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機嫌の悪い宇佐美さん
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「お疲れ」
「おん」
夜の十時回ったくらいに、おっぱい星人の宇佐美さんがやってきた。残業で遅くなったらしい。玄関先で宇佐美の顔を見ておやっと思う。
いつもより、なんちゅーか、機嫌が悪そうやった。絡みは少なくとも、長い付き合いやからなんとなく分かる。
嫌なことでもあったんかな。
そう思ったけど、こういう時は放って欲しいやろうし、あえて聞かへんかった。言いたかったら宇佐美から言うてくるやろうし。
「なんか飲むか?」
「ん……そしたら酒ある?」
「……酒、呑むん?」
「おん……タクシーできた、今日」
「……そうか」
意外やった。宇佐美が家へ来る時は、どんなに遅くとも自分の車で来るのに。宇佐美が家に泊まっていったことはない。乳を触るだけ触って、さっさと帰っていく。
そう。どんだけ変な空気になっても。それを断ち切るように帰っていく。
「今日、呑むと思わへんかったから、洋菓子買うてきてもうたわ」
焼酎の入ったグラスと一緒にエクレアの乗った皿をリビングテーブルに運んだ。変な組み合わせになってもうたけど、しゃーないわな。
「……ええよ、別に。お前、エクレア好きなん?」
「おん。糖分補給にな。急に食いたくなんねん。なんか買うて帰ろ思うてコンビニ寄ったら、そこにあったエクレアに吸い寄せられたわ」
宇佐美がそれには何も答えずにグラスを取った。
「……お疲れ」
「ああ、おん、お疲れ」
俺も急いでグラスを持って、ソファに座る宇佐美の隣に腰かけると軽く宇佐美のと重ねた。
やっぱ、変やな。
いつも口数は少ないほうやけど。今夜はそれに輪をかけて宇佐美が静かやった。ちびちびと酒を呑みながら何か考え事でもしとるみたいに見える。
俺は、それを気にしてないフリをして、自分のペースで酒を呑み続けた。
「なあ……」
ぼけっとBGM代わりに流しとったテレビの画面を眺めながら、突然宇佐美が口を開いた。
「ん?」
「お前、あいつ、覚えとる? 俺の部署の後輩で……ちょっと前に転職してきたやつ」
「……ああ、田中くんか?」
「おん」
田中くんは、宇佐美の部署に転職してきたやつで、まだ若くて、二十代前半やったんちゃうかな。数いる社員の中でなぜ直ぐに思い出せたかというと。
田中くんはとても人懐っこい性格で、なにかと俺らの近くにおることが多かったからやった。そういや、あの、宇佐美とのおっぱい契約を交わすきっかけになった呑み会ん時に宇佐美の隣に座っとったのも田中くんやった。
「田中くんがどうかしたん?」
「ん……今日、外で昼飯食ったんやけど、ちょお、相談されてん」
「何を?」
「…………」
宇佐美は俺のその質問を無視して逆に俺に聞いてきた。
「なあ、あいつのことどう思う?」
「……は?」
「小野は、どう思う?」
「どうって……」
そこで、田中くんのことを思い浮かべてみるが、そんな意識して見とったわけちゃうから、漠然とした印象しか思い付かへんかった。
「まあ……明るくて、元気ええとかちゃう? 人懐っこいなとは思うけど」
「……悪い印象はないんや」
「全然ないよ。むしろええ印象のほうがあるかな。若いけど、話も合うしな」
「……そうか」
「なんで? なんかあったん? 田中くんと」
「……いや、なんでもない」
わざわざ名指しで会話に出てくるぐらいやから、おそらくなんかあったんやろうけど。
「おん」
夜の十時回ったくらいに、おっぱい星人の宇佐美さんがやってきた。残業で遅くなったらしい。玄関先で宇佐美の顔を見ておやっと思う。
いつもより、なんちゅーか、機嫌が悪そうやった。絡みは少なくとも、長い付き合いやからなんとなく分かる。
嫌なことでもあったんかな。
そう思ったけど、こういう時は放って欲しいやろうし、あえて聞かへんかった。言いたかったら宇佐美から言うてくるやろうし。
「なんか飲むか?」
「ん……そしたら酒ある?」
「……酒、呑むん?」
「おん……タクシーできた、今日」
「……そうか」
意外やった。宇佐美が家へ来る時は、どんなに遅くとも自分の車で来るのに。宇佐美が家に泊まっていったことはない。乳を触るだけ触って、さっさと帰っていく。
そう。どんだけ変な空気になっても。それを断ち切るように帰っていく。
「今日、呑むと思わへんかったから、洋菓子買うてきてもうたわ」
焼酎の入ったグラスと一緒にエクレアの乗った皿をリビングテーブルに運んだ。変な組み合わせになってもうたけど、しゃーないわな。
「……ええよ、別に。お前、エクレア好きなん?」
「おん。糖分補給にな。急に食いたくなんねん。なんか買うて帰ろ思うてコンビニ寄ったら、そこにあったエクレアに吸い寄せられたわ」
宇佐美がそれには何も答えずにグラスを取った。
「……お疲れ」
「ああ、おん、お疲れ」
俺も急いでグラスを持って、ソファに座る宇佐美の隣に腰かけると軽く宇佐美のと重ねた。
やっぱ、変やな。
いつも口数は少ないほうやけど。今夜はそれに輪をかけて宇佐美が静かやった。ちびちびと酒を呑みながら何か考え事でもしとるみたいに見える。
俺は、それを気にしてないフリをして、自分のペースで酒を呑み続けた。
「なあ……」
ぼけっとBGM代わりに流しとったテレビの画面を眺めながら、突然宇佐美が口を開いた。
「ん?」
「お前、あいつ、覚えとる? 俺の部署の後輩で……ちょっと前に転職してきたやつ」
「……ああ、田中くんか?」
「おん」
田中くんは、宇佐美の部署に転職してきたやつで、まだ若くて、二十代前半やったんちゃうかな。数いる社員の中でなぜ直ぐに思い出せたかというと。
田中くんはとても人懐っこい性格で、なにかと俺らの近くにおることが多かったからやった。そういや、あの、宇佐美とのおっぱい契約を交わすきっかけになった呑み会ん時に宇佐美の隣に座っとったのも田中くんやった。
「田中くんがどうかしたん?」
「ん……今日、外で昼飯食ったんやけど、ちょお、相談されてん」
「何を?」
「…………」
宇佐美は俺のその質問を無視して逆に俺に聞いてきた。
「なあ、あいつのことどう思う?」
「……は?」
「小野は、どう思う?」
「どうって……」
そこで、田中くんのことを思い浮かべてみるが、そんな意識して見とったわけちゃうから、漠然とした印象しか思い付かへんかった。
「まあ……明るくて、元気ええとかちゃう? 人懐っこいなとは思うけど」
「……悪い印象はないんや」
「全然ないよ。むしろええ印象のほうがあるかな。若いけど、話も合うしな」
「……そうか」
「なんで? なんかあったん? 田中くんと」
「……いや、なんでもない」
わざわざ名指しで会話に出てくるぐらいやから、おそらくなんかあったんやろうけど。
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