25 / 28
番外編
第一印象から決めていました
しおりを挟む
レムナはベッドのふちに腰をかけ、足をパタパタさせていた。前あわせのゆったりした病衣は、翼を伸ばせるように背中の一部が開いている。
退屈しのぎに天井を見上げるが、年季が入った宿屋の天井梁は、いつもと変わらない。
ラクシュたちとの戦いで、地下遺跡にて九死に一生を得てから、十日間が経っていた。
ディキシスは結局、ラクシュを殺さないことに決めたらしい。
あれだけ硬い決意をしていた彼に、どんな心境の変化がそうさせたのだろうか。
『復讐はちゃんと果たした』
ディキシスはそう言っただけで、詳細は教えてくれなかったが、彼がもう良いというのなら、レムナが口を挟む事ではない。
レムナは彼の武器だけれど、アーウェンもラクシュも好きだったから、内心ではホッとしていた。
さすがにアーウェンには、悪い事をしたと思っている。
ただ……言い訳をさせてもらえば、彼とてレムナの立場だったら、絶対に同じ事をしたはずだ。
あの人狼は、親切な好青年だけれど、ラクシュを好きすぎて致命的に病んでいると、地下遺跡で思い知らされた。
レムナの身につけていた魔防具は、ほぼ全部が壊れてしまったし、翼も痛めたうえに、多数のすり傷や打撲を負い、今は療養中だ。
正確に言えば、いつも以上に怖い顔をしたディキシスに、絶対安静との命令の元、宿へ軟禁中である。
宿泊部屋はいつも通り一緒だが、ディキシスは外出中だった。彼はレムナには留守番を命じ、愛用の剣と外套だけを一緒に連れて行った。
あの翌日から、ディキシスは毎朝そそくさと、行先も言わずに黙って出かけていく。そして夜に、くたびれきった様子で帰ってくるのだ。
どこで何をしているか、とても気になったが、毎晩の求愛給仕というご褒美があったから、詮索も退屈すぎる療養も我慢できていた。
しかし昨日の夜、帰って来たディキシスの外套の一部が、キメラの血で汚れていたのだ。きっと、そこだけ魔道具で浄化し忘れたのだろう。
酷いショックで、せっかくの求愛給仕さえも断ってしまった。
驚くディキシスには、おなかが痛いと言って誤魔化し、布団の中に潜り込んで震えていた。
―― あんまりだ。一人でこっそり、キメラを狩りに行くなんて!
ディキシスの武器は、剣だけじゃないのに!
所持金にはまだ余裕があるのだから、危険な遺跡に行くのは、レムナが回復するまで待ってくれたって良いはずなのに!
―― やっぱり……。
ずっと密かに恐れていたことが、現実になりそうな気がして、明け方まで眠れなかった。
目が覚めたのはついさっきで、やはりディキシスは部屋におらず、剣と外套もなかった。
……きっとまた一人で、キメラ狩りに行ってしまったのだろう。
***
(……早く、帰ってこないかなぁ)
褐色の素足と一緒に、背中の翼も伸ばして軽く動かすと、もう痛みもなくスムーズに動いた。
立ち上がって窓際に行き、レムナは天気の良い空を眺める。
今日は気持ちの良い快晴で、市街地は賑やかそのものだった。
野原に出た新遺跡を目当てに、大勢の冒険者達が集まってきているせいだ。人間とほぼ同等なほど魔物も多いのは、さすがこの国というところだろう。
人狼は半獣化していないと、人間と見分けが難しいが、通りを人間と連れ立って歩く者には、九尾猫やラミアにアラクネ、気難しいケンタウロスまでも揃っていた。
数人のハーピーが、鮮やかな翼をはためかせて広場の上を飛んでいる。
一緒に旅をし、時に生死を共にする仲間は、種族が違えど家族も同然だ。
当然ながら恋愛感情も多く生まれ、その恋は実ることもあれば、残念な結果になることもある。
レムナは窓ガラスに鼻先を押し付けて、九尾猫の女性が人間の男性へしなだれかかり、仲良く窓の下を歩いていくのを、羨ましげに見下ろした。
(あーぁ。ハーピーって、恋だけは損すぎる……)
空を飛ぶのは大好きだし、自分はハーピーに産まれて良かったと断言できる。
ただし恋愛に関してだけはは、どうしてもハーピーは損な生物だと思う。
魔物は種族によって個体差や特徴はあるが、泉に浮かび上がった瞬間から、その地での言語など、ある程度の知識と知能を備えているのは共通していた。
