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第三章

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「なんで、おじ様」
 私は目の前に立っているおじ様を、苦々しく見上げる。それを見ておじ様は苦笑してから、乱雑に置いてある椅子に腰かけた。
「悪いと言ってるだろ、そんな顔をするな……あといろいろ勘違いしてるみたいだから、説明する、座ってくれ」
 おじ様は私達にあいている椅子に座る様に促す。それを受けて、私はエリスと顔を見合わせた。どういう事だろう。勘違いとは。とりあえず話を聞いてみようと言う感じで、エリスが頷いた。
 おじ様の対面の、あいている椅子に私達は恐る恐る腰掛ける。その様子を見ておじ様は苦笑した。
「何をそんなにビビってるんだ? まぁ、怖い思いをさせちまったのは確かかもしれんが、俺とお前の仲だろう」
 勘違い。さっきおじ様はそう言った。それに私達は連れ去られたけど、拘束されているわけではない。もしかして、悪意からの行動ではないのだろうか。
「まずは謝ろう、すまない」
 おじ様が頭を下げる。エリスが驚いた様子で、こちらに視線を送ってきた。どうすればいいか、わからないという感じだ。さすがに王様に頭を下げられたらそうなる。とりあえず私はエリスに頷いて見せた。それを見てエリスは居心地が悪そうに、おじ様の方に視線を戻す。
「頭を上げて、おじ様……それより説明して」
 少しだけ、怒っている風に私は声をかけた。事情があったにせよ、連れ去られるのはごめんこうむる。その抗議の意味を込めていた。
「説明しよう」
 顔をあげたおじ様が、困ったという様子の表情を浮かべて続ける。
「何から説明してよいのやら……ルネーナには俺が知っている事を、全て伝えるべきだと思っていたが、状況が悪い」
 ため息をついたおじ様が右手をおでこに当てて、少し体を前に傾けた。それから太ももに肘を置いて体重を支える。
「状況? グルシアの事?」
 国が滅亡したという事と、私達を連れ去った事がどうも繋がらない。こんなボロボロの小屋で、王様が農民に変装して来るなんて、ますます意味がわからない。
「あぁ、その件だ……それがきっかけだな」
「どういう事ですか?」
 たまらなくなったらしく、エリスが問いかける。おじ様はそれに対して、姿勢を戻してから口を開いた。
「気になってるだろうから、まずはなんでこんな形で会うはめになったか、だな」
 私は頷いて返す。おじ様は少し考える様子を見せてから、問いかけてきた。
「ルネーナ、お前、ソブリアルの第三王子と婚約したか?」
「は?! してないよ!」
 思ってもみない話に、私は頭が混乱する。婚約なんてそんな事した覚えもないし、父上からも意思を確認されたことは無かった。
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