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第三章【情】
対価の艶事【R18】
しおりを挟む全てが終わり、ギルドへ戻る。街の様子からすると、本当に地下だけで全ての決着が済んだようだ。
俺は疲れてはいたが、全てをワイズマンとナターシャに報告。二人も全てを聞き終えると、何も言葉が出なかった。ナターシャは静かに泣き、ワイズマンは俺の肩をポン、と叩き、強く掴んだ。
お互い、どうしようもない、やりきれない想いでいっぱいだった。
「───誰だ?」
「私ですわ」
王都にある、俺の部屋。寝室に入ると、月明かりに浮かぶ窓際に佇む影がひとつ。
月明かりだけの中、アイーラがそっと俺に近付いてきた。ふわりと抱きしめ、互いの体温が伝わる。
「・・・今日は、勘弁してくれないか」
「違いますわ。今日は貴方の好きにしてくれてよくてよ」
「優しくできる気がしない」
「ええ、それでも」
その声と同時に、唇を塞いだ。荒々しく衣服を剥ぎ取り、寝台へと倒し、その肉体を貪る。
朝まで何度も荒々しくアイーラを抱いたが、彼女は何一つ文句を言うことなく、俺に体を委ねていた。
□ ■ □
「おはようございますわ」
「あー、おはよう」
しまった、ものすごく気まずい。昨日の夜の事は覚えている。やりきれない想いと、自分の力の無さにむしゃくしゃして、酷く乱暴に彼女を抱いた。
こんな事をするつもりじゃなかったが、久しぶりにあんなに酷い扱いをしたもんだ。
「アイーラ、その、悪かった」
「あら、何がですの?」
寝台の上でしどけなく髪の毛をかき揚げ、シーツでその肉体を隠す仕草はたまらなく色っぽい。
「昨日は激しかったですわぁ」
「あー、だからその事なんだが」
「たまにはああいうプレイも燃えますわね」
「・・・は?」
アイーラはうふふ、と悪戯っぽく笑う。そうして俺にその体を押し付けるようにして、抱きつき返してきた。
「私、久しぶりに支配される喜びを味わいましたわ!」
「あー、いや、おい」
「ゾクゾクしましたわ?昨日の貴方。またあんなふうに抱いて下さらない?あん、また疼いてきちゃう」
「ちょ、ちょっと待て!」
「だって、私、対価を貰ってませんわ?」
「は?対価!?」
た、確かに対価を支払わないといけないが、待てよ?まさか文字通り『体で』払えとか言うんじゃ…
「っ、アイーラ、く、」
「昨日はシグの番でしたし、今日は私がたっぷり愛して上げましてよ?まだ上のお口でしてあげたことありませんわよね?」
「いやそれは、待て、おい」
「私、上手いんですのよ?」
きらり、と光る金色の瞳。う、嘘だろ!!!
・・・その後、夕方まで散々昇りつめ、ようやく離してもらった。しかし夜はアイーラの部屋に行かなければならない。
対価は三日間、俺がアイーラを抱く事、だそうだ。死ぬんじゃないのか?
雛が泊まっていた宿屋。店の人に聞くと、まだ滞在しているらしい。部屋をノックすると、ほーいと呑気な声が聞こえてきた。
「お、いろおとこのさんじょう!」
「やめろ、やめてくれ本当に」
「あれ、おつかれですね」
「体力、おかしいだろ本当に・・・!」
ぐったりした俺に、雛はハーブティーを出してきた。くそ、悔しいがこの味に慣れきってしまっている。じわりと体力も回復するかのようだ。
「しかたないし。アイーラに『おねがい』したのシグでしょ?せきにんとりなよ」
「・・・やればいいんだろ、やれば」
「そうそう、ヤればいいのです」
「なんか今発音のニュアンスおかしくなかったか」
そんな事ないよ?と雛は首を傾げる。側においてある袋をゴソゴソと漁り、二つの袋を出してきた。
「はい、こんかいのシグのいらいりょう」
「あん?・・・そういやクエストを受けてたんだったな」
「うん。ギルドはおおいそがしだったから、ここでてわたしね?」
袋を開くと、三つの石がゴロリと出てきた。銀色に光る、石ころ。まさか。
「魔力銀、か?」
「うん。とりあえずそれだけあればなにかのやくにたつよね?だからそれがいらいりょうです!」
確かに、コーティングならばこれで十分だ。貯めておいて別の物を作る時に触媒にしてもいいだろう。かなりの儲けになるんじゃないか?
「いいのか、こんなに」
「ひながもってても、なげるくらいしかないし」
「なんてもったいないことするんだよ」
「しってた?スライムくらいならそれでしょうめつするから」
これは深緑の森で試してるな、恐らく。まあいいと言うならありがたく貰っておこう。こっちの袋は何だ?
「あ、それはアイーラにわたして?」
「・・・わかった、渡しておく」
「それとね。こんかいのことについては、シグにはなんのひもないから。きにやむのやめときなね」
「っ!?」
「あれはね、だれがいってもだめだった。でもシグがいたから、アイーラとひながああしておくることができたんだから、がんばったね」
「・・・それは」
「ひなへのおれいは、またこんどおうとのあのマドレーヌ、かってきてください」
「は?」
「すうじつはいそがしいとおもうから、ひまになったらでいいよ!じゃあひなはこんやもりにかえるので、アイーラよろしくね。つかれたらハーブティーあげたやつのむといいよ、たいりょくもどるからね」
ぐいぐい、と部屋から押し出された。ちくしょう、俺は雛にちゃんと礼を言ってない。モルドを送ってくれた礼を。恐らくその対価にマドレーヌ持ってこいと言うのだろう。
その雛の気遣いを感じて、俺はふと笑みを浮かべる事ができた。いつの間にか心に巣食っていた闇は、キレイに取り払われていた───
□ ■ □
「あら、まあ♡さすがは雛様ですわ!」
「っ、な、何だその衣装!」
「あら、シグが雛様から預かってきた荷物に入ってましたのよ?」
南国の踊り子のような衣装。豊満な胸を申し訳程度に隠し、そのしなやかな体に這うシャラシャラとしたアクセサリー。
下はスカートのようだが、両サイドに大きくスリットが入り、肉感のいい足を存分に楽しむデザイン。
下着は全てレースで編み上げ、ストッキングの様なものは太腿の中間までの丈。それを腰から装着するリボンのようなもので止める。薄いレースで作られた下着は、両サイドが紐になっていて、はらりと取れる仕組み…
「あん、もう着けている意味がないくらいですわ・・・ねえ見てくださいまし♡私の大事なところが見えてしまいそう」
「っ、あ、あのな」
「このストッキング、着けたまま交われるだなんて、いかにもそそると思いません事?シグ?」
「~~~っ、覚えてろよ、雛!」
アイーラが王都を経ったのは、三日後どころじゃなかった、という事だけ言っておく…
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