キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい

小桜けい

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シーズン2

3 星に願いを 1

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 大事件を報じた新聞が届けられてから、一ヶ月と少しが経過していた。
 しばらくその話題で盛り上がっていた人々も、次の新聞が発行されれば、新たな話題に興味を移していく。
『ラドベルジュ国王殺害の二人は、国境で兵に追われた際に滝つぼへ落ちて行方不明。状況証言などから、共に死亡したと思われる……』
 社会面の片隅に、そんな記事が小さく載っていたが、名も知れぬ逃亡犯の末路よりも、首都の大富豪が庶民女性を娶った話の方が、ずっと人々の関心を集めた。
 用心のために組まれた討伐隊は、もっと大きな都市を中心に活動しているが、特に成果を上げられずにいるそうだ。
 アーウェンがもっとも心配していた、ラクシュの旧知である吸血鬼たちも現れず、日々は平穏に過ぎていく。

 ***

 晴れ渡った夜空に、煌く無数の星が美しい光の河を作り上げている。

「いい星祭りの夜になりましたね」

 アーウェンは天に煌く星の河を見上げて、人波にはぐれないよう、隣を歩くラクシュの手をしっかり握る。
 今夜の街は、昼よりも賑わっていた。

 星祭りは、空に住む引き裂かれた星の夫婦が、星の川を渡って年に一度きりの逢瀬をする夜だと言われている。
 この夜が雨だと、二人はまた一年待たなくてはならない。
 夜空が晴れると、愛しい相手に会えた星の夫婦は大喜びし、地上にも喜びの祝福を分け与えようと、人々の願い事を叶えてくれるそうなのだ。

 街の広場には星祭を祝うために、ツル草を編んで作った大きな網のテントが設置されていた。願い事は長方形の紙に書いて、この網に吊るすのだ。
 網の材料であるツル草は、信じがたいが古代文明を壊して遺跡を占領している鉱石木と同じである。
 野山でも街でも、石畳の隙間でも、どこにでもすぐ芽を出すのだが、不思議と人の多く住んでいる場所ほど成長が早い。
 十年前にラクシュが買い取った空き家は、人里離れていたおかげでせいぜい細いツル草がびっしり壁に張り付いていたくらいだが、賑やかな街中では一日で十数メートルも伸びる。
 それ以上に放置すれば太く硬化して鉱石木となり、家屋を破損してしまうという恐ろしい植物だ。
 とはいえ、鉱石木のツル草は丈夫な上に無料で手軽に入手できるので、繊維をとったりこうして網やロープをつくったりと重宝もされている。

 松明の明かりに照らされたツル草網には、遠目でもわかるほど、すでに色とりどりの紙片が括り付けられていた。
 いつからこの風習ができたのか知らないが、多くの国で人々は、星祭の夜に願い事の紙札を下げる。
 迷信ではあっても、奇跡のように美しい満天の星河を見れば、その加護を信じたくなるものだ。

 ただし、星祭りの願い事には、いくつかの制約があった。
 まず、願いは自身に関する事に限られる。さらに札には、自分の名前を書かなくてはならなかった。そして、皆と同じ網に吊るす札は、当然ながらそれだけ不特定多数の目に晒される。
 結果、うっかり切実で露骨な願望を書いてしまい、それを知り合いに見られるという羞恥プレイを避けようと、たいていの大人は寸前で我に返り、当たり障りのない願いを書いてお茶を濁すのだった。

 白い砂を敷き詰めた広場には若い恋人たちが多かったが、親に連れられた子どもたちも大喜びではしゃぎまわっていた。
 普段ならとっくに眠っていなければいけない時間なのに、堂々と夜更かしができる貴重な夜だ。

 屋台では子どもたちの大好きなリンゴ飴やポップコーンが売られ、ふわふわの雲のような綿飴や、星の形をした金平糖にも、子どもたちは目を輝かせる。
 大人たちは麦酒や葡萄酒を飲み、サンドイッチやソーセージを摘んでいた。

「ん……綺麗」

 夜空を見上げてラクシュも頷く。例のアップルグリーンの衣服を着て、ケープもはおっていたが、夜なのでフードは後ろに避けており、白い髪がサラリと揺れる。
 すれ違う人が時おり、ラクシュを見て目を丸くする。わざわざ振り返る者もいた。
 母親らしい女性に連れられた男の子が、ラクシュを指差して噴出した。

「へんなの!」

 少年は母親にすかさず拳骨を食らい、涙目で頭を抑える。母親は軽く頭を下げて、子どもの手を引いてそそくさと立ち去った。

「変?」

 ラクシュが首をかしげて、自分の目元を覆うゴーグルに手をやった。
 金属縁と革ベルトの無骨なゴーグルは、ラクシュが先日からせっせと造っていたものだ。
 左右の目の位置には、発光鉱石を溶かして薄く加工した、淡い緑色の丸レンズがはめ込まれている。
 溶かした時点で石の発光はなくなり、やや不透明なレンズは、薄いキャンディーのようにも見えた。

