俺をうっとりと見つめる瞳には情欲が浮かんでいる。

「すごい⋯つるつる」
「あ、摩擦とか、怪我するし」

 ジュニアユースではみんなやってた全身脱毛。
 股間はつるつるじゃない。ある、一応。あんまり見ないでほしい。

 ベッドに仰向けに押し倒されてすぐに真壁さんが覆いかぶさってきた。
 息が荒い。熱い。

 人工呼吸みたいなキスをされながらも腕を伸ばし、真壁さんのズボンを下着ごと下ろした。

 これは、『合意の合図』だ。

 そういう事をしてもいい。了承のサイン。
 気付いた真壁さんが一瞬泣きそうな表情を浮かべて、すぐにより強く唇を貪った。

「んんう、⋯は」

 膝の所でズボンが留まっているから、押し倒されている俺は足を拘束されているみたいに動けない。
 真壁さんのも完全に勃ち上がっていて先端から溢れたのが俺のに垂れてきた。

 真壁さんはさっきから何も言わずに俺の口内を味わっている。目は全然閉じてくんない。ガン見。
 恥ずかしくて俺は閉じる。

「⋯ッや、また胸」
「乳首、ちっちゃくて可愛い」

 やっと喋ったと思ったら、すぐさま乳首にむしゃぶりついてきた。

「ヒッ、」

 乳輪をぐるりとなぞり、尖らせた舌先で乳首を押し込まれた。
 ぢゅっと吸ったかと思うと今度は口を開いて乳輪に噛み付く。

「ひぃっ、ん、やだ⋯ッ、」

 あまりの気持ちよさに真壁さんの髪に顔を埋めた。
 まだ下は触れられていないのにこんなに気持ちいいのか。
 俺だって真壁さんの屹立したモノに触れたいのに絶妙に届かない。

「ねぇっ⋯ねえってば⋯っ!俺ばっかり、やだ」

 唾液まみれになった乳首が外気に晒された。見下ろす真壁さんの目がイッちゃっていて少し怖い。

 再び唇を塞がれながらも何とか真壁さんのに手を伸ばす。
 今度は届いた。熱くて硬い。両手で包んで扱いたら先走りがぐっちゅぐちゅと溢れて止まらない。

「すごい⋯俺の手で真壁さんの、こんなになってる」
「あんまりいじめないで⋯、涼くん、一緒にしよ」

 湿度の上がった部屋に二人分の生々しい音と匂い。
 真壁さんも喘いでいる。
 二つまとめて扱いたら、限界が近かった真壁さんが先にイッた。
 びゅっ、びゅって熱い精液が、俺の臍下から鳩尾までを汚す。

「すごい  いっぱい飛んできた⋯」
「だからっ、そうやって煽らないで⋯!」

 腹の上の精液を掬いとった手が、俺のを強く扱いた。

「あっ駄目、ぬるぬるだめ、イッ、イくから、あ、あ、⋯!?あっ、あぁぁ!!」

 イッた瞬間、下半身に異物が挿入された。

「⋯⋯え」

 無防備な射精中に後ろへの侵入を許してしまった。
 俺の射精に合わせるみたいに、尻の中で指が蠢いている。

「や、なに」
「上手にイけたね。お祝いに後ろも開発しよう」


「⋯!それは駄目だってさっき言った!」

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