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学園生活、1年目 ~夏季休暇~
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夏至祭、初日。
私は朝から支度を整え、出かける準備。
朝ご飯もちゃんと食べたし、お小遣いも持った!
ちなみに私のお小遣い稼ぎは魔術研究所でのポーション作りです。
今日の私は水色と白のストライプのシャツワンピース。
そこに薄手のカーディガンを羽織る。
斜めがけのミニボストン。バッグはこういうのが欲しかったので作ってもらいました。
ターニャとライラは『分からないようにこっそり付いてきます!』と言っていた。
お屋敷からパレードがある大通りまでは距離があるので、馬車で送ってもらう。待ち合わせはメグのお家の店、バートン商会の前だ。
「ではいってきます」
「いってらっしゃいませ。夏至祭をお楽しみください、コズエ様。そのブレスレットは常に身につけてお外しになりませんように」
朝食の時にセバスさんに渡されたブレスレット。
ゼクスさんオリジナルの魔法が付与されている護身具。
危ない目にあったら自動で防御魔法が展開するとか…
ゼクスさんの研究室、最近こういう小物類に魔力付与するの流行ってるのかな?
私の制服といい、なんか魔法具増えてませんか?地味に。
********************
お屋敷を出て、商業エリアへ向かう。
花車が周るパレードは、商業エリアから行政エリアまで続く大通りがメイン会場だ。なので私達は大通りに面したメグのお家のお店、バートン商会の真ん前の辺りでパレードを見るつもり。
馬車を降りて、大通りに出ると既にパレードの為に場所取りをしている人もいた。
気分は某夢の国のパレード前みたいだ。
歩道と車道の境にはロープが引かれ、所々にオシャレをした騎士達が立っている。警備として派遣されているのだろうけど、いつもの鎧姿ではなく少し軽装だ。あれかな、式典用とかそんな感じ?
車道は今日は歩行者天国みたいになっていて、通行は可能。パレード始まるまでは歩ける。
私はバートン商会目指して歩いていると、ふと手を振っているメグを見つけた。
「おはよう、メグ!」
「おはようございます、コズエさん!」
すでにドロシーもキャズもいた。
どうやらメグは朝早くからこの場所を陣取って待っていたそうだ。
「気合い入りすぎよメグ」
「だって一番前で見たいじゃありませんの!
私は毎年朝からこの場所を取っていますのよ!」
「毎年・・・なのね・・・」
バートン商会では店の前に屋台を出し、飲み物や軽食を売り出していた。とはいえお酒はなく、果実水など。
軽食もホットドッグやマフィンを売り出している。
周りのお店も同じように、様々な屋台が並ぶ。
ここはパレードが終わってしまえば、午後からは歩行者天国となり露店も並んだりするそうだ。
「パレードはお昼まででしたわよね?」
「じゃあそれが終わったら色んな通りでお店が出てるから見に行きましょう!」
メグもドロシーもうきうき。
キャズはちょっと疲れた顔をしている。
「キャズどうしたの?」
「いや、王都の夏至祭って凄いのね。私、王都で夏至祭過ごすの初めてなのよ。今までは故郷の町にいたから」
「かなり違う?」
「そうね、パレードもあるにはあったけどさすがにこんなに大掛かりじゃないわ。『星姫』も一人だし、大抵領主の娘さんとかよね。王都は平民から選ばれるみたいだけど」
王都と地方では祭りの主役の巫女役『星姫』の選抜基準も違うみたいだ。地方の領では、そこの領主の娘…貴族のお嬢様がやるものらしい。適齢のお嬢様がいなければ、役人の娘なり…偉い人の娘が選ばれるとか。
「そう考えると違うもんなのね。王都では貴族のお嬢様はやりたがらないのかしら」
「よくわからないわね。でも貴族は貴族で夜のパーティーあるから支度があってそれどころじゃないとか」
「あり得るわ」
確か三日間パーティーあるんだっけ?
今年社交界デビューの子は最終日だけみたいだけど、他のお嬢様達はそうじゃないんだろうしね。
そうやってお喋りしていると、メグとドロシーは飲み物調達に離れていった。私とキャズでお留守番していると、見知った人間に声をかけられた。
「よ、お二人さん」
「ケリー」
「あんたもパレード見に来たの?」
「見に来たってか、パレードだけじゃねぇけどな」
そこにはクラスメイトのケリー。
制服姿しか見た事なかったけど、今日はラフな格好が格好いい。シャツにパンツ、ジレっぽいベスト。ぐるっとゴツめのベルトを巻き、夏用の革ブーツ。
周りの女の子の視線もチラチラと感じます。
「ちょうどいい所に来たわケリー。少し時間ある?」
「なんだよキャズ。改まってお誘いか?」
「違うわよ。あんたに時間あるなら、ちょっとここでコズエといてくれない?」
「どしたのキャズ」
「ごめんトイレ行きたい」
ぱんっ、と手を合わせて拝むキャズ。
…行きたいの我慢してたの?