「ん」

 ゴーグルの位置を少し直して、ラクシュは満足そうに頷く。

 ――ラクシュさん。今のは、位置が変って意味じゃありませんからね。

 アーウェンは心の中でツっこんだが、このゴーグルには大賛成だった。
 可愛らしい衣服を着た小柄なラクシュに、無骨なゴーグルの取り合わせは、まったく奇妙だ。
 しかし、振り返る者のほぼ全てが若い男性で、何か妙な期待を篭めた目でラクシュを見ていたのは、きっと気のせいではない。
 ゴーグルで胡乱な目元が隠れてしまう分、本来の整った顔立ちが浮き彫りになり、『眼鏡をとったら美少女』という黄金パターンを、いやおうなしに抱かせるのだろう。

 もちろんラクシュは、そんな効果を狙って造ったのではなかった。これをつけるとアーウェンのキラキラが和らぎ、視界が眩んでしまうのを防げるらしいのだ。
 いくらアーウェンが自分で鏡を見ても、そんなキラキラはまったく見えないし、他の人に言われたこともないから、その光はラクシュだけ見えるのかもしれない。
 とにかくアーウェンとしては、多少は奇異な目で見られても、ラクシュが気分よく自分と出かけてくれる方が嬉しい。

 ゴーグルの下の赤い瞳は、他の男が期待するような瞳ではないけれど、澱んだ胡乱な赤い瞳を、アーウェンは心から愛している。

「お前らも来てたのか」

 唐突に声をかけられて、アーウェンは振り返った。
 ごった返す人ごみを掻き分けて、クロッカスが歩いてくる。
 祭りの夜に、手軽な安いアクセサリーならともかく、魔道具を買う客は少ないから、店は閉めてきたのだろう。
 そしてラクシュのゴーグルを見て、声をあげた。

「そりゃなんだ? 新しい魔道具か?」

「ん……鉱石溶かして、造った。これつけると……眩しく、ない」

 ラクシュはゴーグルを指して、うんうんと頷く。

「ほーぅ。鉱石のレンズか。何かと応用が効きそうだな」

 商人の血が騒ぎはじめたらしく、クロッカスは身をかがめて、ゴーグルをしげしげと観察しだす。
 その間にもさりげなくラクシュへ絡もうとする九尾を、アーウェンはせっせと叩き除け、咳払いをした。

「クロッカスさんはもう、願い事を書いてきたんですか?」

 レンズを突付いていたクロッカスが顔をあげ、ニンマリ笑う。

「せっかくのご利益には、あやからないとな。お前等はまだか?」

「はい。これから……」

 アーウェンが言いかけた時だった。

「あーっ!」

 突然、甲高い声をあげて、褐色の少女が近づいてきた。
 灰色のマントを着ていたが、彼女も今日はフードを被っておらず、黄緑に赤いメッシュという、鮮やかな色の短い髪が露になっている。

「この間の……確か、レムナさん?」

 迷子だったハーピー少女との思わぬ再会に、アーウェンは驚いた。彼女の隣には、例のディキシスという青年が、相変わらずの無愛想な顔で立っている。

「そういや、お前さんたち、先月に顔をあわせてたらしいな」

 クロッカスが顎ひげを撫でながら、アーウェンとラクシュに紹介する。

「ディキシスとレムナからは、最近よく魔道具の材料を買い取ってるんだ。こいつ等は中型程度のキメラならなんなく倒すらしくてな。実に良い素材を持ってきてくれる」

「二人で中型キメラを? 凄いですね」

 アーウェンは感心して頷いた。
 魔道具に絶対必要なのは発光鉱石だが、それに付随する素材で、さらに高い魔法の効果を得られる。
 種類にもよるが、遺跡に住むキメラは大抵、魔道具の材料にうってつけで、爪や牙に骨や毛皮までもさまざまに重宝された。

 しかし、キメラ狩りは命がけの仕事だ。大雑把に小型、中型、大型と分類されるがその種類も特性も様々である。
 中型や大型のキメラはかなり手強く、大きな遺跡には国が人狼のキメラ狩人を雇って配置し、被害者の軽減対処をしているくらいだ。
 ディキシスの腰に下がった大きな剣に、アーウェンはチラッと視線を走らせた。

「ああ。そんじゃ、俺は待ち合わせがあるからな」

 クロッカスはそう言うと、ヒラヒラと手を振って雑踏の中に消えて行った。

「えっと……ま、また会えて、良かった!」

 さっきから横を向いてもじもじしていたレムナが、意を決したように、ラクシュの前へ勢いよく踏み出す。
 羽織った灰色マントがひらりと揺れ、無数の鉱石ビーズをつけた露出の高い衣装が、一瞬だけ見えた。