ハーピーは、吸血鬼やラミアと同じように、ランダムな年齢の姿で産まれ、生涯をその姿で過ごす。
そしてハーピーの大きな特徴は、やはり空を飛べることと、産まれて最初に見た相手へ恋心を刷り込まれる性質だ。
ただし、その刷り込み本能は、よくトラブルも引き起こした。
恋心を抱く相手は、人間か魔物なら、異種族でも等しく刷り込まれてしまう。しかも、その相手をハーピーが自分で選ぶ事はできないのだ。
相手が同性だったりとか、すでに伴侶がいたりとか、歳を取りすぎていたりとか……数え上げたらきりが無い。
(私は、最初に見たのがディキシスで……)
そこまで考えた時、不意に扉がノックされ、レムナはビクンと飛び上がった。
返事をすると、ディキシスがいつもの無愛想な表情で帰って来た。
やはり腰に剣を下げ、この暑いのに愛用の外套を着ているが、片手には見慣れない大きな荷物を抱えている。
「あ、あれ? 早かったね……」
ついさっき、早く帰って来てくれと願ったが、本当に来るとは思わなかったから、声が変に上擦った。
包みを抱えて戸口に立っているディキシスから、いつもより思いつめたような雰囲気を感じるせいかもしれない。
レムナが窓辺に立っているのを見ると、ディキシスは軽く眉を潜めた。
「安静にしていろと言っただろう」
「もう完璧に治ったし、これ以上寝てたら、飛び方を忘れちゃう」
レムナが言い返すと、ディキシスは顔をしかめたが、口元にはわずかな苦笑を浮かべていた。
これが、レムナは大好きだ。
「おかえり!」
ついディキシスへ駆け寄り、その長身に抱きついたが、困惑したような表情でやんわりと押し返された。
これももう、いつものことだから、レムナもあっさり身を離す。大人しくまたベッドに腰掛けて、内心で溜め息をついた。
(やっぱり、ハーピーって損。こんなに好きなのに、信じてもらえないなんて……)
レムナはディキシスが大好きなのに、彼はそれを刷り込みのせいだと言い、認めてくれないのだ。
世の中には、ハーピーの刷り込み性質を利用し、自分へ懐かせてボロボロになるまで使い潰す者も多い。
どんなに乱雑に扱われても、ハーピーは恋した相手に尽くし続けるのだから。
ディキシスは自身を、そんな悪人と同じだと言う。
泉の番人に貰ったレムナを、吸血鬼への復讐に利用してこき使っているからだと、彼はいつだってレムナに言い聞かせる。
『お前は刷り込みに惑わされているだけで、本当は俺を好きになるはずがない』と。
ハーピーに本当の恋は出来ないなんて、それこそ差別だと、最初は何度も抗議したが、ディキシスは困りきった顔で黙ってしまうから、レムナも黙ることにした。
(ハーピーは、みんなが思うほどバカじゃないんだから)
荷物を置いて外套を脱ぎはじめたディキシスから、そっと目を逸らす。
悪人に虐げられても尽くしてしまうハーピーは、頭の悪い種族だと、からかい歌まであるほどだ。
しかしハーピーだって、恋する相手が酷ければ、それを頭ではちゃんと解っている。それでも離れられないのだ。
吸血鬼が血を飲まずにいられないように、人狼が満月の夜には変身せずにいられないように。
それは本能のさせる愚かな行為だと認めよう。
でもレムナは、ディキシスを酷い悪人だなんて、一度も思ったことはない。
無愛想で朴念仁で、意地っ張りで頑固で、思考が常に後ろ向き……くらいは、たまに思うけれど。
ただし彼は、いつでもレムナの身を案じて大切に扱ってくれる。
無愛想でも、レムナのお喋りをちゃんと聞いてくれる。実はふわふわ小動物が好きで、たまに視線が九尾猫や人狼の尻尾を追いかけていたりするのも、可愛くてたまらない。
なにより、レムナの恋を勘違いだと諌めつつも、強請られれば求愛給仕をして、満たしてくれる。
めったにないが、レムナが熱心に望めば、時に愛撫して抱くこともある。
触れる手は、いつだってとても優しくて、どちらかと言えば彼の方が、レムナに尽くしているような気さえする。
そんな相手に恋をして、何が不自然なのだろうか。
レムナがハーピーでなくとも、ディキシスの傍にいれば、絶対に夢中になっていた。
(私は、最初にディキシスを見てから、後悔したことなんか無いよ!)
