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第三章【情】
広場の占い師
しおりを挟む王都の広場には、中央に大きな噴水。
その周りに色とりどりのたくさんのテントが貼られ、細工物を売っている所や、大道芸人が芸を披露していたりしている。
そして一際人だかりができているテント。ズラッと人が行列をなし、一定時間でテントから人が出てくる。
「す、すごかったね・・・」
「私、彼と幸せになれるって!」
「あの子に告白してみろって!」
「しかし占い師の姉ちゃん美人だったな・・・」
「・・・えらい人気だな」
「もうかってるぅー」
ひょこひょこ、と雛は列を抜け、テント近くへ行った。おい、占い師に視てもらうために来たんじゃないのか?
俺は雛を追いかけ、列に並ばずにただテントの近くへと歩く。すると、テントから黒いヴェールを被った女が出てきた。
頭から黒いヴェールを被ってはいるが、その女性的な肉体は隠しようもない。薄く透けるヴェール越しに見える女性の美貌も確かに確認できた。
「アイーラ、げんき?」
「まあ、雛様♡来てくれましたの?」
「うん、アイーラにおねがいしたいことあって!」
「わかりましたわ、今は忙しいんですけど、終わりましたら訪ねますわね?どちらにお泊まりになってますの?」
「えっとねー、・・・なんだっけ、シグー?」
ぐるりと振り返り、俺に話を投げる。あの宿屋の名前?俺も覚えてねえぞ?雛の行動に習い、占い師の女も俺を見た。きらり、と瞳が光ったように見える。
「あらまあ、いいオトコ♡」
「は・・・?」
「雛様のいい人ですの?」
「ううん、ちがうよー」
「あら、でしたら・・・」
つい、と俺に寄り添ってきた女。至近距離でじいっと俺を眺め、品定めをしているかのようだ。むに、と押し付けられる感触に悪い気はしない。俺も男だ。
「今夜、一晩いかが?」
「っ、あのな、依頼人の前だが」
「シグがきにいったの?どうぞどうぞ」
「ですって♡」
「・・・お前そこは空気を読むところだろう」
「くうきをよんだからこそのへんとうですが」
「うふ、決まりですわね?愉しませてさしあげてよ?
雛様、お仕事が終わったら宿屋にお訪ねしますわね?貴方はその後ゆっくり私と遊びましょ」
では、とスリットの入った長いスカートを翻して、占い師はテントへと戻っていった。
随分と…奔放というか…なんというか…
「シグのはなのしたのびてる」
「伸びてねえよ。あの女、お前の知り合いじゃないのか?いいのかアレで」
「いいの、アイーラはつよくていいおとこがすきなの。だいじょぶ、どこまでもベッタリくっついてくるような、いつもシグがうんざりしちゃうようなおんなのひととはちがうから」
「お前は俺の女性遍歴を知ってるのかよ」
「つるつるのおじさんがおしえてくれた。シグ、おうとでメグリカってひとにおいかけまわされてるって」
「・・・ワイズマン、あいつ・・・」
「そのひとよりアイーラのほうが、ひとばんたっぷりたのしませてもらえるとおもうよ?」
「ガキに言われたくねえ」
「やだなぁシグってば。ひなのほうがうーんとおねえさんだってしってるくせにー」
ぺしん、と足を叩く雛。確かにメグリカとは夜の関係を持った直後から追い掛け回されている。メグリカは酒場の歌姫なんだが、ああいう職業の女は割とそういう関係はサバサバしていてその場限り、という女が多いのだが。
何度か関係を持った後から、かなり追い掛け回されていた。しかしメグリカも仲間と街を転々としているので、今はこの王都にはいない。建国祭があるから戻って来ている可能性もあるんだが。
しかし、さっきの女と関係を持つにしても、こいつの知り合いって言うのがな…俺はあんまりそういう夜の相手は知らない間柄の方が楽なんだが。
こんな体だと、女と所帯を持つこともままならないし、下手に孕ませたりすると問題だ。なんせ父親はいつまで経っても歳を取らず、最終的には年齢も追い越してしまうからだ。
だからこそ、俺の女性関係は大体夜の職業の女になる。彼女達は大抵、決まった相手を持たずに、その晩だけの関係を望むからだ。俺も街を転々としていた事が多いし、この王都で永く住むようになってからはここに定住するような女は選ばない。
「んじゃ、とりあえずやどにもどろー。ひながよるにきくおくすりをつくってあげるね!」
「いらん」
「そーお?たぶんシグ、アイーラのおあいてしてたらあしたおきれなくなるよ?それでもいい?」
「・・・お前の知り合いは何なんだ」
「こいおおきおんななのです」
宿に戻ると、窓辺に斑が寝ていた。日がよく当たって気持ちいいんだろう。雛が進めるので俺も一眠りさせてもらう事にした。
「デカいな、ベッド」
「ひながなんにんねれるかな」
「五人は並べるだろ」
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