メグ達が戻ってからと思ったけど、ケリーがいたのでササっと行ってくる事にしたらしい。
ケリーはふたつ返事でOKし、私と立ち話する事に。
「ゴメンねケリー、待ち合わせしてたんじゃないの?」
「ま、いいさ。どうせ待ち合わせったって時間をハッキリ決めちゃいなかったしな。昼頃時計塔の辺りって感じで」
「じゃあ少し早いね。街を見て回ろうとしてたの?」
「そういう事。俺も今年の王都で夏至祭過ごすの初なんだよな。コズエもだろ?」
ニッと笑いかけるケリー。
うん、周りの女の子ケリーにときめいてるよ?視界に入るお嬢さん達が恋する乙女の目になっています。
その笑顔が小憎たらしいくらいにケリーのイケメンっぷりを助長させてるって本人お気づきでいらっしゃるのでしょうか。
私としてはあと10年…あと10年成長していたらと願わずにはおれません。
この体になってから色々と思ったけど、今の私のストライクな年齢って若くても20代後半からなのよ…!この世界人は見た目大人に見えるからそれくらいからがおいしそ…いえ、とてもよい感じなんです!
なので、ケリーもイケメンと思うんだけど、テレビの向こうで笑顔振りまく○ャニーズの子達と同じ感じで『可愛いなぁ』くらいにしか思わないのよ…!
これは私ドロシーを『オジサン趣味』とか言えない…!
「うん、そうなの。だからパレードも楽しみだし、できれば明日の合同祝婚式?も見てみたいのよね」
「見応えあるらしいぜ?じゃあ花飾りの話は聞いたか?」
「パレードで『星姫』が花車から撒くってやつでしょ?恋人募集中!の人は胸に飾って男性からのアプローチ待つのよね」
「もうひとつ」
「え?」
もうひとつ?ターニャからはそれしか聞かなかったけどな?まだ意味合いあるの?平民しか知らないやつ?
私はわからなかったから、首を傾げてケリーを見る。
しばしケリーも私を見ていたけど、わからないと判断したのかちょっと目を細めて苦笑した。
「花飾りは別に男から女に贈ってもいいんだぜ?
そうなると求婚になるみたいだけどな」
「そうなの?なんかロマンチックね」
「コズエもそういうのに興味あるんだな。
なんか恋愛には興味ありません、って見えてたけどさ」
「そう見える?」
「他の奴らがキャッキャしててもお前はどこか自分とは関係ない話、って顔してる」
そう、なのだろうか。
でもそういう話題は嫌いじゃないしむしろ応援したい。
でも確かに『自分も恋愛したい!』って気持ちはないかもしれない。ていうかない。
そんな事をケリーに気付かれているとは思えなかった。
「お前、俺が誘ってんのも気付いてないだろ。
それとも気付かないフリしてんの?」
「誘ってる?いつの話?」
「これまで色々。放課後カフェとか。俺としても今からでも誘おうとしてるけど全く食いついてこないし。
俺ってそんなに魅力ねぇの?」
ふーやれやれ、と肩を竦めて見せる。
え、そんなの気付いてない。カフェに誘われてた?今思い返せばあるような気もするけど、その時はほんとに用事があって断ってる気がする。
ケリーはからかっているように見えて、目は真剣だ。
いつものような色の目じゃない。私もちゃんと返事はしないといけないんだなと思いつつ、冗談混じりの口調にした。
「ケリーは格好いいと思うわよ?」
「でも、が付くんだろ」
「若いのよね」
「は?」
「私、歳上の男性が好みなのよ」
「歳上ってお前・・・っつーと、あれくらいか?」
若干の呆れが入ったケリーが指す方向には、警備中の騎士団員が。
年の頃は22~3ってところだろうか?私の好みとしてはまだ若いのだが、とりあえずこの辺りで手を打っておこう。
「そうねぇ、あのくらい」
「となると俺は範疇外ってところか」
「あと5年、ってとこかしら」
「・・・んじゃ、長期戦だな」
「ん?」
「お前、見とけよ?すぐに俺がいい男、ってわからせてやるからな」
ずい、と顔を近づける。近い。
琥珀色の挑戦的な瞳。少年から青年に変わる途中の、男の子の瞳。まだそこには燃えるような情愛は見えない。
だから私は笑ってケリーの鼻先を指で軽く押し返す。
「何年後かしらね?」
「他の女連れてても焼くなよ?」
「あら、何人かいい女と経験して、もっといい男になってから口説いてもらえるの期待してるわ」
「言ってろよ」
ちょうど話が終わり、笑い合っているとキャズが戻ってきた。それを見てケリーも離れて行く。
友達と待ち合わせしている、って言ってたもんね。
ケリーには悪いけど、私には今自分のことだけで手一杯だ。
この世界に来てから半年も経っていない。…いや、半年も経ってしまったのだ。
現状として、初期段階から少しは前進しているのかもしれないけど、まだまだ元の世界に帰るまでの手がかりは何も掴めていない。
私は未だ自分の立ち位置…足がかりをようやく得ただけなのだ。
「トイレ、すっごい混んでた。ケリーに悪い事しちゃったわ」
「本人も友達との待ち合わせに時間あったって言ってたから、ちょうど良かったんじゃない?」
「ならいいけど!あ、メグ達も戻ってきたわよ!」
メグとドロシーが飲み物と甘い物を買ってきてくれたので、パレードまでお喋りで時間を潰した。
「あっ!あれ!『星姫』様よ!」
「わあっ!来た来た!」
周りがざわり、と騒がしくなる。
ウェーブでも起きるかのように、通りの向こうから喧騒と熱気が伝わってくる。
一緒に待っていたメグやドロシーも、周りの人につられて立ち上がって通りの奥をのぞきこんだ。
「ほらほら、来ましたわよ!」
興奮したメグに促され、大通りの奥を見ると、華やかで大きなお神輿?みたいな物がやってきたのが遠くに見えた。
時々、色鮮やかな吹雪がパァっと舞う。
あれが、花飾りなのかなぁ?