レムナは、自分がどこの泉から産まれたのか、よく解らない。
意識を得た時には、すでに全身拘束と目隠しをされており、『泉の番人』を名乗る者に、さまざまな手術を施された。
視力や身体能力を大幅に強化され、声だけしか知らない番人から、自分はとある青年へ、武器として渡されると聞いた。
青年は吸血鬼と王家に復讐を誓い、そのためにはレムナの助けが必要らしい。
そんなの怖いし利用されるなんて嫌と思ったけれど、自動人形のように淡々と紡がれる番人の言う事には、なぜかいつだって逆らえなかった。
「……レムナ?」
ぼーっと考え事をしていたら、ディキシスに呼ばれていたらしい。
「え!? あ……ごめん、ちょっと考えごとしてて……」
慌てて言いつくろうと、赤褐色の髪をした青年はレムナの隣へ座り、やけに神妙な声で切り出した。
「お前の怪我が治ったら、聞こうと思っていた」
「う、うん?」
レムナは引きつった声で返事をし、膝の上で病衣を握り締めた。やけに心臓がうるさくて、息が苦しい。
「俺の目的は達成された。それで問題は、お前の今後だが……」
―― 限界だった。
覚悟はしていたのだから、絶対に泣くまいと思っていたのに、ボロボロと涙が勝手に零れて、握り締めた手の上に落ちていく。
「レムナ……?」
しかも唖然とするディキシスを見て、もしかしたら、少しくらい同情して貰えるかも……など、最低すぎることを考えてしまった。
「ディ、ディキシス……む、無理にとは、言わないけど……もし、良かったらだけど……もうちょっとだけ……一緒にいちゃ駄目……かな?」
ずっと不安でたまらなかった。
復讐が達成されたら、自分はディキシスにとって、辛い過去を思い出させるだけの存在になってしまう。
彼がレムナの愛を否定し続けたのは、その時にためらいなくレムナを捨てられるようにではないか……。
随分と前から、そんな恐ろしい考えが、何百回も頭をよぎっていた。
「……これを先に渡すべきだった」
ぶっきらぼうな声と共に、黒い布袋が突き出された。ディキシスが帰って来た時に抱えていた荷物だ。
「早く開けてくれ」
催促され、震える手で紐を解いた途端に、虹色の光がキラキラと零れ出た。
「こ、これ……ディキシス? なんで?」
中に入っていたのは、薄くて軽い布の衣服で、魔道具に加工した無数の鉱石ビーズを、蜘蛛女の特殊糸で丁寧に縫いつけてある。細かいデサインこそ違うが、破れてボロ服と化してしまったレムナの魔防具服と、ほぼ同じもの……いや、以前よりもさらに良品となっていた。
「鈴猫屋で鉱石ビーズを買って、ついでに良い仕立て屋も紹介してもらった」
レムナは魔防具服を手にしたまま、声も出せずに固まっていた。
鉱石ビーズは一つ一つが宝石も同然の価格だ。ただし、小さく作るのは難しいために、細かいものほど高価になる。
衣服に煌くビーズは、信じられないほどの極小サイズで、魔法文字も丁寧に刻まれていた。これだけ小さく軽ければ、多数の鉱石ビーズがついていても、飛ぶのに支障はない。
ただしこれを作るなら、宝石をちりばめた夜会ドレスを十着作るほうが安いだろう。
茫然と固まっているレムナの頬を、ディキシスが指先でつついた。
「毎日留守番させてたからって、そう不貞腐れるな。これを買うために、あの新遺跡を駆け回ってたんだ。あそこのキメラは手ごわいが、良い発掘品も多くて、なんとか稼げた」
そして、思い出したようにぼやいた。
「これだけ大量買いしたのに、クロッカスときたら値引くどころか、ここぞとばかりに吹っ掛けてきたんだぞ。尻尾三本の腹いせだろうな」
ニヤニヤ顔で代金を要求する九尾猫の姿が目に浮び、レムナは思わず噴出した。
クロッカスの命を三回分奪ったのは吸血鬼たちの仕業だが、そもそもはディキシスとレムナが、黒い森を襲ったのが発端だ。
いかにも、あの猫おじさんらしい報復だと思う。
「じゃ、じゃあ……これからも一緒にいて……良いんだよね?」
つい、声が小さくなってしまい、ヒソヒソ声でレムナは尋ねる。
ディキシスが頷き、照れたように少しだけ微笑んだ。
滅多に見られないこの顔が、レムナはもっと大好きだ。
うっとり見惚れていると、ディキシスは少し顔を赤らめて、また無愛想な顔に戻って視線をそらしてしまった。
「十日前……復讐を果たした後で……」
ディキシスは天井の梁を睨みながら、独り言のようにポツポツと話し出した。
