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第七話

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 また土方に応募することにした。理由は自宅から近かったこととグーグルマップで見たその場所にフォークリフトが置かれていたからであった。ドカタというのは基本現場まで行って作業するものだとは思うがそこはフォークリフトがあったようにそこでする仕事もありそうだったので、朝早く時給も出ないのに長い時間車移動させられたりするようなことをしないで済むかもと考えていたからである。面接に行くといかにも反社会勢力っぽい良い年して金髪でアクセサリーをジャラジャラつけたおっさんが出てきた。正直こんなのが出てきた時点でこの仕事落ちたいなと思ったがとりあえず聞くだけ聞いてみることにした。フォークリフトやユンボなどでの作業は内勤と言って現場へは行かず一日中そこで作業するだけの日もあるらしい、けれどそれはランダムで選べるわけではないとのこと。そして面接が終わり不採用の場合は履歴書を返すと言ったので落ちたことを確信した。まあそれはよかったのだがいつまでたっても履歴書を送って来ず。こちらから催促してようやく戻ってきたのは一月近く経ってからであった……。

 新聞配達のアルバイトに興味を持ったことがあった。こういうウーバーイーツとかの誰かの家に行って何かを配っていくという作業は方向音痴の自分には向いてないことはわかっていたのだが、あるまとめサイトを読んだとき初日はカブの乗り方を教わるだけで終わったと書かれてあったことから、最悪難しそうだったら初日でやめる(もしくはその場でクビにされて終わり)という選択肢もあるということを知ったからでもあった。乗り方を覚えるだけでその日の日当がもらえるのなら得なことしかない……と言っても2時間くらいなので大した額ではないがそれなら道に迷う必要もないと思い安心した。あと当時やっていたアニメにカブが主役のものが放映されていた影響もあった。そして近所の新聞販売店の面接を受けた。面接官には

「家からここまで行って帰ってこれるのならだれでもできるよ」

と言われた。そして配達車両はカブではなく普通のスクーターだという。数日後に電話するといわれたがそれが来ることはなかった。

 自動車整備工場のバイトに募集した。もちろん整備士資格なんて持っていないので最初は洗車やちょっとした車両の移動業務からであろう。グーグルマップで建物の写真を見るとフォークリフトが置いてあったこともあり、これも活かせるかなと思った。家からは歩いて15分かかるかどうかといったところだ。面接に行くととんでもない勘違いをしていたことに気付いた。フォークリフトがあったのは隣の会社だったようでマップからじゃよくわからなかったのだが明確に隣の建物と仕切られていたのである……まあ仕方ないということで説明を聞き面談は終わった。家に帰ってシャワーを浴びてメールをチェックするともう採否が来ていた。結果は言わずもがな……である。

「なにが言わずもがなよ、格好つけてんじゃないわよその見た目でくらいなさい!」

「ぎゃあああああああああああああああだってしょうがないだろ好きでこの見た目になったんじゃないんだからあああああああああああああああああああ!!」
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