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 「皆様、ご苦労さまでした!」
「これで任務完了ですね」
「これで少しは肩の荷が下りるってもんだな!」
「本当に疲れたわ……」
「これでひとまず安心だな!」
「これで僕たちも英雄の仲間入りですね!」
「まあ、今回はお前たちに助けられた部分もあったけどな」
「いやいや、俺なんて何もしてねえって!」
「いや、そんなことはないさ!お前がいてくれて助かったんだ!」
「ラビオリオ……」
「それにお前もだ!ありがとうな!」
「お、おう……なんか照れるな……」
「おい、二人だけでいい雰囲気になってんじゃねぇぞ!」
「私もいるんだから忘れちゃダメよ?」
「もちろん、皆のおかげだよ!皆がいなかったらここにはいないんだから!」
「そう言われると嬉しいな!」
「まったく、調子が良いんだから……」
その時、扉が開いた。
「皆の者!ご苦労であった!」
皇帝陛下が入ってきたのだ。
「皇帝陛下!」
「皇帝さん!」
「皇帝!」
「皇帝様!」
「うむ、よく頑張ってくれた!感謝しているぞ!」
「いえ、当然のことをしたまでです!」
「皇帝さんの頼みだからな!」
「私達にできることはこれくらいですもの」
「僕はただついて行っただけなんですけどね……」
「それでも大したものだと思うぜ?」
「はい、私もそう思います!」
「皆の者、ありがとう!本当に良くやってくれた!」
「いえ、それほどでもありません!」
「俺らは当たり前のことしかしていませんから!」
「私はたまたま一緒にいただけだし……」
「そんなことは関係ない!本当にありがたいことだ!心の底から礼を言う!」
「勿体無いお言葉です!」
「そんなに褒められると恥ずかしいな……」
「素直に受け取っておきなさい」
「皆さん、これからも帝国のために尽くしてくれ!」
「「「はっ!」」」
こうして、この世界での最初の戦いは終わった。
これからどんな困難が訪れるのかは誰にも分からない。
だが、今の彼らならばきっと乗り越えることができるだろう。

ラビオリオ達は城に戻っていた。
「とりあえず、今回の件を報告してくるよ」
ラビオリオは皇帝の元へ向かった。
~~~ コンコン……ガチャッ!
「失礼しま……あれっ!?」
そこにはラビオリオの見知った顔があった。
「久しぶりだな!」
「ジークさん!」
「ああ、そうだ!」そこにいたのはラビオリオ達を召喚した張本人であるジークだった。
「どうしてここに?」
「もちろん、君たちに挨拶をしに来たんだよ」
「わざわざありがとうございます!」
「いや、気にしないでくれ!」
「それにしても、本当にお久しぶりですね!」
「ああ、もう2年になるかな?」
「そんなになりますか……時の流れは早いですね……」
「全くだな……」
二人は懐かしそうに話していた。
「ところで他の人はどうしたんですか?姿が見えないみたいですけど……」
「実は全員別の任務についているんだ」
「そうなんですね」
「そういえば、君は今何をしているんだい?」
「俺は今、帝都に住んでいますよ」
「それは良かった!元気にしているようで何よりだ!」
「ありがとうございます!」
「それで、今は何をしているんだ?」
「えっと、今は冒険者をしています」
「おお、そうなのか!それはすごいじゃないか!」
「はい、なんとかやっていけています!」
「そうか!なら良かった!」
「本当に色々あったんですよ!」
「詳しく聞かせてくれないか?」
「わかりました!」
それからしばらく会話を楽しんだ後、ラビオリオは仕事に戻った。
~~~ その頃、皇帝の執務室では……
「そうですか、彼らは無事に帰ってきたのですね」
「はい、そのようです」
「それなら良かった……」
「あの者達は私の恩人ですからね……」
「本当に感謝しております」
「いえいえ、私は当然のことをしたまでですよ」
「それでも、あなたにはいくら感謝してもしきれませんよ」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
「ところで、この後はどうするのです?」
「私はしばらくここで仕事をするつもりです」
「なるほど……まあ、それが妥当でしょうね……」
「そういうことです」
こうして皇帝と宰相の話し合いは終了した。
~~~ 一方、ラビオリオ達の方は……
「ふう……やっと終わったぜ……」
ラビオリオは書類整理をしていたのだ。
ちなみに他のメンバーはそれぞれの仕事があるらしい。
「よし、終わったし帰るとするかね……」
「あっ!ちょっと待ってくれ!」
帰ろうとしたラビオリオを呼び止めたのは皇帝だった。
「どうかしましたか?」
「少し話がしたいんだが……」
「わかりました!」
「じゃあ、場所を変えましょうか」
ラビオリオと皇帝は部屋を出た。
~~~
「まずはお疲れ様と言っておくよ」
「いえいえ、そんなことないですよ」
「さて、早速本題に入ろうと思うのだが……」
「何かあるんですか?」
「ああ、一つだけどうしても伝えておかなければならないことがある」
「なんです?」
「実はこの国の魔族に対する迫害がひどくなっているのだ……」
「なんでまた急に……」
「おそらくだが、君たちが戦った魔王軍残党が原因だろう……」
「まさか、そんなことが……」
「残念ながら事実なんだ……」
「そんな……」
「そして、これからもっと酷くなるかもしれない……」
「どういう意味ですか?」
「最近、帝国内で不審死が増えているんだ……」
「それは一体……」
「わからない……ただ、その死体は全て魔族のものだった……」
「そんな……」
「おそらく、帝国内での魔族は危険な存在として見られ始めている」
「なんてこった……」
「だから、もし魔族であることがバレたら殺されてしまう可能性もある」
「それは流石にやりすぎじゃないんですか!?」
「私もそう思うよ、だが現実はそう甘くはないんだ」
「くそっ!このままだとあいつらが危ねぇぞ……」
「ああ、だから絶対に正体がバレないように気をつけて欲しい」
「わかりました……」
「私もできる限り協力しよう」
「ありがとうございます!」
「それと、これは私からのお願いなのだが……」
「はい、なんでしょうか?」
「私にも君の力を貸して欲しいんだ」
「俺の力ですか?」
「ああ、君たちのような強い仲間がいれば心強いからな」
「そう言っていただけると光栄です」
「頼めるかな?」
「はい!喜んで!」
こうして、ラビオリオ達は新たな戦いに身を投じることを決意するのであった。
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