夢見るディナータイム

あろまりん

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数日後。
引越し当日。業者さんが朝から来てくれて、さっさか運んでくれる。


なんていうの?
この居心地の悪い感じ?

どこにいたらいいのかわからない!!!

手伝うべきか、お任せするべきか?
まごまごしてると、くい、と腕を引かれた。



「響子、邪魔になるからこっち来てろよ」

「・・・・・やっぱり?」



苦笑する晴明。
結局、彼の言うとおり、車に乗って待つことにした。



「ねえ?」

「ん?何だ」

「ここ、見ててもらってもいい?」

「どこか行きたいのか?」

「うん、コンビニ。業者さんにお茶をね」

「なら、俺が行って来てやるよ。響子はここにいたほうがいいだろ?」

「場所、わかる?」

「そこんとこの角だろ?心配すんな、茶と・・・缶コーヒー、か?」

「うん、人数分。お願いね?」

「ああ、任せとけよ」



晴明は私を新居(・・・いや引越し先?)に運んでくれる。
浩一朗は店でいろいろチェックするのと、先に引越し業者がついたら面倒見てくれるそうだ。

どうやら、こないだの彼等も2人来てくれているらしい。

ベッドのマットを用意してくれてるんだとか。
本当、人の縁って素晴らしい。
いろいろ助けられまくってるわ、私。



積み込みが終わったらしく、最後の部屋のチェック。
ふんふん、と確認していると、晴明が戻ってきてくれた。
業者さんにお茶が入った袋を手渡す。



「ありがと、ハル」

「なんの。俺たちにも飲み物、買ってきたぜ。車の中。」

「気が利く~~~」



先に業者さんが出発した。
そのまま不動産の人が来て、部屋の退出確認。
鍵を返して、見送った。



「これで終了、か?」

「うん、後は向こうの家を片付けるだけ・・・・・」

「・・・・・手伝ってやるって」

「うん・・・・・」



引越し、何が面倒って、荷解きが一番面倒よね?
今回は男手がたくさんあるからいいものの。
一人でやると、面倒になって途中で諦めたりしたくなるんだもの・・・・・



晴明の車に乗り、移動。

車内も慣れたもの。
私は結構、人の車って苦手なのだけど。
車内の匂いとか、そういうの。乗っただけで『あ、無理』って車もある。
けど、晴明と、浩一朗の車は両方平気。
2人共、安全運転だから安心する。とっても上手だしね。

ただ、信号で止まるじゃない?

そのとき、窓を閉めてるときはそうでもないんだけど。
今日のように、いいお天気の時はもちろん窓を開けて走る。
そうすると・・・・・



「ねえ、あの車の人、超カッコいい~~~」

「どれどれ?ホント、凄いイケメン!!!」



まあ、こうなるよね!!!!!

本人は気付いているのか、いないのか。
全く顔色変わりません!!!!!

確かに、格好いいものなぁ・・・・・
赤茶っぽい髪に、ほんの少し目尻が下がった瞳。
背も高くて、ガッチリした均整の取れた体。
大きな手に、逞しい腕。
顔立ちも整っている、男らしい顔つき。
キリっとした顔つきだけど、笑顔を浮かべると華やかに、色気が溢れる。

・・・・・その色気は一体どこら辺から生産されるのかしら?不思議だな?



「なんだよ、じっと見て」



おっと、真剣に眺めすぎたかもしれない。



「え?・・・・・見とれてました」

「おいおい・・・・・誘ってんのか?」

「その色気は一体どこから生産されるの?」

「は?」

「信号で止まるたび、周りの女性の目がハルに釘付け。
何人彼女がいるのかしら・・・・・」

「おいおい、そんなにいねえぞ?」

「という事は、1人か2人はいるわけね?」

「馬鹿野郎、彼女、ってのは普通1人じゃねえのか?」

「ハルくらいモテるなら、『2番目でもいい』って女の子はいるでしょうが」

「俺が嫌なんだよ、そういうのは。遊びに付き合うのは面倒だろ」

「あら、意外に硬派なのね」

「俺をどういう目で見てんだよ、響子」

「こういう目」



じと、と見てやると、コラ、と軽く小突かれた。


信号が変わり、走り出す。
運転しつつ、答えた。



「いねえよ」

「え?」

「カノジョ。・・・・・別れたからな」

「あら、勿体ない・・・・・」

「『結婚してくれないなら、別れる』ってよ。俺はまだ結婚する気はなかったからよ」

「・・・・・なんとも言えないわね」

「まだ自分1人で精一杯だ。これから店も立ち上げるってのに、女を抱えてらんねえよ」

「う、なんか私の所為?」

「違う。あのままあそこでバーテン続けてたって、所帯を持つには少しキツイさ。
夜の仕事だろ?昼間は全く動けねえし。そんなんで『夫婦生活』はちっと、な・・・・・」

「ん~~~奥様になる人が、それを理解してくれるのならいいけれど。
そうでないのなら、ちょっと厳しいわね・・・・・」

「相手はエステティシャンでな。仕事、変えてくれって何度も言われたがな。
俺はこの仕事が気に入ってるから、辞めるつもりはねえし。
独立して店を持ってたら、そうじゃなかったかもしんねえけどな」