「……ガキの頃の夢が、いつのまにか叶っていたことに、いきなり気がついた」
「夢? 復讐じゃなくて?」
キョトンと尋ねると、ディキシスが苦笑した。
「まだ姉さんが生きていて、ラドベルジュの貧民窟に住んでた頃は、俺だって普通のガキで、将来の夢くらいあったさ。その日を生きるのに精一杯でも、夢は無料だからな」
「へぇ……どんな夢?」
珍しく多弁な彼の話をもっと聞きたくて、レムナは慎重に相槌を打った。
ディキシスは、遠い子ども時代を思い起こすように、目を細める。
「あそこに住む男のガキなら、誰でも一度は見る夢だ。立派な剣や鎧で武装して、信頼できる仲間と、古代遺跡でキメラと戦ったり、珍しい発掘品を見つけて金を稼いで……」
「え? それって……」
そこまで聞いた所で、ついレムナは声をあげてしまった。
ディキシスと共に暮らし始めた七年前から、二人は数々の遺跡を探索した。
キメラを狩り、発掘品を見つけては、復讐のための準備資金を熱心に稼いだ。
もっとも、ディキシスが一番最初に買い揃えたのは、レムナの魔防具服だったから、余計に時間がかかってしまったのだけれど。
話を中断されたディキシスは、怒るでもなく静かに頷く。
「だから言っただろう。俺は、とっくに夢を叶えてたんだ。だが……楽しむどころか、気づくことも出来なかった」
彼は深い溜め息をついて、レムナへ視線を向けた。見慣れた夕陽色の瞳なのに、なぜか少しだけ、明るい色になったような気がする。
「あんまり悔しいから、やり直したくてな。この国はちょうど遺跡に不自由しないし、お前の怪我が治ったら、気の済むまで遺跡を回りたいと思った。……一緒に来てくれるか?」
思いもしなかった言葉に、レムナは翼をバタつかせながら、力いっぱい何度も頷いた。
「う、うん!! 行く! 絶対に行く!」
ディキシスが嬉しそうに頷き、大きな片手を差し出した。
「……じゃあ、改めてよろしくな。俺の旅仲間」
「え?」
「もう復讐の武器は必要ない。俺が欲しいのはレムナだ」
そう言ってから彼は、途端に自分の言葉が恥ずかしくなったようだ。耳まで顔を赤くし、両手を必死でふる。
「違う! 今のは変な意味じゃない! いや、俺もこれからは、もう少し努力するが……」
「ディ、ディキシス?」
「な、なんというか、その……お前に好かれるのに、相応しい相手になれるように……」
どうやらディキシスは、自分でもどんどん墓穴を掘っているのを、自覚はしているらしい。
しまいに頭を抱えて、レムナへ背中を向けてしまった。
「……今さら、信じてもらえなくても仕方ないが、俺だって本当は、お前に一目惚れだ」
消え入りそうな呻き声で言われ、レムナは自分の耳を疑った。
「だって、ずっと……」
ディキシスが腕の隙間から、少しだけ視線を覗かせて軽く睨む。
「これも何度も言ったが、お前に相当な無茶をさせ続けたのは事実だ。だから俺には、お前を愛する資格など微塵もなかった」
「だけど、ディキシスはいつだって……」
危険が多かったのは確かでも、ディキシスは必ずレムナの身を案じ、いつも自分がより危険な役を引き受けた。
「……資格は十分すぎるくらい、あるよ」
レムナは呟き、そっとディキシスに身体を摺り寄せた。途端に、大きな腕に抱き締められる。
「許されないはずなのに……姉さんを犠牲にして生き残ったのに……俺は……」
嗚咽を堪えているような、ディキシスの声が震えた。
「俺は……幸せになりたい……」
レムナを抱き締める腕に力が篭った。
長身の青年は、まるで後悔に泣く小さな少年のように感じた。
「お前をきちんと愛して、愛されたい。許されなくても……その願いを叶えるために、足掻きたい」
「……」
何か声をかけたかったのに、レムナは何も言えなかった。
ディキシスもまた、復讐のために多くの命を潰した。
復讐の相手を、決して許さないと誓ったからこそ、その呪いは彼自身も絡めとってしまった。
ディキシス自身も、許されなくなってしまった。
「……うん」
レムナがようやく出来たのは、頷くことだけだった。
いつか、何年も先かもしれないけれど、ディキシスが自分にかけてしまった呪縛が溶ける日が来るのを、レムナも心から願っている。
それまで必死に足掻いて、なにが悪いと言うのだろうか。
レムナは必死で笑みを作り、精一杯の明るい声を出す。
「――じゃ、ディキシス。まずは『愛してる』って、私にちゃんと言ってみようか?」