「この間は、ありがとう。あの時はあたし、ディキシスにもう二度と会えないんじゃないかと思って……あ、クロッカスおじさんから、あなたの名前を聞いたの。ラクシュって呼んでいい? あたしはレムナ! ラクシュの造った魔道具も、お店でいっぱい見たよ! すごく素敵だった! それから……」

 どうやらレムナは、陽気でお喋り好きの多い、典型的なハーピーの性格らしい。

「レムナ。礼を言う相手を困らせてどうする」

 無言のラクシュを相手に、一気に喋り続けているレムナの肩を、ディキシスが呆れたように軽く叩いて止めた。

「すまない。レムナは嬉しいと、少し喋りすぎる」

 ラクシュが軽く首を振り、パサパサと髪を揺らした。

「心配ないよ。私……好き」

「?」

 いぶかしげなディキシスに、アーウェンが説明した。

「ラクシュさんは、喋るのは苦手ですけど、相手の話を聞くのは大好きなんです」

「なるほど。そこで君が、最適な通訳者というわけか」

 ディキシスが僅かに口元を緩めた。
 産まれてこの方、笑ったことなんてありません。とでも言うように無愛想な顔だったのに、その笑みはごく自然で、アーウェンは少し意外だった。

「ディキシスさんたちも、これから願い事を書きに?」

 アーウェンが尋ねると、ディキシスは少し困ったように眉を潜めた。

「ああ、まぁ……レムナ。そろそろ行くぞ」

「あ……うん!」

 ディキシスに声をかけられたレムナは、嬉しそうに刷り込み相手へ駆け寄り、ふと思いついたようにラクシュへ笑いかけた。

「ねぇ、そっちもこれから書きに行くんでしょ? 一緒に行こうよ!」

「ん」

 ラクシュがコクンと頷き、アーウェンの手をそっと引く。

「行こ……」

「はい、ラクシュさん」

 アーウェンも頷き、願い事の紙を売る売店へと、四人は歩き出した。


 願い事を書く紙は半銅貨一枚の小銭で買え、収益金は来年の祭りを開催する費用になった。
 売り場の近くにはいくつもの大きなテーブルが置かれ、願い事を書く場所になっていた。

 それぞれ小さな紙片を購入し、アーウェンはポケットから万年筆を取り出したが……ラクシュの視線がゴーグル越しに、じーっと注がれているのに気づき、ピタリと手を止めた。

「ラクシュさん……すみませんが、あっちに行って書いてきます」

 アーウェンはそそくさと別のテーブルに移る。
 もう大部分の人はすでに書き終わったのか、テーブルは閑散としていた。紙へ覆いかぶさるように隠しながら書く人も、堂々と周囲に見せている人もいる。

 紙にかかれた願い事は、誰のを見ても自由である。むしろ地方によっては、大勢に見られるほど叶うという説まであるそうだ。

 ――しかしアーウェンは、たとえ街中に晒されようと、ラクシュにだけは見られたくなかった。

 アーウェンの生まれ故郷にも星祭りの風習はあったが、以前の飼い主は星祭りに興味はなく、この街で始めて星祭りに願い事を書いた。

『ラクシュさんより背が高くなりたい』

 初めての願いは叶った。
 しっかりと栄養をとって急成長したアーウェンは、翌年にはラクシュの背を追い越していた。

『ラクシュさんの仕事を手伝えるようになりたい』

 二年目の願いも、すぐに叶った。
 ラクシュがある日、とても思いつめたように『頼みがある』と言って来たのだ。
 本当はあの時、アーウェンの血が欲しかったらしい。でも、それを言えなかった彼女は、代わりに鉱石を採りにいくのを手伝って欲しいと、初めて頼んでくれた。
 しかし、それからパッタリと願い事は叶わなくなった。

『ラクシュさんを元気にできるようになりたい』

 日ごとにやつれていくラクシュが心配で、三年目はそう書いたけれど、ちっとも彼女は元気にならなかった。
 毎年、同じ事を書いた。
 ラクシュが家から一歩も出なくなり、星祭りにも来れなくなると、一人で願いの札だけを下げに来た。
 八枚も同じ願いを書いてから、ようやく願いは叶った。

 今までも、恥ずかしいからラクシュ本人にだけは見られないように、気をつけていたけれど、今年は特に隠したい。

「……見ないから、隣で書いていい?」

 万年筆を手に、つい過去の回想に浸っていたら、急にレムナが隣に来て、アーウェンは飛び上がりそうになった。

「誰に見られてもいいけど……ディキシスには、さすがに見られたくないの」

 褐色の頬を少し紅潮させて、レムナは気まずそうに弁解する。

「どうぞ」

 アーウェンは微笑み、レムナが書きやすいように少し身体をずらす。
 真剣な顔でペンを取り出した彼女は、もしかしたら自分と似たようなことを書くのかも知れない……。

 そんな事を頭の端に思い浮かべながら、アーウェンも自分の紙に、やっと書けるようになった新しい願いを書いた。

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