花車はゆっくりゆっくり近付いてきた。
一台ではなく、三台の花車が少し距離を開けて動く。
花車の周りにも着飾ったダンサーがいて、はっきり言ってエレクト○カルパレードです。
「ねえ、三台目の『星姫』!あれってアリシアさんじゃない?」
「えっ?どれですの!?」
キャズの呼びかけに、メグもドロシーも釘付け!
一台目、二台目と花車の上に乗った『星姫』は、皆に笑顔で手を振りつつ、時折積まれた花飾りを撒く。
拾い上げた女の子達は、どれにしようか悩んでいる様子も。
そんな中、私達の前に差し掛かった三台目の花車の上に乗った『星姫』アリシアさんは、私たちに気付いた様子。
落ちそうになるくらいにめいっぱい手を振ると、私達に向かって大量の花飾りをどばっ!と撒いてくれた。
「ちょっ、これっ、すごっ!」
「で、でも、アリシアさんの好意だから!」
私もキャズも、アリシアさんに『ありがとー!』と叫んで手を振る。声が聞こえたのか、彼女は私達に向かって投げキッスまで送ってきた。
多分今彼女はランナーズハイじゃなくて星姫ハイになっているかもしれない。
「しかしまた・・・大量に・・・」
「すごいわねこれ!どれにしようかしら?」
「色々ありますわー!持ち帰って部屋に飾ってもいいんですのよ!」
「そうなんだ、私もいくつか持って帰ろっと」
アリシアさんが勢いよく撒いた花飾り。
これは差別では?と思ったけど、周りをよく見ればかなりのお花がいっぱい。
でも私達の所に降ってきてるのは踏まれたりとかしてないから綺麗だ。それに魔法がかかってるみたいで、瑞々しさもある。何日かもちそう。
しかしこんなに花飾りどうするんだ…と思っていたら、警備の騎士さんが手押し車を持ってきてくれた。
なんでも道に撒かれた花飾りは、各所に置いてある手押し車に集めるらしい。
欲しい人はここから持って行って、お家のインテリアとして飾るのだとか。
「この花飾りを家の周りにも飾って、夏至祭を過ごすんですわ。だから夏至祭の間はどの家も華やかですのよ?」
「なるほどね、無駄にしなくて理にかなってるわー」
「私もお部屋に飾りますわ!お風呂に浮かべてフラワーバスもいいですわよね!」
「あっそれはいい!私も持って帰ろうっと!」
「寮のお風呂でやってもいいのかしら」
「ま、良いんじゃない?部屋に付いてるんでしょ?お風呂」
ドロシーもめいっぱい袋へと入れる。
キャズは迷っていたけど、ドロシーを見てメグに袋を借りていた。
当のメグはというと、自分の家のお店からマジックバッグを持ってきてこれでもかと詰めていた。
花飾りなくなるんじゃ?と思ったけど、メグの所のマジックバッグはエコバッグサイズ。
ドロシーとキャズも借りていた。私は自分のマジックバッグに詰め込む。フラワーバス、やりたいです。
「・・・で、誰も胸には付けないのね」
「うーん、今年は女だけで過ごしたいし!」
「だって私の好みの人が誘ってくれるとは限らないし」
「ドロシーと同じですわ」
まぁまだ皆同性と過ごす方が楽しい、というメンバー。
私も彼氏が欲しいとは思えないし、思ってたらケリー振ってる場合じゃないしねぇ。
とりあえず花飾りはもったいないので、バートン商会でリボンを買い、花飾りをいくつかリボンで手首に括り付けるという業を披露してみた。花飾り自体は小さいもので、握りこぶし大くらいだったからね。
これが意外と可愛かった。
どう?どう?と見せびらかしてたら、キャズもドロシーもメグも同じ事をし始めた。
リボンの色で皆さん悩んでいます。
「これはかなりイケてる」
「ふっふっふ。せっかくだから利用しないとねえ」
「ほんとねー!コズエ大発見!」
「コズエさん、よろしいですかしら?
