異世界に再び来たら、ヒロイン…かもしれない?

あろまりん

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冒険者ギルド編 ~悪魔茸の脅威~

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「えーとね?だから、『トリュタケ』の密猟者を釣り上げたい訳よ。でも、その人達は冒険者ギルドでクエスト採取を制限している事を知っている。
だから、お金に困っていそうな冒険者を狙って来るんじゃないかと思って」

「そりゃわかる」
「冒険者といっても様々だからな」
「それは否定しないわ。だからって何でそれが昼間っからビール飲むことにつながんのよ」

「え、だって冒険者ってクエスト終わったら打ち上げとかしない?するでしょ?だったら昼間っからビール飲んでる人たちもいるでしょ」



3人ともああ確かに、とようやく納得。
クエストによっては夜に出発もありえるし、朝にクエストから戻ってきて、昼から乾杯する人達もいる。

そこで屋台街にでも繰り出し、打ち上げ&報告会をする冒険者、という演技をするというわけ。
あそこはたくさんの人がいる。だったらトリュタケを不正に採っている人を斡旋する人も出入りするのでは?



「・・・いるかもな、確かに」
「騎士も見回ることもないからな、屋台街は」
「あそこで打ち上げしてるパーティも確かに多いわね。でも今から行くの?ケリーとディーナどうすんのよ」

「・・・オリアナ、服を見繕って欲しいのだけど」

「かしこまりました、ご用意致します。ケリー様、ディーナ様、少々サイズを失礼致します」

「は!?え!?」
「あ、いえ、あの」
「諦めなさいあんた達」



オリアナはスっと現れ、ケリーとディーナをサッと立たせた後、テキパキと簡単にサイズを確認して去っていった。
いやもう本当に、どこから現れているのかしら?セバスもそうだけど、謎が多いわ…

1時間もしないうちに、オリアナは私含め3人分の服を見繕って来た。あ、私もかと思って着替える。

ケリーはちょっとくたびれた革鎧に合うような服装。
ディーナも冒険者らしい女剣士風。
私は魔法使い風の冒険者に。…コスプレみたい、私。



「うん、これで何となくそれっぽいわね」

「そうね、ケリーはわかるし、ディーナもそれっぽいわね。
騎士姿ばっかり見てるからどうかなと思ったけど。あんたもいそうだわ、その姿」

「年季入ってるけど上に上がれない感じのね」

「そんな事ないわよ?ギラギラに着飾ってるのは一部の冒険者で、基本は大抵こんな物よ。こっちの方が却って玄人ベテラン感があるって感じ」

「キャズはそのままでいいものね。
コンセプトとしては、私達は同じパーティで冒険してきた帰り。クエスト成功を祝って打ち上げ中。
次のクエストは私とディーナに個人的な仕事があるため、パーティでのクエストはまた未定、と。
キャズは私達パーティと個人的に仲良しで打ち上げに付き合っているギルド受付嬢、ね」

「あいよ」
「随分細かく設定するのだな?」

「じゃないとボロが出るでしょ?
ちなみに、個人的な用事も、ディーナは騎士団に剣術訓練に。私は魔術研究所で魔法書の解読のアルバイト、って感じ?」

「いいわね、冒険者の中にも王国騎士団に腕を磨きに行く人もいるもの。魔術研究所でのアルバイト、もかなり信憑性があるわ」

「キャズはそのままで。もう顔が知られていると思うしね、ギルド受付嬢ってことで。・・・ギルドにその人達が出入りしていないとも限らないから」



街で不特定多数の人に声をかけて採取人員をスカウトしているかもしれない。でも、ギルドに出入りし、トリュタケの採取クエストがどのくらいか、誘ってこっちに鞍替えしそうな冒険者がいるかどうか見に来ていないとも限らない。

キャズは基本的に受付嬢としてカウンターにいるし、顔は覚えられている可能性が高いのだ。



「俺は騎士団に剣術稽古に行く設定はなしか?」

「そういう所に行くのはゴメンだ、っていう感じね。だったら単独ソロで可能なクエストをする方がいい、っていう感じで。その方が近付いてきやすそう」

「なるほど、了解だ」

「んじゃ、行きますか?」



********************



「んじゃ、クエスト完了を祝って!」

「「「「乾杯!」」」」

「あー、ここでの打ち上げの為に生きてるよなあ」

「ゼノ、大げさだぞ?」
迷宮ダンジョンみたいな薄暗い所で篭ってりゃこうもなるだろ?なあ、ジゼルの姐さん」

「まあ、ゼノの言うことも一理あるわね」

「ジゼルさんまでそんな事。キャズはどう思う?」

「ゼノの言う事も、レイリアの言う事も同じよ。大抵のパーティは同じ事で騒いでるわ。ねえ?ジゼルさん」
「大袈裟なのもわかるし、日の下で飲むビールが格別だって事もわかるもの。せっかくクエストも成功したんだから、レイリアもゆっくり羽を伸ばしなさいな」

「全く、ジゼルさんには適わない」
「そーだそーだ、羽を伸ばせー!」
「ゼノ、あんたは依頼報酬使い込まない程度にね」

「・・・さて、申し訳ないけれど、私は一旦パーティを抜けさせて貰うわね?1ヶ月はかからないと思うけど」

「あー、そうか、ジゼル姐さんいつものアルバイトあるんだよな?でもレイリアは行くだろ?次のクエスト」

「すまない、私も一時抜けたい。騎士団で短期教練があるんだ」

「ああん?そうなると一旦パーティ解散か?」
「そうね」
「そうなるな」



ゼノ…ケリーが机に突っ伏す。
なんだよちくしょー、つまんねーよーと言いつつ、レイリア…ディーナに絡んでいる。
…上手いなあ、さすがケリー。ディーナもケリーの愚痴に付き合う事もあるのか、交わし方が上手い。
これで上手く釣れると良いのだけど。



「しゃーねーな、俺は単独ソロで動くとすっか。金も手持ちがなくなりゃねえし」

「ゼノが単独ソロでできそうな仕事入ったら取っておいてあげるわ。・・・でも討伐依頼が多いから、お得意の採取系は少ないかもね」

「悪いわねキャズ、少しの間よろしく頼むわ」
「私からも頼む、ゼノは金遣いが荒いから」
「あのなあ!俺だって単独ソロでガッツリ稼いできてやるかんな!」



と、まあこのように種を撒いた。
さてさて、引っかかるかな?と思いつつも小一時間ほど食事&飲んで解散。私達はそれぞれ別れ、ケリーをそこに置いていく。

ケリーは不貞腐れたようにもう一杯ビールを飲んでいた。
…あれくらいで前後不覚になる事はないと思うけど。
多少飲んだくれている方が、釣れやすいかもしれないわね。

ウォッチングしていたいのは山々なのだが、見つかっては元も子もない。私はその場を離れ、オリアナに見張りをお願いした。

魔術研究所へ戻り、軽くいい気分で書類を眺めていると、夕暮れの頃にオリアナが帰ってきた。



「あら、どうだった?動きは」

「ケリー様の演技が良かったのか、あの後直ぐに接触してきた者がおりました」

、って訳?」

「はい。『ギルドに内緒で金儲けしないか?』と交渉していました。内容は護衛だそうです」

「・・・採取、ではないのね。採取自体は他の人任せか」

「その様です。護衛人数は3名、護衛にはケリー様の他にあと1人いるとの事。日数は3日から5日程度と」



オリアナはしっかり依頼内容も聞いてきたようだ。
件の怪しい仲介人?からケリーが離れたあと、詳しい話をケリーに聞いてから来たらしい。

ケリーは『ま、バレねえようにやるさ。後は任せとけ』と言っていたそうだ。『影』が1人ケリーの護衛として付き、オリアナへ定期連絡をするとの事。
任せておいても平気そうね。私はキャズとディーナを連れて、上階層を探索しようとしている事を話した。



「・・・かしこまりました、これからギルドへクエストを依頼して参ります。キャズ様とディーナ様にはその様にお伝えします」

「ありがとう、王国騎士団にもディーナを借りる事を伝えてもらいたいの。何か申し出がいるのかしら?」

「現在第3中隊は待機中となっています。数日隊を離れても問題はありませんでしょう、『タロットワークの騎士』としての職務遂行を優先させたい、とでも通達しておきます」

「そんな事できるのね・・・」

「あくまでも待機中ですので、融通は効きます。待機中の騎士は教練と座学が主ですし」



王国騎士団の内情にも詳しいオリアナ。
私にとってはとても助かる。

…部下が優秀ってとてもいいけど、私自身が彼女を使うだけの器量が備わっているかと言われると、宝の持ち腐れ?な気がする。

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