「っ!?」
レムナを抱き締めたまま、ディキシスの身体がビクリと震えた。見えないけれど、きっとこれ以上ないほど赤面して、顔をこわばらせているに違いない。
「ね? 努力してくれるんでしょ? 私はもう何百回も言ったんだよ?」
フフンとレムナは笑い、ここぞとばかりに畳み掛ける。
そして真っ赤になっている耳に口元を寄せて囁いた。
「世界中の誰が許さなくても、関係ないよ。私は、ディキシスを愛してる」
次の瞬間、ベッドへ押し倒されてディキシスに唇を塞がれていた。
彼が狂おしいほど言いたいと望み、レムナも渇望していた言葉が、重ねた唇の隙間で微かに聞えた気がした。
退屈しのぎに天井を見上げるが、年季が入った宿屋の天井梁は、いつもと変わらない。
ラクシュたちとの戦いで、地下遺跡にて九死に一生を得てから、十日間が経っていた。
ディキシスは結局、ラクシュを殺さないことに決めたらしい。
あれだけ硬い決意をしていた彼に、どんな心境の変化がそうさせたのだろうか。
『復讐はちゃんと果たした』
ディキシスはそう言っただけで、詳細は教えてくれなかったが、彼がもう良いというのなら、レムナが口を挟む事ではない。
レムナは彼の武器だけれど、アーウェンもラクシュも好きだったから、内心ではホッとしていた。
さすがにアーウェンには、悪い事をしたと思っている。
ただ……言い訳をさせてもらえば、彼とてレムナの立場だったら、絶対に同じ事をしたはずだ。
あの人狼は、親切な好青年だけれど、ラクシュを好きすぎて致命的に病んでいると、地下遺跡で思い知らされた。
レムナの身につけていた魔防具は、ほぼ全部が壊れてしまったし、翼も痛めたうえに、多数のすり傷や打撲を負い、今は療養中だ。
正確に言えば、いつも以上に怖い顔をしたディキシスに、絶対安静との命令の元、宿へ軟禁中である。
宿泊部屋はいつも通り一緒だが、ディキシスは外出中だった。彼はレムナには留守番を命じ、愛用の剣と外套だけを一緒に連れて行った。
あの翌日から、ディキシスは毎朝そそくさと、行先も言わずに黙って出かけていく。そして夜に、くたびれきった様子で帰ってくるのだ。
どこで何をしているか、とても気になったが、毎晩の求愛給仕というご褒美があったから、詮索も退屈すぎる療養も我慢できていた。
しかし昨日の夜、帰って来たディキシスの外套の一部が、キメラの血で汚れていたのだ。きっと、そこだけ魔道具で浄化し忘れたのだろう。
酷いショックで、せっかくの求愛給仕さえも断ってしまった。
驚くディキシスには、おなかが痛いと言って誤魔化し、布団の中に潜り込んで震えていた。
―― あんまりだ。一人でこっそり、キメラを狩りに行くなんて!
ディキシスの武器は、剣だけじゃないのに!
所持金にはまだ余裕があるのだから、危険な遺跡に行くのは、レムナが回復するまで待ってくれたって良いはずなのに!
―― やっぱり……。
ずっと密かに恐れていたことが、現実になりそうな気がして、明け方まで眠れなかった。
目が覚めたのはついさっきで、やはりディキシスは部屋におらず、剣と外套もなかった。
……きっとまた一人で、キメラ狩りに行ってしまったのだろう。
***
(……早く、帰ってこないかなぁ)
褐色の素足と一緒に、背中の翼も伸ばして軽く動かすと、もう痛みもなくスムーズに動いた。
立ち上がって窓際に行き、レムナは天気の良い空を眺める。
今日は気持ちの良い快晴で、市街地は賑やかそのものだった。
野原に出た新遺跡を目当てに、大勢の冒険者達が集まってきているせいだ。人間とほぼ同等なほど魔物も多いのは、さすがこの国というところだろう。
人狼は半獣化していないと、人間と見分けが難しいが、通りを人間と連れ立って歩く者には、九尾猫やラミアにアラクネ、気難しいケンタウロスまでも揃っていた。
数人のハーピーが、鮮やかな翼をはためかせて広場の上を飛んでいる。
一緒に旅をし、時に生死を共にする仲間は、種族が違えど家族も同然だ。
当然ながら恋愛感情も多く生まれ、その恋は実ることもあれば、残念な結果になることもある。
レムナは窓ガラスに鼻先を押し付けて、九尾猫の女性が人間の男性へしなだれかかり、仲良く窓の下を歩いていくのを、羨ましげに見下ろした。
(あーぁ。ハーピーって、恋だけは損すぎる……)
空を飛ぶのは大好きだし、自分はハーピーに産まれて良かったと断言できる。
