水の流れるところ

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そんな自分だから

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 高校生になると、昼間にアルバイトをしながら、夜間制の学校へ通って金を貯めた。学校で友達もできた。告白されて彼女もできた。正直言えば、その彼女に恋愛感情はなかったが、周りの当たり前に恋人を作る環境に押し切られる形で付き合った。

 それが、女に対して自分が嫌悪感を抱いていることに気がつくきっかけとなった。

 彼女に恋愛感情は持てなかったが、嫌いではなかった。性格も良い子で、一緒にいるには楽しかった。だけど、セックスができなかった。というよりそれ以前の問題で、彼女に触れることも、触れられることも体が拒否した。全身に震えがきて、吐くほどの拒絶。軽くパニックになった。こんなところで、自分が母親からの精神的ダメージを受けていることを実感するとは思わなかった。

 あの子には悪いことをしたな。

 彼女に問題があったわけじゃない。自分が悪いのだ。正直に母親のことも含めて説明もした。でも、彼女は何度も謝った。「ごめんね、ごめんね」と。何に対する謝罪なのかも曖昧なまま。

 それから高校卒業までは、だれとも付き合わず過ごした。というか、これが「真面目」に付き合った最初で最後だった。付き合っていた彼女は、誉との間にあった出来事を他言せずにいてくれた。付き合ったら思っていたのと違った、と理由をぼかして。

 こうして誉は、結果的に男と関係を結ぶことしかできなくなった。性癖というよりは、半ば強制的にゲイになったようなものだった。面白いことに、誉は自然と「ウケ」になった。「タチ」になると、女の立場に近い「ウケ」を抱くことになる。それすらも、微かな嫌悪感があったのだ。

 そんな自分だから。もう今では、だれかに愛されたいとか、そういう期待も望みもなくなった。本気で人を好きになることもない。父親からも母親からも裏切られた事実が、愛情なんてモノに頼るのを止めさせた。

 好きでもないのに恋愛関係になるなんて面倒だし。性欲解消なら相手はだれでも、何人でもいい。このまま一生、こんな生活を続けて、だれからも愛されず、求められずに終わっても仕方がない。たとえ求められても、応える覚悟も自信もない。

 なぜなら。自分は実の親にすら捨てられた人間なのだから。それくらいの価値しかないのだから。

 そう、言い聞かせてきた。
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