「・・・・・」



黙り込んだ私に気付いたのだろう。
心配そうに声をかけてきた。



「・・・・・悪い。お前に聞かせる話じゃなかったか?」

「ううん、そうじゃないの。私が聞いちゃってもいい話なのかなって・・・・・」

「構わねえさ。誰かに話して、すっきり整理したかったしな」

「なら、いいんだけど・・・・・」

「巽さんにこんな事言ったって、『俺に聞かせてどうすんだよ』って終わりだしな」

「ああ・・・・・想像付く・・・・・」

「大亮や康太に言ってみろ、『いつもハルばっかり!』って言われるのがオチだ」

「・・・・・うん、それも想像付くわ・・・・・」

「な?お前しか適任がいないだろ?」

「いやもうちょっといるでしょうが」

「いや意外に俺友達とか少ねえし」

「ホントに意外ね?人付き合い、嫌いじゃないでしょう?」

「そうなんだが・・・・・こんな仕事してるとな、周りの友達も付き合い薄くなるからな。
他の奴等は、皆昼の商売してんだろ?やっぱ限られてきちまうんだよ」

「あー・・・・・そうね・・・・・同じ業界じゃないと、時間も合わないものね・・・・・」



そうかもしれない。
学生時代の友達だって、職が違えば会いにくい。

昼間の仕事をしている子はいいけれど。夜がメイン・・・・・遅くまで働く子はどうしても会いにくい。

平日休みだったり、土日休みだったり。
結婚して、家庭を持ってしまえばなおさらだ。



「そういうわけだ。休みの日は付き合ってくれるよな?」

「え?どこからそういう結末になったの?」

「ま、彼氏がいるんじゃ、そうそう気軽には誘えねえ、か」

「あはは、ゴメンネ?・・・・・あ」

「あ?何だ?」

「うーん・・・・・」

「どうした?何か相談でもあんのか?」

「そう、なんだけど・・・・・」

「・・・・・浮気でもしてんのか?アイツ。あんとき横にいた女か」

「コワっ!!!!!!なにその洞察力!!!!!!刑事なの!?探偵なの!?」

「そうじゃねえけどよ。・・・・・っと。着いちまうな。その話、後でゆっくり聞かせろよ?」



ふと気がつけば、もう店の近くまで来ていた。

世間話に夢中になる間に、着いたようだ。



「・・・・・早かったね」

「道も混んでなかったしなあ。残念、2人きりの時間も終わりか」

「やだ、いつでもドライブくらいは付き合うわよ?」

「おっと、美味しいお誘いだな」



軽口を叩き合いながら降りる。

まだ業者さんは来てないみたいだ。
私達の方が早かったみたい。

奥のパーキングスペースに車を置き、店に入る晴明。

私は家の鍵を開けに行った。
少し窓を開けて、空気の入れ替えしなくっちゃね。



リビング、ダイニング、2階の部屋。
一応、寝室にしようと思ってる部屋と、物置スペース。

3LDKの造りだから、私1人だと部屋も1つ余る。
収納スペースもガッチリあるから、すごく広々使えるかも。
・・・・・書斎でも作ろうかしら?漫画ばっかりになりそうだけど。本棚あるしね。



「おーーーーーーい」

「はーい、上がってきていいわよ?」



とん、とん、と上がる足音。
ひょこん、と康太君が顔を見せた。



「おっす、おはよ」

「おはよう、康太君」

「マット、運んじまうか?後にするか?」

「あ、どうしよう?先に運ぶ?大きいから場所取るわよね?」

「ベッドの下に何か敷くか?」

「あー、と。特に考えてないんだけど。」

「なら、先に入れちまうよ。荷物入ったら面倒だしな」

「うん、お願いします。」

「任しといて!!!・・・・・おーい、大亮さーん!」



たたた、と降りていく。
フットワーク軽いわね。

私も下に降りれば、大亮さんの元気な姿。
うん、マッチョだね、今日も・・・・・

2人でひょい、と抱えて運ぶ。軽々に見えるな・・・・・

マットもまだカバーがかかったままだから、そのままにしてもらった。
荷物を搬入するときに、ホコリ立つだろうしね。



その後、すぐ業者さんが来て、あっという間に荷物を運び入れてもらった。

大亮さんや、康太君が嬉々として手伝った、ってのもある。
どうやら、『役に立たないと飯を食わせねぇぞ』と言われたらしい。

浩一朗・・・・・人使いが上手いのか、荒いのか・・・・・



本人は、業者に話をして、荷物の割り振りをしていた。
私はただ、ちょこん、と座ってるだけ。

・・・・・あれ?普通私がやるもんじゃないのかな・・・・・



「座ってろ」

「だって、普通私がやるものなんじゃ・・・・・」

「別に構わねぇだろう。大体の荷物は行き先わかるしな」

「そう?」

「ああ。少し座ってろ。お前の出番は荷物解いてからだろ」

「うう・・・・・」

「ま、飯は俺が作ってやるから。」

「楽しみです!!!」

「・・・・・途端に元気になりやがったな・・・・・」



だって、浩一朗のご飯は美味しいもの!
洋食だけじゃなくって、和食も、中華も出来ちゃう。
なんなの、その腕?

本人曰く、一番得意なのが洋食なだけらしい。なんだろうか。



荷物も運び終わり、業者が帰ると店でランチ。

今日はたくさんのサンドイッチとサラダにスープ。
軽く食べられるものにしてくれたらしい。

それにしても、この経費はどこから出てるんだろうか。
浩一朗のポケットマネー?なのかしら?
後で聞いて、お金出さなくっちゃね。


その後、荷物を解いて片付け。
細かいものは私がやって、ダンボールの塵などは全部大亮さんと康太君が片してくれた。



「ちょ、こら!ハル!!!それはダメ!!!」

「いいじゃねえか、ちょっとくらい」

「ダメ!そっちは下着とか入ってるの!!!」

「だからだろうが」

「おっと、どんなのあるんだ?」

「ちょっと!!!浩一朗まで入ってこないで!!!ダメだったら!!!」



寝室から押し出すのに苦労した・・・・・

全く!!!2人とも女性の下着に興味あるんだったら、彼女の見せてもらいなさいよ!!!

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