ただし恋愛に関してだけはは、どうしてもハーピーは損な生物だと思う。
魔物は種族によって個体差や特徴はあるが、泉に浮かび上がった瞬間から、その地での言語など、ある程度の知識と知能を備えているのは共通していた。
ハーピーは、吸血鬼やラミアと同じように、ランダムな年齢の姿で産まれ、生涯をその姿で過ごす。
そしてハーピーの大きな特徴は、やはり空を飛べることと、産まれて最初に見た相手へ恋心を刷り込まれる性質だ。
ただし、その刷り込み本能は、よくトラブルも引き起こした。
恋心を抱く相手は、人間か魔物なら、異種族でも等しく刷り込まれてしまう。しかも、その相手をハーピーが自分で選ぶ事はできないのだ。
相手が同性だったりとか、すでに伴侶がいたりとか、歳を取りすぎていたりとか……数え上げたらきりが無い。
(私は、最初に見たのがディキシスで……)
そこまで考えた時、不意に扉がノックされ、レムナはビクンと飛び上がった。
返事をすると、ディキシスがいつもの無愛想な表情で帰って来た。
やはり腰に剣を下げ、この暑いのに愛用の外套を着ているが、片手には見慣れない大きな荷物を抱えている。
「あ、あれ? 早かったね……」
ついさっき、早く帰って来てくれと願ったが、本当に来るとは思わなかったから、声が変に上擦った。
包みを抱えて戸口に立っているディキシスから、いつもより思いつめたような雰囲気を感じるせいかもしれない。
レムナが窓辺に立っているのを見ると、ディキシスは軽く眉を潜めた。
「安静にしていろと言っただろう」
「もう完璧に治ったし、これ以上寝てたら、飛び方を忘れちゃう」
レムナが言い返すと、ディキシスは顔をしかめたが、口元にはわずかな苦笑を浮かべていた。
これが、レムナは大好きだ。
「おかえり!」
ついディキシスへ駆け寄り、その長身に抱きついたが、困惑したような表情でやんわりと押し返された。
これももう、いつものことだから、レムナもあっさり身を離す。大人しくまたベッドに腰掛けて、内心で溜め息をついた。
(やっぱり、ハーピーって損。こんなに好きなのに、信じてもらえないなんて……)
レムナはディキシスが大好きなのに、彼はそれを刷り込みのせいだと言い、認めてくれないのだ。
世の中には、ハーピーの刷り込み性質を利用し、自分へ懐かせてボロボロになるまで使い潰す者も多い。
どんなに乱雑に扱われても、ハーピーは恋した相手に尽くし続けるのだから。
ディキシスは自身を、そんな悪人と同じだと言う。
泉の番人に貰ったレムナを、吸血鬼への復讐に利用してこき使っているからだと、彼はいつだってレムナに言い聞かせる。
『お前は刷り込みに惑わされているだけで、本当は俺を好きになるはずがない』と。
ハーピーに本当の恋は出来ないなんて、それこそ差別だと、最初は何度も抗議したが、ディキシスは困りきった顔で黙ってしまうから、レムナも黙ることにした。
(ハーピーは、みんなが思うほどバカじゃないんだから)
荷物を置いて外套を脱ぎはじめたディキシスから、そっと目を逸らす。
悪人に虐げられても尽くしてしまうハーピーは、頭の悪い種族だと、からかい歌まであるほどだ。
しかしハーピーだって、恋する相手が酷ければ、それを頭ではちゃんと解っている。それでも離れられないのだ。
吸血鬼が血を飲まずにいられないように、人狼が満月の夜には変身せずにいられないように。
それは本能のさせる愚かな行為だと認めよう。
でもレムナは、ディキシスを酷い悪人だなんて、一度も思ったことはない。
無愛想で朴念仁で、意地っ張りで頑固で、思考が常に後ろ向き……くらいは、たまに思うけれど。
ただし彼は、いつでもレムナの身を案じて大切に扱ってくれる。
無愛想でも、レムナのお喋りをちゃんと聞いてくれる。実はふわふわ小動物が好きで、たまに視線が九尾猫や人狼の尻尾を追いかけていたりするのも、可愛くてたまらない。
なにより、レムナの恋を勘違いだと諌めつつも、強請られれば求愛給仕をして、満たしてくれる。
めったにないが、レムナが熱心に望めば、時に愛撫して抱くこともある。
触れる手は、いつだってとても優しくて、どちらかと言えば彼の方が、レムナに尽くしているような気さえする。
そんな相手に恋をして、何が不自然なのだろうか。
レムナがハーピーでなくとも、ディキシスの傍にいれば、絶対に夢中になっていた。
(私は、最初にディキシスを見てから、後悔したことなんか無いよ!)