お父様がお話したいようなんですの」
「え?」
振り返ると、ダンディーなちょい小太りのオジサマが。
メグのお父様らしい。私をちょいちょい、と招くと小声で相談してきた。
「すまないね、メグの父です」
「あ、コズエ・ヤマグチです。お嬢さんにはいつもお世話になっております」
「今後とも仲良くしてやって下さい。で、ですな、商談なのですが」
最初はにこにこと気のいい父親、の話し方だったが、途中から声音が変わった。
は?商談?と思って聞いていると、花飾りを使ってブレスにするアイデアを買い取らせて欲しいと。
私もお店の中…しかも奥に入ってやってたから、まだ外には出ていない。
これを見たメグパパは、『これは売れる!』と感じたそうで。
花飾りを使ってアクセサリーに、というコンセプトで花飾りを持ってきた人に格安でリボンを売ってブレスにしてあげるサービスをしたいそうだ。
確かに夏至祭限定でやれば儲かりそう。しかも今なら皆花飾り持ってるもんね。
「どうぞどうぞ遠慮なく」
「良いのですか?」
「だってこれ思いつきですもん。早くやらないと同じ事考える人いるんじゃないですか?」
「・・・助かります!メグ!お礼に付いてはお前に任せるぞ!」
「わかりましたわぁお父様」
親子の絆か、グッ!とガッツポーズをし合う。
メグパパは急いで店の人と打ち合わせを始め、あれよあれよという間に準備を整えた。
すぐさま外で声をかけ始めると、たくさんの女性が並んでいる。
「うわ、すご・・・」
「あれはコズエさんのアイデアですもの。さて、お礼はウチの商品をいつでも五割引でよろしいかしら?」
「へっ?」
「足りませんかしら?お友達価格ですでに三割引にしていますから、コズエさんには色を付けないとと思ったのですけど」
そんなにいいんですか?
しかしメグは『アイデアをいただいたんですもの、その価値はありますわ』とゴリ押した。
確かにその後、街を歩いていると大半の女性達が、私達と同様に花飾りのブレスをしていた。
キャズは『これってかなりの売り上げよね』と呟いていた。メグは終始ご機嫌でした…
********************
街を巡り、露店を眺め、買い食いをして、お喋りをして…
そうして女の子だけのお出かけを楽しみ帰宅。
夕飯も色々と街で食べてしまった為、お腹いっぱいだったので遠慮した。
マートンに悪い事したかな?と思ったけど、一足先にお屋敷に戻っていたターニャやライラの報告から、お夕食はいらないだろうと判断して作らなかったらしい。
ターニャやライラの手首にも、花飾りのブレスがあった。
他のメイドさんも付けていた。
「ブレスはコズエ様が発案なされたとか」
「なんかちょっとやってみたら、メグのお父様に『売り物にしたい』って言われて。あんなに流行ると思いませんでした」
「そうですね、これまで花飾りは胸に付けるものという固定概念があったからではないでしょうか。
後は家の飾りとして、が定番ですね。コズエ様がたくさん持ち帰られた花飾りは、バラして湯船に入れさせてもらいました」
「ありがとうございます、楽しみです」
そう、マジックバッグで持ち帰った花飾りを見せて、フラワーバスにしてもらうお願いをした。
半分は皆で使ってね、とターニャ達に渡したので使ってくれるだろう。楽しみは皆で分かち合うのです。
メグの言った通り、フラワーバスは至福の気分。
これは思わぬお姫様気分…と満喫し、部屋に戻った私の目に飛び込んできたプレゼントの箱。
自室の部屋の中。
お風呂上がりの果実水が用意された隣に置かれた箱。
メッセージカードがついていたので開く。
『麗しの姫君へ 心を込めて
楽しい夏至祭をお過ごしください シリス』
箱を開ければ、今日は撒かれていた花飾りよりも、ひと回りだけ大きな花飾り。
小さなティアドロップ型のサファイアがアクセントとして付けられている。コサージュのようだ。
「・・・綺麗」
色味は白と青を基調に、水色とピンクの花。
華美すぎることもなく、質素ということもなく。
どこかあの第一王子殿下を思い起こさせる。
小さなサファイアはペンダントトップのようだ。
ロイヤルブルーのその色は、彼の瞳と同じ色。
………参った、なにこのプレゼント。
押し付けがましくもなく…これくらいなら受け取ってもらえるかな?という言葉さえ聞こえてきそう。
もう一枚あったカードを開けば、そこには手書きで連名の文字が。シュレリアとエオリアの名前。
「・・・これ絶対面白がってる」
うーん、送り返すのも無粋だし。
モノに罪はない、と思って貰っとこう。
何かお返しをしないといけないかなぁ…と思いながら寝る私でした。
私は朝から支度を整え、出かける準備。
朝ご飯もちゃんと食べたし、お小遣いも持った!
ちなみに私のお小遣い稼ぎは魔術研究所でのポーション作りです。
今日の私は水色と白のストライプのシャツワンピース。
そこに薄手のカーディガンを羽織る。
斜めがけのミニボストン。バッグはこういうのが欲しかったので作ってもらいました。
ターニャとライラは『分からないようにこっそり付いてきます!』と言っていた。
お屋敷からパレードがある大通りまでは距離があるので、馬車で送ってもらう。待ち合わせはメグのお家の店、バートン商会の前だ。
「ではいってきます」
「いってらっしゃいませ。夏至祭をお楽しみください、コズエ様。そのブレスレットは常に身につけてお外しになりませんように」
朝食の時にセバスさんに渡されたブレスレット。
ゼクスさんオリジナルの魔法が付与されている護身具。
危ない目にあったら自動で防御魔法が展開するとか…
ゼクスさんの研究室、最近こういう小物類に魔力付与するの流行ってるのかな?
私の制服といい、なんか魔法具増えてませんか?地味に。
********************
お屋敷を出て、商業エリアへ向かう。
花車が周るパレードは、商業エリアから行政エリアまで続く大通りがメイン会場だ。なので私達は大通りに面したメグのお家のお店、バートン商会の真ん前の辺りでパレードを見るつもり。
馬車を降りて、大通りに出ると既にパレードの為に場所取りをしている人もいた。
気分は某夢の国のパレード前みたいだ。
歩道と車道の境にはロープが引かれ、所々にオシャレをした騎士達が立っている。警備として派遣されているのだろうけど、いつもの鎧姿ではなく少し軽装だ。あれかな、式典用とかそんな感じ?
車道は今日は歩行者天国みたいになっていて、通行は可能。パレード始まるまでは歩ける。
私はバートン商会目指して歩いていると、ふと手を振っているメグを見つけた。
「おはよう、メグ!」
「おはようございます、コズエさん!」
すでにドロシーもキャズもいた。
どうやらメグは朝早くからこの場所を陣取って待っていたそうだ。
「気合い入りすぎよメグ」
「だって一番前で見たいじゃありませんの!
私は毎年朝からこの場所を取っていますのよ!」
「毎年・・・なのね・・・」
バートン商会では店の前に屋台を出し、飲み物や軽食を売り出していた。とはいえお酒はなく、果実水など。
軽食もホットドッグやマフィンを売り出している。
周りのお店も同じように、様々な屋台が並ぶ。
ここはパレードが終わってしまえば、午後からは歩行者天国となり露店も並んだりするそうだ。
「パレードはお昼まででしたわよね?」
「じゃあそれが終わったら色んな通りでお店が出てるから見に行きましょう!」
メグもドロシーもうきうき。
キャズはちょっと疲れた顔をしている。
「キャズどうしたの?」
「いや、王都の夏至祭って凄いのね。私、王都で夏至祭過ごすの初めてなのよ。今までは故郷の町にいたから」
「かなり違う?」
「そうね、パレードもあるにはあったけどさすがにこんなに大掛かりじゃないわ。『星姫』も一人だし、大抵領主の娘さんとかよね。王都は平民から選ばれるみたいだけど」
王都と地方では祭りの主役の巫女役『星姫』の選抜基準も違うみたいだ。地方の領では、そこの領主の娘…貴族のお嬢様がやるものらしい。適齢のお嬢様がいなければ、役人の娘なり…偉い人の娘が選ばれるとか。
「そう考えると違うもんなのね。王都では貴族のお嬢様はやりたがらないのかしら」
「よくわからないわね。でも貴族は貴族で夜のパーティーあるから支度があってそれどころじゃないとか」
「あり得るわ」
確か三日間パーティーあるんだっけ?
今年社交界デビューの子は最終日だけみたいだけど、他のお嬢様達はそうじゃないんだろうしね。
そうやってお喋りしていると、メグとドロシーは飲み物調達に離れていった。私とキャズでお留守番していると、見知った人間に声をかけられた。
「よ、お二人さん」
「ケリー」
「あんたもパレード見に来たの?」
「見に来たってか、パレードだけじゃねぇけどな」
そこにはクラスメイトのケリー。
制服姿しか見た事なかったけど、今日はラフな格好が格好いい。シャツにパンツ、ジレっぽいベスト。ぐるっとゴツめのベルトを巻き、夏用の革ブーツ。
周りの女の子の視線もチラチラと感じます。
「ちょうどいい所に来たわケリー。少し時間ある?」
「なんだよキャズ。改まってお誘いか?」
「違うわよ。あんたに時間あるなら、ちょっとここでコズエといてくれない?」
「どしたのキャズ」
「ごめんトイレ行きたい」
ぱんっ、と手を合わせて拝むキャズ。
…行きたいの我慢してたの?
