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一章

〈地下牢と灯篭〉(4)

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 足音がしない様に……する必要はもうないので、ごく普通にレオン(叔父)まで近ずく。

 暗い牢屋に、カツーン、カツーンと足音が響く。

(結構響くな。)

「おや、無事トラップは解けた様だね」

 私はとりあいず、マリンと地図を床に置き彼の傷の具合を見る。

(腕、お腹、足に着いた傷は治癒魔法によって直せそうだな……)

 治癒魔法は今日の朝マリンに教えてもらったばかりの魔法だ。

 自然回復力を急激に上げて体の傷を早急に治す魔法、それが治癒魔法である。

 例えば、切り傷なんかはすぐに治り傷口が塞がる。

 しかし、臓器を再生させたり、腕を生やしたりする事は出来ない。

(問題はこっちか……)

 私はレオンの目の周りに巻かれている包帯をとる。

「! ……」

(予想道理、目が潰されているな……)

「君はいったい何をしに来たのかな?」

 適当に近くにあった布を持って来てレオンに轡をする、舌を噛まない様にする為の物だ。

「……」

 マリンは、こういった怪我を治す事は魔術師には出来ないと言っていたが……

(ちょっともしかしたら…という発想はある。)
(練習も少ししたし、上手くいけば治る……と言うより戻せるんじゃないかなぁ~。)

 相手はモルモットではない、人だ。

 私は深呼吸をすると、落ち着く為の懐かしい呪文を唱えた。

「それでは、手術を開始します」

 それで私の中でのスイッチがはいった。

 まず麻酔はないので目に繋がっているであろう神経の伝導を、電気魔法でストップさせる。

 これは、緻密な作業だが魔力はそんなに食わないので10秒で向こう5分続く様に行う。

 それから過去で彼がまだ目が見えていたであろう時間を探す。

(ん~、あった。)

 水魔法と土魔法、光魔法で目の情報をコピーし、私は物置(ナイフとか禍々しい物が置いてあった部屋)に置いてあった先の細い金属の棒で目の状態を確認する。

(ここと、ここが原因で目が見えないんだな~、ついでに目の周りの情報もコピーして……)

 私は、コピーした情報を元に、土魔法と光魔法を使って目を復元する。

(ついでに焼け爛れている部分もこれで治しとくか。)

 レオンが軽い呻き声をあげる。

(あ、しまった、ここは麻酔が効いていない。)

「汗!」

 しかし答える人はいない。

(ここは、病院ではなかったな……)

 目の修復はほぼ完了し、私はマリンに尋ねる。

「マリン、何分位たった?」
「よ、4分位ってところやな」

 レオンの轡を取り、頭の位置を手で固定する。

 麻酔が変な場所にかからない様にする為だ。

「何をしたのかな、さっきから光が全く入ってこないんだけど」

 麻酔が切れるのを待つ間に、体の傷を治癒魔法を使って治す。

(これで終わった。)

 ふぅぅー……と、長いため息を吐く。

「えっ? あれ? 目が……見える」
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