変態ストーカーの専属BGにはなりません!

文字の大きさ
115 / 239

Just the way it is ⑲

しおりを挟む
「ありがとう。大事にする」

 黒埼に向かって丁寧に頭を下げた。すると黒埼の腕が伸びてきて、ポンポンと優しく頭をたたかれた。

「そんなかしこまってお礼言わなくていいよ。俺とアキちゃんの仲じゃん」
「だけど……こんな高級なものもらったのも初めてだし」
「それだけアキちゃんのこと大事に思ってるって分かってくれたらいいから」
「…………」

 そんな風に、さらりと言ってのける黒埼の言葉は、今の晃良には苦しかった。色々な感情が自分の中を渦巻いて。今の自分は、どこまで黒埼と向き合えるだろう。

「黒埼……」
「どうしたの? アキちゃん。元気ないね。しんどい?」
「そうじゃなくて」

 晃良は、視線を黒崎から逸らすと、掛け布団へと落とした。それから、ゆっくりと口を開いた。

「夢……見た」
「……うん」
「夢だったけど。夢じゃないと思う」
「……そうなの?」
「……思い出した」
「…………」
「黒埼との『約束』」

 微かに。黒埼が息を止める気配が伝わってきた。

「前、ラブホで言ってたよな。小さい頃、俺と『約束した』って」
「…………」
「その『約束』した時のこと。思い出した」
「アキちゃん……」

 晃良は顔を上げて真っ直ぐに黒埼を見た。

「ごめん。俺、『約束』守れなかったんだよな」
「…………」

 黒埼が一瞬だけ、辛そうな表情をしたのを晃良は見逃さなかった。

『ずっとヒョウちゃんが1番で、ずっとヒョウちゃんと一緒だから』
『俺、ヒョウちゃんとしかしないもん』

 小さい頃の、こんな事態など予想していなかった2人の約束。記憶喪失だったのだから不可抗力なのは分かっている。けれど。もし晃良が覚えていたら、この約束は守られたかもしれない。黒埼だって、頭の中では仕方ないと理解しているだろう。だけれど、きっとこの「約束」が破られた時の、やり場のない悔しさや苦しみを抱えて苦しんでいたに違いないのだ。神様のイタズラ。そんな一言で割りきれるほど、単純ではなかったのじゃないだろうか。

 自分が逆の立場だったら。しょうがないと思いつつも、どこかで自分が相手の最初ではなかったことを悔いるのではないだろうか。それが、本当に大事な相手なら尚更。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

Nova | 大人気アイドル×男前マネージャー

むぎしま
BL
大人気アイドル・櫻井来夢が恋をしたのは、 ライバル事務所のマネージャー・本郷ルカだった。 強く、知的で、頼れる大人の男。 その背中に憧れ、来夢は彼を追いかける。 ──仕事のできる色男・本郷ルカは、女にモテた。 「かっこいい」「頼りたい」「守ってほしい」 そんな言葉には、もう慣れていた。 けれど本当の心は、 守られたい。愛されたい。 そして、可愛いと思われたい。 その本心に気づいてしまった来夢は、 本郷を口説き、甘やかし、溺愛する。 これは、 愛されることを知った男と、 そのすべてを抱きしめたアイドルの、 とても幸せな恋の話。 独占欲強めな年下アイドル (櫻井 来夢)   × 愛に飢えた有能マネージャー (本郷 ルカ) ーー 完結しました! 来週以降、後日談・番外編を更新予定です。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

【完結】それより俺は、もっとあなたとキスがしたい

佑々木(うさぎ)
BL
一ノ瀬(27)は、ビール会社である「YAMAGAMI」に勤めていた。 同僚との飲み会に出かけた夜、帰り道にバス停のベンチで寝ている美浜部長(32)を見つけてしまう。 いつも厳しく、高慢で鼻持ちならない美浜と距離を取っているため、一度は見捨てて帰ろうとしたのだが。さすがに寒空の下、見なかったことにして立ち去ることはできなかった。美浜を起こし、コーヒーでも飲ませて終わりにしようとした一ノ瀬に、美浜は思いも寄らないことを言い出して──。 サラリーマン同士のラブコメディです。 ◎BLの性的描写がありますので、苦手な方はご注意ください *   性的描写 *** 性行為の描写 大人だからこその焦れったい恋愛模様、是非ご覧ください。 年下敬語攻め、一人称「私」受けが好きな方にも、楽しんでいただけると幸いです。 表紙素材は abdulgalaxia様 よりお借りしています。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

処理中です...