メグ達が戻ってからと思ったけど、ケリーがいたのでササっと行ってくる事にしたらしい。
ケリーはふたつ返事でOKし、私と立ち話する事に。
「ゴメンねケリー、待ち合わせしてたんじゃないの?」
「ま、いいさ。どうせ待ち合わせったって時間をハッキリ決めちゃいなかったしな。昼頃時計塔の辺りって感じで」
「じゃあ少し早いね。街を見て回ろうとしてたの?」
「そういう事。俺も今年の王都で夏至祭過ごすの初なんだよな。コズエもだろ?」
ニッと笑いかけるケリー。
うん、周りの女の子ケリーにときめいてるよ?視界に入るお嬢さん達が恋する乙女の目になっています。
その笑顔が小憎たらしいくらいにケリーのイケメンっぷりを助長させてるって本人お気づきでいらっしゃるのでしょうか。
私としてはあと10年…あと10年成長していたらと願わずにはおれません。
この体になってから色々と思ったけど、今の私のストライクな年齢って若くても20代後半からなのよ…!この世界人は見た目大人に見えるからそれくらいからがおいしそ…いえ、とてもよい感じなんです!
なので、ケリーもイケメンと思うんだけど、テレビの向こうで笑顔振りまく○ャニーズの子達と同じ感じで『可愛いなぁ』くらいにしか思わないのよ…!
これは私ドロシーを『オジサン趣味』とか言えない…!
「うん、そうなの。だからパレードも楽しみだし、できれば明日の合同祝婚式?も見てみたいのよね」
「見応えあるらしいぜ?じゃあ花飾りの話は聞いたか?」
「パレードで『星姫』が花車から撒くってやつでしょ?恋人募集中!の人は胸に飾って男性からのアプローチ待つのよね」
「もうひとつ」
「え?」
もうひとつ?ターニャからはそれしか聞かなかったけどな?まだ意味合いあるの?平民しか知らないやつ?
私はわからなかったから、首を傾げてケリーを見る。
しばしケリーも私を見ていたけど、わからないと判断したのかちょっと目を細めて苦笑した。
「花飾りは別に男から女に贈ってもいいんだぜ?
そうなると求婚になるみたいだけどな」
「そうなの?なんかロマンチックね」
「コズエもそういうのに興味あるんだな。
なんか恋愛には興味ありません、って見えてたけどさ」
「そう見える?」
「他の奴らがキャッキャしててもお前はどこか自分とは関係ない話、って顔してる」
そう、なのだろうか。
でもそういう話題は嫌いじゃないしむしろ応援したい。
でも確かに『自分も恋愛したい!』って気持ちはないかもしれない。ていうかない。
そんな事をケリーに気付かれているとは思えなかった。
「お前、俺が誘ってんのも気付いてないだろ。
それとも気付かないフリしてんの?」
「誘ってる?いつの話?」
「これまで色々。放課後カフェとか。俺としても今からでも誘おうとしてるけど全く食いついてこないし。
俺ってそんなに魅力ねぇの?」
ふーやれやれ、と肩を竦めて見せる。
え、そんなの気付いてない。カフェに誘われてた?今思い返せばあるような気もするけど、その時はほんとに用事があって断ってる気がする。
ケリーはからかっているように見えて、目は真剣だ。
いつものような色の目じゃない。私もちゃんと返事はしないといけないんだなと思いつつ、冗談混じりの口調にした。
「ケリーは格好いいと思うわよ?」
「でも、が付くんだろ」
「若いのよね」
「は?」
「私、歳上の男性が好みなのよ」
「歳上ってお前・・・っつーと、あれくらいか?」
若干の呆れが入ったケリーが指す方向には、警備中の騎士団員が。
年の頃は22~3ってところだろうか?私の好みとしてはまだ若いのだが、とりあえずこの辺りで手を打っておこう。
「そうねぇ、あのくらい」
「となると俺は範疇外ってところか」
「あと5年、ってとこかしら」
「・・・んじゃ、長期戦だな」
「ん?」
「お前、見とけよ?すぐに俺がいい男、ってわからせてやるからな」
ずい、と顔を近づける。近い。
琥珀色の挑戦的な瞳。少年から青年に変わる途中の、男の子の瞳。まだそこには燃えるような情愛は見えない。
だから私は笑ってケリーの鼻先を指で軽く押し返す。
「何年後かしらね?」
「他の女連れてても焼くなよ?」
「あら、何人かいい女と経験して、もっといい男になってから口説いてもらえるの期待してるわ」
「言ってろよ」
ちょうど話が終わり、笑い合っているとキャズが戻ってきた。それを見てケリーも離れて行く。
友達と待ち合わせしている、って言ってたもんね。
ケリーには悪いけど、私には今自分のことだけで手一杯だ。
この世界に来てから半年も経っていない。…いや、半年も経ってしまったのだ。
現状として、初期段階から少しは前進しているのかもしれないけど、まだまだ元の世界に帰るまでの手がかりは何も掴めていない。
私は未だ自分の立ち位置…足がかりをようやく得ただけなのだ。
「トイレ、すっごい混んでた。ケリーに悪い事しちゃったわ」
「本人も友達との待ち合わせに時間あったって言ってたから、ちょうど良かったんじゃない?」
「ならいいけど!あ、メグ達も戻ってきたわよ!」
メグとドロシーが飲み物と甘い物を買ってきてくれたので、パレードまでお喋りで時間を潰した。
「あっ!あれ!『星姫』様よ!」
「わあっ!来た来た!」
周りがざわり、と騒がしくなる。
ウェーブでも起きるかのように、通りの向こうから喧騒と熱気が伝わってくる。
一緒に待っていたメグやドロシーも、周りの人につられて立ち上がって通りの奥をのぞきこんだ。
「ほらほら、来ましたわよ!」
興奮したメグに促され、大通りの奥を見ると、華やかで大きなお神輿?みたいな物がやってきたのが遠くに見えた。
時々、色鮮やかな吹雪がパァっと舞う。
あれが、花飾りなのかなぁ?
