その力で人の身を焼く“悪魔”の聖女にしか、第三王子は救えない

カズヤ

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28.恐ろしい計画

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 扉の向こうでミズリーが告げた衝撃的な言葉に、リディアは息を呑んで完全に動けないでいた。

(あの娘は今……なんて言った?)

 耳を疑った。
 確かに彼女はクライヴを殺すと言ってのけた。
 理解が追いつかない。
 ミズリーは、クライヴと結婚するために手紙を送り込んできた。
 そんな彼女がなぜクライヴを殺さないといけないのか。

「君が恐ろしいよミズリー。死体にしたクライヴと結婚して、その遺産を頂くなんて計画、よく思いつくね」

 疑問はすぐに氷解した。シェルザスがおののくように告げた計画は血の気が引くほど恐ろしいものだった。

「あいつは許せないわ。私のモノにならないなら、権力だけ頂いてやる」

 ぞっとするような冷たい声でミズリーはそうつぶやいた。
 クライヴに結婚を断られた日よりも磨かれ、深くなっている殺意を感じる。

「でもクライヴは歴戦の兵士だぞ? 僕はあいつに稽古で勝てた試しがない。ミズリーに……殺せるのかい?」

 不安げなシェルザスに扉の外でリディアも頷いた。
 クライヴは竜種の魔物をも葬った強者だ。
 全く戦闘の経験がないミズリーになにかされるとは思えない。

「大丈夫よ。必ず通る策を用意してるの。クライヴは必ず隙を作るわ」

 だが返答するミズリーの声は恐ろしい自負心に満ちていた。
 その声にリディアは警戒心を抱いた。
 リディアは知っていた。この口調で断言するミズリーは必ずやり遂げる。

(策……? それは一体……)

 リディアは耳をそばだてた。
 暫くリディアは逃げない判断をした。
 ミズリーの自信満々の口調から、周到な計画が準備させているのだろう。
 クライヴを救うための情報が欲しかった。

「しかし本当に王城でクライヴを殺すのかい?」

 シェルザスが遠慮がちにおずおずと問う。どこか物怖じしている気配がある。
 彼もまたそんな鬼気迫るミズリーに恐ろしさを感じているようだった。

「いまさら計画を変えれるわけないでしょ。既に執事カインを屋敷に釘付けにするために、伏せた刺客を動かしてるのよ?」

「それはまあ……」

 論破されたシェルザスは押し負けて黙りこくった。
 
(そんな。クライヴ様の屋敷に貼られた罠は全部囮だったの!?)
  
 そんな彼に、少し声のトーンを抑えて諭すようにミズリーは続ける。

「安心しなさい。ベルナルド公爵家がこの暗殺に協力してくれているのよ? 邪魔なんて入りっこない」

(っ……)

 ミズリーの協力者として彼女を推しているとは聞いていたが、暗殺にまで絡んでいるとなると話の規模が凄まじい。
 事の大きさにリディアは息を呑んだ。
 もはやクーデターだ。

「ちょっと……あんまり大声でそういう名前はまずい。誰かが聞いてたら」

 慌てるシェルザスに冷酷なミズリーの声がかぶさった。

「本当に臆病な人ね? 仮に誰か聞いていても“処分”すればいいじゃない。出来るはずよ?」

 もはや正気とは言い難いことを平然とミズリーは言い放った。

(いけない。外にシェルザス様の兵……!? 私……閉じ込められてる!?)

 それを聞きつけやリディアは状況の大変さに思い至った。
 リディアはこの建物の状態を思い出した
 入り口は全てシェルザスの兵に固められている。
 リディアは焦った。脱出してこのことを報告しなければならない。
 だがまたもや病院で暗殺者に囚われたときのように袋小路に陥っている。
 迷っている間にもミズリーたちの話は続く。
 
「み、ミズリー……少し物騒すぎやしないか?」

 シェルザスはあまりのミズリーの言いように少し怯えた返しをした。
 だが完全に反論はしない。主導権はミズリーにある様子だった。

「まだ分かってないようね。もう一人や二人死体が増えた所で止まれないところまできてるのよ?」

 ミズリーは低い声で、ささやくようにシェルザスにそう告げた。
 それはぞっとするほど蠱惑的な響きをまとっていた。

「そ、そうだったな。僕はそういう条件で君に賭けたんだ」

 やがてシェルザスの声も熱に浮かされたように、低くなった。
 ミズリーの狂気が伝播したような声色だった。
 そんな風に焚きつけられたシェルザスに『フフ』と満足げに笑ったミズリーは、さらに話を広げていく。