レムナは、自分がどこの泉から産まれたのか、よく解らない。
意識を得た時には、すでに全身拘束と目隠しをされており、『泉の番人』を名乗る者に、さまざまな手術を施された。
視力や身体能力を大幅に強化され、声だけしか知らない番人から、自分はとある青年へ、武器として渡されると聞いた。
青年は吸血鬼と王家に復讐を誓い、そのためにはレムナの助けが必要らしい。
そんなの怖いし利用されるなんて嫌と思ったけれど、自動人形のように淡々と紡がれる番人の言う事には、なぜかいつだって逆らえなかった。
「……レムナ?」
ぼーっと考え事をしていたら、ディキシスに呼ばれていたらしい。
「え!? あ……ごめん、ちょっと考えごとしてて……」
慌てて言いつくろうと、赤褐色の髪をした青年はレムナの隣へ座り、やけに神妙な声で切り出した。
「お前の怪我が治ったら、聞こうと思っていた」
「う、うん?」
レムナは引きつった声で返事をし、膝の上で病衣を握り締めた。やけに心臓がうるさくて、息が苦しい。
「俺の目的は達成された。それで問題は、お前の今後だが……」
―― 限界だった。
覚悟はしていたのだから、絶対に泣くまいと思っていたのに、ボロボロと涙が勝手に零れて、握り締めた手の上に落ちていく。
「レムナ……?」
しかも唖然とするディキシスを見て、もしかしたら、少しくらい同情して貰えるかも……など、最低すぎることを考えてしまった。
「ディ、ディキシス……む、無理にとは、言わないけど……もし、良かったらだけど……もうちょっとだけ……一緒にいちゃ駄目……かな?」
ずっと不安でたまらなかった。
復讐が達成されたら、自分はディキシスにとって、辛い過去を思い出させるだけの存在になってしまう。
彼がレムナの愛を否定し続けたのは、その時にためらいなくレムナを捨てられるようにではないか……。
随分と前から、そんな恐ろしい考えが、何百回も頭をよぎっていた。
「……これを先に渡すべきだった」
ぶっきらぼうな声と共に、黒い布袋が突き出された。ディキシスが帰って来た時に抱えていた荷物だ。
「早く開けてくれ」
催促され、震える手で紐を解いた途端に、虹色の光がキラキラと零れ出た。
「こ、これ……ディキシス? なんで?」
中に入っていたのは、薄くて軽い布の衣服で、魔道具に加工した無数の鉱石ビーズを、蜘蛛女の特殊糸で丁寧に縫いつけてある。細かいデサインこそ違うが、破れてボロ服と化してしまったレムナの魔防具服と、ほぼ同じもの……いや、以前よりもさらに良品となっていた。
「鈴猫屋で鉱石ビーズを買って、ついでに良い仕立て屋も紹介してもらった」
レムナは魔防具服を手にしたまま、声も出せずに固まっていた。
鉱石ビーズは一つ一つが宝石も同然の価格だ。ただし、小さく作るのは難しいために、細かいものほど高価になる。
衣服に煌くビーズは、信じられないほどの極小サイズで、魔法文字も丁寧に刻まれていた。これだけ小さく軽ければ、多数の鉱石ビーズがついていても、飛ぶのに支障はない。
ただしこれを作るなら、宝石をちりばめた夜会ドレスを十着作るほうが安いだろう。
茫然と固まっているレムナの頬を、ディキシスが指先でつついた。
「毎日留守番させてたからって、そう不貞腐れるな。これを買うために、あの新遺跡を駆け回ってたんだ。あそこのキメラは手ごわいが、良い発掘品も多くて、なんとか稼げた」
そして、思い出したようにぼやいた。
「これだけ大量買いしたのに、クロッカスときたら値引くどころか、ここぞとばかりに吹っ掛けてきたんだぞ。尻尾三本の腹いせだろうな」
ニヤニヤ顔で代金を要求する九尾猫の姿が目に浮び、レムナは思わず噴出した。
クロッカスの命を三回分奪ったのは吸血鬼たちの仕業だが、そもそもはディキシスとレムナが、黒い森を襲ったのが発端だ。
いかにも、あの猫おじさんらしい報復だと思う。
「じゃ、じゃあ……これからも一緒にいて……良いんだよね?」
つい、声が小さくなってしまい、ヒソヒソ声でレムナは尋ねる。
ディキシスが頷き、照れたように少しだけ微笑んだ。
滅多に見られないこの顔が、レムナはもっと大好きだ。
うっとり見惚れていると、ディキシスは少し顔を赤らめて、また無愛想な顔に戻って視線をそらしてしまった。
「十日前……復讐を果たした後で……」
ディキシスは天井の梁を睨みながら、独り言のようにポツポツと話し出した。
「……ガキの頃の夢が、いつのまにか叶っていたことに、いきなり気がついた」
「夢? 復讐じゃなくて?」
キョトンと尋ねると、ディキシスが苦笑した。
「まだ姉さんが生きていて、ラドベルジュの貧民窟に住んでた頃は、俺だって普通のガキで、将来の夢くらいあったさ。その日を生きるのに精一杯でも、夢は無料だからな」
「へぇ……どんな夢?」