花車はゆっくりゆっくり近付いてきた。
一台ではなく、三台の花車が少し距離を開けて動く。
花車の周りにも着飾ったダンサーがいて、はっきり言ってエレクト○カルパレードです。
「ねえ、三台目の『星姫』!あれってアリシアさんじゃない?」
「えっ?どれですの!?」
キャズの呼びかけに、メグもドロシーも釘付け!
一台目、二台目と花車の上に乗った『星姫』は、皆に笑顔で手を振りつつ、時折積まれた花飾りを撒く。
拾い上げた女の子達は、どれにしようか悩んでいる様子も。
そんな中、私達の前に差し掛かった三台目の花車の上に乗った『星姫』アリシアさんは、私たちに気付いた様子。
落ちそうになるくらいにめいっぱい手を振ると、私達に向かって大量の花飾りをどばっ!と撒いてくれた。
「ちょっ、これっ、すごっ!」
「で、でも、アリシアさんの好意だから!」
私もキャズも、アリシアさんに『ありがとー!』と叫んで手を振る。声が聞こえたのか、彼女は私達に向かって投げキッスまで送ってきた。
多分今彼女はランナーズハイじゃなくて星姫ハイになっているかもしれない。
「しかしまた・・・大量に・・・」
「すごいわねこれ!どれにしようかしら?」
「色々ありますわー!持ち帰って部屋に飾ってもいいんですのよ!」
「そうなんだ、私もいくつか持って帰ろっと」
アリシアさんが勢いよく撒いた花飾り。
これは差別では?と思ったけど、周りをよく見ればかなりのお花がいっぱい。
でも私達の所に降ってきてるのは踏まれたりとかしてないから綺麗だ。それに魔法がかかってるみたいで、瑞々しさもある。何日かもちそう。
しかしこんなに花飾りどうするんだ…と思っていたら、警備の騎士さんが手押し車を持ってきてくれた。
なんでも道に撒かれた花飾りは、各所に置いてある手押し車に集めるらしい。
欲しい人はここから持って行って、お家のインテリアとして飾るのだとか。
「この花飾りを家の周りにも飾って、夏至祭を過ごすんですわ。だから夏至祭の間はどの家も華やかですのよ?」
「なるほどね、無駄にしなくて理にかなってるわー」
「私もお部屋に飾りますわ!お風呂に浮かべてフラワーバスもいいですわよね!」
「あっそれはいい!私も持って帰ろうっと!」
「寮のお風呂でやってもいいのかしら」
「ま、良いんじゃない?部屋に付いてるんでしょ?お風呂」
ドロシーもめいっぱい袋へと入れる。
キャズは迷っていたけど、ドロシーを見てメグに袋を借りていた。
当のメグはというと、自分の家のお店からマジックバッグを持ってきてこれでもかと詰めていた。
花飾りなくなるんじゃ?と思ったけど、メグの所のマジックバッグはエコバッグサイズ。
ドロシーとキャズも借りていた。私は自分のマジックバッグに詰め込む。フラワーバス、やりたいです。
「・・・で、誰も胸には付けないのね」
「うーん、今年は女だけで過ごしたいし!」
「だって私の好みの人が誘ってくれるとは限らないし」
「ドロシーと同じですわ」
まぁまだ皆同性と過ごす方が楽しい、というメンバー。
私も彼氏が欲しいとは思えないし、思ってたらケリー振ってる場合じゃないしねぇ。
とりあえず花飾りはもったいないので、バートン商会でリボンを買い、花飾りをいくつかリボンで手首に括り付けるという業を披露してみた。花飾り自体は小さいもので、握りこぶし大くらいだったからね。
これが意外と可愛かった。
どう?どう?と見せびらかしてたら、キャズもドロシーもメグも同じ事をし始めた。
リボンの色で皆さん悩んでいます。
「これはかなりイケてる」
「ふっふっふ。せっかくだから利用しないとねえ」
「ほんとねー!コズエ大発見!」
「コズエさん、よろしいですかしら?
お父様がお話したいようなんですの」
「え?」
振り返ると、ダンディーなちょい小太りのオジサマが。
メグのお父様らしい。私をちょいちょい、と招くと小声で相談してきた。
「すまないね、メグの父です」
「あ、コズエ・ヤマグチです。お嬢さんにはいつもお世話になっております」
「今後とも仲良くしてやって下さい。で、ですな、商談なのですが」
最初はにこにこと気のいい父親、の話し方だったが、途中から声音が変わった。
は?商談?と思って聞いていると、花飾りを使ってブレスにするアイデアを買い取らせて欲しいと。
私もお店の中…しかも奥に入ってやってたから、まだ外には出ていない。
これを見たメグパパは、『これは売れる!』と感じたそうで。
花飾りを使ってアクセサリーに、というコンセプトで花飾りを持ってきた人に格安でリボンを売ってブレスにしてあげるサービスをしたいそうだ。
確かに夏至祭限定でやれば儲かりそう。しかも今なら皆花飾り持ってるもんね。
「どうぞどうぞ遠慮なく」
「良いのですか?」
「だってこれ思いつきですもん。早くやらないと同じ事考える人いるんじゃないですか?」
「・・・助かります!メグ!お礼に付いてはお前に任せるぞ!」
「わかりましたわぁお父様」
親子の絆か、グッ!とガッツポーズをし合う。
メグパパは急いで店の人と打ち合わせを始め、あれよあれよという間に準備を整えた。
すぐさま外で声をかけ始めると、たくさんの女性が並んでいる。
「うわ、すご・・・」
「あれはコズエさんのアイデアですもの。さて、お礼はウチの商品をいつでも五割引でよろしいかしら?」
「へっ?」
「足りませんかしら?お友達価格ですでに三割引にしていますから、コズエさんには色を付けないとと思ったのですけど」
そんなにいいんですか?
しかしメグは『アイデアをいただいたんですもの、その価値はありますわ』とゴリ押した。
確かにその後、街を歩いていると大半の女性達が、私達と同様に花飾りのブレスをしていた。
キャズは『これってかなりの売り上げよね』と呟いていた。メグは終始ご機嫌でした…
********************
街を巡り、露店を眺め、買い食いをして、お喋りをして…
そうして女の子だけのお出かけを楽しみ帰宅。
夕飯も色々と街で食べてしまった為、お腹いっぱいだったので遠慮した。
マートンに悪い事したかな?と思ったけど、一足先にお屋敷に戻っていたターニャやライラの報告から、お夕食はいらないだろうと判断して作らなかったらしい。
ターニャやライラの手首にも、花飾りのブレスがあった。
他のメイドさんも付けていた。
「ブレスはコズエ様が発案なされたとか」
「なんかちょっとやってみたら、メグのお父様に『売り物にしたい』って言われて。あんなに流行ると思いませんでした」
「そうですね、これまで花飾りは胸に付けるものという固定概念があったからではないでしょうか。
後は家の飾りとして、が定番ですね。コズエ様がたくさん持ち帰られた花飾りは、バラして湯船に入れさせてもらいました」
「ありがとうございます、楽しみです」
そう、マジックバッグで持ち帰った花飾りを見せて、フラワーバスにしてもらうお願いをした。
半分は皆で使ってね、とターニャ達に渡したので使ってくれるだろう。楽しみは皆で分かち合うのです。
メグの言った通り、フラワーバスは至福の気分。
これは思わぬお姫様気分…と満喫し、部屋に戻った私の目に飛び込んできたプレゼントの箱。
自室の部屋の中。
お風呂上がりの果実水が用意された隣に置かれた箱。
メッセージカードがついていたので開く。
『麗しの姫君へ 心を込めて
楽しい夏至祭をお過ごしください シリス』
箱を開ければ、今日は撒かれていた花飾りよりも、ひと回りだけ大きな花飾り。
小さなティアドロップ型のサファイアがアクセントとして付けられている。コサージュのようだ。
「・・・綺麗」
色味は白と青を基調に、水色とピンクの花。
華美すぎることもなく、質素ということもなく。
どこかあの第一王子殿下を思い起こさせる。
小さなサファイアはペンダントトップのようだ。
ロイヤルブルーのその色は、彼の瞳と同じ色。
………参った、なにこのプレゼント。
押し付けがましくもなく…これくらいなら受け取ってもらえるかな?という言葉さえ聞こえてきそう。
もう一枚あったカードを開けば、そこには手書きで連名の文字が。シュレリアとエオリアの名前。
「・・・これ絶対面白がってる」
うーん、送り返すのも無粋だし。
モノに罪はない、と思って貰っとこう。
何かお返しをしないといけないかなぁ…と思いながら寝る私でした。
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