「クライヴは突出して貴族に恨みを買いすぎなのよ」

「確かに、あいつは後ろ盾を一切作らなかったからな。推しても甘い汁を吸えないんだからそりゃ疎まれる」

 人をまとめるには共通の敵を作るのが効果的という。
 暗殺への不安がこの話題によって完全にそれた。
 ミズリーの手管はまさに熟練の粋だ。
 これが傾国の美女(ファム・ファタル)と呼ばれるものなのだろうかと考えると同時に。

(事情も知らずに勝手なことを……)

 クライヴの過去の事情を知っているリディアは彼女たちの一方的な言いように憤慨した。
 母親を貴族に吊し上げられ、獄死させられたクライヴの心中を知らない人の言いようだ。
 しかしリディアの今の状況ではどうしようもない。
 共通の話題で盛り上がった二人はさらに会話をエスカレートさせる。

「公爵様たちにとってクライヴは、よほどウザったかったんでしょうねえ」

「全くだ。まさか、死体にしたクライヴと君を結婚させるなんて無茶苦茶に協力するなんて」

「ま、公爵様に売り込んだときにも言ったけど、これが最善なのよ。財産を奪うには妻になるのが一番手っ取り早いんですもの」」

 言いようとして計画の主犯はミズリーであるようだった。
 夫の持っている権利や財産を妻の立場であれば用いることができる。
 ましてや夫が死んで遺産となれば、妻にほとんど渡る。
 周りを説き伏せるのがうまい妹だったがここに至ってついに国を動かすレベルの謀略に関わることになるとは。
 妙な感慨がリディアを襲う。
 
(なんて……恐ろしい計画を……)

 概要を知ったリディアは絶望の思いに包まれた。
 王城で暗殺、死体と結婚。
 荒唐無稽極まる計画だが、公爵家と第二王子が後ろにつくとなると話は別だ。
 結婚は国が管理するシステムだ。
 ならば運用者側の国家が味方ならいくらでも穴を付けてしまう。
 細かい所などいくらでも誤魔化せるというものだ。

「手強い執事を屋敷に釘付け、一人になったクライヴを王城で暗殺する。この計画に失敗はないわ」

 ミズリーは自身の計画に酔うようにそう復唱した。

「成功した暁には、君は殺したクライヴの遺産を根こそぎ……か」

 シェルザスはその後の展望をつぶやき、そしてこらえきれないように吹き出した。

「ぷくく……なんていうか改めて……」

 シェルザスはあまりの荒唐無稽さに失笑した。
 計画を立てた側ですら笑うレベルの茶番だ。
 だがそれが通るのが、国家の中枢を味方につけるという恐ろしさだ。
 ルールを運用する側に回れば、筋道さえ付ければ道理が引っ込む。

「あははは! 強引よね! でも素敵」

 ミズリーも賛同して笑いながら、うっとりとつぶやいた。

「この計画は私の、王宮政権に食い込める唯一のチャンスなのよ。絶対に成功させるわ」

 鬼気迫るとはこのことだろう。
 権力への想像に、深酒を煽ったようにミズリーは酔っていた。
 恍惚に身を浸したかのような言葉には、もはや狂気すら感じる。

「それで君は財産を手に入れてから、改めて僕と結婚してくれるんだろ?」

 恍惚となるミズリーに向けて甘えるようにシェルザスは告げた。

「ええ。その力で貴方を王様にしてあげるわ」

 赤ん坊をあやすような口調でミズリーはシェルザスに答えた。

「ふふ……ふふふ、王か。いい響きだ」

 ミズリーの侮るような声音をまるでシェルザスは気づいていない。
 シェルザスはミズリーの答えに、喉奥でくつくつと笑う。
 その様子を見てミズリーは乾いた声で小さくつぶやいた。

「出世を人頼み……つまらない男」

 それは誰にも聞こえず部屋に消えた。
 ミズリーはすぐに顔を戻し、シェルザスに寄りかかった。

「さ、行きましょう。城へ。エスコートをよろしくお願いしますね私の王様」

「行こうか皇后様」

 自分によったように二人は呼び合って玄関まで歩いてくる。
 二人の足音がリディアに向けて近づいてきた。

(いけない!? こっちに来る。逃げられない)

 そこでリディアは血相を変えた。

(逃げられない……見つかったら私……殺され……!)