珍しく多弁な彼の話をもっと聞きたくて、レムナは慎重に相槌を打った。
ディキシスは、遠い子ども時代を思い起こすように、目を細める。
「あそこに住む男のガキなら、誰でも一度は見る夢だ。立派な剣や鎧で武装して、信頼できる仲間と、古代遺跡でキメラと戦ったり、珍しい発掘品を見つけて金を稼いで……」
「え? それって……」
そこまで聞いた所で、ついレムナは声をあげてしまった。
ディキシスと共に暮らし始めた七年前から、二人は数々の遺跡を探索した。
キメラを狩り、発掘品を見つけては、復讐のための準備資金を熱心に稼いだ。
もっとも、ディキシスが一番最初に買い揃えたのは、レムナの魔防具服だったから、余計に時間がかかってしまったのだけれど。
話を中断されたディキシスは、怒るでもなく静かに頷く。
「だから言っただろう。俺は、とっくに夢を叶えてたんだ。だが……楽しむどころか、気づくことも出来なかった」
彼は深い溜め息をついて、レムナへ視線を向けた。見慣れた夕陽色の瞳なのに、なぜか少しだけ、明るい色になったような気がする。
「あんまり悔しいから、やり直したくてな。この国はちょうど遺跡に不自由しないし、お前の怪我が治ったら、気の済むまで遺跡を回りたいと思った。……一緒に来てくれるか?」
思いもしなかった言葉に、レムナは翼をバタつかせながら、力いっぱい何度も頷いた。
「う、うん!! 行く! 絶対に行く!」
ディキシスが嬉しそうに頷き、大きな片手を差し出した。
「……じゃあ、改めてよろしくな。俺の旅仲間」
「え?」
「もう復讐の武器は必要ない。俺が欲しいのはレムナだ」
そう言ってから彼は、途端に自分の言葉が恥ずかしくなったようだ。耳まで顔を赤くし、両手を必死でふる。
「違う! 今のは変な意味じゃない! いや、俺もこれからは、もう少し努力するが……」
「ディ、ディキシス?」
「な、なんというか、その……お前に好かれるのに、相応しい相手になれるように……」
どうやらディキシスは、自分でもどんどん墓穴を掘っているのを、自覚はしているらしい。
しまいに頭を抱えて、レムナへ背中を向けてしまった。
「……今さら、信じてもらえなくても仕方ないが、俺だって本当は、お前に一目惚れだ」
消え入りそうな呻き声で言われ、レムナは自分の耳を疑った。
「だって、ずっと……」
ディキシスが腕の隙間から、少しだけ視線を覗かせて軽く睨む。
「これも何度も言ったが、お前に相当な無茶をさせ続けたのは事実だ。だから俺には、お前を愛する資格など微塵もなかった」
「だけど、ディキシスはいつだって……」
危険が多かったのは確かでも、ディキシスは必ずレムナの身を案じ、いつも自分がより危険な役を引き受けた。
「……資格は十分すぎるくらい、あるよ」
レムナは呟き、そっとディキシスに身体を摺り寄せた。途端に、大きな腕に抱き締められる。
「許されないはずなのに……姉さんを犠牲にして生き残ったのに……俺は……」
嗚咽を堪えているような、ディキシスの声が震えた。
「俺は……幸せになりたい……」
レムナを抱き締める腕に力が篭った。
長身の青年は、まるで後悔に泣く小さな少年のように感じた。
「お前をきちんと愛して、愛されたい。許されなくても……その願いを叶えるために、足掻きたい」
「……」
何か声をかけたかったのに、レムナは何も言えなかった。
ディキシスもまた、復讐のために多くの命を潰した。
復讐の相手を、決して許さないと誓ったからこそ、その呪いは彼自身も絡めとってしまった。
ディキシス自身も、許されなくなってしまった。
「……うん」
レムナがようやく出来たのは、頷くことだけだった。
いつか、何年も先かもしれないけれど、ディキシスが自分にかけてしまった呪縛が溶ける日が来るのを、レムナも心から願っている。
それまで必死に足掻いて、なにが悪いと言うのだろうか。
レムナは必死で笑みを作り、精一杯の明るい声を出す。
「――じゃ、ディキシス。まずは『愛してる』って、私にちゃんと言ってみようか?」
「っ!?」
レムナを抱き締めたまま、ディキシスの身体がビクリと震えた。見えないけれど、きっとこれ以上ないほど赤面して、顔をこわばらせているに違いない。
「ね? 努力してくれるんでしょ? 私はもう何百回も言ったんだよ?」
フフンとレムナは笑い、ここぞとばかりに畳み掛ける。
そして真っ赤になっている耳に口元を寄せて囁いた。
「世界中の誰が許さなくても、関係ないよ。私は、ディキシスを愛してる」
次の瞬間、ベッドへ押し倒されてディキシスに唇を塞がれていた。
彼が狂おしいほど言いたいと望み、レムナも渇望していた言葉が、重ねた唇の隙間で微かに聞えた気がした。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる