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11 ただの大学生
しおりを挟むセヴランさんがお城に出勤する日を狙って出て行く事にした。
「完済してますよ」の証明に、体を売った日の控えと共に「お世話になりました」と手紙を添えて。
使用人の外套を拝借し、警備の薄い窓から脱出。
ドキドキしながら街を歩いたが、拍子抜けするほど誰も俺を見ていない。
何だ、全然危険な事なんてないじゃん。
もしかしたらあれも、一般常識が無い俺を心配してついた嘘だったのかもな。
何はともあれ、これからは憧れの異世界ライフが待っている。
期待を胸に、俺は走り出した。
♢
目が覚めたら豪華な部屋に寝かされていた。あれ?!
「お帰り。お散歩は楽しかったか?」
「⋯セヴランさん?」
貼り付けたような笑顔をこちらに向けている。
俺が訝しんでいるのに気付いたセヴランさんが、自分の口元を隠すように手で覆った。
目に止まった傷跡。人差し指のとこ。
⋯ちょうど、俺が、逃げる為にストーカーに噛み付いた所と⋯、同じ場所。
「せっかく一つになれたのに逃げ出すなんて、悪い子だねカナタ君」
「ーッ!!!」
その名前で呼ばれた途端、全身に鳥肌が立った。
俺、梅澤奏多を最期に『カナタ』と呼んだあの男。
頭の横に肘をつき、体重をかけられた。
さっきから震えが止まらなくて息が苦しい。
「もう逃さないよ、カナタ君」
なんで、なんでこんなことになっちゃったんだろう。
俺はただの大学生だったのに。
全て奴の手の上で踊らされていた事実に目の前が真っ暗になった。
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