 そう思った瞬間だった。
 背後に誰か人の気配がした。
 同時にリディアはがっと口を押さえられ、体を引きずられた。

「ひっ!?」

 リディアの心臓を恐怖が突き抜けた。
 抵抗して振りほどこうとするが、すごい力で抑えられて拘束されている。
 そしてミズリーの部屋の扉が開いた。

「あら?」

 扉を開けたミズリーが何かに気づいたような声を上げた。

「む……ううう……!」

 リディアは拘束された身を捩って声を上げる。

「廊下に誰か居た気がしたけど」

 ミズリーが気が抜けたような声を上げた。

「そうか? 下の階が騒がしいのと勘違いしたんじゃないか?」

「警備の兵がサボって盛り上がってるみたいね。降りて叱ってやりましょう」

 やがて――ミズリーたちは階段を降りいなくなった。
 そんなミズリー達の会話を――“隣の部屋の中で”リディアは聞いていた。

(リディア様、お静かに! 皇子たちにバレるッス。絶対喋らないで)

 耳元で震えた声でそう告げられたリディアはなんとか叫び声を挙げずにこらえていた。
 間一髪だった。
 ミズリーが外に出る直前で、リディアは隣の部屋に連れ込まれ、事なきを得ていた。

「ご、護衛さん。いえ、リックさんだったんですね。助かりました……」

 リディアを助けたのは、若い護衛のリックだった。

「どういたしまして。ハンクさんにリディア様を迎えに行ってこいって言われて来たんすけど」

 リックはリディアの口から手を離し、緊張からの解放からその場にへたり込んだ。

「ありがとう。本当に貴方がいなければ命を落としていたかも」

 リディアはそんなリックに震える声で礼を言った。
 本当に危なかった。ミズリーに見つかっていたら、彼女らのいうとおり『処分』されていただろう。
 その物騒なリディアの言葉に若い護衛はぎょっとして目を丸くした。

「そ、そうだ……なんスか第二王子様たちが話してた計画……あれ」

 リックはミズリーたちがいた部屋の方を指差しながら体を震わせる。
 緊張と恐怖に染まった彼は恐ろしいほど震えていた。

「そうなの! このままだとクライヴ様が危ない……!」
 
 それにより現状を思い出したリディアは、若い護衛の手を取って引いた。
 彼を立ち上がらせるべく伸ばされた手を、リックは呆然としながらも取った。
 そして立ち上がる。

「お願い! このことを誰かに伝えに行かないと! 協力して!」

 その訴えに、若い護衛は気圧されるように身を引く。
 だが護衛の本道を思い出したのか、唇を噛み扉を開けた。

「わ、わかりました。とにかく下でハンクさんと合流を」

 リディアはうなずいた。
 そして二人で階段を降りる。
 階下はすっかりとシェルザスの護衛がはけておりハンクは一人木陰で待っていた。

「おう帰ったか。……どうしたんです、そんな血相を変えて」

 階下に降りたリディアたちをハンクが迎える。
 息せき切らした二人を見て彼は首を傾げた。

「リック、何があった?」

 ただならぬ様子にハンクは若い部下に状況を聞く。

「は、ハンクさん大変なことが……」

 リックが慌ただしくミズリーたちの離していた内容を説明するに至ってハンクの顔がどんどんと険しくなる。

「マジか……第三王子の暗殺計画……? 首謀者は第二王子で、バックにベルナルド公爵家だと?」

 ハンクも余裕が消え地が言葉に出る。
 そして深く考え込みながら額を抑える。

「このことを王城のクライヴ様に伝えないと!」

 リディアは息せき切ってそう懇願する。
 だが壮年の護衛は渋い顔をした。

「待ってくださいリディア様。それが本当なら城に伝えに行っても途中で拘束される危険があります」

「う、嘘でしょハンクさん。いやそっか。お城のこと大体ベルナルド公爵家が絡んでるもんな」

 リックがその返答に青い顔をした。
 最古の貴族家であるベルナルド家は王宮の仕事にかなり縁深い。
 王宮はもはや彼らのホームグラウンドだ。

「発言力が高くて信頼できる人に直接伝えないと、誰が敵かすらわかりませんよ」

 ハンクの言葉に、若い護衛が頭を抱える。
 策動する勢力の規模が大きすぎて、もはや王城で誰が敵で誰が味方になるのかもわからない。
 動揺する二人の護衛にリディアは叫んだ。

「ならシスター・ヴィエラに伝えたらどうですか!?」

「ヴィエラ院長か!? なるほど筆頭聖女の彼女なら……」

 ハンクは手を打ってそれを肯定した。
 そして大きくうなずいた。

「行きましょう。ガーヴェイ家の馬車を出します。こっちです」

 ハンクの顔つきが変わり、先導するように踵を返した。

「はい、急いでください……!」

 リディアは二人の護衛を追うように、女子寮の駐車場へと走り出した。
 息を切らせながらリディアは胸中で祈りを捧げていた。

(お願い……間に合って……! 女神様……クライヴ様を……助けて)

 その祈りは誰にも届かず……虚しくリディアの胸中だけにこだました。
 

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