11 / 21
結婚するつもりない ※
しおりを挟む「前も言った通り、俺、結婚するつもり無いんすけど」
指輪を外そうとする度、真壁さんの腕が伸び阻止される。
お互い結婚願望ないって言ってたのに。
「僕のはただの我儘だけど、涼くんは何で結婚したくないの?」
「子どもの頃の経験ていうか、話すと長くなります」
「聞かせてほしいな」
俺の実家は親戚が周りにたくさん住んでいるような田舎で、昔から何かある毎に一族が集まったりしていた。
親戚なら連絡なしで来るし、呼び鈴も鳴らさずに玄関を開けて入ってくるのが当たり前。
よく言えば横の繋がりが強い。
悪く言えば過干渉。
正月はいつも本家に集まって新年会が行われた。
親戚中の子どもが集まってみんなでご飯を食べて、お年玉を貰って、本家の子の部屋に行ってゲームをする。
凄く楽しかったんだけど、嫁に来た女の人は大変だ。
台所と広間を行ったり来たりきたり。
酒をついで、今ならハラスメントになるような言葉を酔っ払いに投げ掛けられ、台所に行けば「遅い」だ「このやり方じゃ駄目だ」だの罵られる。
年が離れた姉も、いつの間にか子どもグループからそちらに移り、集まりの度に
「恋人は出来たのか?」
「結婚はまだか?」
と、10代の時から言われ続けていた。
「嫁に行けなかったら✕✕さんとこの息子に貰ってもらえー」
なんて笑われて、姉も笑っていたから
「親戚のおじさんは結婚まで面倒みてくれるなんて、なんていい人なんだろう」
と馬鹿な俺は感動してた。
だから、うちに帰って姉が母親の胸でわんわん泣いていたのを目撃してびっくりした。
それから何年かして、地元を出た姉は就職した地で結婚した。
結婚してすぐに母親が
「子どもはまだなの?早く孫を抱かせてちょうだい」
と言い出し、姉の表情が曇った。
それでも何年かして第一子を身ごもり、里帰り出産で帰省した姉は、一見すると穏やかそうに過ごしていたんだ。
生まれた直後、労う言葉もそこそこに母は言ったらしい。
「二人目もすぐがいいんじゃない?年が近い方が楽でしょ」
さらに追い討ちを掛けるように
「次は違う性別がいいわね、男女どっちも育てた方がいいんだから」
と言い放ち、とうとう姉は壊れてしまった。
旦那さんが迎えに来て、それから姉は実家には寄り付かなくなった。
「今思えば、母もずっと『二人目は』と言われ続けていたんだと思います。俺と姉は年が離れてるから⋯⋯俺は意地で産んだ子なんですよ」
実家には「俺は同性愛者だから期待しないでくれ」と嘘をついた。
父親からは勘当されて、俺ももうずっと帰っていない。
あの時は嘘だったのに、こうやって真壁さんに惹かれている。不思議な巡り合わせだな。
「結婚したらどうしても親戚付き合いってあるでしょう?俺は、結婚する相手にあんな思いをさせたくない」
あなたの事が嫌なんじゃない。結婚出来ないのは俺が原因なんだ。
「結婚したとしても報告もしない。俺の実家には連れて行けないし、両親も紹介出来ないっすよ。そんな後ろめたいのでもいいんですか?」
だから諦めてくれ、と懇願するように真壁さんに問い掛けた。
「涼くんにトラウマを植え付けるような人なら会わなくてもいいよ」
「俺は、あなたに子どもも与えられないんですよ」
子どもがいない未来しか選択肢が無いなんて、残酷だろう。
「親と絶縁したり、子どものいない夫婦には否定派? 子どもを産まない選択肢は悪なの?」
「⋯そんな訳ないでしょう」
みんな、それぞれ事情があるのに。
「僕がほしいのは涼くんだよ。子どもじゃない。涼くんしか欲しくない」
「⋯⋯ッ、」
ただ黙って抱きしめ合う。
視界がぼやけて目を開けていられないのを、カーテンの隙間から差し込む夕焼けのせいにした。
子どもたちに帰宅を促す防災無線が微かに聞こえてくる。
ベッドに移動してお互いに脱がせ合い、裸で抱きしめ合った。
性欲を感じさせない、穏やかな抱擁。
触れるだけのキスが顔中に落ちてくる。
「真壁さんて一人っ子なんですか?」
プロポーズされたのに何も知らない。
でもそれはお互い様。
俺達は互いに家族の話題を避けていた。
「妹が一人いるよ。甘えん坊で我儘な女王様」
「真壁さんより?」
まだ汗もかいていない、サラサラの素肌が気持ちよくて、真壁さんの背中を撫でる。
「うちの家族はみんな我が強いよ。僕が一番マシ。母は妹が卒業するのに合わせて、父がいる海外に家族で引越して行った。僕は就職していたし、最初から一緒に行く選択肢はなかったみたい。」
真壁さんの頭を抱えて胸に抱き寄せた。
「ん、」と小さく息を吐き、されるがまま、心音を聞くように大人しくしている。
「さっきの、夕方に流れる防災無線。この放送を聞くと、妹の自転車を押して帰る自分と、前を歩く、妹を抱っこする母親の後ろ姿を思い出すから昔から好きじゃなかった。空港に見送りに行った時、その光景を思い出して、『ああ、僕はまた置いて行かれるんだな』って実感した」
部屋の中は暗くてよく見えないけど、きっと泣きそうな顔をしている。髪に指を差し込み優しく撫でた。
「置いてかれちゃったんすね。そっか、寂しかったですね。⋯じゃあ、俺が貰ってもいいのかな」
半身を起こして、真壁さんの頬を涙を拭うみたいに撫でた。
信じられないとばかりにこちらを見ている。
「大好きです。優志さん、俺と結婚してくれませんか」
♢♢♢
優志さんは俺のプロポーズに即座に「勿論です。二人で幸せになろう」と答えた。
うわ⋯下半身が元気になりあそばせている。
完全復活した優志さんは、えいやと俺を押し倒し、隙間なく抱き合った俺の太ももの間で一度果てた。
一回出した事で冷静になる訳でもなく、すぐに俺の足を開いて、自分の精液で汚された太ももを凶暴な目付きで見下ろしている。
そのまま俺のにむしゃぶりついてきた。その表現が的確な位、腹が減った獣みたいながっつき方。
「ちょっと、いきなり⋯っ!」
「りょうふんの、なめはへて」
「そこで喋っちゃ駄目⋯ッ」
太ももが優志さんの肩に乗せられる。
優志さんの精液が髪に付かないように配慮すると足を閉じられない。
「はっ、あ、なんか⋯凄、アッ、あ、あ、んっくぅうッ!」
物凄い吸い付きとテクニックであっさり陥落。
はっはっと短い呼吸を繰り返していたら、
「これでドローだね」
と訳の分からない事を言ってきた。
さっき優志さんが速攻イッたの、べつに気にしてないよ。
俺が口内に出した精液を優志さんが手の平に吐き出した。見せつけるように。
デロリと舌にこびりついて、テラテラしている。
その仕草が性的過ぎて、また勃ってしまった。
「涼くんの精子、僕の唾液と混ざってる」
優志さんも興奮してる。恍惚とした表情を浮かべて手のひらを眺めている。
「中出しされるのってどんな感覚?」
「⋯痒い。のち腹痛って感じ」
寝転がる優志さんの腰に跨り、俺主導で動く。騎乗位。
足腰強いから得意。
両膝を立てて腰を振るスタイルだと、中が締まりすぎて優志さんは冗談抜きに秒でイッてしまうから、普段は禁止されている。
今は膝立ちのノーマルな騎乗位。
「そういうのじゃなく、もっと男を悦ばせるようなのお願いします」
何か言ってる。
「⋯メスにされちゃうみたいな、ああ、この人の物にされちゃうんだなぁ、みたいな」
優志さんの性癖に慣れてきてしまった。
「⋯いいねッ」
興奮しながら尻を揉んでくる。
開発された胸が疎かにされて淋しい。
「こっちも触って。⋯俺に挿れながら必死に腰を振ってる所を見ると、この人俺を孕ませたいんだなって、俺もこの人⋯優志さんの物になりたくて、一番奥に優志さんのを注いでほしくなる」
「⋯⋯ッ」
前屈みに見下ろす俺の胸を揉みしだきながら、興奮を抑えきれずに腰を突き上げてきたから、体重をかけて制した。
まだ駄目。
「ねぇ優志さん、そんなに必死に腰を振ろうとして。俺の事孕ませたくて仕方が無いんでしょ? でも残念だね。無駄撃ちになっちゃう。何度中に出してもいつまで経ってもあなたは俺だけの物」
耳元で囁いて、耳朶を軽く噛んだらビクリと震えて体内に熱いのが注ぎ込まれた。
「あーあ⋯また中に出されちゃった。⋯動いてないのにイッちゃったの?優志さん、我慢出来なかったんだ? やらしい」
顔を真っ赤にして汗を噴き出し、全力疾走したみたいに肩を上下させている。
まだ喋れないみたいだから、ぐちゅぐちゅの尻で、俺から出ていった優志さんのを愛撫してあげる。
「⋯っ最高だよ涼くん、愛してる」
優志さんはS気質だと思っていたけどドMでもあった。新たな発見。
14
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
つがいごっこ~4歳のときに番ったらしいアルファと30歳で再会しまして~
深山恐竜
BL
親が言うには、俺は4歳のときにうなじを噛まれたらしい。
子どもがたくさんいる遊び場で、気が付いたらそうなっていたとか。
うなじに残る小さな歯型。
これを得られたのは、正直かなりラッキーだった。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる