淫獄の玩具箱

asami

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第四十九話

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 秋になって学園祭の時期になった。
俺は模擬店でお好み焼きを作る係になった。
近所のスーパーでお好み焼きの材料を買ってきてあとはカセットコンロを使ってお好み焼きを作るだけの簡単な仕事だ。
午前中はお好み焼きを買う客などいないので暇だったが、午後になるとお好み焼きは大人気で店の前には行列ができた。
大忙しでお好み焼きを作っていると「あら春雄ちゃん久しぶりね」と列に並んだ女子高生に声をかけられた。
聞き覚えのある声は幼馴染みの日出子ちゃんだ。
日出子ちゃんは住まいが近所なので、小学校と中学校は同じ学校だった。
クラスも何度か同じクラスになった事があるが高校生になってからは学校が別であまりつき合いはない。
わざわざ俺の高校の学園祭に来てくれたらしい。
その時空が急に暗くなったのに気がついた。
あっというまに空が真っ暗になると大粒のヒョウが降り始めた。
握り拳くらいの大きさのヒョウはまともにあたったら命がない。
日出子ちゃんが慌ててお好み焼きの模擬店のテントの中に逃げ込んできた。
狭いテントの中で日出子ちゃんが俺に抱きついて来た時急に激しい雷の音がして俺の体に激しい衝撃が襲った。
目が醒めたとき俺はベッドに寝ていた。
「日出子ちゃん大丈夫」とベッドの側にいた女性に声を掛けられたが俺の母親ではない。
どっかで見た顔だと思ってよくよく思い出してみると日出子ちゃんのお母さんらしい。
以前あったのは随分昔で日出子ちゃんのお誕生会の時だったとなんとなく覚えている。
そのときよりはかなり老けた顔つきだが日出子ちゃんのお母さんに間違いはない。
「日出子ちゃんしっかりして、大丈夫よすぐ元気になれるから心配いらないわ」とまた日出子ちゃんのお母さんが俺に声をかけてきた。
俺は日出子ちゃんのお母さんが人違いをしているんだと思った。
「春雄ちゃん目をさまして、しっかりして」と俺のすぐ近くで俺のお母さんの声が聞こえて俺は何だか変だと思った。
俺の寝ているベッドのすぐ横に並んだベッドの周りを俺のお母さんとお父さんが立っていて白衣をきた医者らしい男性がなにか話している。
「残念ですが、ご臨終です」と言っているように聞こえた。
学園祭の模擬店で雷にあったことは覚えている。
そのあと病院に運ばれたのなら俺の隣で寝ているのは日出子ちゃんなはずだ。
だが隣のベッドの周りを取り囲んでいるのは俺のお母さんとお父さんなので話が合わない。
俺はベッドから起き上がろうとしたが体に力が入らない。
なんどか試してみたが体はまったく動かなかった。
なんとか声を出そうとしたが声もでない。
俺はいつの間にか気をうしなってしまった。
気がついたときは朝らしくて小鳥の声が聞こえた。
病室には誰もいない。
体を起こしてみると昨日は動かなかった体が不思議と自然に動いた。
隣のベッドを確かめてみたがやはり誰もいない。
体を起こしてみると何だか変だ。
俺はさっきから胸の上になにか乗っているような息苦しさを感じて変だと思って胸を触ってみた。
手の平に柔らかくて大きな肉の塊の感触がある。
俺は自分の胸が大きくなってるのに気がついた。
俺は変だと思って、下着の中に手を入れて確かめてみたがやっぱりあるはずの物がない。
どうやら俺は日出子ちゃんの体に転生してしまったらしい。
そんなことあるはずがないと何度も思ったが他に説明がつかない。


 数日たって退院前に担当の医者の先生に診察を受けた。
「名前を言って貰えますか」と最初に先生に聞かれて俺は姫井春雄と答えそうになったがそんな返事をしたら退院させて貰えないかもしれない。
俺は日出子ちゃんの名前を言うしかないと思って「中畑日出子」ですと答えた。
「生年月日は」と聞かれたが、俺は日出子ちゃんの誕生会には何度も呼ばれていたので日出子ちゃんの誕生日は覚えていた。
「4月7日」ですと答えると次は住所を聞かれた。
俺は答えられなかった。
お母さんの名前とお父さんの名前も聞かれたがやはり答えられない。
「事故の時に頭を打った衝撃で、記憶を失っているようですね。大丈夫しばらくしたら元にもどると思います」と先生が母親に答えていた。
退院すると日出子ちゃんの家に連れて行かれた。
日出子ちゃんの部屋に入ると綺麗に片づいていて、前来たときと変わらない。



 翌日学校に行こうと思って制服を着ようとすると女物のセーラー服を渡された。
俺は学園祭の余興で女装したときにセーラー服を来たことがあるがまさか本当にセーラー服を着て学校に行くとは思わなかった。
翌日学校に行くことになったが俺は困ってしまった。
日出子ちゃんが通っていたのは目黒女子学院だとは知っていたが場所が分からない。
お母さんが心配をして一緒に学校までついて来るというので俺はお母さんと家をでた。
駅までの道をお母さんと一緒に歩いたが途中の景色に見覚えはない。
地下鉄に乗って学校のある駅に着いたあと、母親と一緒に歩き始めた。
しばらくして学校に着いたが、教室がどこかも分からない。
お母さんは授業参観に来たことがあるらしくて俺の教室を覚えていた。
教室のドアを開けると遅刻してしまったらしくてホームルームはもう始まっていた。
空いてる席が一つあったのでどうやらそこが俺の席らしい。
出席をとるとき先生が「中畑日出子」と呼んだとき俺はすぐには自分の名前だとは気がつかなかった。
先生は俺が返事をしないのを不審に思ったのかもう一度大きな声で「中畑日出子」と呼んでくれた。
俺は慌てて自分が呼ばれたのに気がついて「はい」と返事をした。
授業が始まっても先生の顔に見覚えもないし、教科書のどこを開けばいいのかも分からなかった。



 一週間程毎日学校に通って次第に新しい生活にも慣れてきた。
だが俺は相変わらず自分が姫井春雄だったときの記憶しかなかった。
どう考えても今の生活が自分の本来の姿だとはとても思えない。
このまま自分が自分自身ではないと思いながら生きていかなければ行けないと思うと将来が不安だ。
俺は自分が姫井春雄だったときの叔父に相談してみようと思いついた。
叔父とは子供の頃から可愛がってもらっていて一緒に旅行に行ったことも何度もある。
携帯のメールアドレスも覚えていたので俺は叔父にメールを送ることにした。
だが俺は叔父にどうやって事情を説明すればいいのか困ってしまった。
「亡くなった姫井春雄さんの事で相談したいことがあるので、会っていただけないでしょうか」と中畑日出子の名前でメールを送った。
すぐにメールに返事が来て、放課後に叔父と渋谷で待ち合わせる約束をした。
地下鉄で渋谷に出てハチ公前で待っていると叔父らしい姿を見つけた。
「あの私が中畑日出子です、わざわざ呼び出したりして申し訳ありません」と俺は叔父に声をかけた。
「いや、初めまして。話があるんだってね。とりあえずどっかでお茶でも飲もうか」と叔父は俺に返事をしたがなんだかよそよそしい雰囲気だ。
「私達お会いするのは初めてじゃないんです。大事な話なので二人だけでお話できませんか」と俺は叔父に言った。
「はじめてじゃないって」と叔父は半分言いかけて俺の顔を見つめてから服装を足元から頭のてっぺんまで眺めた。
「どこでお会いしましたかね」と叔父が不審そうな顔で聞くので「私姫井春雄さんと同じ病院に入院してたんです」と俺は叔父に言ってみた。
「ああ、あの時の、」と叔父は半分思い出したような顔をした。
「それで大事な話しというのはなんの事なんでしょうか」と叔父に言われて「ここでは話ができませんから」と俺は叔父を促した。
「それじゃあ、ちょうどいい、二人きりでゆっくり出来る所があるからこれから一緒に来てもらえますよね」と叔父が言ってくれたので俺は「そうして下さるととっても有り難いです」と返事をした。
ハチ公前から交差点を渡ってセンター街に入ると大通りをしばらく歩いた。
裏道の角を曲がると目の前にラブホテルらしい建物が見えた。
叔父がさっき言っていた二人きりでゆっくり出来る場所というのはラブホテルの事だったらしい。
いくら相手が叔父とはいえ、俺は今は女の身体だ。
うっかり一緒にラブホテルになんかに入れば何が起きてもおかしくない。
だが俺が自分から二人だけで話がしたいと言い出したのだからラブホテルに連れ込まれても仕方がない。
もしかして叔父は援助交際の相談だと思い込んだのかもしれないと俺は心配になった。
だが今更断るわけにもいかないと思って俺は叔父とラブホテルに入る事にした。
エレベータに乗って二階に上がると俺は男の後から部屋に入った。
部屋の中を見回してみると、大きなベッドの横に大きな液晶テレビが置いてあり他には自動販売機らしい機械が置いてあるだけ。
特段に変な物が備えてある訳でもない。
俺はとりあえず一安心した。
俺は気を利かせてテーブルの上にある電気ポットのスイッチを入れてお茶の支度をはじめた。
電気ポットの横には湯のみ茶碗が二つあって、ウーロン茶のティーバッグが二つ置いてある。
俺は自分でお茶などいれたことはないが、男に気に入られるにはお茶の支度くらいはした方がいいと思った。
「ここなら何でも話せるからね、相談したいことがあるんだろう。なんでも聞いてあげるよ」と叔父が先に口を開いた。
俺はどう説明していいのか困ってしまった。
身体が入れ替わったなんて話を信じて貰えるはずはない。
だが言うしかない。
「じつは姫井春雄さんの事なんですけど」と途中までいって俺は言葉に詰まった。
「姫井春雄さんは死んでいないんです、私が姫井春雄なんです」と続けて言うと俺は叔父の顔色を伺った。
叔父は不審そうな顔で俺の様子を伺うだけで何も言おうとはしない。
「本当なんです、子供の頃一緒に温泉に行ったことも覚えています。入学祝いにパソコンをプレゼントしてもらったのもちゃんと覚えているんです」と俺は言うだけ言ってみた。
「春雄は亡くなったよ、葬式も済んで納骨も済ませた」と叔父が言うのを聞いて俺はやっぱり信じて貰えないと分かってがっかりした。
「日出子ちゃんは事故のとき頭を打ったからきっとそのせいだよ。男の子と女の子の身体が入れ代わったりするのは映画や小説なんかではよくあるけど実際に起きる事はないんだ」
「すこし時間がたてば日出子ちゃんも自分の事を思い出すから心配はいらないよ」と叔父に言われて俺はもう言い返す言葉がなかった。
「日出子ちゃん、彼氏はいるのかな」と不意に叔父が話題を変えた。
「それが分からないんです、付き合っている男の人がいるのかいないのか自分でも記憶がなくて」と俺は正直に話した。
「まだ男性経験はないのかな、それとももう済んでるのかどっちなのか分かるかな」と叔父に言われて私は返事に困った。
「私全然記憶がなくて、ごめんなさい」と俺途中まで言いかけて口を閉じた。
「大丈夫日出子ちゃんは女の子なんだから初体験の事は絶対に忘れないはずだよ、男性と交際すればすぐに記憶は取り戻すはずだ、心配いらない」と叔父に言われて確かにそうだと俺も思った。
「でも私自分が男の人と交際するなんてとても想像できなくて」と俺は正直な気持ちを叔父に話した。
「日出子ちゃん援助交際って知ってるかな」と叔父に言われて私は返事に困った。
援助交際が何かはしってるがどうして叔父が援助交際の話を持ち出したのか理由が分からない。
「なんの事でしょうか」と俺はわざととぼけて知らない振りをした。
「日出子ちゃんももう年頃の女の子なんだから援助交際が何なのか知らないはずはないよね」と叔父に言われて俺はしかたなく「ええまあそうですね」と曖昧に答えた。
