(仮)紅眼の暗殺者

アリエ

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プロローグ

2話  組織と魔能の力

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表と裏。この世界には二つの世界がある。世界と言っても同じ地球だ。裏と表には大きな違いがあった。それは、ファンタジー世界のようにレベルやスキルが存在し魔法が使える事だ。

裏には組織が存在し、少女、もとい紅江輝夜の入っている組織、"メルカ"は564ある組織の中で、10大暗殺組織と呼ばれる大きな勢力の一つに数えられる。

他の10大暗殺組織は、"アサン"、"ガンイース"、"トマン"、"ラフル"、"エァルーニ"、"ストーレア"、"バーラルク"、"ジャカン"、"テーロト"だ。

それぞれ世界の何処かに存在し、互いに組織の場所は知らない。たとえ、組織の者だとしても組織の本部は知らない事が多い。輝夜もその一人である。
ただ、あの男は知っているようだったが。

日本でも裏の存在は一部の大臣か、総理大臣ぐらいしか知る者は居ない。海外には、もっと居るだろう。

ただ、レベルやスキル、魔法といった特殊な力は裏の組織の中の戦闘専門の者か、個人的、先祖代々伝えられた者だけが、知っている。

その力を"魔能"。
魔能を使う者を現代では"魔能者"と呼んでいる。魔法やスキル等を全部魔能と呼ばれるのだが、魔能には種類がある。


"法能"(ほうのう)   魔法の適性が高く、魔力が高い。魔法に特化している。 その代わり、身体能力はさほど高くない。接近戦闘は苦手とするが、ある程度は戦える。また、法能を使う者を"法能者"と呼ぶ。


"力能"(りきのう)   身体能力が高く、身体強化のスキルが多い。魔法適性は低いが、全く使えないことはない。武器に付与して戦う者もいる。
稀に魔法適性が全くない者がいる。
力能を使う者を"力能者"と呼ぶ。


両能(りょうのう)   魔法適性もあり、身体能力も高い。だが、法能者より魔法適性は低く、力能者より身体能力も低い。両能の良いところは、二つとも使えるところだ。 
両能を使う者を両能者と呼ぶ。


強い両能者なら、格下の力能者や法能者より、魔法適性や身体能力が高い事がある。輝夜も両能者だ。

この三つが、主な魔能の種類だ。

魔能は誰もが使えるわけではない。才能がなければ使えないのだ。ステータスの数値には、レベル、年齢、性別、筋力、体力、魔力、敏捷、耐性、魔耐、スキル等が標示される。

ステータスの初期数値、つまりレベル1の数値には個人差があり、数値が高いほど才能がある。強いと言うことだ。

初期数値によって、レベルが上がった時のステータスの上がる数値が違う。レベルが1上がると初期数値の3分の1が加算される。レベルには上限はなく、確認出来ている最も高いレベルは255だ。

一人前になるのはレベル50なのでどれだけ高いかわかるだろう。レベルは人を殺すと上がる。だが、レベルは高くなると上がりにくくなる。上がるには多くの人を殺さなければならない。世に広められないのはこの理由があるからだ。





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1月

あの依頼、護衛依頼から数日。
少女は他の依頼を達成した帰りに電話がなっているのに気付いた。裏路上に入り電話に出る。あの男からだった。

「なんだ。依頼の帰りなんだが。」

『なら、後にするかい?護衛の事なんだが。この電話を切ったら何日後になるかわからないよ?』

電話越しにニヤつく姿が想像できる。
少女はため息をついた。

「……早く話せ。手短に。」

『はいはい。わかっているよ。僕も忙しいしね。…君の入学手続きが終った。そして、近くに家を用意したよ。対象の家と学校にも近い。明日からそこに住んでもらう。』

「用意の良い事で。鍵と住所は?」

『鍵は今住んでいる場所に届ける。住所は後でメールで送るから後で確認してくれ。』

少女の家はない。組織の隠れ家に住んでいて、依頼があるごとに移動している。

「わかった。それだけか?」

『いいや。後、対象を狙って、計画をしている組織がある。報告ではそんなに大きくない組織だが、用心してくれ。計画は入学してから行う事はわかっているよ。』

男が"そんなに大きくない"と言うことは、1000人規模の組織である。少女が入っているメルカは大体50000くらいで、差がわかるだろう。

「わかった。終わりだな。」 

『ああ。それじゃ。また。』

少女は電話を切った。

「はぁ……。忙しくなるなぁ…。」

そんな呟きを残して少女は帰るのだった。


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