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第一章

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「やりましたね!」
 合格した私を差し置いて、エリスが飛び上がって声をあげる。
「なんでエリスが」
 私が呆れて声をあげると、エリスが満面の笑みで返してくる。
「友達が合格したんです! 嬉しいですよ!」
 その言葉で、心がとてもくすぐったくなってしまった。耐えかねた私は、少し体をよじる。友達。こんなに、心地良い友達という言葉を言われた事がなかった。いつもは、気に入られたい一心の白々しい友達という言葉だったから。
 エリスがハイタッチを求める様に、両手をあげて待機していた。うずうずとしたその表情。それに対して私は恥ずかしくなってしまって、少し顔を背ける。
「えぇ、ルネーナさん」
 悲しそうな声が聞こえてきた。どんな顔をしているのか伺うと、それに気づいたエリスの表情が、悲しそうな物から嬉しそうな物に変わる。まだ両手をあげて待機している。少し両手を前後に動かして、ハイタッチを促していた。
「もぅ」
 渋々といった感じで、軽くハイタッチをする。なんだか恥ずかしくて少し俯きながら。顔が熱い。
「いえーい」
 エリスが嬉しそうに声をあげる。エリスが元貴族なのかもしれない、という予想は間違っていただろうか。私は内心嬉しいくせに、呆れたようにため息をついてしまった。
「おめでとうございます」
 ミリエナが、ギルドカードを差し出しながらそう言った。私はそれを「ありがとう」と受け取って、そのまま首にかける。
「それでは、ギルドカードについて説明をしますね」
「あれ? よく考えたら、登録とかそういうのしないの?」
 ミリエナが先に進めようとしたので、疑問に思った事をぶつけてみる。何も聞かれていない。最初に名乗ったけど、それでいいのだろうか。
「ご心配なく、それも含めての説明です」
「あっ、なるほど」
 説明を遮ってしまった事を申し訳なく思いながら、ミリエナの言葉を待つ。
「説明していなかったですが、実は仮のギルドカードには装着者の情報を読み取る機能がありました」
 その言葉に続き、ミリエナがその読み取る仕組みを説明してくれる。難しい説明でよくわからないけど、とにかく書類を書かなくてもいいという事は分かった。
「聞くのは二回目ですけど、相変わらずよくわかりませんね」
 エリスが首を傾げながら呟く。よかった。みんな同じらしい。私は安心しながらミリエナに問いかける。
「まとめると、私の情報はギルドに登録されたという事だよね?」
「はい、まとめるとそういう事ですね」
 うん、それならよし。
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