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第一章
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ギルドまで戻ってきた私たちは、クエストが張り付けられているという場所にやってきた。
「ここに貼り付けられているクエストを受けられますし、冒険者ランクと照らし合わせるのが面倒でしたら、受付に行って適当なクエストを見繕ってもらう事もできます」
「そっか……冒険者ランクを照らし合わせないといけないんだよね」
クエストは壁一面に貼り付けられている。さすがに上の方は手が届かない範囲にはないけど、その分横に広がっている感じだ。ざっと見た感じ、冒険者ランク別に揃えてあるようには見えない。ここから自分の適性のランクのクエストを見つけて依頼内容を吟味して、というのは億劫になる作業だ。
「慣れてくると、これでもすぐにわかるらしいですよ……冒険者として見極める力を養うためだ、という聞いた事をありますし、観念するしかありません」
苦笑しているという事は、エリスもまだここから、クエストを見極める事ができないでいるのだろう。あとから来た冒険者が、しばらくクエストを見た後、一つをはがして行ってしまった。
「あんな感じで」
「そういう事ね」
共通の困りごとに二人で苦笑し合う。とりあえず時間がかかってしょうがない。
「今日の所は受付に、ミリエナさんにクエストをもらいましょう」
エリスが受付に視線を送る。それに頷いて、受付に向かう事にする。
「ミリエナ、さっきはどうも」
挨拶もほどほどに、私は本題に入る。
「今から始めて、暗くなる前に戻って来れるクエストを紹介してほしい」
「はい、ではこれはどうでしょうか?」
ミリエナは、クエストの内容が書かれた紙を差し出してくる。早い。
「先ほどの会話から、おそらく戻ってくるだろうなと思って、用意していました」
「さすが、ミリエナさん」
こういうのはいつもの事なのか、エリスは言い慣れた様子だった。
「見極められるようにしましょうね」
ミリエナがクギを刺すように、言ってくる。努力はしよう。私は返事をせずに苦笑だけ浮かべて、クエストに目を落とす。
「ゴブリン討伐」
思い出してみる。実際に見たことは無い。緑色の小さな小鬼。弱いけど狡猾で、複数で連携してくるモンスターだったはずだ。
「難しくないの?」
ゴブリン討伐が、どれ程の難易度なのか分からない。なんとなく想像できる事として、連携してくる相手は難しそうだ。
「ハイオークを倒したルネーナさんが何を言いますか」
エリスが隣でそんな声をあげる。あれは力技でどうにかなったからのであって、これは。
「お二人なら大きなケガはしないと思いますが、調子に乗っていると痛い目を見ると思います」
笑顔で怖い事を言う人だ。ミリエナは。
「ここに貼り付けられているクエストを受けられますし、冒険者ランクと照らし合わせるのが面倒でしたら、受付に行って適当なクエストを見繕ってもらう事もできます」
「そっか……冒険者ランクを照らし合わせないといけないんだよね」
クエストは壁一面に貼り付けられている。さすがに上の方は手が届かない範囲にはないけど、その分横に広がっている感じだ。ざっと見た感じ、冒険者ランク別に揃えてあるようには見えない。ここから自分の適性のランクのクエストを見つけて依頼内容を吟味して、というのは億劫になる作業だ。
「慣れてくると、これでもすぐにわかるらしいですよ……冒険者として見極める力を養うためだ、という聞いた事をありますし、観念するしかありません」
苦笑しているという事は、エリスもまだここから、クエストを見極める事ができないでいるのだろう。あとから来た冒険者が、しばらくクエストを見た後、一つをはがして行ってしまった。
「あんな感じで」
「そういう事ね」
共通の困りごとに二人で苦笑し合う。とりあえず時間がかかってしょうがない。
「今日の所は受付に、ミリエナさんにクエストをもらいましょう」
エリスが受付に視線を送る。それに頷いて、受付に向かう事にする。
「ミリエナ、さっきはどうも」
挨拶もほどほどに、私は本題に入る。
「今から始めて、暗くなる前に戻って来れるクエストを紹介してほしい」
「はい、ではこれはどうでしょうか?」
ミリエナは、クエストの内容が書かれた紙を差し出してくる。早い。
「先ほどの会話から、おそらく戻ってくるだろうなと思って、用意していました」
「さすが、ミリエナさん」
こういうのはいつもの事なのか、エリスは言い慣れた様子だった。
「見極められるようにしましょうね」
ミリエナがクギを刺すように、言ってくる。努力はしよう。私は返事をせずに苦笑だけ浮かべて、クエストに目を落とす。
「ゴブリン討伐」
思い出してみる。実際に見たことは無い。緑色の小さな小鬼。弱いけど狡猾で、複数で連携してくるモンスターだったはずだ。
「難しくないの?」
ゴブリン討伐が、どれ程の難易度なのか分からない。なんとなく想像できる事として、連携してくる相手は難しそうだ。
「ハイオークを倒したルネーナさんが何を言いますか」
エリスが隣でそんな声をあげる。あれは力技でどうにかなったからのであって、これは。
「お二人なら大きなケガはしないと思いますが、調子に乗っていると痛い目を見ると思います」
笑顔で怖い事を言う人だ。ミリエナは。
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