「日出子ちゃんの友達なんかでも援助交際をしている子は一杯いるよね」と叔父に言われて確かにそうかもしれないと思った。
「よく知りませんけど」と答えると「日出子ちゃんも援助交際の経験があるんじゃないのかな、いやきっとそうだよ」と叔父に勝手に決めつけられてしまった。
俺は自分が日出子だった時の記憶は全然ない。
もしかして援助交際をしていたのかもしれないが覚えていないので確信はない。
「援助交際のビデオがあるから見てみないか、そうすれば日出子ちゃんが援助交際をしていたときの事を思い出すかもしれないよ」と叔父に言われてたしかにそうかもしれないと俺は思った。
叔父が部屋に置いてある大きな液晶テレビのリモコンを操作すると画面が映し出された。
なんどか画面を切り換えるとラブホテルの部屋で女子高生らしい女が中年の男と一緒にいる姿が映し出された。
どうやら援助交際をしている女子高生を盗撮したビデオらしい。
それもモザイクなしの裏ビデオだ。
女子高生の身体の上に中年の男が身体を重ねて腰を動かしているのがはっきりと見えた。
裏ビデオなんて珍しくもないがいつもはパソコンの小さな画面で見てるだけだ。
家に置いてある液晶テレビの倍くらいもある巨大な液晶テレビで見ると迫力が全然ちがう。
まるで目の前で実際に男と女が居るみたいに見える。
俺はビデオを見ていて女子高生の顔に見覚えがあるのに気がついた。
親戚の姪の麻美ちゃんだ。
変だと思ってよくよくビデオの画面を確かめてみると相手の男は叔父らしい。
麻美ちゃんと叔父は特別に親しい関係だったらしいと気がついて俺はびっくりしてしまった。
そう言えば以前から仲がよすぎて変だと思っていた。
温泉旅行に行ったとき一緒に家族風呂に入ったり。誕生日のプレゼントにワンピースを買ってもらったりしていてどう考えても怪しい関係だった。
「これ麻美ちゃんですよね」と俺は思わず口に出した。
「麻美ちゃんを知ってるんだね、どこで知り合ったのかな。前から友達だったんだろう」と叔父に聞かれて「麻美ちゃんは私の姪です。子供の頃からよく知ってます」と答えた。
「麻美ちゃんだってもう初体験は済んでるんだ。日出子ちゃんだってもうとっくに初体験はすんでるのは当たり前だよね」と叔父に言われて俺は確かにそうかもしれないと思った。
「初体験は上手な人にやってもらったほうがいいんだ。そのほうがいい思い出になるからね」と叔父が得意気に話すのを聞いて俺はそんな話を聞いたことがある気がした。
「麻美ちゃんと同じようにしてあげるよ、そうすればきっと日出子ちゃんも記憶を取り戻すはずだよ。麻美ちゃんの事をよくしっているんだからそれが当たり前だよね」と叔父に言われて俺は叔父の言葉の意味がよく飲み込めなかった。
麻美ちゃんが叔父と交際しているからといってどうして俺が叔父と交際しなければいけないのか理由が分からない。
「他に方法はないんだ、迷ってる暇なんかないんだよ、今すぐ決めるんだ」と叔父に強く言われた。
叔父が俺をベッドに押し倒して来たとき俺は叔父に逆らうわけにはいかないと思った。
俺の身体を襲う欲望は、嵐のような激しさだった。
叔父の欲望は、楽しみを先に延ばしたいかのように、俺の身体ををじらしながら開いてきた。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがあった。
支配者の欲望に従順に従うことだけが、俺に許された最後の希望だった。
俺の体は空高く放り上げられたまま、落ちることを許されずに回り続けた。
信じられない感触が俺の体中に広がると許しを請うことさえできなくなった。
天国に届くまで投げ上げられた俺の身体は、果てしない空を昇り続けた。
叔父は俺の身体を征服すると最後の望みを打ち砕いた。
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